名盤CD紹介

独断と偏見で「名盤」を紹介します

フラメンコ

Ketama / Toma Ketama

 ケタマの音楽をフラメンコと言つて紹介するには少々迷ひを感じる。

 さう、ケタマは純粋なフラメンコを演奏してはゐない。ケタマの音楽からは紛れもないフラメンコの魂のやうなものを感じるが、その魂はロックやラテン音楽、サルサの衣を被つてゐるのだから。
 古典的なフラメンコを聴くと得られるやうな深い純粋な感動とはやや異なるけれども、違つた楽しさがこのアルバムには存在する。爽やかで華やかだけれども、ジプシーの憂鬱もきちんと感じ取ることができる。


 


 歌声はエキゾチックであり、ギターの響きにはフラメンコ・ギターの深い趣きがある。さういふきちんとした「フラメンコ」がベースにある。

 音楽的傾向は少しジプシー・キングスに少し似てゐるかもしれない。そして、私はケタマの音楽により一層の洗練を感じる。
  
 フラメンコを聴いたことがない方にも自信をもつておすすめできる一枚だ。

 


 
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Ojos de Brujo / Techarí

Techari (Arg) 


 オホス・デ・ブルッホ(Ojos de Brujo)が最も脂が乗つてゐた時期の作品。前作の「Bari」、本作(Techari)、本作から多くの曲が取り上げられてゐる「Techari Live」、そして「Aocana」までのスタジオ録音三作品とライブ・アルバム一枚がオホス・デ・ブルッホの黄金期の作品と言つて差支へないだらう。デビュー作と最後のアルバムを外しただけだから随分長い黄金時代になるわけだが、さう感じてゐるだけに、このグループの解散は残念で仕方がない。
 雑多な音楽的要素の寄せ集めがこのグループの魅力だつたのだが、それだけにそれぞれのメンバーは妥協しながら仕事をしてゐたのだらう。そして、その妥協が良い結果に結びついてゐたのがこの黄金期であつたのであり、妥協に疲れ果てて、それでもアルバムを出してみたのが最後の作品だつたのだらう。最後のアルバムは、作品とすら言ひにくい仕上がりで、過去のヒット作をリミックスしてみました、といふやうなアルバムなのだけれども。

 黄金期に発表された作品の一つがこのアルバム。このグループのアルバムを初めて聴くのなら、これから聴き始めてみても良いかも知れない。全曲が本当にどれも素晴らしい。そして、「Techari Live」に付属するDVDを是非視聴してみてもらひたい。この二枚だけでしばらく楽しい気分で過すことができるだらう。そして続けて「Aocana」を聴くことをお勧めする。「Aocana」を聴く頃にはすつかりこのグループのとりこになつてゐることだらう。それから、「Bari」も忘れずにどうぞ。先日紹介したデビュー作「Vengue」は最後で良いだらう。

 話しをけふ紹介するアルバムに戻さう。

 この作品はアルバム全体がこの上ない水準の曲で満ち溢れてゐる。

 ハズレの曲、いはゆる捨て曲といふものがない。その中でも私は、「Color(1曲目)」、「Sultanas de Merkaillo(2曲目)」、「Todo Tiende(3曲目)」、「El Confort No Reconforta(5曲目)」、「No Somos Maquinas(8曲目)」、「Corre Lola Corre(10曲目)」、「Respira(13曲目)」が好きだ。特に、5曲目の「El Confort No Reconforta」は、この曲の魅力をうまく表現する言葉が見つからないくらゐに素晴らしい。フラメンコ風のギターとカンテ、ヒップ・ホップ調のヴォーカルとリズム楽器、それら全体を共通して存在する哀愁のやうなものが一つに取りまとめてゐる。言葉にすると多分うまく伝はらないのだらうが、ともかく理屈無しにおすすめしたい名盤である。

 さう、フラメンコ音楽の金字塔、あのマノロ・サンルーカル(Manolo Sanlucar )の「Tauromagia(タウロマヒア)」のやうに完璧なアルバムがここに在る。




カルロス・サウラ監督、映画「フラメンコ・フラメンコ」 (DVD)レビュー

 以前、このDVDを注文したことは記事に書いた。DVDが手元に届いたので、早速聴いてみると、なかなか良い。映像は確かに綺麗で本当はその映像の美しさと音楽との融合を楽しむべきなのでせうけれども、私は音楽DVDとして楽しみました。フラメンコ音楽を映像つきで(勿論とても美しい映像です)楽しめるのは、なかなか得難い経験です。

 踊り(かういふときは「ダンス」といふべきでせうか)は大変素晴らしいのですが、フラメンコの踊りといふよりは、カルロス・サウラの藝術になつてゐて、演出過剰、装飾過多の気味がないでもありませんが、フラメンコ音楽の愛好家の私は十分に楽しめました。

