「刃牙道」烈海王が宮本武蔵に敗れて死亡! その後の展開

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板垣恵介 秋田書店

 「刃牙道」。1991年に「グラップラー刃牙」として連載開始、「バキ」、「範馬刃牙」、「刃牙道」と人気格闘漫画だ。 
 「グラップラー刃牙」時代には、現実の世界の格闘技とダブりながら現実の格闘技を超えた超人たちの戦いぶりにある意味リアルを超えたリアルを感じながら読んだものだった。
 しかし、次第にエスカレートし、その強さはSFの世界。作品の設定も、ティラノサウルスを素手で倒し食料としてた最強原始人が復活したり、剣豪・宮本武蔵がクローンとして再生と文字通りSFの世界となってしまった。
 しかし、常に下地にある程度の事実を描くことで、ぎりぎりリアルさがあると読むものを信じさせる上手さがある。
 本当は相当な無理があるんだけれども、科学的な解釈が差し込まれているために本当にできそうだとつい信じさせられてしまう、白戸三平の漫画に出てくる忍術にその源流があるような気がする。
 もう一つの面白さの秘密は、新しく出てくる対戦相手がそれまでの相手より強いために、過去の対戦相手が霞んでしまう強さのインフレ現象に陥らないように、過去の登場人物が実は過去に見せた対戦よりも強かったみたいな調整が時々行われることだ。
 過去の対戦では脇役に一蹴されていたのに、武器を取らせたらめちゃ強くて、最近では素手の戦いも作品中有数の強さを誇る烈海王と高レベルの戦いができることを見せた老柔術家の本部以蔵がその最たるもの。このおじさんは解説者としても有能だ。
 こうした手法により、主人公以外の脇を支える格闘家たちが過去のキャラクターとならずに長く常に新鮮に活躍しファンを得る。この手法は巧みだ。
 連載初期から登場し、伝説の武人のはずなのに負けてばっかりの愚地独歩なんか私の大好きなキャラクターだよ。すっかり引き立て役ぶりが板についてしまっており、本編ではもはや1勝もできそうにないのではと思われる独歩だが、「バキ外伝 拳刃」では主人公として縦横無尽の活躍ぶりというキャラの活かし方も上等。
 とにかく刃牙ワールドは、主人公以上にサブキャラクターが立っていたりする。またそこが面白い。
 
 さて、作品を知らない人のための前置きはここまで。
 烈海王が宮本武蔵に頭を梨割りに切られて死んでしまった。この後の展開を私なりに占ってみようというのがこの記事の趣旨だ。もはや読感じゃなくなっているけど。(笑

①「ふむ、死なせるにはあまりに惜しいでな、ぎりぎりのところで生かしておいた。」と武蔵が告白、両断されたように見えるもぎりぎりセーフだった頭部の傷と同じく、胴を断ち割りながらも実は巧妙に内蔵・脊椎を避けていたために仮死状態でスーパードクター鎬になら蘇生可能だった。脊椎まで切られたと烈が感じたのは錯覚による。

②郭海皇ゆずりの死んだふりで、実は生きてる。

③真っ二つに切られたものの、あまりに鋭利な切断面だったため、手塚治虫の名作「ブラックジャック」の作品中で名人の鍛えたメスで切ったヒョウタンのようにくっついて元通りに生き返る。同じチャンピオン連載の漫画だけに。

④武蔵と同じようにクローン再生してババアがチューで魂を吹き込む、ピクル戦で失った足まで元通り。それを見ていた隻腕の愚地克巳が真マッハ拳で武蔵に挑み、残る腕と命も失うがクローンで五体満足な姿で復活。さらにそれを見ていた渋川剛気と愚地独歩が武蔵と戦い命を失うが、クローン技術で復活。両者ともに隻眼が治るというおまけつき。もはや武蔵戦=五体満足復活システム化する。さらにさらにそれを見ていた郭海皇が思うところあって武蔵に挑戦。やはり命を失うも徳川光成との密約により、20代の身体で復活。約150歳の経験値と20代の身体を持つ最強拳法家として武蔵と再戦、圧倒的な強さで武蔵を葬り去ったところで「刃牙道」は最終回となる。続編「刃牙伝」では、ヤング郭海皇が範馬勇次郎とのリベンジ戦、本当はやりたかったんだけど齢だからあきらめていたピクルとの戦いにも勝ち、烈海王の意趣返しとばかりにピクルの右足を食べてしまう。そして刃牙との決戦の日を迎える。

 私としては、やはり④を推すね。 そうそう、④の後にはさらに、⑤ツボを突くことで相手の肉体を破裂させる神の一字を流派名に戴く拳法家や、神話の時代から続く聖なる闘士と戦う「聖☆刃牙」の連載が始まるんだ。
 と勝手に予想妄想したものの、作者の板垣氏はそんな想像など軽々と越えた展開を考えているに違いない。刃牙ワールドのこれからが実に楽しみだね。
 

