ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2011年01月

FAO次期事務局長選

 国連食糧農業機関(FAO)のジャック・ディウフ事務局長は2011年12月、任期満了を迎える。それを受け、次期事務局長選が今年6月末実施されるが、オーストリアから欧州連合(EU)の元農業・漁業担当委員、フランツ・フィシュラー(Franz Fischler)氏が28日、ウィーンで立候補を表明した(次期事務局長選への立候補届けは今月末で締め切り)。
 FAO(本部ローマ)は1945年、(1)世界各国国民の栄養水準及び生活水準の向上、(2)食糧及び農産物の生産及び流通の改善、(3)農村住民の生活条件の改善――等を目標に設立された。国連最大の専門機関であり、農業、林業、水産業および農村開発のための指導機関。現在191カ国が加盟。
 フィシュラー氏は1946年、オーストリアのチロル州生まれ。ウィーン農業大学で農学を学び、78年に博士号を修得。オーストリアで農業相を務めた後、1995年から2004年10月末までEU委員会の農業・漁業担当委員、05年6月から現在まで国民党寄りのシンクタンク「欧州エコソウシャル・フォールム」会長を務めている。
 28日のウィーン市内で開かれた記者会見でフィシュラー元EU委員は「世界に今なお、10億人が飢餓に苦しんでいる。国連は2000年9月に開催されたミレニアム・サミットで、世界中の全ての人がグロバール化の恩恵を受けることができるための行動計画を提示し、貧困、教育、環境などの8項目(ミレニアム開発目標)を掲げ、数値目標と2015年という達成期限を掲げたが、その目標の実現は難しくなってきた。FAOは2008年施行した改革を貫徹し、世界の食糧問題の解決に取り組まなければならない」と立候補の決意を表明した。
 FAO事務局によると、28日現在、フィシュラー氏を含めると5人が立候補を表明している。欧州からはスペイン前外相、ミゲル・アンヘル・モラティノス氏が立候補している。
 理事会(49カ国から構成)は4月11日に開幕され、候補者への公聴会が開かれ、6月25日から開催される会議で事務局長選の投票が実施される。出席した加盟国の過半数の支持を獲得した候補者が当選する。任期は2012年1月1日から15年7月末まで。

マルタで「離婚」認可問う国民投票

 地中海に浮かぶ島国、マルタで今夏、離婚を法的に認めるかどうかで国民投票が実施されるという。同国日刊紙マルタ・タイムズが27日報じた。それに先立ち、同国議会が2月、このテーマを協議し、その結果を土台として国民に「離婚」の認可の是非を問う投票が行われるわけだ。
 マルタ(面積316平方km、人口約41万人)は欧州連合27カ国の中で唯一、離婚が禁止されているが、年間、平均150件から200件の夫婦が婚姻の無効宣言を受けている。換言すれば、離婚は認められないが、結婚を無効することで離婚問題を解決する道は例外的だがこれまであったわけだ。
 また、マルタの夫婦が外国で離婚した場合、その夫婦の一方が外国の地に居住しているか、その国の国籍を有している場合に限り、離婚は認められる。そのような離婚ケースは年間、約30件あるという。
 それにしても、離婚が禁止されている国がバチカン市国以外で欧州に存在していたとは知らなかった。
 例えば、当方が住む音楽の都ウィーン市では夫婦の3組に2組が離婚する。だから、未成年時代に両親の愛を受け育つ子供たちの数は年々、減少してきた。すなわち、離婚が日常茶飯事の社会となっている。
 マルタの主要宗教はローマ・カトリック教だ。同国の教会司教会議は離婚の法的認可にこれまで強く反対してきている。
 ちなみに、同国の世論調査結果によると、国民投票で離婚が認められるかは不明だという。

