ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2008年11月

活発化する欧州企業の北接近

 オーストリアから銀行を含む8社が9月末、訪朝し、平壌で開催された「第4回秋季平壌国際貿易フェア」を訪問していたことが明らかになった。
 訪朝経済使節団はオーストリア商工会議所(WKO)の外国貿易担当(AWO)が企画したもので、一種のファクト・ファインディングだ。期間は9月20日から24日までの5日間。
 訪朝団に参加した同国企業代表は主に中国にある北京支店から派遣された。参加企業としては、世界的耐火煉瓦メーカー「RHI」社から水力発電所建設メーカー「Andritz/Vatechhydro」社、半導体メーカーの「NXP」社ら一流企業の名前が連なる。銀行は「ライフアイゼン・セントラル銀行」(RZB)社だけだ。それらの会社はいずれも過去、訪朝したことがある。その意味で新顔でない。
 訪朝団は平壌では外国貿易担当次官と会談したほか、朝鮮商業会議所を訪問した。AWOの中国事務所長は「北朝鮮はオーストリアとの貿易に強い関心を示した」と後日、訪朝談を語っている。
 具体的な商談や契約話は聞かない。「NXP」社がへットホーンの組み立て作業を平壌で行う話も聞くが、不明だ。「RHI」社は読者の皆さんに既に報告済みだ。同社は高品質の北産マグネシウムを年間最大2万トン、取引業者を通じて輸入している(同社は現時点では、北朝鮮国内の現地生産は考えていないという)。
 AWO関係者は来年も同様の訪朝使節団を計画している。南北関係が険悪化し、韓国企業の北進出に陰りが見えている中、オーストリアを含む欧州企業の北市場への接近が目立つ。北の経済特別区「開城工業団地」(KIC)にもドイツの「Prettl エレクトロー二ク」社が今年3月、自動車部品製造工場の建設を開始している。独社はKICに進出した初の非韓国企業だ。

もう一つの十字架論争

 当方は今月、オーストリアの第3都市、リンツ市で十字架論争がエスカレートしてきたことを紹介した。問題は、市立幼稚園と保育所で十字架を掛けるかどうかだった。同市の社会民主党出身の副市長は「幼稚園や保育所にはキリスト信者ではない子供や親がいる」として、十字架の設置を中止した。それに対し、カトリックを背景とする国民党は「州の規約では、多数派がキリスト教の洗礼を受けている場合、そこに十字架をかけてもいいことになっている」と反発した。その後、両党は協議を繰り返し、最終的にはこれまでの通り、十字架をかけることで解決をみた。
 ところが、欧州の十字架論争は今度はスペインに飛び火したのだ。スペインのValladolidの裁判所が公共学校から十字架を外すことを決定したのだ。それに対し、リンツの十字架論争では沈黙していたバチカン法王庁が抗議の声を発した。バチカンの日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノによると、「欧州の基盤ともなってきたキリスト教のシンボルへの尊敬心が欠如している。欧州のキリスト教伝統と価値観を無視するものだ」という内容だ。バチカンとしてはかなり強い口調だ。
 スペインでは「社会労働党」(PSOE)のサバテロ左派政権が発足して以来、「政府と教会」の関係は非常に険悪化してきている。同政権がカトリック教会の特権撤廃に熱心に取り組んできたからだ。例えば、カトリック教会の聖職者は病院で患者の精神ケアに従事してきたが、サパテロ政権は「教会の特権だ」と指摘し、聖職者の病院内の牧会活動停止を要求する一方、学校の宗教授業にも異議を唱え、宗教授業の代わりに「公民学」を導入したばかりだ。
 今回の裁判所の決定もその流れから出てきたものだろう。バチカンの異例と思われる反応は、サバテロ政権に対するバチカン側の憂慮とも受け取ることができる。

