手塚治虫 著 秋田書店

 好きな漫画は沢山あるけれど、ブラックジャックと言えば3千冊は優に超える私のマンガ蔵書の中から一番最初に紹介するのにふさわしい作品と言える。 
 物語の大体の所は「ブラックジャック・・・・日本人だということのほか だれも素性はしらない だがかれは 今日もどこかで 神技といわれている手術のメスをふるっていることだろう」という1話ごとのエンディングでよく使われるナレーションに語られている。 
 顔に大きな縫い目のある凄みのある顔に黒マントを羽織った謎めいた所の多い医者が、法外な報酬と引き換えに難しい手術を成功させるというのがこの作品の典型的なパターンで、そこに展開するドラマが良いのだな。「手塚治虫マンガ家生活30周年記念作品」と銘打っているだけあり大変面白い。 
 ブラックジャックは冷血漢ぶっているし、人間不信も強いし、大金をふんだくるが、その実ヒューマニズム溢れる男で、困っている人を見過ごすことのできない所や、理不尽なことが許せないなどその本性はあくまで善だ。 
 今更紹介するまでもない名作だが、単稿本25巻を何度読み返しても、また新鮮な気持ちで読める話が多いから不思議だ。 
 余談だが、チャンピオンコミックスでは、1巻から8巻までが梅津かずお等と同じ「恐怖コミックス」に分類されており、以後「ヒューマンコミックス」に改められているのが笑える。 
 読んだことの無い人はもちろん、すでに読んだことのある人も読み返してみるとその面白さが再認識できるだろう。 

※この記事は1997.2.28に書いたものを訳あって少し加筆し今更ながら収録しました。