ブログネタ
医療・病気・治療 に参加中!

1月19日の「NHKスペシャル」は、”アルツハイマー病をくいとめろ”という特集で、アルツハイマー病研究の最新の成果を報告する内容でした。

認知症の7割を占めるアルツハイマー病は、年々増加し、治療法の開発が急務とされている最も重大な疾患の一つですが、近年海外の研究の進歩で大きな成果が上がり、予防や進行を止める新薬の開発が進んでいます。
日本でも驚異的な成果を上げる予防術も開発されました。

今回の「NHKスペシャル」は、認知症のメカニズム解明と予防術に視点を置き、内容の濃い大変参考になるものでした。

以下、番組で取り上げた7つの項目順に紹介していきます。量が多いので、一部は簡略化しました。


1、見えた病の正体~克服への手がかり

近年のアルツハイマー病解明の大きな成果の基礎となったのは、『DIAN(ダイアン)研究』と呼ばれるものです。

アメリカ・セントルイスのワシントン大学のモリス教授が、研究に行き詰った結果「家族性アルツハイマー病」に着目し、家系的に発病する可能性の高い人の脳の変化を若い頃から調査していけば、何らかの発病のメカニズムが分かるかもしれないと始めた研究です。

欧米の学者150人以上が集まる大規模な研究でした。

その研究の結果、アルツハイマー病による脳の変化は、何と発症の25年も前から始まっていることが判明しました。そして、病を発症させる物質と脳の萎縮の関係が明らかになってきたのです。

モリス教授に協力した家族性の患者では、40代で早くも脳に異変が起きていました。

それは、『アミロイドβ』というタンパク質の蓄積です。
これは脳の神経細胞が活動することで代謝される老廃物ですが、神経細胞の突起であるシナプスを傷つけ、やがて死滅させます。

アルツハイマー病は、平均70歳頃に発症するので、25年ほど前から『アミロイドβ』は溜まり始めることになります。

さらに、発症の決め手となる原因物質『タウ』(タンパク質)も発見されました。
これは発症15年ほど前から神経細胞の中に増え始め、アミロイドβの攻撃に続いて神経細胞にトドメを刺します。

しかも『タウ』は、記憶中枢の海馬に多く溜まり、海馬を萎縮させ、アルツハイマー病を発症させると考えられています。

尚怖いのは、脳に『アミロイドβ』と『タウ』が溜まっても自覚症状はなく、発症の約7年前頃になってやっと、軽い物忘れという形で症状が出始めるという点です(この段階では必ずしもすべての人がアルツハイマーを発症するとは限らない)。
そして、アルツハイマー病を発症すると、日常生活に支障をきたす記憶力低下を引き起こしていきます。


『ダイアン研究』により、これらの事が明らかになりました。


2、悪化を防ぐ!?~新薬を開発せよ

イギリスでは、『タウ』を叩き分解する作用を持つ新薬「LMTX」が臨床試験の大詰めに入っています。2年後にはアルツハイマー病の新薬として登場するかもしれません。



3、世界で急増する認知症患者

2013年、認知症患者は世界中で4,400万人。2050年には1億2,500万人と推定されています。

これだけの勢いで増えると、やがては経済損失が莫大になり危機的状況になると懸念され、認知症サミットも開かれるようになりました。

日本は最も増加が早く、30年後には現在の約2倍の1,000万人を突破すると予想されていて心配です。



4、気になる認知症、驚異の予防術

これは日本で研究・開発された予防法のようです。

アルツハイマー病発症直前(5年くらい前)の軽い物忘れの段階を「MCI」(軽度認知障害)といいますが、ここから約50%の人がアルツハイマー病を発症します。

この段階で、『アミロイドβ』や『タウ』を攻撃するのではなく、海馬を鍛えて萎縮を防ごうとする予防術です。


この予防術を研究開発したのは、「国立長寿医療研究センター」です。

MCIを対象に、海馬の萎縮を食い止める運動法の予防プログラムを開発しました。

凄いのは、この運動法の効果は薬よりも大きな効果を挙げられる可能性があるという点です。

具体的な運動法は、計算をしながら、あるいは何らかの課題を課して頭を働かせながら運動(散歩など)をするというもので、そう難しいものではなさそうでした。

例えば、”100から7を順に引き算していく”という計算をしながら散歩する方法です。

これで、脳の神経細胞を新たに作り出し、さらにシナプスを活性化させて細胞同志のつながりを増します。

『タウ』が増えても、運動療法で海馬の萎縮が防げる可能性が出てきました。

実験でも、週1回、90分の運動プログラムで、1年後には記憶力が向上し、さらに海馬は萎縮どころか大きくなっていたという結果も出ています。


5、日本でアルツハイマー病急増の謎~九州大学の研究

日本では20年前に比べ、このアルツハイマー病の増加率は6倍にもなりました。

その原因は、食生活の欧米化(特に動物性脂肪の摂取)と考えられ、特に食後の血糖値が高い人ほど発生率が高いというデータがあります。


6、認知症予防の最先端に迫る

アメリカの某研究では、『アミロイドβ』は、脳の日中の活動で増え、夜間寝ている時に髄液に混じって脳の外に排出されるとわかってきました。

従って、睡眠の質がよい人ほど、キチンと排出されるので、適切で十分な睡眠を摂ることが予防につながるだろうと。


7、夢の薬~究極の予防法

アルツハイマー病の発症を防ぐ薬として、『アミロイドβ』を取り除くことに成功した薬があります。「ガンテネルマブ」といいます。

実験では6ヶ月の投与で、アミロイドβは激減していました。

まだ研究は未完成で、2年後くらいに最初のハッキリした結果がでるだろうということです。



以上、アルツハイマー病研究の最先端の様子でしたが、番組では克服への希望が見え始めたと言えそうだと締めくくっていました。

確かに、10年前には想像できなかった研究の進歩で、新薬もいくつか登場しつつあり、日本でも5年後くらいには治療法が一変している可能性がありますね。

現在予防法はいくつかあるので、家族歴など不安のある人は、予防しつつ新薬の登場を待ちましょう。



◆参考記事
アルツハイマー型認知症の改善が期待できる食材、発見される!