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 ろうそくでカップ麺を食べるのに十分なお湯を沸かすことができるのか挑戦してみた。
 なぜろうそくでお湯を沸かす必要があるのかと言えば、世界を股にかけるバックパッカーに自分がなったと妄想した場合、幾度となく飛行機に乗る必要が出てくるだろう。その時、危険物であるためストーブやランプに使う燃料を荷物の中に入れることができない。油類はもちろん炭もだ。つまりバックパッカーは飛行機に乗るたびに燃料を放棄し、次の土地で購入しなければならないことになる。多分そうやって旅をしているのだろうと想像するが、これは不便なことだ。
 しかし、ろうそくなら飛行機に持ち込みOKだ。ろうそくはもちろん照明として使うわけだが、調理にも使えるならばバックパッカー用のストーブとして重宝するに違いないと考えたのだ。
 それにサバイバルテクニックとしても有効かもしれない。冒険者にとって身につけるておくべき必須のスキルになるかもしれないのだ!
 以前、元ボーイスカウトと2人でキャンプに行ったときのこと。「今回はストーブを持って行かないで薪を拾って調理しようよ」との提案を受けたのでその通りにした。ところが前日の雨のために辺りに落ちている木々の枝は濡れており使い物にならない。仕方なく火の着きやすい細い細い柴や枯れた葦のような物を必死に拾い集めて燃料とし、レア気味のバーベキューにありつくまでに確か2時間も掛かったという経験があった。この時、キャンドルランタンのろうそくを調理用に転用することができていたらあんな苦労をせずに済んだ。そんな経験もろうそくで調理できないものだろうかという発想に結びついている。
 どの程度の火力があれば良いのか考えた時に、カップ麺を食べるのに必要なお湯を沸かすことができることを必要最低限の能力と設定した。
 というわけで、ろうそくでお湯を沸かしてカップ麺を作ることができるのか、実験だ。
 サバイバルテクニックの開発も兼ねてなので、身近なものでろうそくストーブを作ろうと思い、その素材としてビールの空き缶を選んだ。

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 ハサミで加工した即席のろうそくストーブに写真のようにろうそくをセットして、水を入れた空き缶をを上に乗せて点火、過熱する。
 失敗。ろうそくが燃え尽きても缶の中の水は沸騰するまでに至らなかった。
 しかしまだあきらめるのは早い。

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 燃焼効率を改善するために空気取り入れ口を拡げ、より背の高いろうそくを燃やせる2号ストーブを作る。

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 今度は実験成功。空き缶の中の水はぐつぐつと煮えたぎり、沸かしたお湯を注いでカップ麺を作ることができた。ろうそくでお湯を沸かしカップ麺を食べることは可能なのだ。
 しかし、サバイバル術としては利用可能でもバックパッカーのための実用性としては十分とは言えない。時間が掛かりすぎるのである。1杯のカップ麺を食べるために30分近く待つのは辛かろう。
 ろうそくの炎はお湯を沸かすには弱い。観察したところ、お湯を沸かすために必要十分な火力を発揮するのは、ろうそくが溶けて液化し、ろうそくの原料であるパラフィンが沸騰・気化しはじめてからなのだ。

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 では、どうするか? 気化を早めてやれば良い。というわけで2階建てのろうそくストーブ3号の登場。下の段のろうそくの熱で上の段のろうそくを素早く液化・気化させようというのである。
 その結果16分でお湯を沸かすことができた。しかし早まったとは言え実用的とまでは言えない。ろうそくストーブの実用化は無理なのか…
 ところが実験から大きなヒントを得ることができた。

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 ろうそくストーブからお湯の入った空き缶を取り外すと、突然激しく燃焼し出したのだ。想像もしなかった大火力。
 そうか、酸素の供給が十分ではなかったんだ!
 そこで空き缶を使う発想から離れ、鍋を使ってみることにした、これなら被災時にも身近なところにありそうだし、バックパッカーだって持ち歩ける。

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 1枚のティッシュペーパーに包んだ10数本のチビろうそくをストーブとして使う鍋に入れ点火。
 あっという間に大きな炎となる。これをろうそくの炎と呼んで良いのか若干の疑問が残るが。

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 これは大成功、4分で400ccの水を沸騰させることができた。もちろんカップ麺が楽勝で食べられる。それどころかカップ麺用のお湯を沸かし終えてもその勢いはとどまらず、この火勢なら本格中華を作ることも可能。カップ麺どころかパラパラチャーハンが作れそうな大火力だ。カップ麺用のお湯を沸かすだけならチビろうそく5~6本で十分な火力が得られるのではあるまいか。
 というわけでバックパッカーにもサバイバルにもろうそくストーブ(鍋だけど)は有効だということが実証できた。私自身、アウトドア活動などで今後使う場面は訪れないかもしれないんだけど。
 もし、自分もやってみようという物好きな人がいたら(いないと思うけど)火事と火傷には十分に気を付けてね。

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