国際機関初のトップを目指す南ア

 国際原子力機関(IAEA)定例理事会初日の午後の会期がスタートする直前、理事国の南アフリカ代表部が記者会見を行い、IAEA次期事務局長選に同国のIAEA担当大使、アブドル・ミンティ氏(Abdul Minty)を擁立すると発表した。
 南アからウィーン入りしたソンジカ鉱業・エネルギー相は同日、理事会議長に同大使の立候補を通知した政府書簡を手渡した。駐国連機関担当日本代表部の天野之弥大使が既に立候補を表明しているから、これで候補者は2人となったわけだ。
 ちなみに、事務局長候補者受け入れ締め切りは12月31日まで。来年6月理事会までに最終候補者を決定し、同年9月の年次総会で正式に任命する運びとなっている。
 ミンテイ大使は1939年生まれ。今年で69歳だ。1995年からIAEA担当大使に就任しているから、IAEA担当大使の中でも最長任期を誇る。2006年度の年次総会議長を務めるなど、IAEA関連の重要職務をほぼ全て経験済みだ。
 ミンティ大使は記者会見で、「現在は核エネルギーのルネッサンスを迎えている。IAEAの責務は益々重要性を帯びてきた。私はIAEAの任務の中でも技術協力や核エネルギーの医療分野への応用などが大切だと考えている」と、その信念を披露した。
 同大使は、意見の異なる理事国を一つにまとめる政治手腕で評判がある。なお、南アが民主国家となって以来、同国が国際機関のトップに立候補者を出すのは今回が初めて。それだけに、南ア政府も力が入っている。ミンティ大使はアフリカ同盟(AU)の統一候補者でもある。
 世界初の被爆国・日本から天野大使が、原爆を製造後、それを破棄した最初の国、南アからミンティ大使が出馬した。両候補者の熾烈な戦いが予想される。

パレスチナ人作家の「現実」

 国連記者室で仕事をしていると、パレスチナ民族評議会(PNC)議員で著名な作家のファイサル・ホウラニ氏が訊ねてきた。この機会を逃すわけにはいかない。再会を確認しあった後、同氏にブッシュ政権への評価、次期米政権への期待などについて、早速、聞いてみた。
 ホウラニ氏はイスラエルに対していつも厳しく批判してきた。「パレスチナ問題はわれわれが始めたものではない。イスラエルが武力で突きつけてきた問題だ」という認識がある。そして、そのイスラエルを支援してきた米国政権にも強い憤りを持っている。
 ブッシュ米政権の8年間について、「彼はパレスチナ国家建設案を提唱したが、それを実際に履行する行動は何もしなかった。中東和平を主要な政治課題に挙げたが、それは談笑するだけのテーマに過ぎなかった」と切り捨てる。オバマ次期米政権についても「私は彼に過大な期待は持たない。米国は過去、そして未来もイスラエルを支持しているからだ」と明確に指摘する。
 イスラエルについてはもっと厳しい。「イスラエルの政治は腐敗している。政治指導者のレベルも中東和平を真摯に取り組むことができる水準ではない。イスラエルは中東地域では大国だ。他国の事情など配慮しない。ネタ二ヤフ元首相だけではない。全てのイスラエルの指導者たちはパレスチナの将来などシリアスに考えていない」と言い切る。パレスチナ社会でのハマスとファタハ間の対立についても「背後にイスラエルが扇動している」とみている。
 同氏の話を聞くと、中東和平への見通しはどうしても悲観的になる。彼は「私は悲観的ではない。現実的なだけだ」と弁明する。家族・親族を失い、故郷を捨てなければならなかった数多くのパレスチナ人を見てきたからだろうか。ホウラニ氏の“現実”は聞く側の心を重たくさせる。
 同氏は最後に、「世界は目下、金融危機で喘いでいる。来年はもっと厳しくなるだろう。それだけに、パレスチナ人への人道支援が減少するのではないかと懸念している」という。
 なお、11月26日は「パレスチナ人の権利への国際連帯の日」だった。ウィーンの国連内でもささやかな催しが挙行された。

