生活保護申請を不当に拒否したとして、さいたま地裁は賠償を求めた。54歳女性と家族が市に1045万円の賠償を求めた裁判。申請権の侵害を認めた裁判は初めてとされる。


生活苦で埼玉県三郷市に申し込んだ生活保護の申請を断られたなどとして、同市に住んでいた夫婦が市を相手取り、受給できたはずの保護費や慰謝料などの賠償を求めた民事訴訟の判決公判が20日、さいたま地裁で開かれ、中西茂裁判長は市側に保護費など計約530万円の支払いを命じた。

 訴状などによると、平成16年、夫婦は夫が重病になるなどして収入が途絶え、妻が生活保護申請をしたが市の担当者が拒否。認定に時間がかかり、夫の実家に転居しなければ打ち切りも示唆されたなどとしていた。中西裁判長は、市側の説明が妻に受給要件を誤解させるなど一連の対応に問題があったと指摘した。市側は「判決をよく検討して対応したい」としている。
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