北朝鮮最高指導者・金正日労働党総書記が兵士の士気をあげるために軍隊にカラオケ機材を大量に支給しているというニュースが流れてきた。韓国では日本から入ってきた「カラオケ」文化は久しく定着しているが、お隣りの北朝鮮でもカラオケがブームという。ただし、北朝鮮国民の間ではなく、人民軍の間でだ。もちろん、カラオケ文化の発祥地が日本ということは、金総書記や軍幹部は分かっているが、公にされることはないだろう。反日プロパガンダを展開している北朝鮮だ。国の安全を守る人民軍内で日本文化の「カラオケ」が人気を呼んでいる、なんてことが明らかになったならば、人民軍の士気を高揚させるどころの話ではなくなってしまう。
  報道によれば、金総書記は今年3月、カラオケ機材を支給された部隊で士気が高揚し、兵士たちが元気になっているとの報告に気を良くして、「カラオケ機材をもっと送ろう」と考えたという。
 北朝鮮人民軍だけではない。どの国でも兵士の士気を鼓舞することは容易ではない。軍最高指導者の金総書記の苦労は理解できるが、日本文化のカラオケが北朝鮮兵士の士気高揚に役立っているという事実は、少しシビアにいえば、常時戦争状況下に置かれた北朝鮮兵士たちが「カラオケ」で数曲歌わないと士気が上がらないという現状を反映している、とはいえないだろうか。それでは、カラオケで歌を歌う前に戦争が勃発した場合、どうするのだろうか、と心配になってくる。
 北朝鮮兵士は持続的な緊張状況下に置かれて疲労が蓄積する一方、軍備蓄の食糧もけっして十分ではないと聞くから、満足に食事をすることも出来ないはずだ。韓国兵士と北朝鮮兵士の体格比を記述した記事を読んだことがあるが、韓国兵士が身長から体重まで全ての点で北朝鮮兵士を上回っていた。果たして、カラオケ機材の支給だけで、そのハンディを克服できるだろうか。
 金正日総書記は核実験の成功後、軍を視察する回数が増えているという。カラオケ効果だけに期待しないで、金総書記には人民軍の兵士たちの置かれた赤裸々な状況をじっくりと視察してもらいたいものだ。