鬼平犯科帳 本所・桜屋敷

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池波正太郎原作/さいとうたかお画 リイド社

 池波正太郎の人気時代小説「鬼平犯科帳」の漫画版だ。
 この巻「本所・桜屋敷」は第一巻に当たるのだが、本にはその記載はない。俗にいうコンビニコミックなのでどの巻から読んでもいいようにあえて巻数を記載しなかったのかもしれない。
 この漫画版鬼平犯科帳は現在も刊行が続いていて90巻を超えた現在では流石に巻数不記載では不便と見えちゃんと巻数が付いている。
 「本所・桜屋敷」は、鬼平こと火付盗賊改方長官・長谷川平蔵鬼平のルーツをたどるエピソードの1つだ。
 本所には平蔵の青春があった。
 本所に生まれた平蔵が若かりし頃徒党を組んで悪さをして回っていたのも、剣の道に汗を流したものこの地だ。そして恋も。
 本所・桜屋敷の娘ふさは、平蔵と剣友の左馬之助の2人が想い思いを寄せる女性だった。その屋敷跡に立った平蔵は二十数年前を思い起こす。桜の季節に嫁入りしていくふさを悔しい思いで見送った平蔵と左馬之助。
 「いいさ、おふささんが幸せになるのなら。」
 しかし、大店に嫁入りして幸せになったはずのおふさは、子供ができなくなったことから離縁され、その後生活を持ち崩し悪党とつるむようにようになった。
 役目上、おふさを捕縛する平蔵。おふさは八丈島へ島送りとなった。
 平蔵は満開となった桜屋敷の山桜を見上げながら、やるせない想いを抱くのだった。
 鬼平犯科帳の魅力の一つは、江戸の文化が生き生きと語られていること。池波正太郎はまるでその目で見てきたかのように江戸の町を描写する。
 例えば本編にも桜屋敷が登場し、それを愛でる姿が描かれているが、他の巻も通して読んで行くと、飛鳥山の花見が江戸時代から人気であったことや、吉原の桜は花の季節が終わると引っこ抜かれてしまうなど当時の風俗を紹介している。
 飛鳥山の桜を見ながら、平蔵もこの桜を見たのだろうかと空想してみるのも悪くない。ソメイヨシノは寿命80年ほどらしいから平蔵が見たのと同じ桜は残っていないかもしれないけど。

 今回の記事は「みんなでお花見2015 -ブロ友交友録-」とのタイアップです。こっちの記事も読んで、そして参加してくれるとうれしいな。 
  

平成よっぱらい研究所

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二ノ宮知子 著 祥伝社
 酔っ払いとしては、平均的な世の人より経験を積んでいるし、カノ誌にも書いてあるように、カンチョー大会したり、道端で七面鳥の丸焼きを広げて酒盛りしたり、格闘ごっこして、友達をぶん投げたり、ぶん殴られたり、夜中に大騒ぎして隣家の叔父さんに怒られたりしている私ですが、同マンガの作者である、自称「飲みながら仕事するまんが家兼よっぱらい研究所・所長」の二ノ宮氏には到底かなうところではない。 

 このマンガは、作者のノンフィクションな飲酒生活を綴ったエッセイ・マンガだ。 
 友達と3人でバーで野球拳を始めて、それが周りの客や店員まで巻き込み、店内に素っ裸な酔っ払いが闊歩しちゃう状況になって、翌日、それを思い出して頭を抱える。あるいは酔っ払って公園のカップル合計12組を爆竹や花火で蹴散らし、調子に乗って夜中の都庁でも花火を打ち上げてパトカーに追いかけられたりなんてことを、20代も半ば過ぎている女性が繰り返しているという恥ずかしい日常を披露している。 
 研究成果はおおむね、酔っぱらいは頭が悪いということだ。
 そして最後は、「でも・・・まあいっか、だってよっぱらいだもん きのうのわたしはよっぱらいであってわたしじゃないのよ」で済ませてしまう。こんな話で単稿本1冊を埋めている、そういうマンガだ。 
 作者は、秩父の酒豪一族の生まれで、小学生のうちから隣の親戚に呼ばれてお酌をして、ついでにコップ酒を5~6杯あおって、翌日二日酔いになったり、高校時代に酒屋の息子にビールを持って来させ、部活の後輩と宴会をして、翌日全員を遅刻させたりという激しい鍛え方をしてきた、酔っぱらい界の血統書付きサラブレッドなのだ。 
 よく、こんな生活を少女時代から繰り返して、体がなんともないなと思って読んでいたら、後半で血を吐いていたぞ。ハハハ、やっぱり。 
 旭川に住む友人の大西氏の座右の書ということだったので、紹介してみたけど、買ってまで読むマンガじゃないと思う。立ち読みか、我が家をお訪ねの際にでもパラパラとめくっておくれ(自分は結局買ってる)。  

※この記事は1998.2.14に書いたものを訳あって今ごろになって再掲載したものです。
 まさか、この記事を書いたときには、よもや「のだめカンタービレ」等のベストセラーを排出する大人気漫画家になるとは思っても見ませんでした。大変お見それいたしました。人間いつ化けるか分からないものですね、あきらめず前向きに生きましょう。

オーパ!