経済特区「開城工業団地」の行方

 北朝鮮は24日、来月1日から開城観光事業と南北間の軍事境界線を走る京義線を中断すると通告した。幸い、経済特別区「開城工業団地」については、サービス業などに従事する職員や事務員を削減させるが、企業活動は「特例として保証する」という。
 開城工業団地(KIC)は昨年末までで第1次開発計画を完了した。KICは開業当初、数社の韓国企業だけだったが、今年7月段階でその数は72社に急増している。同団地には3万人以上の労働者が働き、これまで3億970万ドル相当を生産している。
 ウィーン大学東アジア研究所のルーディガー・フランク教授らが作成した「ウィーン・ワーキング・ペーパー」によると、ドイツの「Prettl エレクトロー二ク」社が今年3月、自動車部品製造工場の建設を開始している。独社はKICに進出した初の非韓国企業だ。同社は来年春には約500人の北労働者を雇用して操業を開始するという。同ペーパーによると、2社の中国企業も北側とKICに進出することで合意している。
 同団地で働く北朝鮮労働者の賃金は57・50ドルだったが、賃上げ交渉が成功して今年から60・375ドルと約5%アップしたばかりだ(ワーキング・ペーパー)。もちろん、超過勤務は別払いだ。
 欧米の賃金水準とは比較できないが、北朝鮮国民にとっては魅力的な収入だ。北当局は李明博韓国政権の出方次第ではKICの閉鎖も視野に入れているというが、KICから入る外貨収入を完全に放棄してまで、韓国側に強硬姿勢を貫くことができるだろうか。
 なお、KICに進出を考える企業にとって懸念事項は、第1に核問題を含む北朝鮮の政情だろう。その他、「ワッセナー・アレンジメント」(通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関する合意)に該当する汎用品の扱い問題、インフラ整備、エネルギー供給問題、等がある。KICが本格的に成果をもたらすためには、乗り越えなければならないハードルが控えているわけだ。

金融危機が救った大連立交渉

 オーストリアで23日、社会民主党と国民党の2大政党の連立交渉が合意に達し、大連立政権が発足する運びとなった。両党は24日、党幹部会を招集し、そこで承認を受けたならば、正式に新政権をスタートする。
 グーゼンバウアー大連立政権が発足するまで101日間という長期交渉を強いられたが、今回は56日間で両党は連立交渉をクリアしたわけだ。グーゼンバウアー政権下で対立を繰り返してきた両党が再び連立政権を組むわけで、国民にとって新鮮味に乏しい新政権だ。
 新しい点といえば、社民党も国民党とも党首が入れ替わったことだ。グーゼンバウアー氏(首相)からファイマン現党首に、モルテラー氏(副首相兼財務相)からプレル党首に、それぞれトップが変わった。両党首とも大連立政権支持派だ。
 ファイマン党首は「クリスマス前まで交渉をまとめて、新政権を発足させたい」と国民党との大連立に最も意欲的だった。もちろん、新政権では首相のポストが待っている、ということがある。
 一方、国民党は少し事情が違った。社民党との連立を拒否する声が地方党の州政治家の中に少なくない。また、シュッセル元首相派らは社民党より、自由党、未来同盟との3党連立政権に強い未練がある。そのような中で、プレル党首は党内の反大連立政権派の動きを注視しながら、社民党との交渉を進めていかなければならなかった。
 社民党と国民党が路線の相違を乗り越えて合意に達した背景には、‖舅⇔政権以外の組み合わせでは安定政権は難しいこと、∩甦総選挙が再び行われた場合、極右派政党「自由党」が得票率を伸ばし、第1党に踊り出る危険性がある、等が考えられる。特に、△亮由党の躍進を警戒し、「嫌々ながらも結婚せざるを得なかった」というのが真相かもしれない。
 看過できない点は、米国発の金融危機が発生し、アルプスの小国オーストリアものんびりと100日間以上、交渉を繰り返す余裕などなくなったということだ。国民からは「危機に対処できる安定政権の誕生」を求める声が高まってきた。両党が大連立政権の再現という批判を余り受けることなく、短期間で連立交渉の合意に辿りつくことが出来たのは、“金融危機のプレッシャー”があったからだろう。

