ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

韓国

北は「割れやすいガラスの器」か?

 北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会は16日、前日の文在寅大統領の光復節の式典での演説を非難し、「われわれは南朝鮮(韓国)当局者とこれ以上話すことはない」と一括し、文大統領に対しては、「まれに見る図々しい人物」などと非難したことが報じられると、文大統領は19日、青瓦台(大統領府)で開かれた首席秘書官・補佐官会議で、朝鮮半島の状況に関連して、「割れやすいガラスの器を扱うように、一歩ずつ進む慎重さが必要だ」として、相手の立場を理解する知恵や真摯な姿勢が必要との認識を示したという(韓国聯合ニュース)。

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▲エスパー米国防長官と会談する韓国の文在寅大統領(2019年8月9日、韓国大統領府公式サイトから)

 この記事を読んで複雑な思いがした。文大統領は、朝鮮半島の状況を「割れやすいガラスの器」と表現したが、具体的には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「割れやすいガラスの器」で、いつ暴発するか分からないから、南北融和政策も慎重に進めていく必要があるという意味合いがあるはずだ。

 そういえば、日本の河野太郎外相が文在寅大統領の元徴用工への対応が遅れていることを指摘すると、大統領府関係者が、「身の程知らずの無礼さ。一国の国家元首を批判するとは」と激怒している。北朝鮮に対しては「割れやすいガラスの器」を扱うように、相手の立場を考慮する一方、隣国の日本外相に対しては口汚く罵るのだ。この好対照ぶりは何を意味するのか。

 北朝鮮は米韓軍事合同演習に激怒し、短距離弾道ミサイルを連日発射してうっ憤を晴らした。すなわち、北は米韓の一挙手一投足に敏感に反応する。まさに「割れやすいガラスの器」だ。一方、韓国は、反日言動を繰り返し、海外に反日を拡散させたとしても日本は激怒することはない「壊れない鋼鉄の器」と考えているから、「日本の立場を考慮する必要はない」という思い込みがあるのだろうか。

 文政権は政権発足以来、南北融和政策という名目で北に完全に傾斜していった。文大統領は金正恩委員長の広報担当官とメディアで冷笑されても怒らない。むしろ、南北融和政策の成果として誇ってきた。

 一方、日本に対しては全てにネガティブに受け取る。韓国は昨年10月、国際観艦式で日本の海上自衛隊の艦艇の旭日旗掲揚に抗議して自粛を要請し、「過去の日本の植民地時代の蛮行を想起させる」と不満を表明し、慰安婦問題では少女像を世界に輸出し、元徴用工の賠償請求を促し、日本からの輸出を阻止し、国内では日本製ボイコットをする。なぜならば、韓国側は「日本は怒り出したとしても最終的には韓国側の意向を飲むだろう」という計算があるからだ。文政権は現実を冷静に判断する能力を失い、悲しい誤解を繰返している。日本側は怒り出しているのだ。

 文大統領の「割れやすいガラスの器」という北朝鮮は3代世襲の独裁国家だ。大量破壊兵器の核兵器を製造し、いつでもソウルや東京にミサイルを発射できる国だ。国民の人権は常に蹂躙され、基本的人権は全く考慮されない国だ。その国に対し、文大統領は「相手の立場を考慮して」と呼びかけているのだ。文在寅大統領はどの国の大統領だろうか。

 韓国民は気が付かなければならない時を迎えている。文大統領は韓国民の最高指導者というより、北側を第一に考える大統領だということだ。韓国の国民経済が厳しくなってもその対策を考えるより、金正恩氏と次はいつ会うかを楽しみにし、国民の不満が高まった時には反日カードを取り出して国民を煽れば済むと考えている革命指導者だ。

 北の立場に理解を示し、「割れやすいガラスの器」を扱うように、慎重となる文大統領が日本に対しては激変し、民族主義者の顔が現れ、反日ルサンチマンの塊になる。国民経済が厳しくなったこともあって、文大統領は「日韓の対話、協力」という言葉を使い出してきたが、多くの日本人は文大統領の言葉をもはや信じないだろう。

 文政権からは「米韓軍事合同演習が20日に終了したから、北側の態度が変わるのではないか」という淡い期待が聞かれる。韓国は来月中に、世界食糧計画(WFP)を通じて北にコメ5万トンの支援を実行する予定だが、中国は約80万トンのコメを北に支援するという。これが事実とすれば、韓国の対北経済支援カードはもはや有効に機能しないだろう。北国営メディアの文大統領批判はそのことを裏付けているように思われるのだ。

