SynDrome DiaRy

お気楽とシリアスのごちゃまぜな日々。  人生生きてりゃいろいろあるよね!

2007年03月

 あらかた友人知人との別れをすませました。 
 こういうときいつも思うけどわたしってヒトに対してほんっとー……に情と執着の薄い女だよなあ。感情の起伏が薄いというか。また会えるし、いいんじゃね? というか。
 放っといたら平気で連絡不能になります。それでいてふらーと気が向いたら現れたりします。
 古い友人はこの習性を「なついているのかなついていないのかわからないインコ」とかつて形容してくれましたが、結構当たってるかも。鳥だよなあ。それもカラスとかハトじゃない、渡り鳥系だ。

 明日の朝にGVAを出てシンガポール経由して東京着。
 自分でチケット取ったわけじゃないから文句言えないが、しかしダイレクトで帰りたい。シンガポールの待ち時間12時間もあるのよ? 疲れるっつの。
 てっきり日曜の朝に成田だと思っていたらそれはシンガポール着だった。さいあく。友達とヲタクツアーする予定だったのに。理不尽にチケット予約してくれた相手を恨みそうだ。すいません八つ当たりで。
 でも言わせてもらえば。
 チューリッヒ→東京よりチューリッヒ→シンガポールのほうが時間かかるのよ? しかも一泊して身体休めるとかじゃなくて、12時間なんてハンパな乗り継ぎ設定されても疲弊が溜まるだけだっつの。
 やっぱりなるべく全てを自分でやらないといけないなあと感じる所存。そうでないとやってくれたヒトに対して苛立ちと不満が募る。自分のせいでコケたらそれは自分のせいで諦めもつくけど、ヒトにやってもらうのはリスキーだ。

 かえろ。

 てなわけでまざかなを囲む会@ランチタイムである。

 ドナ、シネラ、ジョナという仲良し組のオーガナイズ。大変リラックスしたランチであった。
 ドナがこれはお前の会だから日本食か中国か選べというんで中国をチョイス。だって和食はわたし帰ってからその気になればいつでも食えらぁな。日本てコンビニが24時間営業してて豆腐とか肉じゃがとかビール売ってんだぜ…? ビバ不健康生活。愛してる。

 会の途中でいきなり会話がフラ語にチェンジしたときはどうしようかと思った。シネラはフラ語のが得意だしドナも普通に話せるのだが、ジョナ! あんたついこの間わたしにフラ語喋れないみたいなこと言ってたじゃん! どこが喋れないのさ!
 さんざん日記でネタにしてきておいて恐縮だが、つくづく彼は化け物だと思い知った。だって少なくとも5ヶ国語話せるんだぜ…? いくら母国語が英語だからって尋常じゃねえよ。ここにいると3ヶ国語は話せて普通、みたいなのだが5越える人間はさすがに滅多にいねえよ。呆れるほどハイスペック。化け物。頭いいわぁ。

 シネラが気づいて「まざかなはフランス語わかんないから英語にしよう」と言ってくれたからよかったものの。「でもフランス語わかるでしょ?」とか当たり前に聞かれて「わかんないよ!」と絶叫。おまえと一緒にすんな、このハイスペック異星人!
 こっちゃ英語すら気を抜くとわけわからんわ!

 どんなにわたしがわけわかってないかおわかりいただくために以下にわたしのすっとぼけエピソードをご紹介しよう。
 よくシネラの電話(もとわたしの電話)にわたし宛の電話がかかってくるのだが、お前宛だといわれて出るとツー・ツーという音。切れている。おかしいな。誰からだったんだろ。「切れた」とひとこと言うと「Sorry?」と返される。「切れたの」。再び「Sorry?」。
 おかしいな、なんでわかんないんだ、と思ってようやく正気に返る。今俺日本語で返事してたよ! そりゃ通じねえよ!
「Oh, sorry, I spoke Japanese」
 付け加えるならこのボケボケぶり、完璧に無意識でやっていた。ホントにアホである。

 そしてさっきパリの自宅へ旅立つ前のシルヴァナがわたしに一緒にパリ行ったときの写真をくれた。
 先日のフェアウェルパーティにての上司のスピーチがお気に召さなかったらしい。いわく、前半の、最初英語全然できなかった、なんてわざわざ言う必要ないじゃない、彼だって日本行って仕事すれば日本語わかんないんだから、とおかんむりであった。なんていいヒトなんだ! だからわたし彼女好き。