北、韓国に謝罪表明の用意あり

 知人の北朝鮮外交官に先日、同国最高指導者・金正日労働党総書記の69歳誕生日(2月16日)祝賀会について聞くと、「例年と同じ程度の祝賀会となるだろう。特別なイベントは計画していない」という。同国の朝鮮中央通信社(KCNA)は、世界各地で親北朝鮮友好協会が祝賀会の準備委員会を設置していると報じている。
 来年2012年は故金日成主席生誕100年だけではなく、金総書記の70歳の誕生日の年に当たる。その意味で今年はその予行練習といった程度で派手な祝賀会はないというわけだ。
 知人の北外交官は「金総書記の健康には問題がない。平壌のニュースで金総書記が視察しているところが映っていた。総書記は健康だったよ」という。
 「国内経済の停滞、食糧不足などで国内の事情は昨年以上に厳しいうえ、国際社会の対北制裁は続いている。特に、韓国との関係は険悪だ」と述べると、知人は「まあ、来月11日開催予定の南北軍事予備協議が大きな転換点となるのではないかね」と含みのある言い方をした。
 「しかし、韓国側は関係正常化の最低条件として哨戒艦『天安』爆破事件(昨年3月)や延坪島砲撃(同年11月)に対して北側の真摯な謝罪表明を求めてくるはずだ」と説明すると、知人は少し笑いながら、「わが国が絶対謝罪しないとみるのは間違いだ。謝罪することだって考えられるよ」と述べた上で、「必要ならばね」と付け加えた。
 すなわち、北は韓国と関係改善を果たし、経済支援を得るために謝罪する用意があるというのだ。ただし、知人の北外交官は「金総書記が謝罪する」とは言っていない。「天安艦爆破事件も延坪島砲撃事件も金正日労働党総書記の責任ではなく、人民軍の一部幹部の責任という形で謝罪する可能性がある」というのだ。
 ちょうど、小泉純一郎首相の訪朝時(02年)、金総書記が日本人拉致事件の責任を「特殊工作員の責任」として間接的に謝罪表明をすることで日本から経済支援という実利を狙ったようにだ。
 なお、同外交官は「前回も話したが、わが国は日本との対話を期待している。その立場は過去も現在も変らないが、日本側は過去、わが国との会話を一方的に拒否してきた」と述べた。
 そこで「日朝両国間で非公式の接触はないのですか」と聞くと、「自分の知る限りではないはずだ。昔は中国の北京で両国代表が非公式に接触することもあったが、その中国チャンネルが始動しているとは聞かない」という。


政治家エルバラダイ氏への期待

 国際原子力機関(IAEA)事務局長を12年間務め、2005年度ノーベル平和賞を受賞したエジプト出身のモハメド・エルバラダイ氏(68)の動向が再び注目され出した。
 同氏は25日、訪問先のウィーンで講演したが、オーストリア通信(APA)によると、同氏はチュニジアの政変に言及、「同政変はアフリカやアラブ諸国に民主化の波紋を投じるだろう。チュニジアからのメッセージは‘Yes we can‘だ」と強調したという。
 同じ日、首都カイロやアレキサンドリア、スエズなどエジプト各地で「チュニジア革命」に触発されたと見られる大規模デモがあり、治安当局との衝突で、デモ隊員2人と警官1人の計3人が死亡すると事態が生じている。
 エルバラダイ氏の主張にもう少し耳を傾けてみよう。

 「長い期間、独裁者の支配下で生きてきたアフリカやアラブ諸国の国民にチュネジア人は国民の力を軽視すべきではないこと、平和な手段でシステムを変えることができること、等を示した」

 「チュニジアの生活水準は決して低くはない。だから、政変は決して社会的理由から発生したというより、『人権』への戦いがもたらしたものだ」

 09年11月末にIAEAを退職後、エジプトに帰国したエルバラダイ氏は母国の民主化のために今年9月の大統領選に出馬する意思を度々表明、国内で政治活動を展開しているという。ムバラク独裁政権に不信を募らせてきた多くの国民は前事務局長の出馬に期待を抱いているという。
 ノーベル平和賞受賞者として世界各地で講演すれば生活に困ることもないし、本でも出せばベストセラーは疑いがない。しかし、エルバラダイ氏は母国の民主化のために貢献する道を選ぼうとしている。決して楽な道ではないだろう。
 当方はIAEA事務局長時代の同氏については批判的だったが、母国の民主化のために立ち上がろうとしている政治家エルバラダイ氏には喝采を送りたい。エジプトの民主化を実現するためには、同氏のような国際社会で著名な人材が必要だからだ。
 ただし、問題がないわけではない。アラブ諸国でイスラエルと国交を締結したエジプトは米国の中東政策上、大きな役割を有していること、そのため、ワシントンはエジプトの混乱を願っていないこと、それにムバラク政権の崩壊はムスリム同胞団らイスラム根本主義勢力の台頭を許す危険性があることなど、さまざまな懸念があるからだ。
 そのような状況下でエルバラダイ氏が同国を民主化に導くことができるかどうか、これまた非常に不透明な問題といわざるを得ない。

