“Ideal Family”という月刊誌で作家・清川妙氏が吉田兼好の「徒然草」から引用されていた言葉がとても印象的だった。そこで紹介する。
 「いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地すれ」。ちょっと旅に出るだけで、新しい発見ができる、というのだ。
 それだから、というわけではないが、当方も10日間余りオーストリアから外に出かける事にした。吉田兼好によれば、「どこへ」は余り重要ではない。旅に出ることが大切だという。
 2006年8月中旬からスタートしたウィーン発「コンフィデンシャル」も9月17日のこのコラムで840本目となった。結構、書いてきたものだ、と思う半面、「何を書いてきたのだろうか」といった自省に似た思いも湧いてくる。
 当方はこのブログ欄をスタートする時、朝、コラムを読んでいただく読者に「笑いと涙と感動、そして情報を提供できるコラムを供給したい」と決意した。考えれば、大それた野心だった、というべきかもしれない。果たして、840本のコラムの中で読者に「笑い」「涙」「感動」を与えたものがあっただろうか。あったとしても、その数は限られていただろう。全ては当方の力不足が問題だ。
 そこで当方は今回の「10日間の旅」に大きな期待を寄せている。新しい世界、出会いは好奇心を高揚し、新しい事を学ぶ意欲を回復できるかもしれない。冷戦時代、共産圏に初めて足を踏み入れた時の緊張感が懐かしい。いずれにしても、若い時と比べ、体力の減退を感じるだけに、どれだけ積極的に時間を有効に利用できるか分らないが、とにかく挑戦していきたい。
 旅に専念するため、18日から10日間、このブログ欄を休み、次回のコラムは9月28日から再開する予定だ。
 読者の皆さん、再びお会いしましょう。