 家族に時計も買ったし、スーツケースも詰めたし(25Kg)、ほぼやることは終了。
 もう帰るだけだね。


 昨日はなんかあっち行ったりこっち行ったり、よくわからんがエライひとに呼び出されて「なぜ私なんかがダイレクターに呼ばれるのだ?」と首を傾げながら彼のオフィスに行った。
 どうも彼はうちの医局の先生の知り合いらしく、それでヨロシクとのことであった。なんだ、ビビッた。
 その後ドタバタしていたら、上司がいきなり「これからお前のオフィスでお別れ会やるから行きなさい」と言い出した。晴天の霹靂である。聞けば上司企画、キャシー準備のわたしのサプライズさよならパーティーだそうな。

 オフィス行ったらまあびっくり、わたしの知り合いが大勢詰め掛けていた。うわお。わたしこんな知り合いいたっけ? という勢いだ。シルヴァナ、サチ、レイシー、ジャキ、シネラ、プーおじさま、キャシー、上司、じいさま。あと番外でアレックス、マーガレット、KC。なぜかジョナとドナが後に合流。知り合い勢ぞろいである。
 じいさまはわたしにイースターのうさぎチョコをくれた。フラ語で何言ってるのかわからんが、多分「君のようだ」と言ってるに違いないと思ってそう返事したら横で聞いていたアレックスが「彼女わかってるんじゃないのか」とか言ってるの聞こえたから多分正解。イエー。

 余談ながらレイシー&ジャキ&シネラの若手インターン三人娘と話していたジョナはその外見の若さのためいったいいくつだと質問攻撃を受けていた。英語で話す彼はまるでアメリカ人のようだと思って眺めていて、まるでも何もそういえばこいつはアメリカ人だと今更ながらに気づく。
 しっかし英語を高速で話してるのを見ると正体と中味を知っているわたしでさえうっかり惚れそうな男前ぶりだ。つくづく惜しい。これ正体はアレで中味はコレなんだぜ…? 日本語しゃべってると女言葉なんだぜ…?(多分会話相手が女性が多かったためと思われる) 俺のが男らしいんだぜ…? もったいない。

 会の途中で上司が「Mazakana!」と呼ぶので「Yes, Sir!」みたいに背筋を伸ばして返事をした。何言われるんだろうと思っていたら、お前が来たときはフランス語はゼロ、英語も限られた言葉しかわからなかった、それが今や全てわかってる、進歩したな、とのお褒めの言葉であった。
 全部〜? だったらいいけどねえ。今でもそんなにはわかんねえよ。聞き違いやら誤解はしょっちゅうだし。映画見てもこいつら何言うとんねん、という感じだし。
 
 シルヴァナはわたしにキスを残して仕事に戻っていった。いつもありがとう。もし日本来たら誠心誠意おもてなしするよ!

 昨日からオフィスが足りんというのでシネラにわたしの机を譲った。
 いよいよこの半年間のスイス生活もファンファーレが近づいている。

 現在部屋の片付けに大わらわである。つってもこまごまとしたものは全部後続のお兄ちゃんに引き渡す予定だが。あと有栖川アリスと前田珠子は捨てるが。
 荷物もぬかりなく日ノ本の国に発送済みだ。
 しかし昨日届いたルームメイトの日本人女性のダンボールが見事に底抜けて内容がどかーんと広がってるの見ると戦慄せずにはいられない。なぜってその荷物の片隅には、年末に来た友達の心づくし・「遥か3ヴィジュアル絵巻」が紛れ込んでいるから。
 ああ、荷物の宛先を職場にした己の浅慮を心から呪いたい。もしダンボールの底が抜けて中味全部出てたらどうしよう。下着とかもかなり恥ずかしいが、遥か3ヴィジュアル絵巻なんかが露出してた日にはショックのあまり失踪するやもしれぬ。だって職場に届くんだぜ? ネオロマンサーであることが同僚たちにバレるんだぜ? 想像しただけで気ィ失いそうになるっつの。
 一応事務のお姉さん宛てに「頼むからもし壊れていても中見ないでくれ」とはメールしたが、どうなることやら。

