国連の潘基文事務総長は23日、ニューヨークで開催された包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議(通称14条会議)で、「もはや待ち時間は過ぎた。今は行動をする時だ」と強調し、核拡散防止条約(NPT)の要となるCTBTの早期発効を加盟国に促した。具体的には未批准国の9カ国に向けたアピールだ。
 一方、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は9月の定例理事会と第55回年次総会で、福島原発事故の教訓に基づき、原発の安全性強化のために作成された12項目の「行動計画」を提唱し、「採択・承認後は即履行プロセスに入る」と主張、時を失うことなく行動計画を実行していくと表明した。
 国連のトップ潘基文事務総長と原子力エネルギーの平和利用促進機関の核の専門機関IAEAのトップの天野氏は、「今は行動の時だ」と強調し、加盟国の尻を叩いているわけだ。
 193カ国で構成された国連も151カ国の加盟国からなるIAEAも会議の度に、無数の宣言文、声明文を生産し、それらの内容の履行を加盟国に要求する。
 しかし、加盟国が履行しない場合、国連も専門機関もお手上げだ。天野氏の「行動計画」も同様の運命だ。換言すれば、潘基文事務総長や天野事務局長が「行動」を加盟国に促すのは、「加盟国が履行しない可能性が高い」という前提があるからだ。
 考えてみて欲しい。150カ国以上の加盟国を抱えていれば、加盟国の利害は当然、加盟国の数だけ異なるから、そこからコンセンサスをまとめ、宣言文や協定を作成する作業は本当に骨の折れる仕事だ。
 国連側は加盟国間の利害を調節し、可能な限り一致点を模索する。しかし、一致点を模索し過ぎる結果、作成された声明文や協定の内容は本来の目的から遠ざかり、薄められ、実効性の乏しい“外交文書”に陥ってしまうケースが少なくない。
 最近では、天野氏が力を入れている「行動計画」も主要原発国の思惑の違いから、その草案作成段階で3度の修正を余儀なくされている。「行動計画」採択後も、脱原発国を宣言するドイツなどから「内容が脆弱だ」といった批判を受けている、といった有様だ。CTBTの条約発効問題に到っては、署名開始から15年が経過したが、依然、発効できないのだ。
 にもかかわらず、国連機関のトップは加盟国に「行動」を促すためラッパを吹く鳴らし続けなければならないのだ。