当方は今年5月5日の子供の日に当コラム欄で「北朝鮮とイタリア」というタイトルで両国関係の背景について書いたが、少し新しい情報も入ってきたので、ここで追加報告をしておく。
 イタリアが2000年1月、当時の先進7カ国(G7)の中で先駆けて北朝鮮と国交を樹立して以来、イタリアと北朝鮮両国関係は実際、急速に深まってきている。最近聞いたところでは、北朝鮮はローマに同国貿易関係企業の事務所を続々とオープンし、イタリア企業との貿易関係を深めている。例えば、北朝鮮側はイタリア企業を通じて同国最高指導者・金正日労働党総書記へのプレゼント用に独車ベンツ、高級ボートなど贅沢品を購入する一方、同国内の豚肉の需要をカバーするために、イタリアから豚(豚肉ではない)を大量輸入し、平壌など国内で飼育し、繁殖しているという。すなわち、イタリア産の豚肉が北朝鮮幹部たちの胃袋を満たしている、ということが分かったのだ。
 欧米諸国は国連決議に基づき、北朝鮮への贅沢品の輸出を禁止している。そのため、金総書記の誕生日プレゼント用の調達が難しくなってきた、と巷では噂されてきた。しかし、制裁決議の1つや2つで諦める北朝鮮ではないだろう、と当方は考えてきた。案の定、ベンツなど高級車や高速ボートなど贅沢品はローマ経由で平壌に輸出されているわけだ。
 当方が居住するオーストリアから過去、高級ボートやワインなどが密かに北朝鮮に輸出されていたが、ここ数年、両国間の貿易関係はめっきりと寂しくなってきていた。北朝鮮はオーストリアから隣国・イタリアに重点をシフトしていたのだ。モダンな表現をするとすれば、北朝鮮は「イタリアを再発見した」のだ。
 前回のコラムでも書いたが、イタリアの首都ローマは国連都市でもある。国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)、国際農業開発基金(IFAD)はローマに本部や事務局を構えている。食糧問題を抱えている北朝鮮にとって、これらの国際機関との接触は非常に重要だ。だから、金総書記は自国の優秀な学生たちを多数、ローマに留学させるなど、人的交流も忘れていない。
 駐イタリアの北朝鮮外交官の動向については、情報を入手次第、当コラムで報告する予定だ。