2005年12月

2005年12月26日

turn!turn!turn! to everything there is a season

ゴミ捨て場に打ち捨てられた赤いケーキの空箱とスパークリングワインの空き瓶。祝祭の残骸にはマナー違反の切符が貼られてあった。そんな警告は無意味だろう。結局、マナーや倫理もそいつらと同じで雨ざらしのまま知らぬ間にどこかに消えてしまう。マナーが軽犯罪に、そして最後は銃殺に取って変わらない限り、人間は限りなく自分に甘い。誰かが割りに合わない奉仕をするのを知っている、相互憎悪はいつでも無償だったよね。
オレが投げ捨てる火のついた煙草にも他人の怨念は染み付いていく、一本一本に。それが堆積すると増税になって跳ね返ってくる。罪悪感にはいつも「収まりどころ」が用意されているんだ。
ジーザス、昨日は君の名の下の無礼講だ、赦しはいらないよな。

家中に張り巡らされたイルミネーションの配線を束ねている男たち。数日あとには純和風の飾りつけが待っている。社会参加型の人間には気苦労も多い。幸不幸の振幅が君の生きがいなんだろう。生涯ローンの苦しみにだって果敢に立ち向かうその姿は涙ぐましくもある。子供たちはお前の背中を見ているだろう。残務処理のステッカーが貼られて、しょぼくれた、歪んだ背中を見るだろう。思い出はキラキラ光る家の外観ではなく、暖房と照明を節約した暗い部屋でぶるぶる震えながら冷たいチキンを食ったことだけ。彼らは我慢強く、聖なる夜の両親の教えを強烈に心に刻むんだ。ハリボテの舞台で虚勢のダンスだ、これが今風のやりかた。ここまで恥知らずが出来る私たちをよく見ておきなさい。そしてリスペクトとか感謝とか、安っぽい紋切型を抱いた子供たちがまたワインの小瓶をこそこそとゴミ置き場に捨てに行くのさ。その惨めな習性の継承者としてね。


今年こそぼくは部屋の大掃除を敢行しようと目論んでいたのだけれど、もう、本年の休暇は全て消費してしまった。大晦日までぎっちり仕事がある。またこのうすら寒い、汚れて湿りきった阿片窟で年越しというわけだ。ちょうど去年の今頃このブログを始めたのだが、久しぶり読み返すと自分は結局なにも変われない人間なのかとガッカリする。むしろ生きるテンションは下がっている。クリスマスに欲しくもない連休があったのだが、散らばったコンビニ袋一枚も片す気力が無く、ぼくは気配を殺してその連休を生きなければならなかった。外に出かけるのも憚られた。

元旦には帰れないと母に電話した。母は失望した口調で「忙しいんやね」と言った。そう、忙しいんだよ、なにかとね。2.3時間おきに寝たり起きたりしながらアルコールに浸かって、ここ数日はゆめうつつの世界だったよ。うつつがあまりに悲惨だから、そいつらをもぐら叩きみたいに叩き落とすのが忙しくてさ。40年の蓄積があるんだよ。そいつらがいっぺんに、不意に、あちこちから顔を出すんだから、正直手に負えなくなってる。


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2005年12月23日

step into christmas

深夜コンビニに行くとみごとに若いカップル客ばかりだった。つがいで8匹いた。それぞれ酒のコーナー、惣菜コーナー、雑誌コーナー、お菓子コーナーにいてうだうだ商品を物色していた。
全員付き合い始めて2合目くらいのしっとりモードで、話し方とかがもう「お前ら普段、絶対そんな喋り方してへんやんけ!」と突っ込みたくなるような甘ったるいムシズが走るものだった。計算高くクリスマスにその気分をMAXにもって行くんだろう。まったくどいつもこいつも股ぐらじっとり湿らせやがって。どうせお前らは来年早々には別れるんだろうよ、糞が!さっさとモノ買って帰りやがれ、と心の中で毒づきはしたが、自分はヘタレだから彼らを避けて、別段買いたくも無い生活雑貨コーナーでどうでもいい三色ボールペンとかを見て彼らが引いて行くのを待っていた。正ちゃん帽を被り、寝巻きの青いジャージの上下にドイツの軍服を着たおっさんが恋人たちに囲まれてボールペンを見ているんだ。
ワム!のラストクリスマスが店内に流れていた。クリスマスソングとしてはこれが世界で最後の名曲になるだろう。もう、どんなクリスマスソングもこれ以上必要ない。うんざりだ。
恋人たちのうだうだはいつも長い。オレの買いたいワンカップの前をふたりで占拠してどうでもいい学校の話をだらだらし、つまみで買おうとしている豆腐チゲ鍋の前で会社の人間の噂話をするのだった。別に彼らの背後から手を伸ばして割って入るのは構わないのだが、彼らの笑い話の対象になるのが癪だった。「何、あのおっさん、やばくない?」とかなんとか・・・・・・。もっとちゃんとした格好でウチを出るべきだった。
微妙に恋人たちは一定の距離を保ってコンビニ内を移動した。おっさんはその間隙を見つけ、ものの数秒でワンカップとつまみをピックアップした。物色時間が短かったので納得いく買い物ができなかった。なんか胸焼けしそうなイカフライと揚げ出し豆腐を手に掴んでいた。ボーナスが入ったってのにこの有様だった。さっさとレジで会計を済ませるつもりだったが、オレの前に一組のカップルが立ちはだかった。嫌な予感がしたが、やっぱり彼らはおでんを注文し始めた。あれじゃないこれじゃないと相談している。いや、そんなのはレジに並ぶ前に相談してくれや。こっちは両手に冷たいワンカップ2本と豆腐やらを持っとんのや。
オレの後ろに別の恋人たちが並びはじめた。2・1・2・2・2という列ができた。トルシエもびっくりのフォーメーション。もちろん1がオレだ。「アーマゲドン・・・・・・・アーマゲドン・・・・・・来たれ拳銃を持った黒いサンタ」オレは目を伏せてそんなことを考えていた。恋人たちの談笑が全てオレを嗤っているように思えた。