 文大統領は近い将来の南北再統一を視野に入れ、北側を怒らせないように自制しているのかもしれない。もしそうならば、文大統領は大きな間違いを犯している。独裁国・北朝鮮と韓国の再統一はあり得ないのだ。南北再統一問題は、北の独裁国家が崩壊した後に協議する課題、という条件が付く。その前は考えられない。独裁国家・北が存続する以上、韓国は南北再統一のカードを切れないのだ。文大統領の南北再統一構想は時期尚早だけではなく、非常に危険な冒険だ。

被害者意識、自己憐憫、そして反日

 海外中国メディア「大紀元」からニュースレターが配信されてきた。その中で興味深いニュースがあったのでそのニュースを紹介しながら、コラムを始めたい。タイトルは「被害者意識から抜け出して」。米保守派のコメンテーター、米国黒人女性のキャンディス・オーウェンズさんの話だ。

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▲南北融和路線を一直線に走る文在寅大統領(2019年6月20日、韓国大統領府公式サイトから)

オーウェンズさんは米民主党を「彼らは黒人、女性、マイノリティー、LGBT(性的少数派)の人々に被害者意識を植え付けている。そして彼らが自立することを阻止し、全ては政府が悪い。あなた方は被害者だと繰り返し主張している。一般的に、左翼の世界観は被害者意識である。この意識を何世代にもわたって植えつけられた黒人は、なかなかそこから抜け出せない」という。彼女自身も、数年前まではリベラルで民主党派だったという。

 被害者意識に伴うのは怒りや恨みだ。しかし、オーウェンズさんにとって成功の秘訣とは勤勉に働き、家族を大事にすることであって、怒りではない。「これは、あらゆる人種に共通する価値観である。アメリカに移住した日本人が、かつて過酷な差別を受けながらも他の移民に比べて比較的豊かだったのは、よい価値観に基づいた生活と自助努力があったからだ」という内容は正論だろう。

 彼女の主張を聞いていると、どこかの国を思い出してしまった。隣国・韓国だ。韓国の為政者は「我々は日本の植民地化で搾取され、人権を蹂躙されてきた。全ては日本側の責任だ」と強調し、国民に被害意識を植え付けてきた歴史がある。朝鮮半島で今席巻している「反日」は被害者意識が憎悪まで高まっていった結果だろう。韓国民は犠牲者、加害者は日本人といった考え方だ。

 被害者意識は米国内の少数民族や韓国で見られる特有の現象ではない。被害者意識の歴史は長い。共産主義思想を思い出してほしい。資本家や知識人が労働者を搾取していると主張し、労働者は被害者だ、それから解放されるために資本家を打倒する共産革命が避けられないと主張し、労働者を煽り、共産主義の国家を建設していった。共産主義は労働者の被害者意識に火をつけ革命を起し、資本家たちを打倒していったわけだ。ただし、その後に建設された共産国家は、資本家たちが支配していた国より独裁的であり、人権蹂躙が日常茶飯事の国となっていったことはまだ記憶に新しい。

 被害者意識を植え付けられた国民、民族はどうしても自立精神を失う一方、問題があれば責任を転嫁する習慣がついてしまう。旧ソ連・東欧政権時代、労働者はノルマだけを意識し、自主的に、創造的に対応するという習慣を失っていった。その結果、欧米の資本主義経済に敗北せざるを得なかった。共産圏では国民が自主的に考え、創造することが禁止されていた。

 オーウェンズさんが主張しているように、被害者意識から脱皮し、勤勉に働き、自助努力こそ発展の秘訣だろう。彼女がその好例として米国に移住した日本人の生き方に注目し、評価しているわけだ。

 ところで、被害者意識は自己卑下を生み出す一方、自己憐憫をもたらす。自己憐憫は心理学的には自己傲慢の現れだと受け取られている。すなわち、被害者意識に囚われていると前向きに考えることや、未来志向が難しくなるわけだ。オーウェンズさんの「被害者意識から脱皮を」は米国内の黒人、少数民族だけにあてはめられたものではなく、韓国民にとっても非常に啓蒙的な内容があると確信する。

 黒人や女性、少数民族出身の国民に被害者意識を植え付ける米民主党や、日本の植民地化時代を理由に、国民に被害者意識を訴える反日を駆使する文在寅政権は国民の自主性、自助努力を奪う大きな過ちを犯していることになる。