 家族の連中が時計を買って来いというので、昨日の夕方物色しに街に出かけた。
 わたし自身は腕時計というものが嫌いだ。というか生来のモノグサが祟って外してそのまま忘れて紛失、という無限ループ防止のために初めから携帯で代用だ。しかし昨日物色したらブレスレットと見紛う可愛いデザインのものを見つけたのでこれはちょっと欲しい。オサレである。

 しかしここにいると地元に大地震あったことなんかまるで夢の出来事ですね。もちろん親類係累全部無事だったと知っているからこそ言えますけど。
 我が家の被害状況としてはわたしの部屋のぬいぐるみコレクションが全部本棚に埋もれてしまっているそうです。ぐはあ! GWに実家帰ったらまずぬいぐるみ救出作戦から決行かい。
 
 実は人生初・「友達を実家に連れて行く」を行おうと思っているのですが、はてさてどうなることやら。いざとなったら一緒に鄙びた風情の旅館に泊まるけど。和倉温泉でも行くかい、友よ。

 土曜日はあたらしくうちのアパートに日本人の女性が一月滞在する予定だというので、空港まで迎えに行った。
 荷物もちとしてジョナと。
 ……当然のことながらその人の反応は「付き合ってるんですか?」であった。
 ちゃうねん。俺らそういう関係一生ならへんねん、と口から魂の叫び(なぜかエセ関西弁)がほとばしりそうになったがぐっとこらえた。

 まあねえ、わたしらのここ最近のいちゃいちゃぶりときたら傍から見れば確かに「付き合うのまでカウントダウン開始のカップル」にしか見えないことは認めるよ。でもわたしとアレの間には一生越えられない深ーくて暗ーい川があるんだなあ。
 もし仮にわたしは付き合ってもいいと言っても相手はYESとは言うまい。理由はそっとしておくのが思いやりというものだ。もうこう書いただけで察しのいいひとは理由がわかるだろうけれども。
 つかぶっちゃけな、ジョナに「まざかなは頭がよくて将来あるからすぐボーイフレンド見つかるよ」とか笑顔+日本語で言われても嬉しないねん。わたし理想の男はニートで働かなくて無意味にエロヴォイスなヒモにしかなれない元武将なの! とか言うたろか思うたがな。
(たぶんわかってもらえない)(英語でヒモってなんていうんだろ)

 明けて日曜日、フランス領のサレーブ山にその女性と登る。もちろんロープウェーで。
 同僚からちらっと聞いてはいたが、彼女は金持ちだね。金遣いがわたしの節約生活とは比較にならならないほど荒い。まあ働いて長いだろうからなあ。
 わたしは無駄金は一銭たりとも使えぬ身なので選択の余地無く自炊を選ぶが、貯金をゼロにしても自炊したくないってすげえな、と思う。このイリーガル物価都市で毎食外食だったというんだから驚きだ。無論、それができるんならそれはその人の勝手なんだからわたしが口を出すことではないが。
 でも彼女ここにお友達たくさんいるらしいので、それはとてもうらやましいと思う。わたしの友達みんな職場関係者だからな。

 日本では無双オロチが出ているそうですわね。
 ぐおお、やりたい。コー○ーの僕としてはもう気になって気になって夜も寝られません。敵将討ち取りたい! 幸村さまにお会いしとうございまする! あとわたしの周辺で大不人気の信長さま+濃姫夫妻!
 三国+戦国なんつう、ある意味禁じ手が炸裂できるんなら戦国+BASARAもやってくんないなあ。もし出るならプレミアム買ってもいいですわよ。変態光秀(BASARA)VS潔癖光秀(無双)とかわくわくするんですけど!
 あと個人的にSの血が騒ぐのが半蔵、「主がため、参上…」とか言われるとゾクゾクする。もしかしなくても変態だな、わたし。

 あと一週間、あと一週間!

