在ウィーン国際機関日本代表部の天野之弥大使(61)は国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長選で落選した。厳密にいえば、当選を逸した。
 27日に実施された天野大使への信任投票で22票が支持、反対は12票、棄権1票だった。すなわち、天野大使の信任率は約64・7%だ。当選には有効投票の3分の2、信任率約66・7%が必要だった。当選ラインまでに約2%不足したのだ。
 歴史で「もし」という言葉は禁句だが、「もし、もう1国の理事国が天野大使支持に回っていたならば」、天野大使は今頃、シャンパンの雨を浴びていただろう。
 天野大使が落選直後、「再度立候補する」と表明したのも頷ける。目標まであと僅かだったからだ。だから、次回は当選できる、という思いが湧いてくるのは当然だろう。
 しかし、IAEA事務局長選では、5回の投票(信任投票を含む)で当選ラインに到達できなかった候補者が次回の立候補で当選できる可能性は少ない。その理由は、新鮮さを欠き、理事国の間でも第3の候補者への期待が高まるからだ。
 天野大使は再出馬を正式に表明する前に今回の投票結果を慎重に分析する必要があるだろう。IAEA事務局長ポストを獲得することを今年最大の課題に掲げてきた日本外務省も同様だ。それからでもIAEA事務局長ポスト再挑戦は決して遅くないはずだ。