「鳥藤」さんでのランチ後、せっかく築地に来たならばと、気になっていた「天まめ」さんに寄ってみました。お店の所在は築地と新富町のちょうど中間。路地をちょっと入った、ビルの脇にあるので少々分かりにくそうですが、ちゃんと表に看板が出ていたのですぐに見つけることが出来ました。

「天まめ」さんの看板商品は、生寒天です。寒天の原料が天草であることは知っていたものの、弾力、硬さ、香りの点で日本一の品質を誇るのは、東京神津島の天草だということは、寡聞にして知りませんでした。「梅むら」さんのレビューにも書いた通り、あんこは苦手だけれど、寒天&豆の組み合わせに心魅かれる私としては、その神津島産の天草を使って寒天を手作りされている「天まめ」さんのことが気になっていたのでした。

外に掲示されているメニューを拝見していると、店員さんが声をかけて下さいました。店内はカウンターの4席にテーブル席の2席とこじんまりとしていますが、通りに向けて大きく取られたガラスで明るく、すっきりしたインテリアと相まってカフェのような雰囲気です。
 
接客して下さった方とは別の店員さんは、キッチンでまさに寒天作りの真っ最中。さらし布に包まれた天草液を何度も絞って、ゆっくりと濾す作業をされているようでした。その丁寧な作業に見惚れながらも、生寒天を頂ける楽しみでワクワクです。

カウンター席に座ると、まず出して下さったのが野菜のピクルス。甘味処だと塩昆布あたりが供されるところ、ピクルスとは嬉しいです!穏やかな酸味と野菜の歯応えが残る浅漬け感覚が美味しくて、主役がまだ来てないのに箸が止まらなくなってしまいました。(箸が進んでしまったため、写真には少量しか映っていないけれど、実際はもっとこんもり盛られていました)
 
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この日私が頂いたのは、生寒天とごま小豆の寒天。写真ではごま小豆の汁が溢れんばかりのように見えますが、器の中の大半を占めるのは寒天です!実は、ピクルスをつまみながら、私たちの注文品を作ってくださっている様子をカウンター越しにこっそり窺っていたのですが、正直「えっ、そんなに入れてもらえるの?!」とびっくりするくらいの寒天の大盤振る舞いだったのです。

その寒天、口にした直後は穏やかに押し返す程好い弾力を感じ、次に口内に清流が流れ込むかの如く澄んだ味わいが広がり、最後にはすべらかに喉を滑り落ちていきます。その瑞々しさに、自分の喉とお腹の中が浄化されていくような気がしました。黒胡麻と豆の風味も香ばしい汁は、寒天の美味しさを邪魔しない薄甘さがちょうどいいあんばいで、和の甘味が得意でない私でもするりと頂けました。途中で飽きないよう、黒蜜を別添えで出して下さったのも大変嬉しい心配りでした。
 
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同行者が頂いたのは店名にもなっている「てんまめ」。こちらは、ごま小豆よりも大ぶりにカットされた寒天の上に、あんこ、白いんげん豆、黒豆、赤エンドウ豆がどっさり乗った豪華版。

たまに出合う寒天の頼りないプルプル感に「フルーチェじゃあるまいし!」と感じていた私(と同行者)がそのことを嘆くと、今時は「ふるふる」「プルプル」といった軟らかい食感ばかりが好まれるので、お店によっては天草100%の寒天ではない場合もある、とお店の方が話して下さいました(注:フルーチェに非はありません。あれはあのふるふる感こそが美味しいのですから)。プルプル感はその食感を身上とする他のデザートにおまかせしておけば良いのです。寒天の真髄は、やっぱり適度な硬さの中に凝縮された瑞々しさを味わうことだ、との思いを強くしました。

寒天は、自分が苦手とする甘味処以外ではなかなかお目にかかれず、よしんば出会ってもあんこの脇役ふうの位置づけが多い中、こんなにもたっぷりの寒天を堪能できるのは望外の喜びでした。実際、一杯食べ終わると十分な満足感。ダイエットメニューにも利用されるくらい、食物繊維も豊富で腹もちもいいので、甘いものを頂いた後の罪悪感も少なくて済みます(笑)。

箸休めのピクルスもつき、こんなに気前の良い盛りでお値段は630円(てんまめは780円)とお手頃なのにも二度びっくり。失礼ながら人通りの多いとは言えない立地で、寒天とお豆で勝負されている心意気にも惚れました。末長く美味しい寒天を作り続けて頂くためにも、陰ながら応援していきたいと思います。

次回は豆かんを頂く心づもりです。ごちそうさまでした。

2015年9月某日の旅先: 築地「天まめ」さん

天まめ甘味処 / 築地駅新富町駅東銀座駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5