沖縄慰霊の日の23日、米軍基地の70%が集中する沖縄の現状を考える講演会が京都府立大であり、公共政策学部教授の川瀬光義さんが「地域からみた日本の安全保障政策」の題で講演しました。川瀬さんは、米軍の占領によって土地を強制的に接収されて基地が作られた歴史を説明した後、「米軍機の墜落事故や米兵による殺人事件が頻発しているのに、政府が有効な対策を何ら取ろうとしていない。日米安保が大切と言うのなら、その負担は沖縄県民だけでなく全国民が平等に担うべきだ」と訴えました。
「嘉手納や普天間、横田、厚木など米軍基地周辺の住民が起こした航空機騒音訴訟では計316億円の賠償金が確定してる。日米地位協定によれば4分の3は米国が負担することになっているのに、全て日本政府が支払っている。思いやり予算という名目で、日本政府は基地で働く人の人件費や水道光熱費など地位協定24条に決められた以上の負担をしている。その額は2,000億円に上る」
「冷戦終結後、ドイツなどでは米軍基地を大幅に減らしているが、日本ではほとんど見直されていない。東アジア・太平洋地域に米兵69,400人が配置されているが、そのうちの44,500
人は在日米軍だ。つまり、在日米軍は、日本を守るためというよりも東アジア・太平洋地域の安全を守るために配置されていると考えるべきだ。日米の防衛の取り決めのガイドラインには、日本で有事が発生した場合はもっぱら自衛隊が対処する、米軍は『自衛隊の作戦を支援し補完する』としか書いてない。安倍首相が言うように『アメリカの若者が日本のために血を流す』とは明示されていない。政府は、日本は基地を提供し、アメリカは防衛の任に当たる、と説明しているが、日米安保の現状は日本の基地提供義務だけが明確な片務条約となっている」
◎私から
昔、約半世紀前の学生時代、ベトナム戦争で日本が揺れている頃、日米安保はアメリカが一方的に日本を守る片務条約だと教わった。それが冷戦で日本もカネを出す双務条約に変わり、今や日本がアメリカを守る片務条約へと変質していることがこの京都便りでもよくわかる
◎京都便り 沖縄基地
17日に京都市の円山公園野外音楽堂で「基地のない平和な沖縄・日本・東アジアを!6・17京都集会」がありました。参加した500人を前に、沖縄出身の参院議員、伊波洋一さんが辺野古新基地建設の現状について1時間話しました。集会の後、京都の目抜き通りを市役所までデモ行進しました。観光客を意識して「No more base,we want peace」「Hand in hand for Okinawa」など英語のシュプレヒコールが取り入れられていました。
「政府は8月17日に建設予定地の海への土砂投入を始める、と宣言しています。ジュゴンやサンゴのすむ自然豊かな海域を、海草藻場の調査・保護など何らの環境対策も講じずに埋め立てるというのです。この1年の間に、オスプレイやCHー53Eの墜落炎上、不時着、小学校や保育園などへの軍用機からの部品落下など の事件事故が頻発しているにも関わらず、新基地建設は強行されています。本格埋め立てを前に、沖縄県は知事の埋め立て承認の撤回と工事中止命令を出して徹底的に抵抗することにしています。土砂投入が始まると、現状回復するのが難しくなります。沖縄でも、現地の坐り込み闘争を中心にして反対を貫きます。どうか本土の皆さんも関心を持って土砂投入反対の思いを共有していただければと思います。8月17日に注目してください」