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開高健 著 集英社文庫

 長く読書から遠ざかっていた私だが、読書少年だった昔を思い出し、今年の正月に「今年は通勤電車の中で週1冊ずつ本を読むことにしよう」と決めた。
 読みはじめるとこれがいい。おかげで久々に読書の喜びを毎日味わっている。たまに電車を乗り越してしまうほど。
 経済的な理由と背広のポケットに入ることから、読む本のほとんどは文庫版か新書版である。内容の傾向としては、フィクションはほとんど読まない。生き物に関する内容が圧倒的に多く、7割り以上を占めている。
 元来、私は紀行文はあまり好きではないのだが、開高健の世界各地での大物釣りをテーマにしたエッセイ、紀行文の要素のある「オーパ!」シリーズは、魚への興味もあって楽しく読めた作品だ。
 最初の巻「オーパ!」ではブラジルに珍魚・怪魚を釣りに行く。
 アマゾン河を船で溯り、我が家にも居るピラーニャや、最大5メートル200キログラムにもなるという世界最大の淡水魚ピラルク、黄金の魚ドラドといった魚が目白押しに登場する。
 カメラマン同行の企画なのでカラー写真もふんだんに使われており、読んでいてとても楽しい。
 「オーパ!」の続編として「オーパ!オーパ!」3巻があり、こちらでは、ベーリング海の2メートルになるドアサイズのヒラメの一種オヒョウ、アラスカのキングサーモン、モンゴルのイトウ等など、世界各地の名だたる大魚に挑戦する。しまいには、中国奥地で30センチもあるルアーを用意して、なんと全長10メートル以上という怪獣のようなイトウに挑戦する。
 どの巻も釣りについてだけでなく、その地方の人々の暮らしぶりや自然が描かれており、これもまた読んでいて興味を引かれる。
 一流と言われた作家が書いただけに、魚と格闘しているときの“動きの描写”そして“心の描写”が実にうまい。
 誰が読んでもある程度楽しめると思うが、特に釣り好き、魚好き、旅好き、冒険好きの人は気に入るのではないかと思うシリーズである。
 全冊を読み終えた後は、同じ筆者、類似の企画で「オーパ!」シリーズに先駆けて執筆されたと思われる「フィッシュ・オン」(新潮文庫)も併せて読むとよい。
 また、「オーパ!」シリーズの楽しみの一つは、釣り上げた魚でいかに御馳走を作るかにもあるのだが、この旅に専属料理人として同行した辻調理師専門学校の谷口教授が書いた「オーパ! 旅の特別料理」(集英社文庫)を読んでみるのもいいだろう。

※この記事は1996.11.19日に書いたものを訳あって今更再掲載しました。

ブラックジャック

手塚治虫 著 秋田書店

 好きな漫画は沢山あるけれど、ブラックジャックと言えば3千冊は優に超える私のマンガ蔵書の中から一番最初に紹介するのにふさわしい作品と言える。 
 物語の大体の所は「ブラックジャック・・・・日本人だということのほか だれも素性はしらない だがかれは 今日もどこかで 神技といわれている手術のメスをふるっていることだろう」という1話ごとのエンディングでよく使われるナレーションに語られている。 
 顔に大きな縫い目のある凄みのある顔に黒マントを羽織った謎めいた所の多い医者が、法外な報酬と引き換えに難しい手術を成功させるというのがこの作品の典型的なパターンで、そこに展開するドラマが良いのだな。「手塚治虫マンガ家生活30周年記念作品」と銘打っているだけあり大変面白い。 
 ブラックジャックは冷血漢ぶっているし、人間不信も強いし、大金をふんだくるが、その実ヒューマニズム溢れる男で、困っている人を見過ごすことのできない所や、理不尽なことが許せないなどその本性はあくまで善だ。 
 今更紹介するまでもない名作だが、単稿本25巻を何度読み返しても、また新鮮な気持ちで読める話が多いから不思議だ。 
 余談だが、チャンピオンコミックスでは、1巻から8巻までが梅津かずお等と同じ「恐怖コミックス」に分類されており、以後「ヒューマンコミックス」に改められているのが笑える。 
 読んだことの無い人はもちろん、すでに読んだことのある人も読み返してみるとその面白さが再認識できるだろう。 

※この記事は1997.2.28に書いたものを訳あって少し加筆し今更ながら収録しました。


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