エクスタシーやメタフェタミンなどアンフェタミン型覚醒剤(ATS)はカンナビス(大麻)に次いで世界で2番目に乱用されている麻薬だ。ATSは中枢神経を麻痺させる合成麻薬だ。
110924 ウィーンに本部を置く国連薬物犯罪事務所(UNODC)は先日、「2011年グローバルATS評価、アンフェタミネとエクスタシー」(120頁、写真)を公表し、その中で「ATSの拡大は世界至る所で安全と健康を脅かしている」と警告を発している。
 ヘロインやコカインの麻薬消費に社会の関心が集まってきたが、ATSの押収量、不法密造所の発覚件数はここにきて急速に増加してきた。ヘロイン、コカイン、カンナビスの押収量は2005年から09年の間、大きな変化はなかったが、ATSの押収量は同期間、至る所で急増しているという。
 例えば、南東アジア地域で押収されたメタンフェタミンの錠剤数は著しく増加。08年度は3200万個、09年度9300万個、そして10年度は1億3300万個だ。一方、摘発されたATS生産所数は08年の288カ所から09年には458カ所と急増している。
 その背景には、栽培しなければならない麻薬類と異なり、ATSは僅かな資金でどこでも生産できるというメリットがあったからだが、ここにきてATS生産は小規模生産からコカイン・ヘロイン型の大規模な生産体制へと変わってきた。その背後に、大規模な麻薬組織の関与があるという。
 ところで、UNODC報告書によると、日本では結晶型メタンフェタミンの乱用が最も多い。国内でメタンフェタミンが製造されることは希で、多くは海外から密輸入されている。例えば、2人のイラン人が昨年6月、メタンフェタミンの製造容疑で逮捕されている。
 密輸入ルートとしては、中国からがもっと多く、昨年度密輸入件数の17・8%を占めてトップ。それに台湾10・4%、香港6・7%、アラブ首長国連邦8・1%、ナイジェリア7・4%、マレーシア6・7%等なっている。結晶型メタンフェタミンの昨年度押収量は302・3kgだった。