 マノロ・サンルーカル、トマティート、パコ・デ・ルシアが出演してゐます。その他、私の知らないミュージシャンも出演してゐましたが、どれも大変素晴らしいもので、心に沁みるやうな演奏です。二台のピアノとカンテ(歌)といふあまり聴かない編成のフラメンコも収録されてゐますが、かういふのも悪くないなと思はされました。

 値段も高くないですし、フラメンコが好きならば手元に置いておいても良い作品です。

 お薦めします。






カルロス・サウラ監督、映画「フラメンコ・フラメンコ」 (DVD)

 カルロス・サウラ監督の映画「Flamenco Flamenco」がDVDになつて発売される。Ojos de BrujoのTechari Live (DVD付き)のDVDの素晴らしさに、これを超えるやうな感動を得られる音楽DVDを捜し求めてゐるのですが、これはどうでせうか。

 パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル出演。

 前編、フラメンコの演奏と踊りの映画ださうです。






カンテ・フラメンコの魅力

 この間、仕事帰りに中古CD店を除いたら、「Cante Flamenco」と題したCDを二枚見つけた。一枚はChocolateの作品。もう一枚は、Agujetasの作品である。

 どちらもインターネットで見つけられなかった。つまり、すでに流通してゐない商品だといふことだ。

 中古CD店に通ふのは手間がかかるけれども、かうして掘り出し物を手に入れる楽しみがある。

 ともあれ、フラメンコはやはり最後はカンテ(歌)に帰着する。フラメンコ・ギターは素晴しいし、普遍性もこちらのはうがより高いと思ふ。

 しかし、フラメンコはやはりカンテが最高だ。

 この「Cante Flamenco」と題された二枚のCD聴くとさう思つてしまふのである。






Manolo Sanlúcar / Locura De Brisa Y Trino

Locura De Brisa Y Trino 

 
 今回紹介するアルバムはフラメンコ・ギターの巨匠マノロ・サンルーカルが、カンテ・フラメンコの重鎮カルメン・リナーレスを招いて作成したものだ。

 その二人が組んだだから、このCDは非常に高い水準の作品に仕上つてゐる。

 特に目新しいことはしてゐないのだが、マノロ・サンルーカルの奏でるギターの、時に繊細で時に大胆な音色を十分に楽しむことができるし、カルメン・リナーレスの本格的なカンテの深い味はひも素晴しい。二人の演奏を引き立てる打楽器の演奏も卓越したものだ。これも特筆に値すると思ふ。
 フラメンコの音楽は伝統的な編成だと、ギター(トーケ)と歌(カンテ)と手拍子(パルマ)だけで成立するのだが(実は歌ひ手の独唱でも立派にフラメンコとして成立する)、これにカホンなどの打楽器が加わると華やかさや迫力が増して、音楽としては一段と聴きやすくなる。カホンはもともと南米ペルーの民族楽器であつたはずだが、いまやフラメンコ伴奏用の打楽器になつた、と言つても差支へないのではないだらうか。

 二曲目の「Normas」と三曲目「El Poeta Pide A Su Amor Que Le Escriba」がおすすめ。四曲目の「Carta A Dona Rosita」も素晴らしいな。といふわけで、全曲ハズレがない。

 フラメンコギターが好きな方は勿論、ギターが好きな方にお薦めします。



Paco de Lucía / En Vivo Conciertos Live in Spain 2010

En Vivo Conciertos Live in Spain 2010 


 パコ・デ・ルシアの新作は二枚組のライブ・アルバムだ。

 出来れば、スタジオ録音の新作が聴きたかつたけれど、ここは素直に新作の発売を喜びたい。何しろ、パコ・デ・ルシアの最後のアルバムは、2004年発表の「Cositas Buenas」だつたのだから。

 選曲はCositas Buenasから、「Mi Antonia」「Tangos Con Cositas Buenas」の二曲。
 一枚目のCDの最後を飾る「Moraito Siempre」はアルバム「Zyryab」に収録されてゐる「Cancion de Amor」で始まる楽曲だ。後半は全く違ふ曲につながつてしまふけれど、私はこの「Cancion de Amor」が好きなので、これは嬉しかつた。

 最後の曲「Vámonos」の途中にはあの「Rio Ancho」が収録されてゐる。

 パコ・デ・ルシアの名曲を次々と聴くことができる。スタジオ録音の完璧さ、新しい曲を聴く興奮も捨てがたいけれど、かういふライブ盤を気楽に聴くのもなかなか乙なものだ。

 天才、神様、フラメンコの伝道者、パコ・デ・ルシアを褒めたたへる言葉を思ひつく儘に挙げていくと際限がない。今世紀最高のギタリストの一人がパコ・デ・ルシアであることは疑ひやうが無い。

 スパニッシュ・ギターやフラメンコ・ギター好きの方には勿論、全てのギター好きにおすすめします。
 





Tomatito / Paseo de los Castaños

Paseo De Los Castanos 


 私にとって、トマティートはフラメンコのギタリストなのであるが、一般的にはラテン・ジャズのピアニスト、ミッシェル・カミロ(Michel Camilo)と共演したアルバム「スペイン(Spain)」のギタリストとしてのはうが有名であらう。

