日本のメディアに目を通していると、日本の安倍晋三首相が公邸に引っ越ししないのは公邸に幽霊が出るからではないか、といった面白い記事が載っていた。野党議員の質問に政府側がその噂の真偽について返答したというのだから、この幽霊話はかなり現実的だ。

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▲ホテルの窓から見たパリ郊外の風景(5月16日、撮影)

 産経新聞によると、「公邸は昭和11年、旧陸軍の青年将校が起こしたクーデター『2・26事件』の舞台となっており、犠牲者の幽霊が出るとの噂話がある」という。それでは、彼らは安倍首相に何らかのメッセージを託したいのだろうか。
 ここまで考えて、「それでは、幽霊は管直人元首相や野田佳彦前首相の時はどこにいたのだろうか」という素朴な疑問が出てきた。管元首相、野田前首相時代にも幽霊は公邸に住んでいたはずだが、例えば、彼らが管元首相の前に現れた、という話は聞かない。

 安倍首相時代になって現れた幽霊は、管氏や野田氏の時代には身を潜めていたとすれば、なぜか。安倍首相は幽霊の世界に親戚でもあるのだろうか。安倍首相は保守本流の流れをくむ。岸信介元首相から父親・安倍晋太郎元外相の流れから出てきた政治家だ。一方、管氏や野田氏はある意味で庶民派だ。保守派本流の政治家ではない。幽霊は首相の出自の違いを知って、管氏と野田氏時代には身を潜め、安倍首相が昨年末、就任してから再び活発化してきた、とでもいうのだろうか。

 それを理解するためには、幽霊の特性を知らなければならないだろう。幽霊が出る場合、幽霊とその人物の間には何らかの関係があるはずだ。自分の性格を理解できないような人物の前に幽霊は出て来ない、というより出てこれない。幽霊が傍にきてもそのような人物は分からないだろうからだ。幽霊は何らかのメッセージを地上の人物に託したいと願っている場合がある。地上で出来なかったことがあったら、地上の人物を通じて成し遂げたいと願うことがある。公邸の幽霊にとって、管氏や野田氏はメッセージを託せる政治家ではなかったのだろう。参考まで付け加えると、鳩山由紀夫元首相の場合、鳩山氏が宇宙人のため公邸の幽霊も対応できなかっただろう。

 幽霊からも軽視された管氏と野田氏は寂しく感じる必要はない。幽霊からも期待されなかった反面、幽霊騒動もなく公邸で安眠できたのだから。一方、幽霊がメッセージを託したい安倍首相は安眠を奪われる危険性が出てくる。安倍首相が「公邸の幽霊」との出会いを回避するために、公邸引っ越しをこれまで避けてきたとすれば、立派な危機管理だ。いずれにしても、日本の総理大臣を務める安倍首相は「公邸に幽霊がいるから」と公式に説明するわけにはいかないだろう。