若い頃は何だって嗤いの種にしたよ。どうでもいい他人の靴下のガラだってね。なんだって嗤える時期はあったよ、お前らみたいにね。
ああ、全部かえってくるんだなぁ、悪意とか嘲笑とかは。単なる被害妄想だったとしても、それはそういう形でかえってきてるってことだよな。無意識になれないのは、そうゆうことの積み重ねが経験としてあるからだろうな。ろくな人間じゃないんだな、オレは。

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2005年12月15日

ホントにさよならマッキントッシュ

ブログの背景色変えようとしただけなのにデザインが崩れた。元に戻したのだが、この一番上のライブドアの広告が消えなくなっちまった。どゆことよ?
しゃーないからまた新たに格闘技デザインを拾ってきて少しだけ弄くった。
もう、全部変える情熱はないし、画像加工ソフトはMACにしか無いから適当にそっちに切り替えてIEで確認作業したら、デザインがえらいことになっていた。崩れているどころの話じゃない。ほとんどブログの原型が無かった。OS9のIEの話だ。サファリはどうか知らんがね。
どうせ読者も少ないことだし、もうね、この際MACユーザーのことは考えないことにした。いいよね、ジョナサン、スティーブ。かなり投資したじゃない、貧乏なのにさ。君らはこれから家電を造ったらどうかな。掃除機とか洗濯機に林檎マークがついてたら絶対買うからさ、それまでさよならだ。

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2005年12月14日

me and howard hughes

年末分までのロトを買ってなにげに通帳残高を見ると、予想外の数字が並んでいた。給料日でもないのに残高のケタが増えていた。すわ、もしかして前のロトが当たったのか!と一瞬思ったのだが、それは有り得なかった。わたしはここずっとロトを偏った数字で買っていて、ほとんど暗記できるぐらいその数列を憶えていたのだ。実は一桁の数字をひとつも買ってなかった。結果を知っている人間ならそれが何を意味するか分かるだろう。
ではこれは何だろう、銀行員の入力ミスか何かか、みずほまたやっちまったか、と内心ドキドキした。しかし、よく考えるとわたしには思い当たることがあった。これは世にいう賞与であると。社員契約の時、見習い期間がうやむやになっていたから賞与はチョロまかされると思い込んでいたのだが、良い方にこれは裏切られた。
生まれて40年目にしてわたしは初めて賞与というものを手にしたのだ。今年はなんだか初体験のことが多い気がするな。
ふん、なるほど、所謂この世の月給取り連中が仕事において下がりかけたテンションやモチベーションを維持するための措置として、これは有効な制度に成り得るわけだ。金、金、金で燃料補給ということだ。ちょっと考えればこれが企業の用意した周到な罠であることが分かるはずなのだが、日常のサービス残業なんて思い出す暇も無く、月給取りはこんなものに浮かれて騒ぐのだ。自分だって一瞬これが天から降ってきた僥倖のように感じたわけだが、安月給に見合わない労働からして、これは当然貰って然るべき金だったのだ。もう、無くて当然という景気ではないということだ。社畜万歳、長いものにグルグル巻かれて精神の滴は一滴残らず搾り取ってしまってくれ。

去年の今頃の切迫感からは想像もできないような今の現状を、わたしは複雑な感情で思うのだった。依然幸福とは程遠い現実と、ストレスと引き換えに手にしたわずかな余裕と、失われた一年という時間について。この金がそれに見合うかについて。
まあ、答えは分かっている。それは十分見合う金だよ。お釣りがくるぐらいにね。ゼロはいくら掛け算してもゼロだが、足し算すれば少なからずプラスにはなる。わたしはどう生きようが、存在がゼロなのだから、単純に足し算するしかないんだ。