 このアルバムでも、アルバム「スペイン」の収録曲から「La Vacilona」、「Aire de Tango」の二曲を、自分なりの解釈で録音し直してゐる。「スペイン」の大ヒットに、二匹目の泥鰌(どぢやう)を狙つたのではないか、と思はないでもない選曲で、このアルバムの中にこの二曲があることには、個人的には正直違和感を禁じ得ない。
 中でも、「La Vacilona」では、ジョージ・ベンソンと共演するといふことまでやらかしてゐるので、予備知識なしに聴くと、エレキ・ギターの音に面喰らふに違ひない。
 それはそれとして、この曲ではジョージ・ベンソンの才能に驚かされる。フラメンコといふ異なる文法を持つ音楽の中に飛びこんで、いきなりソロ・ギターを弾きこなしてしまふのであるから。

 この二曲以外は、トマティートは現代風の演奏ではあるが、きちんとしたフラメンコを演奏してゐる。なかなか迫力のある演奏だし、編曲もよいと思ふ。
 最後の曲「Ahi Te Quedas」では、極めて伝統的なフラメンコを聴くことができる。カンテ(歌)もなかなかドスがきいてゐて、深い味はひが感じられる。だから、このアルバムは一応フラメンコのアルバムとして推薦しておかう。

 それにしても、フラメンコのギタリストは他のジャンルに行きたがる人が多いね。フラメンコは素晴らしい藝術なのだから、フラメンコのアーティストは是非フラメンコをやつてもらひたい。

 私はフラメンコが聴きたいのだ。


Maria Vargas y la Guitarra de Paco de Lucía (カンテ・フラメンコの名花)




 録音は1972年。

 このCDでは非常に伝統的な、泥臭いフラメンコを聴くことができる。録音されてゐるのは、パコ・デ・ルシアのトーケ、マリア・バルガスのカンテ、そしてパルマだけ。それ以外の余計な楽器は一切入つてゐない。これでよい。本当のフラメンコはこれで十分なのだ。

 さう思はされるほどの名盤だ。かういふ、本当のフラメンコは日本ではなかなか手に入れることができない。いや、もしかしたらフラメンコの本場スペインでさへ、かういふ伝統的なフラメンコは、古臭いものとして今は流行らないのかもしれない。最近のパコ・デ・ルシアやビセンテ・アミーゴの録音こそが今のスペインで流行る「フラメンコ」なのだらうから。トマティートなんかは、フラメンコをやめて、ジャズのギタリストになつてしまつたやうだし。

 ところが、灯台もと暗し。日本にかうした正統派フラメンコを追及してゐるグループがある。あの沖仁と石塚隆充のデュオで「Taka y Jin」といふグループ。このグループ、かなり真面目に正統派フラメンコを聴かせてくれます。沖仁が自分のアルバムで好き勝手をやつてゐられるのは、かうして伝統的なフラメンコを演奏する場があるからかも知れない。と、言ひながらしかし、このグループのアルバムも今は入手困難。正統派フラメンコ好きには難しい時代ですね。

 閑話休題。

 さて、最近まで手に入れるのを躊躇していたのだけれども、このアルバムは何故もつと早く手に入れなかつたのかと後悔するほどの傑作。フラメンコはやはりカンテ(歌)が重要だ。私はフラメンコ・ギターのあの複雑な少し不安になるやうな和音が好きなのだけれど、結局フラメンコはカンテが最も重要なのだ。かういふ作品を聴くとそれを思ひ知らされる。

 どの曲がよいとか言ひません。全ての曲が他では聴くことのできない、素晴らしい藝術になつてゐます。マリア・バルガスのカンテは初めて聴きましたが、なかなか深い歌です。かういふのをカンテ・ホンドといふのでせうか。

 パコのギターも素晴らしいけれど、このアルバムではただマリア・バルガスのカンテを楽しんでもらひたい。さうです。このカンテこそがフラメンコの神髄なのですから。


Bebo & Cigala / Lagrimas Negras





 けふはBebo & Cigalaの「Lagrimas Negras」を紹介しよう。

 キューバ人ピアニストのベボ・バルデスとフラメンコの歌い手(カンタオール)のディエゴ・エル・シガーラの作品。

 アルバムを聴くと、異なるルーツを持つ二人が、その違ひを頑固なまでに主張しあつてゐるのが判る。そして、それがかへつて素晴しい効果を生んでゐる。ラテン音楽の伴奏に、シガーラはフラメンコの歌唱法を堂々とぶつけてゐる。その頑なさは清々しいほどだ。あるいは、単純にかうした歌ひ方しか出来ないのかもしれないが、ともかくこのアルバムは素晴らしい出来栄えである。

 キューバ音楽もフラメンコも、どちらもスペインといふ土地と深いかかはりがあるものだが、それぞれの文化的ルーツは全く異なるものだ。その異質なものが、かうして引き付け合ひ、互ひに自己を主張し合つて最高の音楽を創り出したのである。








 
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