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 『エピソードで読む武田信玄』 楠木誠一郎 PHP文庫
 副題に「リーダーの統率力」とあり、版元もビジネス書を多く出しているPHPなので、管理職向けの本とも言える。いや、管理者向けというと部数が伸びると編集者が見込んだけど、やっぱり戦国ファン向けの読み物だよ、という内容かな。
 戦国最強と謳われる武田信玄。その非常さ、狡猾さ、剛胆さが現代にも伝わっているが、小説や映画向けに誇張されたところも多いのではないだろうか。
 「人は堀 人は石垣 人は城 情けは味方 怨は大敵」という信玄の読んだ歌(異説がある)にも現れているが、合理的な人事をする人物だ。人事の目的がはっきりしている。強い軍団を作ることだ。ある時は公平、ある時は独断に基づいた人事や裁きを行うのだが、強い軍団を作るという目標に常に合致したものだ。「情けは見方」というと人情家のようだが、そこは違う。家臣や敵の心理を読み操作するという徹底的に合理的な考えだ。
 また、戦略や遺言に見る先見性や、情報収集・分析力にも目を見張るものがある。
 今ガタガタになっている日本を武田信玄が率いたらどう変わるかななどと考えながら、本書に数多く収められたエピソードを読むとまた面白い。
 いちいち本の内容から引用するのは面倒なので行わないが、興味のある人はどうぞ。