 シルヴァナと映画を見に行った。Dreamgilrs。
 毎度のことながら全おごりである。いいのか? いやよくない。でも払うっつっても払わせてくれた試しがないんだよ。
 前知識なしで見に行ったため大変混乱する。なんか黒人のセレブの実話の映画化らしいのだが、何せこちとら英語の不自由な日本人である。フラ語字幕なんかむしろ邪魔だ。リスニング、早くなるとさっぱりダメだし。

 とりわけわけがわからなかったのはメインの登場人物四人の黒人女性、それらのうち三人が見分けがつかなかったこと。
 ストーリーもさることながら髪型も服装も一緒だから混乱する混乱する。ええと、これ誰? みたいな。三人のうちのどれ? 
 欧米の映画業界の関係者は俳優を配置するときは異人種の目を考慮して起用すべきだと思う。以前見たニューワールドも大変混乱したことがある。わかんねえ…! これ誰!? みたいな。せめて服装・髪型にバリエーションをつけてくれ。

 そして驚いたのが映画のスイスルール。
 なんとこの国では映画の途中でブッタ切られて一時休憩、がノーマルルールなんだそうである。なんじゃそりゃ。シルヴァナいて教えてくれなかったらわたし終わったと思って途中で帰ったよ。ありえねー。
 
 そしてわたしが知らないうちにドナ発案、ジョナオーガナイズの「まざかなを囲む会@ランチタイム」にシネラも参戦することになったらしい。
 傑作だったのがシネラの「ジョナって誰」発言である。お、おまえ知らない相手からの昼食のお誘いメールに行くって返事したのかよ! 確かにドナとわたしは知ってる相手だろうけど! わたしならまずありえない。心の壁厚いから。
 そのシネラいわく、言語を学ぶときにもっとも大切なのはシャイを捨てること、なのだそうだ。まあねえ。そりゃあわたしも同意するさ。でもそれができれば苦労しねえんだよ。こういう性格なんだよ。
 確かにシネラはよく話す。間違ってても気にしない。わたしが違ってても気にしない。重要なのは言ってることがわかること、というその姿勢、たいへん素晴らしい。 
 わたしが得た数少ない知己の共通する通低音として、コミュニケーション上手、かつ細かいことは気にしない、というものがあると思う。
 いつか日本語をがんばってる外人に出会ったら優しくしてあげよう。 

 なんでわたしの昨日の日記消えてるの?
 それはそれはファニーでファンキーな内容だったはずなのに! New comer、シネラのことを延々とつづった超大作だったのに!
 またあれを書くのか。めんどくせえ。なので割愛。
 えー、月曜日からうちのdepartmentに新しくブラジル人のインターンが来ております。ナイスです。わたしブラジリアンこれで三人目、皆女性ですが皆さんとても素敵。陽気。さすがカーニバルの国。

 日本で働くの希望のジョナがついに日本の仕事に応募したそうである。場所は古巣の金沢。しかも教授職。教授! もしなったらエラい知り合いを持つことになるもんだ。
 しかしあの人日本海側の気候知ってるのか? たぶん嫌いだぞ。まあどうでもいいっちゃあどうでもいいけれど。
 The・白人そのものの見かけで「日本に住んでるとき俺いつもダサいって言われてた」「日本人の男はイケメン多いね」「承りました」などなど完璧な標準語を連発してきやがるのでわたしは常に笑いっぱなしだ。あまりに笑いすぎるので「なんで笑うの。バカにしてるでしょ」とか苦情を言われても笑いっぱなしだ。
 つうかね、わたしにとっちゃ「バカにしてるでしょ」などというパーペキな標準語をこのヨーロッパのど真ん中でアメリカ人の口から聞くこと自体がもう笑いのネタなのだよ。これが日本だったら「日本語お上手ですね」で何も笑うところないよ。しかも本人自分の日本語horrible(恐ろしい)とか言ってるあたり更に笑う。おまえの日本語ホリブルなわけねえだろ! と。

 いよいよ本格的に帰国準備態勢に入り、荷物を送るためにプーおじさまにお願いしていっしょにポストオフィスに来てもらう。
 日本語と英語で宛名書けといわれた。ああそうね、それが無難だわね。
  

 先週の金曜にミニコンサートに言ったら、わたしは新たに日本語をカタコトで話す某ゲームの夢の守護聖さまと同名の男性と知り合った。
 彼は極楽鳥と呼ばれるモノホンとは似ても似つかないセンシティブな兄ちゃんであったが、彼女が日本人(ふんわりした可愛い人だった。名古屋出身)であるので目下日本語勉強中なのだそうだ。しかしそこでしっかりネイティブスピーカーつかまえて会話練習しようというそのポジティブぶり! ぜひ見習うところであろう。

