神の存在有無を問う人々は結構いるが、神に対峙する「悪魔」(サタン)が本当に存在するかを考えてみたことがあるだろうか。
 聖書の中で悪魔については約300回も言及されている。有名な個所を拾ってみると、「悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうとする思いを入れていた」(ヨハネによる福音書13章2節)とか、十字架に行く決意をしたイエスを説得するペテロに対し、イエスは「サタンよ、引きさがれ」(マルコによる福音書8章33節)と激怒している聖句に出会う。
 前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は悪魔について、「悪魔は擬人化した悪」と規定し、「悪魔の影響は今日でも見られるが、キリスト者は悪魔を恐れる必要はない。しかし、悪魔から完全に解放されるためには、時(最後の審判)の到来を待たなければならない。それまでは悪魔に勝利したイエスを信じ、それを慰めとしなければならない」と述べている。ちなみに、ヨハネ・パウロ2世はエクソシストとしても有名だった。
 しかし、ローマ・カトリック教会では今日「悪魔」について話すことに抵抗感を覚える聖職者が少なくない。バチカン法王庁が1999年、1614年の悪魔払い(エクソシズム)の儀式を修正し、新エクソシズム儀式を公表した時、教会内で大きな動揺が起きたほどだった。新儀式では、^絣悗篆翰学の知識を決して除外してはならない、⇔遒殆瓩れた人間が本当に病気ではないかをチェックする、H詭を厳守する、ざ偽荵紛気竜可を得る、などを条件に列記している。
 悪魔払いの儀式では、\賛紊乃祷する、⊃世叛士遒竜澆い魎蠅ο祷をする、エクソシストが患者に手を差し伸べ、神の力で悪霊を解放する前に福音の1節を読む、ぅ汽織鵑魑馮櫃垢訖仰告白ないしは洗礼宣誓をする、グ魔払い文を唱える前に、十字架を患者の上に置き祝福する、Υ脅佞竜祷をする、となっている。
 バチカン法王庁が新エクソシズムを公表した背景には、霊が憑依して苦しむ信者が増加する一方、霊の憑依現象が「悪魔」に関連するのか、精神病のカテゴリーから理解すべきかで議論が生じたからだ。
 旧約聖書の研究者ヘルベルト・ハーク教授は「サタンの存在は証明も否定もされていない。その存在は科学的認識外にある」と主張、悪魔の存在を前提とするエクソシズムには慎重な立場を取っている一方、著名なエクソシスト、ガブリエレ・アモルト神父は「悪魔の憑依現象は増加しているが、聖職者はそれを無視している」と警告している、といった具合だ。
 明確な点は「悪魔」が存在するとすれば、悪魔の存在を否定する聖職者は悪魔にとって最大支援者ということだ。