太陽政策の逆襲

 欧州気鋭の北朝鮮問題専門家、ウィーン大学東アジア研究所のルーディガー・フランク教授は韓国の金大中・盧武鉉政権の過去10年間の太陽政策を支持する論客として知られている。北朝鮮の人権蹂躪問題を追及する側からみれば、「親北学者」というレッテルを貼りたくなるかもしれない。
 ブリュッセルで2年前、開催された北朝鮮人権問題の国際会議で基調演説をした教授に脱北者や人権擁護グループから「あなたは独裁政権の人権弾圧に目を閉じている」と糾弾する声が挙がったほどだ。
 それに対し、教授は「李明博大統領が対北政策では実務主義でいくと表明する一方、太陽政策を拒否したことに驚かされた。なぜならば、太陽政策は北朝鮮と交渉する上では実務主義の一つだからだ。太陽政策に対して北朝鮮は対抗する手段を有していない。外からの圧力に対して、北側は巧みに対応できる。北の全システムはそのように構築されているからだ。北指導者たちは過去、常に笑顔で友好的な韓国政治家たちには対応で苦慮してきている。北側が韓国を批判しても、韓国側はさらに多くの支援や救援を北に送った。北側では今日、韓国製が市場を席巻しだしているほどだ。北朝鮮を軍事力で打倒するのではなく、腫瘍を内部から抵抗を受けずに駆逐していくのだ。これが太陽政策の本来の狙いだ」と説明する。
 教授によれば、太陽政策が実施される前までは南北間貿易はほぼゼロだったが、太陽政策が始まってから過去10年間で81億ドル相当の貿易が行われ、観光業では190万人の旅行者を生み出し、開城工業団地では3万人が働き、3億970万ドル相当の生産高を挙げている。南北間の交流が継続されていくならば、手術をせず腫瘍を撤去できる、という確信が太陽政策支持者にある。太陽政策には、聖書の「ヤコブとエサウ」の話を思い出させる内容がある。
 南北関係が険悪化している今日、太陽政策の逆襲が始まろうとしている。

バチカンが怒り出す時

 ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁の「正義と平和評議会」委員長のレナート・ラファエレ・マルティーノ枢機卿はいま激怒している。米国発の金融危機で欧米諸国が不良債権を抱える銀行を救済するために20兆ドル以上の公的資金を気前よく拠出する一方、国連ミレニアムの開発目標を達成するために拠出された総額は500億ドルにも満たないことに対し、枢機卿は「貧困対策が忘れられている」と怒っている。バチカン放送は「ダブル・スタンダード」と揶揄しているほどだ。
 国連は2000年9月に開催されたミレニアム・サミットで「21世紀における国連の役割」について検討し、世界中の全ての人がグロバール化の恩恵を受けることができるための行動計画を提示した「国連ミレニアム宣言」を採択した。
 具体的には貧困、教育、環境などの8項目(ミレニアム開発目標)を掲げ、数値目標と2015年という達成期限を掲げた。
 しかし、米国テロ事件の勃発後、ミレニアム開発目標の求心力は急速に失われていく一方、メディアの関心もなくなっていった。「国連ミレニアムの行動計画」といってもピンとこなくなってしまったぐらいだ。
 国際テロとの戦いを最大課題に掲げてきたブッシュ米政権が終焉近くなった今日、ミレニアム開発目標の実現が再び叫び出されてきた。その矢先に、米国から今度は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げつきに端を発した金融危機が生じたのだ。タイムングが悪い、といって歯軋りをしてもしょうがない。不良債権を有する銀行を救済しなければ、本格的な金融恐慌が発生することは必至だからだ。
 マルティーノ枢機卿がそのようなことを知らないわけがない。しかし、「15年まで貧困人口を半減するという目標はどうしたのか」と叫ばざるを得ないのだろう。同枢機卿によると、国内総生産(GDP)の0・7%を開発支援に拠出する義務を履行している欧州連合(EU)の工業国は5カ国に過ぎないという。米国は0・2%に過ぎない。