 ときどきカタコトになり、かつスピードが速いとわからなくなるそうだがかなりお上手なヴィエはしかし「なぜそんな単語を?」と思うようなワードも連発。
 彼女さんが言うには「このあいだ両陛下と言い出したときは笑いました」とのこと。両陛下! まず日常会話では使うことのなさそうな単語である。あといったいどうしてその単語を知った? 謎だ。
 彼は日本語を本格的に学びだして一年弱らしいのだが、それにしてはとてもお上手だと思う。だって一応意思の疎通できるもんな。そのガッツ、見習わねばなるまい。

 空けて日曜日は友人と日本人の先生のお宅へ。
 しょっぱなから友人が居住地の詳細な情報を忘れるというある意味致命的なミスを犯しながら、「大丈夫、わたしこういうの得意」と安請け合いする俺。とはいうもののどのバス停で降りるかさえすっかり忘れている。かろうじて9番のバスに乗るというのは覚えていたので停留所の名前をチェック、「これだ!」と思い出す。
 指定のバス停で降りるとそこは郊外だった。それっぽい建物はひとつしか見当たらない。「わたしの勘はあれだと言っている」と友人を引っ張りその建物に突き進むわたし。
 見事! 正解であった。
 確定情報なしにどうにか目的地にたどり着けたわたしたちは感動のあまりマンションの入り口でハグして喜びを分かち合った。傍から見るとわけがわからない二人である。
「わたし、この日のことを忘れないわ…!」
 うつくしい青春の一ページであった。

 余談だが彼女に帰り際いったいなぜわかったのか、ちょっと表現してみて、と言われて明確な答えを返せなかった。だって「これだ!」と思ったんだもん。
 ただ、少し考えてみるに。
 友人はフラ語が話せるのだがわたしはフラ語はゼロだ。はっきり言って聞くと頭が痛くなる。なのでここにいると耳からの情報が自動的にゼロになる。勘で生活するしかないため、結果的にシックスセンスが発達する。
 
 思えば長い半年だったものよのう。

 残っていた仕事をサクサク仕上げすぎたためにやることがない。今現在、わたし超ヒマである。もうちっとゆっくり仕事すりゃあよかったよ。私物のパッキングもあとは服だけだしな、やることがないわ。
 うん、ヲタクの一員としてサイトめぐりとかしてもいいんだけどさ、ほら、職場のパソででかでかとゲームキャラの絵とか表示させるわけにもいかないじゃん…? 百歩譲ってもSSどまりだよね。
 ああああ、ヒマでも嬉しくない。ここにはPS2と落としゲーがない。いますぐ俺にコルダ2をやらせてくれ!

 そんなヒマヒマな今日のわたしは日本人のお知り合いのピアノコンサートに赴く予定です。楽器なんか久しく触ってねえよ。
 中学時代はなぜかドラムとか叩いたりしてましたが、以降はもっぱらカラオケ専門ですな。楽器を弾くという作業には忍耐を要求されるのでわたしには向かないのです。基本的に我慢とか忍耐とか嫌い。できるだけ避けて通りたい。

 そう考えると未来のこととか考えるのまたイヤになりますね(脈絡ゼロの展開)
 いやわかってる、いつかは考えてちゃんとしないとダメなのわかってる、だんだん時間が迫ってるのもわかってる、でもそっから先が! イヤ! なの! 仕事なんかしたくないの、毎日遊んでくらしたいの! (ダメ人間の本音)
 すごい金持ちの男と結婚して相手を働かせてあなたは遊べばいいのよ、とはシルヴァナの素敵なお言葉ですが、ううーん、それができる性格ならそもそもこんなスイスくんだりまで来てないんだようシルヴァナ! あとすごい金持ちの男はわたし程度の女じゃ見向きもしないんだよう!

 生きるということは本当に難しい。
(無駄に壮大な結論)

 ついうっかり忘れそうになるがわたしの本分にしてライフワークは日本語の作文なのでした。最近ずっと英作文に命かけてたけど。
 やっと帰れるし、久々にリハビリをかねて何か書いてみよう、と思い立ったので書いてみた。
 相も変わらず暗いです。なぜか遥か3で弁慶です。いつもどおりです。それでもいいとおっしゃる奇特な方、以下どうぞ。おまえのヘボい文章なんか読みたくないぜ! とおっしゃる方、またお会いしましょう。


