中国共産党政権の情報工作に関与している疑いから中国通信機器大手・華為技術(ファーウエイ)を政府調達から排除する動きが欧米諸国で急速に加速してきたが、アルプスの小国オーストリアの首都ウィーンで今夏前、ファーウェイのフラグシップショップ(Flagship shop)がオープンする予定であることがこのほど明らかになった。

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▲ファーウェイのフラグシップショップの予定地(2019年2月9日、ウィ―ンで撮影)

 フラグシップショップとは、企業の自慢の商品を大きなスペースで展示し、会社のコンセプトから商品の詳細な説明までをビジュアル・マーチャンダイジングで展示する店だ。その大店舗を欧州の代表的観光都市“音楽の都”ウィーンでオープンするという。ファーウェイのワールドプレミアということから、欧州メディアではいまから話題を呼んでいる。

 オーストリアのメディアによれば、ファーウェイの旗艦店はウィーンの一等地、観光通りのケルントナー通り32−34に開く予定だ。ホテル・ザッハーの近くで、同じ通りには米国アップル社のフラグシップショップがあるから、米中の通信機器大手の“ウィーンの戦い”が展開されるわけだ。ファーウェイ社の狙いも明らかだ。

 オーストリアのファーウェイ社のWang Feiマネージャーは、「ウィ−ンでは30人余りの社員を雇用する予定で、既にリクルートを開始している」という。ウィーンのフラグシップ店は「ファーウェイにとっても重要なステップとなるはずだ」と述べている。

 ところで、ポンぺオ米国務長官が11日から15日の日程でハンガリー、ポーランド、スロバキアなどを歴訪するが、同長官の欧州歴訪の目的はファーウェイの欧州進出に対する米国政府の警告を伝達するのが狙いといわれている。

 米国政府はファーウェイが中国のスパイ活動を支援しているとして、米国市場から実質的に追放してきた。米国政府は今年に入り、カナダ政府が昨年12月、米国政府の要請で逮捕したファーウェイ社の任正非CEOの娘である孟晩舟・財務責任者(CFO)の引き渡しを要求したばかりだ。

 東欧では、チェコのアンドレイ・バビシュ首相が昨年12月18日、内閣の職員に対して、ファーウェイ製スマートフォンの使用を初めて禁止した。その理由は「中国のファーウェイと通信大手の中興通訊(ZTE)のハードウェアやソフトウェアを使用すると、セキュリティ上の問題がある」からということだ。今年に入り、ポーランドで1月8日、ワルシャワのファーウェイ社事務所の中国人職員がスパイ容疑で逮捕された。同職員はポーランド担当営業マネージャーだ。同時に、ポーランド国内安全保障局(ABW)に勤務していた元職員(サイバー対策専門家)も逮捕されたばかりだ。

 それに対し、ハンガリーの中道右派のオルバン政権は中国の投資を歓迎し、積極的に誘致している。ファーウェイ社はハンガリーに欧州向けの物流拠点を構築してきた。そこでポンペイ国務長官はブタペスト入りし、オルバン首相を説得する考えだというわけだ。

 オーストリアは欧州連合(EU)加盟国だが、中立主義を国是としているため北大西洋条約機構(NATO)には加盟していない。一方、ハンガリーはEUと共にNATOにも加盟している。それゆえに、ハンガリーを通じてNATO関連の軍機密情報が中国やロシア側に流出する危険性が排除できなくなるだけに、米国の懸念も深刻なわけだ。

 オーストリアのクルツ首相は13日から17日の間、韓国と日本両国を実務訪問する。その後、20日にはワシントンに飛びトランプ大統領と会談することになっている。ウィーンの外務省の情報では、トランプ大統領とクルツ首相は両国関係、EUと米国の関係、難民対策などを話し合うことになっているが、ワシントン側はオーストリアのファーウェイとの関係についても話し合いたい意向といわれる。なぜならば、クルツ首相は米国のファーウェイ追放政策については中立の立場を表明、ドイツやフランスなどの反ファーウェイ陣営には加わっていないからだ。

 そのオーストリアのウィーンでファーウェイのフラグシップショップがオープンされるわけだ。中国側が欧米のファーウエイ追放網を突破するためにオーストリアとハンガリー両国を巧みに誘導しているのだ。