オーストリア・スイス共催で開催されたサッカーの欧州選手権(ユーロ2008)で44年ぶりにスペインが優勝したと思っていたら、プロのテニス大会の最高峰、ウィンブルドン選手権で6日、5連覇中のスイスのロジャー・フェデラーを破り、スペインのラファエル・ナダルが5セットに及ぶ激闘の末、初優勝した。スポーツ界を見ている限りでは、スペインは現在、運勢がある。
 スポーツ界では強い選手がいつも優勝するわけではないし、世界ランキングが上位の選手が常に勝つわけではない。選手個人や出身国の持つ、目に見えない「運勢」が勝敗を左右することが少なくない。ユーロ2008を放映していたドイツ国営放送解説者が「ここまで勝ち残ってきたチーム同士の試合の場合、勝敗を分けるのは最終的には Spielglueck(運勢)だ」と語っていた。その通りだ。選手、チーム、国の運勢だ。運勢が強い選手には強豪選手も勝てないし、トップ・チームも敗北を強いられる。
 過去、運勢があった国が存在した。日本もその中にあった。戦後の荒廃した国土から世界第2の経済大国に発展した背景について、日本人の勤勉さや優秀性だけでは説明しきれない面がある。運勢があったのだ。隣国の韓国もそうだった。日本からの経済支援などを元に韓国の国民経済は急発展していった(漢江の奇跡)。
 ただし、運勢はいつまでも同じ所に留まることはないらしい。運勢は次第に下降線を辿り、国運が下がっていく。「世界の道はローマに通じる」といわれたローマ帝国が滅んだように、世界の大帝国はいずれも滅亡していった。これは歴史の教訓だろう。
 それでは「スペインの運勢」はどうであろうか。先述したように、スポーツ界でのスペイン選手の快挙を見る限り、同国が強い運勢を迎えていることを示唆している。問題は、同国に到来した運勢がいつまで続くかだ。運勢が最高潮の時、運勢の下降が始まることが多いからだ。
 ちなみに、目に見えないが、確実に存在するこの「運勢」がどのようなメカニズムから成立しているのかを解明できれば、ノーベル賞級の大発見といえるだろう。