ホロコーストと「正義の人」

 27日は「ホロコースト(大量虐殺)犠牲者を想起する国際デー」(International Holocaust Remembrance Day)だ。ウィーンの国連Cビル1階でホロコーストに関連したポスター展示会が開催中だ。
 当方も展示会を見て回ったが、日本人の写真が掲載されたポスターに目が行った。「自分の生命の危険を侵してユダヤ人を救った人々」というタイトルが付いている。第2次世界大戦時にリトアニアの日本領事館の領事代理だった杉原千畝氏(1900〜86年)の写真だ。
 日本外務省の意向に反して約6000人のユダヤ人を救済するために通過査証を発行し続けた杉原千畝氏は「日本のシンドラー」と呼ばれていることは日本でも良く知られている。イスラエル政府は杉原氏のような人々を「諸国の中の正義の人」(Righteous among the Nations)と呼び、尊敬し、称賛している。
 イスラエル政府は1956年、「諸国の中の正義の人」を認定する関連法を可決し、64年には委員会が設置され、「正義の人」が選出されていった。
 「正義の人」には 杉原千畝氏のような外交官の他、農民、聖職者、公務員、実業家など多種多様の人々が含まれている。彼らの共通点はナチス・ドイツ軍の蛮行への強い憤りと迫害されるユダヤ人への同情だろうか。
 昨年1月段階でイスラエル側が認定した「正義の人」は世界に2万3226人に達する。日本からは杉原氏1人だが、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所があったポーランドでは6195人の「正義の人」がいる。それに次いでオランダ人5009人、フランス人3158人、ウクライナ人2272人、ベルギー人1537人となっている。ナチス・ドイツでも476人のドイツ国民が「正義の人」の称号を受け、ヒトラーの出身国オーストリアでは87人の国民が「正義の人」の称号を受けている。
 ちなみに、杉原千畝氏のように外交官の立場で多くのユダヤ人を救済した人物としては、スウェーデン人外交官ラウル・ヴァレンベルク(Raoul Wallenberg)氏がいることを付け加えて置く。
 なお、当方は昨年1月25日、オーストリアのユダヤ教ラビ、シュロモ・ホーフマイスター師と会見し、その会見内容は「ユダヤ教ラビとの質疑応答」(2010年1月26日)で紹介した。再読をぜひともお願いした。ホロコーストに対するユダヤ教徒の立場が語られているからだ。

