December 14, 2005

日本の産業・消費構造はまさにアメリカの後追いのような…

 日経BPの記事「再編促す年末テレビ商戦、焦るソニー、シャープと松下が大画面で激突」で、興味深い記事の書き方をしていたので、長いけど以下に引用:

 薄型テレビの“産地”をブランド化する取り組みは、シャープの「亀山産」が元祖である。液晶パネルからテレビまでを一貫生産している三重県の亀山工場をブランド化し、「国産だから高品質」というイメージを打ち出した。

 一方、ソニーはパネルを韓国サムスン電子との合弁工場から調達し、稲沢工場でテレビに組み立てている。一貫生産ではないにもかかわらず、「シャープの物真似」とも思われかねない産地表示作戦に打って出たのは、何としてでも“韓国製”との印象を払拭したいという、ソニーの崖っぷちの状況を示している。

 注目したいのは、ソニーが大変だとか物真似商売しているという点じゃないくて、「国産だから高品質」というイメージ商法が普通になってきていると言わんばかりの表現。

 こういう物言いが成り立つということは、ちょっと極端だけど、逆説的に言えば、もはや「Made in Japan」という付加価値があまりパワーを持たなくなったということなんだろうなと思う。

 なぜ、そういう考え方に至るかというと、アメリカがやっぱり国内産業の斜陽を迎えた時に、アメリカ産の製品を買おうという運動が大々的に始まって、食料品からジーンズ、さらには自動車まで、様々な商品に「Proud Made in USA」みたいなシールやタグが付いたりしたのだけど、結果は、リーバイスが事実上倒産し、自動車産業も「お前はすでに死んでいる」状態。国産であれば何でも良しという思考停止の状態で、より良い製品を作り出す努力を怠ってしまった結果、米国内消費者から見放されてしまったというオチ。

 こと、家電製品に関して言えば、「安くて高性能で壊れない」というのが日本のお家芸だったのだけど、それと同じことを韓国や中国の家電メーカーが目指している。歴史を冷静に振り返れば判ることだけど、日本製の家電製品だって、海外から見れば最初は「安かろう悪かろう」だけど、値段に負けて日本製を使ってみたらとても良かったという結果が、後の評価につながった訳で、今はちょうど、そういう評価状況が韓国・中国製品へ移行しつつある時期なんだと思う。

 もはや、日本製家電は「高くて高性能、だけど壊れるかもしれない」という、一昔前の欧米高級製品の立場になってしまった感がある。でも、メーカー内で昔から頑張ってきた当事者には、そういう自分達の立場の変化が見えてないから、いまだに自分達の売っている製品の何が売れるための付加価値なのかを正確に把握できないまま、性能はそこそこ良いのだけどカッコワルイ(デザインだけじゃなくてコンセプトが最初からダメダメ)製品を、ちょっと高い価格設定で売ろうとして、売れないという悪循環なのだろうね。

 ま、最初の日経BPの記事に戻れば、実際には、液晶パネルが国産だからというような「国粋主義」的販売戦略で本当に売り上げが伸びているのじゃなくて、シャープという企業のブランド力や品質管理能力が長けているからなのだと思いたい。もし、本当に日本製なら何でもOKで、逆に嫌いな国の製品はNGみたいな思考だけで市場が動いているのだとしたら、それはかなり不気味な状況かも…。
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what's my scene? ver.7.0:日本の産業・消費構造はまさにアメリカの後追いのような… そもそも「Made in Japan」とか表記する事がもう古すぎる感じがします。 私の持っているiPodを見ると「Designed
Made in Japan【林檎の歌】at December 14, 2005 13:11
この記事へのコメント
すでに、貧富の差が激しくなりつつある状況ですが、だからこそ、あえて「中流」という幻想をコンセプトにしたビジネスを考えるのも面白いかもしれません。ただ、すごーくニッチな商売で、あまり儲かりそうにないですが(笑)。

とりあえず、先日登録商標であることが判明した「ロハス」は、どちらかと言えば(小)金持ちをターゲットにしたビジネス展開ですね。グローバルスタンダードな視点でリッチな感じかと問われると謎ですけれど…。
Posted by wms at December 16, 2005 00:49
国内市場に於いて先々問題なのは
1億総中流がベースの商売の仕方のままでは駄目になるのでしょうから
上と下を分けた展開に向かわねばならんでしょうね。
Posted by かうじ at December 16, 2005 00:27
確かに、国内市場にはそういう雰囲気がありますよね。

しかし、メーカー側がそういう「雰囲気」に安穏とあぐらをかいていると、高級製品に関しても、過去一世を風靡したアメリカン・ブランドが没落していったのと同じ轍を踏むことになるのだと思います。
Posted by wms at December 15, 2005 07:14
案外日本の市場はまだまだ国産品信仰はあるように思います。
市場がそんなだからそういう切り口のPOPをつけるのは自然な成り行きかと。
まぁ一台20万もするTVなんてある程度経済的に余裕がある人が買うように思います。
単価の張らないものなら抵抗なく海外製を買っても
値の張るものにはできれば国産品をという雰囲気ではないかと。
Posted by かうじ at December 15, 2005 00:37