犠牲者は、顔つき、体つきなど肉体的にも悪魔的存在に近づく。昔は、それとわかる悪魔憑きは、通例、魔法をかけられた結果とされた。
実際、その根拠として、ヒステリックな幻想、心身の不調、そして抑圧された性欲といったものがあげられたからである。
悪魔が取り憑く方法は二つある。
悪魔が直接その人に入ってくるか、悪魔とともに働いている魔術師が悪霊を、黒魔術によって、その犠牲者に送り込むかのいずれかである。
悪魔は身体部分に憑りつくとは、限らない。その人の不運な人生や結婚し子供が生まれたら恐ろしい奇形、特に頭の奇形なども、悪魔の印と言われる。
悪魔憑きの兆候としては、他に肉体の完全な変形をあげることができる。例えば、膨張した胃、恐ろしい表情を示すねじ曲がった顔、急速な体重減少などである。
憑依されると大変消耗しきっているようで、死が避けられないように見える。普通は声も変わり、低く、耳障りで、脅迫的、そして喉を絞るような嗄れ声になる。
犠牲者が取り憑いている悪霊の言葉を喋り出すこともある。いきなり空中浮揚したり、意識障害から犯罪者になる犠牲者もいる。
「十六、十七世紀の悪魔憑きの有名な事件には、次のようなものがある。フランスのユグノーを告発するためにベルゼバブによる憑依を利用したラオンのニコル(→ラオンの奇跡)、エクサン=プロヴァンス、ルヴィエ、リル、そしてルダンの女子修道院の悪魔憑き(→エクサン=プロヴァンスの悪魔憑き)、イングランドではウォーボーイズの魔女及びスロックモートンの子供たちの悪魔憑き、マルト・ブロシエールの偽悪魔憑き、ワトセカあるいはルランシー・ヴェヌムの悪魔憑き、そしてアンナ・エックランドの事件は、十九世紀、二十世紀の悪名高い例として目立っている。」
他の多くの比較的小さい事件も記録に残されている。そして悪魔払いは今日もなお続いているのである。