ガガーリン氏の宇宙飛行50周年

 旧ソ連連邦の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリン氏が世界で初めて宇宙飛行に成功して今年4月12日で50周年を迎える。そこで国連宇宙空間事務所(UNOOSA)は今年、さまざまな記念イベントを予定している。
 ガガーリン氏の宇宙飛行成功は旧ソ連と宇宙開発を競っていた米国に大きな衝撃を与えた。ケネディ米大統領(当時)はその直後、飛行士を月に送る「有人宇宙飛行計画」(アポロ計画)を発表、巨額の資金を投入。そして米国のアポロ11号が1969年7月20日、人類初の月面着陸に成功した経緯は周知の事だ。
 月面に降りたアームストロング船長の「1人の人間にとって小さな一歩だが、人類には偉大な飛躍だ」といった発言は米国民だけではなく、世界の人々に大きな感動を与えた。
 ここでは世界初の宇宙飛行に成功したガガーリン氏の話を再度、思い出したい。
 ガガーリン氏はソ連邦の国家的英雄であり、同時に無神論者といわれてきたが、どうやら、そのガガーリン氏もスターリンが信じていたような無神論者ではなく、「敬虔なキリスト信者だった」という証がある。当コラム欄でも「スターリンと『神の軍隊』」(2006年10月5日)で紹介済みだ。
 ガガーリン氏の同僚、ワレンティン・ペトロフ大佐は2005年、インターファクス通信とのインタビューの中で、「ガガーリン氏は他のロシア人と同様、洗礼を受けていた。彼は信者だった」と明らかにしている。
 同大佐によると、ガガーリン氏が1961年、人類史上初めて宇宙を飛んだ時、「神はいない」と述べたといわれているが、実際は反宗教宣伝のためにフルシチョフ共産党第1書記(当時)が共産党会議で発した言葉であり、ガガーリン氏自身の発言ではなかったという。
 米ソ大国の宇宙開発競争は冷戦時代の終焉と共に終わりを迎え、宇宙開発は今日、資源開発、災害対策などが主要テーマとなってきた(もちろん、外国人工衛星撃墜など軍事目的も皆無ではない)。
 なお、米航空宇宙局(NASA)は将来の火星飛行を目指し、月をその中継拠点にする計画があるという。人類の宇宙への挑戦は今後も倦むことなく続けられるだろう。
 50年前のガガーリン飛行士の快挙を偲びながら、宇宙空間の平和利用が広がっていくことを期待したい。

独で「聖職者の独身制廃止」要求

 独与党「キリスト教民主同盟」(CDU)の著名な8人の政治家が21日、ベルリンで「カトリック教会の司教たちは既婚聖職者の聖職を認め、聖職者の独身制を廃止すべきだ。聖職者不足で日曜日も礼拝が行われない教会が数多くある」と指摘し、司教たちは独身制の廃止をローマに要求すべきだと述べ、「必要ならば、独教会のために例外条項を確立すべきだ」と明記した声明文を公表し、教会内外で大きな波紋を呼んでいる。
 8人の政治家はいずれも独カトリック教会中央委員会(ZdK)所属メンバーだ。ノルベルト・ラマート連邦議会議長からベルンハルト・フォーゲル元ラインラント=プファルツ州首相、エルヴィン・トイフェル元バーデン=ヴュルテンベルク州首相、ディーター・アルトハウス元テューリンゲン首相、アネッテ・シャヴァーン教育研究相、ヘルマン・キュス連邦議会議員、ノルトライン・ウェストファーレン州のトーマス・シュテルンベルク議員。そして、元ZdK事務局長のフリードリッヒ・クローネンベルク氏だ。CDU内の重鎮たちだ。
 8人の著名な政治家たちは「1972年から75年に開催された独教会会議で『聖職者不足が深刻化した段階で既婚聖職者や独身制問題について再度話し合う』と決定している」と指摘、「今がその時だ」という。
 それに対し、独司教会議は22日、「聖職者の独身制廃止問題は世界教会レベルで協議すべきテーマだ」と強調し、「ローマ法王べネディクト16世のドイツ訪問(2011年9月22〜25日)を控え、(独身制廃止を)テーマ化すべきではない」と主張し、CDUの政治家たちの要求を拒否している。
 欧州のカトリック教会で聖職者の未成年者への性的虐待問題が発覚して以来、教会内外で「聖職者の強制独身制が不祥事の原因だ」といった声が聞こえる。ちなみに、フライブルクの社会学者ミヒァエル・エベルツ氏は21日、「ドイツで昨年、20万人から25万人のカトリック信者たちが教会から脱会した。前年度比で80%増だ」との調査結果を公表したばかりだ。
 バチカンのタルチジオ・ベルトーネ国務省長官は昨年、スペインのTVとのインタビューの中で「聖職者の独身制は有意義であり、実り豊かな教会の伝統だ」と独身制を評価する一方、「独身制も決してタブー・テーマではない」と述べ、独身制の再考の余地を示唆したほどだ。
 ただし、バチカンの公式見解は「聖職者の性犯罪問題とその独身制とは関係がない」という立場だ。ちなみに、ベネディクト16世は07年3月13日には世界のカトリック信者に向けて「愛のサクラメント」と呼ばれる法王文書を公表し、その中で「神父に叙階された聖職者はキリストと完全に同じでなければならない。独身制は言い表せないほどの価値ある財産だ」と独身制を弁護したが、「聖職者の独身制は教理ではない」と認めている。
 ちなみに、キリスト教史を振り返ると、1651年のオスナブリュクの公会議の報告の中で、当時の聖職者たちは特定の女性と内縁関係を結んでいたことが明らかになっている。カトリック教会の現行の独身制は1139年の第2ラテラン公会議に遡る。聖職者に子供が生まれれば、遺産相続問題が生じる。それを回避し、教会の財産を保護する経済的理由が(聖職者の独身制の)背景にあった、といわれる。
 なお、ローマ・カトリック教会の神父が結婚などを理由に聖職を断念した数は1964年から2004年の40年間で約7万人と推定されている。

