非常に象徴的な決定だ。ローマ・カトリック教会では中世以降、聖人に列聖された人物は個人であり、夫婦が共に列聖されたケースは殉教の場合を除いてなかった。それが今年10月、1組のカップルが列聖されることになったのだ。バチカン放送独語電子版が28日、報じた。以下、オーストリアのカトリック通信「カトプレス」の記事の概要を紹介する。

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▲列聖されるルイ・マルタン、ゼリー・マルタン夫妻

 フランシスコ法王は、「夫婦は聖人への王道だ」とツイッターで呟いたことがあったが、ローマ・カトリック教会の聖人カレンダーを見る限り、過去500年の間、殉教した夫婦以外で聖人となったカップルはいない。その教会歴史上初めて、夫婦が模範的な生き方をしたという理由から列聖されるというのだ。その夫婦とは、フランス人のルイ・マルタン(1823〜94年)とゼリー・マルタン(1831〜77年)夫妻だ。
 
 フランシスコ法王は27日、枢機卿会議で同夫婦を将来聖人とすると発表、今年10月18日、「福音宣教からみた家庭司牧の挑戦」をテーマに協議する通常の世界司教会議(シノドス)の枠組みの中で列聖式を挙行すると述べた。それによって、教会近代史で初の“聖家族”が生まれることになる。なぜならば、同夫婦は聖人のカルメル会修道女リジューのテレーズ(Therese von Lisieux、1873〜97年)の親だ。両親と娘が聖人となるからだ。同夫婦の聖遺物は昨年10月の特別シノドスの時、サン・ピエトロ大聖堂とサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂で設置済みだ。

 カトリック教会で過去、列聖された夫婦がまったくいなかったわけではない。例えば、マリアとヨゼフ夫妻、マリアの両親のヨハヒムとアンナ夫婦だ。ただし、同2組の夫婦や列聖された夫婦は中央ローマ列聖手続が導入された1588年前だ。それ以後は、日本と韓国のキリスト教迫害時代に殉教した夫婦が列聖されただけだ。

 独ケルンの聖人問題エキスパート、ヘルムート・モル氏は、「ルイとゼリー・マルタン夫妻は列聖される初の夫婦となる」という。ゼリーは2008年、第2番目の夫婦として列福されている。その7年前、イタリア人の夫婦、Luigi(1880〜1951年)とMaria(1884〜1965年)Beltrame Quattrocchiが列福されたが、まだ列聖されていない。カトリック教会では、列福(福者)は列聖(聖人)の前段階に当たる。

 マルタン夫妻の場合、「娘が列聖されているから、その恩恵で列聖されるだけだ」といった憶測が審議段階で流れたことがあるが、夫婦は19年間、9人の子供を産み、全ての5人の娘は修道女となっている。すなわち、親として子供たちを立派に教育してきたというのだ。

 カトリック教会では聖人はスターだ。そして夫婦が今回、初めて一緒にその栄光を受ける。これは明確なシグナルだ。教会のスターは過去、信仰を守り、誘惑に勝利した個人が受けてきたが、これからは夫婦が共に聖人への道を歩むことになる。少し神学的表現をすれば、ローマ・カトリック教会で「個人救済」の時代は終わり、「家庭救済」の時が訪れてきたというわけだ。マルタン夫妻の列聖はカトリック教会の新しい歴史の幕開けを意味する。


 ちなみに、「どうしたら夫婦は聖人となれるか」の問いに対し、フランシスコ法王は「毎日、犠牲と献身で生きることだ」とツイッターで述べている。