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2005年12月08日

nikolay stavrogin

裸の女は背骨がゆがんでいた。
歪んだ背骨から肋骨がアシンメトリックに左右に伸びていた。
鰯みたいに細い肋骨の先に緩んだ皮膚が垂れ下がっていた。
その人間はボロ雑巾みたいに醜い生き物だった。自堕落を体現していた。自堕落を自己実現していた。たいしたもんだ。

ビールのスタイニーボトルに似た泡盛の小瓶を飲んだ。コンビニで売っている久米仙360mlだ。沖縄料理屋で前に飲んで、そんなに抵抗無く飲める酒だと思っていたが、家で味わって飲むと独特の臭みがあった。これが純米の酒の味だろうか。ひどくケミカリーな土の匂いだ。スパムにうってつけの酒・・・。
30度のアルコールが久しぶりに延髄を支配した。腐敗した身体のあちこちに痺れが走る。最後はエチルアルコールで乾杯になるのか。

また連休だった。お気の毒に。やることがない。君はまた連休だった。

幼女殺しが立て続けにあって、ぼくは久しぶりに「スタヴローギンの告白」を読み返した。スタヴローギンは11歳の少女を間接的に殺した男だ。現代の預言者の予言は恐らく外れている。むしろ正反対だった。

女は「またね」と言ったが、自分はもうごめんだった。「また」なんてあるものか。


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2005年12月05日

crawl

夜勤明け、仕事を終えて原付に乗って帰る。
そろそろバイク通勤も辛いやね、などと思いながらプチ鼻水垂らしものの5分走っていると、どうもいつもに無い違和感を感じた。走っていて妙な爽快感を感じたのだ。これは何だろうと思って走りながら冷静にかんがえてみたら、原因はすぐに分かった。どうやらぼくの原付のバックミラーが盗まれているようだった。
視界が良好で後方に注意を引付ける鏡が無いというのは、こんなに爽快なものだったのか。まあ、その爽快感もミラーが無いと気付くまでではあったけれど。
気が付いてからは逆に不安が増大して後ろがやけに気になってしょうがなかった。ま、しゃあねえやと最初は思ったが走っているうちに段々腹が立ってきた。何なんだ、何でよりによってオレなんだ、誰に迷惑かけたってわけでもないのに・・・。理不尽な犯罪にあった被害者の爪の先ほどの怒りが湧いた。
その日は仕事でシクっていた。ほぼ言いがかりと取れるようなSV天龍からの苦言。すんでのところでブチ切れるところだった。ブチ切れてもいいぐらい貯蓄はあったのかちょっと計算し、やめた。今辞めてもせいぜい年越しをまったり迎えるくらいの余裕しかない。代償は大き過ぎる。ズルイ大人ですよ、自分は。オレの中でちょっとロックンロールが死んだ瞬間だった。オレのロックンロールは割とよく死ぬが、いまだオレを攻めさいなむ時もあった。どうせ欺瞞に終わるんだ、おれの青春は。
一方通行を普通に走っていたら、逆行してくるピザ屋のDQNバイクに怒鳴られた。「一通だろ、バカヤロー!」と男は言った。一瞬、普段走っていた道を疑った。自分は毎日知らずに一通を逆行していたのかと。一通の出口で自分が正しいのを確認した。怒りが再燃した。立て続けの不条理に怒りのやり場がなかった。あのときもしナタのようなものが道に落ちていたら、ぼくは迷い無くそれを拾ってピザ屋を追いかけていただろう。殺意に身を委ね男の頭をナタで両断する場面まで想像して少し気分が落ち着いた。ヌメった血の感触を想像して醒めた。

油断していると現実は強力なカウンターを食らわしてくる、いつもいつも。そいつは、現実は、不意打ちで束になってかかってくる卑怯な輩だったのだ。

人間は、俺ら盆暗な人間たちは、1のやりたいことのために、99のやりたくないことをしなけりゃならない。ずっとやりたくないことをやっていると、そんな期間が長引くと、果たしてやりたかった1のことが何だったのか分からなくなっちまうんだ。99の日常が真実だと考え出すんだ。現実はきっちりカウンターを打ってくる。生ぬるい夢をすり抜けて確実にアゴやテンプルを狙ってくるんだ。
まったく馬鹿ばかしくてまともには付き合えない。

だから決めた。ぼくはまた懲りずにやり直す。たぶん死ぬ前日にもそう思うんだろうけど・・・。病室のベッドで鼻に管とか入れられながらフロムAを読むんだ、きっと。やり直すやり直すって、まさに無神論者の祈りみたいに、意味も無くぶつぶつとね。負けを確信した将棋指しが「形作り」するみたいに、川に流されてずっと後退してるのに、ともかく前向きを装って、言い訳を考えながら形だけクロールするんだ。

weddoes927 at 07:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!