イランの青年たちが基督教に関心

 イラン人作家、アミール・ハッサン・チェヘルタン氏(Amir Hassan Cheheltan) は独紙フランクフルター・アルゲマイネとのインタビューの中で、「イランの青年たちがキリスト教に強い関心を示してきた」と指摘し、注目されている。
 シーア派イスラム教国のイランではイスラム教から他宗へ改宗した場合、死刑を意味するが、それにも関らず、多くのイラン人がキリスト教に惹かれてきたという。同氏は「わが国は地下ディスコ、地下音楽、そして地下教会も存在する」という。
 同氏によれば、若いイラン青年たちの間でキリスト教に関心が高まっているが、その背後には現イラン政権のアフマディネジャド大統領への抗議という意味合いが含まれているという。
 同氏は「イランでは現政権の統治政策がイスラム教の真理と同列視されることから、多くの若者たちが混乱に陥っている。そのため、多くの青年たちが他の宗派に関心を寄せる結果となっている」と主張した。
 ちなみに、同国では出版物への検閲が強化され、新聞、衛星放送、学生関連の出版物が禁止されていることから、若者の間で政府への不満が充満している。
 同氏は「イランではクリスマス以来、キリスト教徒の弾圧、逮捕が多発している。イラン当局は宣教活動を活発化してきたプロテスタント信者をターゲットに逮捕を繰り返している」という。逮捕者は先ず「改宗したイスラム教徒」、その次に「改宗を促したキリスト者」だという。
 イラン当局はキリスト教の拡大を「米国と英国が支援した腐敗した運動であり、敵国の文化侵略だ」と警告を発している。
 ロサンゼルスに本拠を置く宗教の自由擁護団体「オープンドアーズ」によると、ハメネイ師は昨年10月19日、コム市(首都テヘランより250キロ南の都市)で演説し、西側の影響の危険性を強調、その実例として同国で地下活動し、その勢力を拡大している独立キリスト教の家庭教会を挙げている。同師は「家庭教会はイスラム教の脅威となっている。特に、若いイスラム教徒が引っ張られている」と指摘している。チェヘルタン氏の主張が正しいことを裏付けている。
 オープンドアーズによると、イランには約45万人のキリスト信者がいるが、その大多数はイスラム教から改宗した信者たちだ。

仏修道女の「奇跡」の証

 ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁が「聖母マリの再臨」現象やそれに伴う「奇跡」に対して非常に慎重な立場を取っていることは良く知られているが、身内の前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の列福に「奇跡」の認定が必要となると、かなり気前良く、それも迅速に認定するものだ。
 バチカンは先日、前ローマ法王、ヨハネ・パウロ2世の列福式を5月1日、ローマで挙行すると発表したばかりだ。ポーランド出身のローマ法王の福者の道が開かれたわけだが、その直接の恩人はフランスのマリー・サイモン・ピエール修道女の「奇跡」の証だった。
 彼女は2001年以来、ヨハネ・パウロ2世と同様、パーキンソン症候で手や体の震えに悩まされてきたが、05年6月2日夜、亡くなったヨハネ・パウロ2世のことを考えながら祈っていると、「説明できない理由から、手の震えなどが瞬間に癒された」というのだ。バチカンの列聖庁の要請を受けて医事委員会が過去、2回、仏修道女の「奇跡」を調査した結果、「奇跡は事実だ」と認定されたというのだ。
 それを受け、ヨハネ・パウロ2世の後任、べネディクト16世は同修道女の「奇跡」がヨハネ・パウロ2世の仲裁のもとで起きたと公認し、同2世の列福にゴー・サインを出した(ローマ・カトリック教会では列福を受けるためにはその人物が関与した奇跡の証が不可欠だ)。
 ちなみに、時間をかけて病気が癒された、という場合は「奇跡」と認定されない。「奇跡」はあくまでも瞬間に発生した現象でなければならない。

