こんな夢を見た。
このところ恐ろしい事件が頻発していた。
街中に突然恐竜に似た四つ足の巨大な怪物が現れ、その場にいる人を大勢食いちぎって大暴れしてはいつの間にか消えてしまう。
その怪物が俺の目の前にも現れた。
必死に逃げる俺、建設中のビルに逃げ込み、作りかけの階段を上へ上へと駆け足で上っていく。しかし怪物は壁をよじ登り追いかけてくる。かなり早い動きだ、追いつかれそうになったところで今度は、とび職用の鉄パイプの足組を素早く伝って降りる。怪物との距離が開いた。そしてうまい具合に下り坂に出た、偶然ではなく選んでここまで来たのだ。
怪物は四つ足で移動するが前肢が短い。そのため下り坂でスピードを上げようとすると前につんのめってしまうだろうという読みだ。そして俺は坂を駈け下るのが得意中の得意。跳ねるように全力で逃げる。
なんとか怪物から逃れることができた。
実はこの怪物は、ある心を病んだ青年の破壊衝動が実体化したものであることを俺が知るよしは無かった。