ハンガリー経済の悩み

 米国発の金融危機は東欧諸国まで波及し、冷戦時代には「改革の模範国」との評判を享受してきたハンガリーの国民経済が窮地に陥っていると聞いた。そこで早速、ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)のハンガリー経済担当上級研究員のシャンドール・リヒター博士に会って、現状や問題点について聞いてきた。
 博士は「ハンガリーが巨額の公的債務を抱えていること、これまで政府発行の国債を売って返済や利子を支払ってきたこと、しかし、金融危機で外国投資家の投資意欲が減退。それを受け、政府は国債を発行できなくなったこと、過去の返済支払いが不能状態に一時陥ったこと、国際通貨基金(IMF)などの緊急支援を受けてようやく危機脱出の見通しがついてきたこと」等、経済記者ではない当方にも理解できるように説明してくれた。
 博士によると、ハンガリーの銀行は健在で、不良債務などを抱えていないという。その点、欧米の銀行とは違う。同国にとって不幸だったことは、ジュルチャー二政権が2006年以降、緊縮政策を実施中であったために、国民経済へのダメージが一層深刻化したわけだ。財政赤字の解消、それに伴う緊縮政策は一応成果を挙げていた。そこに米国発の金融危機が襲ってきた。
 博士は「経済を予測するのが難しい時代となってきた。通常、経済予測を立てた場合、それは1年間通じて大きな修正は必要ないが、現在は違う。私自身、過去3カ月間で、3度予測を修正せざるを得なくなったほどだ」と苦笑した。博士の予測では、ハンガリーの本年度経済成長率は1・3%。そして来年度はマイナス1%成長とみている。軽いリセッションに入るわけだ。博士は「私は楽天主義者だ。ハンガリー経済は2010年には3%成長まで回復できると予想している」と付け加えた。
 博士からもらった名刺の裏側をみると、文字が日本語で印刷されていたのに気がついた。当方が日本語名刺を読み上げると、博士はとても嬉しそうに「いいでしょう」といって笑った。博士はマジャール出身の親日派エコノミストだ。

北情報はソクラテス流で

 国連内で先日、韓国大使館のP公使参事官に久しぶりに会ったので、最近の北朝鮮情勢について聞いてみた。公使は「僕は金正日労働党総書記の健康問題は分らない。いろいろな情報があるが、僕はそれらをあまり信じていない」という。
 メディアでは北朝鮮情報が溢れている。偽情報から扇動情報まで、出所もさまざまだ。どれが正しいか、判断に苦慮することが多い。それだから、というわけではないと思うが、公使はソクラテスの有名な「無知の知」を思い出させるほど、「知らない」「分らない」を繰り返した。
 月刊朝鮮(最新号)が「韓国政府が今夏、金総書記の脳画像を入手し、それを分析した結果、金総書記は今後5年以上統治することは難しい、という診断が下された」と報道したことについて、その真偽を聞いてみた。公使は笑みをこぼしながら、「分らない。金総書記は現在、66歳だ。北朝鮮の男性平均寿命は70歳台には到達しないから、金総書記が5年以上、統治できないと予測するのは至極当然のことだ」とあっさりと答えた。
 当方が公使の答えに不満足な表情を見せると、公使は「君、脱北者が最近、いろいろな情報をもらしているだろう。韓国政府はそれらを全て信じているとは思わないでほしい。正直に言って、われわれはそれらの情報に対しても懐疑的だよ。誰が金総書記の健康情況を確実に把握できるかね。誰も出来ない。それにもかかわらず、メディアが連日、大きく報道しているだけだ」と説明してくれた。
 公使はそれだけいうと、「これで失敬するよ」といって車に向かった。今年5月にウィーンに着任した公使は終始、「知らないことを知っている韓国のソクラテス」ような雰囲気を漂わせていた。
 公使が「知っている」と答えた時、それは本当に信頼性の高い情報、と受け取っていいわけだ。
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