2008年02月27日

今日、VOAの記事を読んでいたら、少し前にPNASに掲載された論文が紹介されていた。なんでも、喜びの大小はそれを得るために支払った価格によって変わるらしい。

実際の論文の抄録は、PubMedから読むことが出来る(Plassmann et al. "Marketing actions can modulate neural representations of experienced pleasantness.")。また、日本語で概要が知りたい人には、AFPBB Newsの『「高価な」ワインは消費者の喜びを高める、米研究報告』などがある。

この研究では、被験者に5つのワイン(カベルネソーヴィニヨン)を飲んでもらい、美味しい順を答えてもらった。ただし、ワインは値段だけで区別され、5つのうち2つは同じものに違う値段がつけられていた。つまり、3種類のワインのうち2種類のワインは、違う値段を聞かされて2度味わうことになる。

実験の結果、被験者は同じ種類のワインであっても、値段が高いと美味しいと感じる傾向が有意に見られたらしい。

さらに、ワインを味わっているときの脳活動をfMRIで調べたところ、眼窩前頭皮質の内側部 (medial orbitofrontal cortex) の活動が見られた。そして、この部分の活動は、値段が高いほど活発であった。したがって、眼窩前頭皮質内側部は、喜びの感覚を作り出している部分であると考えられるということのようだ。

そして、これらのことを総合すると、これらの結果は、マーケティングによる効果がどのようなヒトの脳活動の変化から生じるのかを示すものであると、著者らは結論づけている。

たしかに、普段の生活でも、高いものの方がありがたみがあるような感じがするし、食べ物の場合にはおいしく感じられるような気がする。そのことを考えれば、この研究の結果は妥当なものだろう。

ただ、人間は一方で費用対効果も評価しているから、あまりにも値段が高すぎるのに得られる利益(立派さや、豪華さや、美味しさ)が劣る場合には、価格が安いときよりも更に低い評価を下す場合もあるのではないだろうか。

つまり、値段を横軸に、費用を支払って得られるサービスに対する評価を縦軸にとれば、逆U字型になるのではないかと思うのだが、どうだろうか? もう、行動経済学なんかで、こういうことは調べられているだろうか? 

さらに、このことをfMRIで調べたら、どのような結果が得られるのだろう。今回の研究の結果が正しければ、前頭眼窩皮質内側部の活動の程度は、値段に対して、費用を支払って得られるサービスに対する評価と同様の変化を示すはずだが、さて、どうだろうか。

もしかすると、純粋に支払った値段を表すような部位(脳活動と支払った金額とが正の相関を示す)と、得られる喜びを表すような部位(脳活動とサービスへの評価とが正の相関を示す部位)とが見られるかもしれないが、そういう機能分担がもしあるとすれば、そしてCMなどのマーケティングによって2つの部位の相互作用に変化が見られるたりすれば、けっこう面白いかもしれない。



(23:08)

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