最近話題の精神療法の『認知行動療法』。薬だけに頼らない治療法として、保険適用の対象疾患も広がるなど、国もその普及に努めているようです。なかなか難しそうな精神療法ですが、認知行動療法とは、わかりやすく言うとどんな治療なのか、どんな精神的症状の事例に向いているのか、読売新聞で4月に「医療ルネサンス」で取り上げられた特集を参考にまとめてみました。


1、認知行動療法とは?わかりやすく説明すると・・・

認知行動療法とは、うつ病や他の精神神経症状で悩む患者が、医師や心理士らと面接を重ね、ものの見方・考え方や行動パターンの幅(選択肢)を広げ、悲観的になりやすい考え方の癖を変えて、精神的悩みの根本の問題を解決できるようにしていく治療法です。

精神症状のいろいろな事例に適用できます。


我々の脳は、防衛本能が備わっているために、何かストレスの種になる問題があると、とかく最悪のことを考えて(あらかじめ心配しておいて)警戒する傾向があります。

それがほどほどならいいですが、過大に危険だと考えると、事態にうまく対処できなくなり、行き詰ってしまいます。

そういう状態から抜け出すために、専門の医療者と面接を重ね、問題解決能力を高めて、心にかかるストレスを軽くするのが認知行動療法です。


面接を重ねることで、物事の多面的な可能性を論理的に理解できると、徐々に余計な思い込みや感情が減りますし、その結果、物事の見方や問題への対処方法のパターンが増えることで、ストレスも減っていくわけです。



2、認知行動療法とは、どんな精神疾患(症状)の事例に使う?

認知行動療法は、「うつ病」に2010年に保険適用され、その治療に用いられることが多いようです。うつ病患者さんの中には、薬だけでは十分な効果が得られない事例の人もいますが、その場合に認知行動療法を用い、薬だけに頼らない治療として期待が寄せられています。

慶応大学の研究では、薬の効果が十分でなかったうつ病患者達が、この療法を行うと、1年後にはその7割がほぼ無症状に改善したという好結果の事例も出ています。

認知行動療法は、うつ病の事例の他に、2016年には社交不安症、パニック障害、強迫症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの事例にも保険適用になりました。


また、病名のついた精神神経症以外にも、その治療コンセプトを用いて日常生活の問題解決にも生かすことができます。

読売新聞の「医療ルネサンス」では、育児の問題で応用する事例が紹介されていました。その結果、育児で悩む母親が、子供の問題行動を減らせ、子供との関わりに自信が持てるようになれました。


3、認知行動療法のまとめ

認知行動療法は、2017年の現在、多くの精神疾患で保険適用が進み、以前に比べずっとその療法を受けやすくなってきました。

医療現場以外でも、心の健康を守るために教育現場や企業などでも活用され始めているようです。

一方で、治療を施す医療者からすると、1回の治療に時間がかかるため、経営面での効率が悪く導入が遅れがちのようです。

また、十分な訓練を受けていないため本質をよく理解しておらず、かえって患者にマイナスになるような療法を無理強いする場面もあるとか。

こういう事態に対応し、厚生労働省は医療者向けに研修も行っています。


認知行動療法を受けてみたい人は、的確な治療を受けられるよう、各都道府県に設置されている「精神保健福祉センター」に問い合わせるのもいいそうです。


●最後に参考になる本を紹介しておきます。

「事例で学ぶ認知行動療法」(伊藤 絵美著、誠信書房)

著者は、認知行動療法、ストレス心理学が専門の臨床心理士さんです。