 ほとほとと扉を叩く音が、深夜、梶原邸の自室で書物に没頭していた弁慶の意識を引いた。 
 控えめなその音は夜の静寂に溶け込むには大きすぎ、部屋の主が空耳かも知れないと思うほどには小さかった。瞬いて視線を向けた扉から、もう一度、控えめな硬音。
 空耳ではないとようやく悟った彼は重い腰を上げ、内側から扉を開く。

 そこに意外な人物を見出し、弁慶はその色素の薄い双眸をかすかに瞠った。
「……望美さん」
「こんばんは、弁慶さん」
 扉の向こうに立っていたのは年若い、見知った娘だった。ただの娘と言い切るには少し語弊があるかもしれない。異世界からやってきた龍神の神子、源氏の戦女神、勝利の姫吾子、その他諸々の数々の異名を取る彼女には。
 彼女が身動きした拍子にかすかに鼻を掠めた慣れ親しんだ香りに、弁慶はふと違和を覚えた。月明かりに朧に浮かぶ望美の顔色を、探るように視線を落とす。

「……こんな夜更けにひとりきりで男の部屋を訪れるなんて、君は大胆ですね……と言いたいところですが」
 常よりもかすかに蒼い顔色と、彼女に纏わりつくその香り。それらの材料で、弁慶には何が起こったのか、何が目的の訪いなのか、実のところ察しがついてしまう。
「入ってください。———手当てをしましょう」 
 すっと身を引き、彼女を部屋に招き入れた。

 たびたび望美はこうして傷を負っては深夜に弁慶の部屋を訪れる。
 事実上姫神子たる彼女に物理的に深手を負わせられる人間は源氏の総大将たる彼女の兄弟子か、鬼の子孫たる師くらいだと讃えられるほどの剣技の持ち主でありながら。
 どこで、誰に、どうして、と問いかけたところで答えが返ってきた試しはない。望美はただ、「聞かないでください」とだけ言って、困ったように笑うだけだ。
 謎めいた白龍の神子は仲間たちと過ごしている時間に見せるその溌剌とした年頃の少女の言動とは裏腹に、ときに思いがけない預言をもたらし、そしてその預言は必ず果たされる。彼女の預言が外れないことを、弁慶は経験的に知っている。いつだったか九朗があいつはまるで未来を知っているようだと洩らしたことがある。その認識はまた、弁慶自身の感情と相通じるものでもあった。

 部屋の中央に座った望美がそっと単の袖をまくると、血の香りが一段と濃く香った。血臭の発生源は細い二の腕にあった。ぐるぐると巻かれている包帯は生々しく血の色を滲ませて一部をすでに金錆色へと変色させている。
「見た目ほど深くないんですけど、血がひどくて。血止めの薬を塗ってもらえますか」
 彼女の見立ては正しい。その正確さはいったいどれほどの経験に裏打ちされているのか、考えると切なくなった。弁慶は部屋の片隅に埋もれていた薬草の準備を整え、傷に軟膏を塗り始めた。
 
 神聖な戦女神と謳われる望美の身体に、いくつもの消えない傷が刻まれていることを知る者はどれほど存在するのだろうか。すべらかな曲線を描く背中にもまろやかな乳房にもほそい二の腕にも、およそ全身くまなく、そこかしこに刀傷も弓矢の痕もある。乙女そのもののなめらかな肌にはしかし、彼女が真に乙女であればつくはずのない引き攣れた無数の傷跡が彩られている。
 そしてその中でも、ひときわ目立つのが左肩にある刀傷。
 薬師として何度もその肌を目にする機会のあった弁慶は、いくつもの傷の中でもひときわ目を引く大きなそれだけがいつ誰の手によって刻まれたのかを知らない。
 彼にわかるのはただ、時に望美がその傷に落とす視線がひどく色濃い恋情を宿しているという事実だけだ。———そう、まさに今、この瞬間のように。

「その傷だけ、僕の知らないものですね」
「え?」
 自らの傷痕に目を落としていた望美がはっと顔を上げる。あどけないその顔には、もはや先刻までの生々しい女の表情は消えていた。
「その傷を見ている君は、まるで背の君にでも語りかけているように見えますよ」
 彼女の瞳が動揺に揺らめいたのは、常套句である甘い睦言に紛らわせるにはあまりにも的を得た内容だったためかもしれない。
 
 異界から訪れた聖なる神子は、ただいっそう複雑に愛らしい顔を歪め———ただひとこと「ごめんなさい」とだけ、呟いた。



(オチがない!)(リハビリになってない!)

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