 17日の記者会見での同修道女の証を紹介しよう。
 「05年6月2日の夜以来、もはや薬を飲む必要がなくなったのです。治療も必要でなくなりました。その夜以降、これまでの判読できないような文字ではなく、通常の文字を書くことができるようになりました」
 仏南東部のエクサンプロバンス地方のクリストファー・デュフォア大司教(Christophe Dufour)は「彼女の上に奇跡が起きたことは疑いがない」と強調。仏カトリック教会司教会議のバルナルト・ポドヴィン議長は「前法王も同修道女と同じ病気で苦しんできた」と指摘し、両者間で通じ合う世界があったのだろうと分析している。
 なお、5月1日の列福式後、故ヨハネ・パウロ2世は「福者」となる。その後、いよいよ「聖人」への道がスタートする。ただし、列聖プロセスをクリアするためにはもう一件の「奇跡」の証が必要となる。果たして、どのような「奇跡」がバチカンに報告されるだろうか。

米中首脳会談と平壌中央動物園

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は19日、金正日労働党総書記が平壌の中央動物園を訪問したと報じた。動物園訪問の直接の契機は、最近、動物園前に建立された故金日成主席の記念碑を視察するためだ。
 同総書記は動物園の歴史に言及し、「動物園は金主席の人民への暖かい愛の賜物だ。人民のために生涯を捧げた主席はわが国の歴史の中で久しく輝いている」と父親を称賛。その後、動物園内を視察し、その行き届いたマネージメントに満足を表明、動物園の発展のために今後とも協力していく意向を明らかにした。
 KCNAが金総書記の動物園訪問を報じた日、ワシントンでは米中首脳会談が開催され、そこで北朝鮮の問題についてオバマ大統領と中国の胡錦濤国家主席が突っ込んだ話し合いをしていた。その時、北朝鮮の最高指導者は動物園を視察し、動物たちと戯れていた、と分れば、オバマ大統領や胡主席は少々ガッカリするかもしれない。
 KCNAが金総書記の動物園視察を報じたのは今回が初めてではない。KCNAは2008年12月1日も「金総書記が中央動物園を視察した」と報じている。「金総書記は手術後にもかかわらず、軍兵舎や国営企業の工場視察ばかりか、動物園まで足を伸ばした」と伝えた。
 ところで、最近も韓国メディアから「金総書記の健康悪化」説が流れている。そのような時、KCNAは金総書記の中央動物園視察を報じたのだ。単なる偶然だろうか、緻密な計算の上で報じられたニュースだろうか。それとも、金総書記は本当に動物が好きで、年に数回動物たちの顔を見ないと落ち着かない、というのだろうか。
 ちなみに、「政治家と動物たち」の関係を想起して欲しい。歴代の米大統領は必ず愛犬をホワイトハウスで飼う。オバマ大統領は就任前、「自分のような雑種の犬を娘のために飼いたい」と述べている。また、ロシアのプーチン首相は最近、ブルガリア首相から犬を贈られている。政治家にとって、鯉を抱えたり、パイナップルの木の下に立つより、動物たちと戯れているシーンが最も「絵」になる。政治家たちはそのことを良く知っている。
 当方はこの欄で「金総書記の愛する動物たち」(2008年12月3日)というコラムを書いたが、そこで「金総書記がどの動物を好きなのかをKCNAの記事は何も言及していない」と不満を呈した。当方の願いにもかかわらず、KCNAは今回も何も言及していない。
 ひょっとしたら、金総書記はワシントンの米中首脳会談を茶化すため、その日にわざわざ動物園訪問を報じさせたのだろうか。
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