「慰安婦」全生存者の死去後の「反日」

 8月15日は日本にとっては終戦記念日であり、戦いで亡くなった方々を慰霊する一方、未来に向かって改めて平和の祖国建設を宣誓する日だ。一方、隣国・韓国では「光復節」と呼ばれ、日本の植民地から解放された日として大々的に祝う。民族が異なれば、その歴史も変わる。旧日本軍と共に戦ったという史実は脇に置かれ、「解放記念日」、ひいては日本軍に勝利した「戦勝記念日」と受け取る韓国国民もいる。

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▲「光復節」で演説する韓国の文在寅大統領(韓国大統領府公式サイトから)

 歴史は過去の史実より、後世の民族を高揚する内容に変質される傾向がある。その意味で、史実の集大成と呼ぶべき「歴史」は常に未来志向を強いられるわけだ。

 「わが民族は間違いを犯した。多くの隣国に多大の犠牲を強いた。悔い改め、謝罪しなければならない」と歴史の教科書に記述され、それを学ばなければない国民はやはり哀れだ。歴史観では韓国は歴史を書き換えても民族を誇る未来志向、日本は過去志向に拘される一方、日韓関係では、日本は未来志向を訴え、韓国は過去にとらわれ、未来志向が難しい、といった具合だ。

 時事通信によると、「韓国の文在寅大統領は15日、日本の植民地支配からの解放を記念する『光復節』の式典で演説し、『日本が対話と協力の道に進むなら、われわれは喜んで手をつなぐ』と語った」という。文在寅大統領は険悪化した日本との関係について「日本が対話を求めるならば、それに応じる用意がある」とソフトな表現にとどめ、反日は控えた内容だった。

 その記事を読んで、大多数の日本国民は「文大統領が日本批判を控えたのは、日韓関係の悪化、韓国経済の悪化に対応するために、これまでに反日一辺倒の政策の間違いに気が付き、政策の修正に乗り出した」というふうには受け取らず、戦略的意図から出た発言だと考えるだろう。

 日本側が求めているのは文大統領の言葉ではなく、行動だ。どのようにも解釈できるメッセージはもはや日本人にとって何の価値もない。韓国がその反日路線を修正するというのなら、言葉ではなく、行動で示すべきだろう。

 韓国大統領の言葉は日本人にとって空言に過ぎない。繰り返すが、求められるのは行動だ。例えば、元徴用工問題の賠償問題では日韓請求権協定に基づいて韓国側が解決に乗り出すべきだろう。慰安婦問題でもそうだ。韓国側が対応すべき問題で、日本側に謝罪と賠償を求めるのは責任転嫁だ。

 例えば、慰安婦問題だ。韓国政府が調査した段階では元慰安婦と認定された女性は240人だった。その数は今年8月4日現在で20人となった。2030年にはひょっとしたら元慰安婦生存者はいなくなるかもしれない。その時、韓国の「反日」は変わるだろうか。歴史の証人がいなくなった時、換言すれば、元慰安婦がいなくなった場合、慰安婦問題を反日政策の中心に据えてきた韓国側の「反日」は変わるだろうか。慰安婦問題だけではない。第2次世界大戦から1世紀が経過した後の韓国の「反日」はどうなっているだろうか。

 戦争を経験したこともなく、慰安婦といっても歴史書の中でしか知らない世代が(自称)慰安婦問題を糾弾できるだろうか。それとも、韓国の反日は時間の経過と共に消滅していくだろうか。少なくとも、変質していく運命は避けられないかもしれない。豊臣秀吉の韓国侵略(朝鮮出兵=文禄・慶長の役)を理由に21世紀の日本政府に賠償を請求すれば、国際社会は呆れてしまうだろう。

 ポーランドでは反ユダヤ主義が席巻したが、同国では現在、国内にユダヤ人がほとんどいない。しかし、現在でも反ユダヤ主義は生き残り、益々活発化している。民族が一旦、憎悪の虜になれば、それを完全に払しょくできなくなり、他に感染し、拡大していくという典型的な例だ。

 もう一つの実例を挙げる。アンネシュ・ベーリング・ブレイビク受刑者(犯行当時32)は2011年7月、ノルウェーの首都オスロの政府庁舎前の爆弾テロと郊外のウトヤ島の銃乱射事件で計77人を殺害した。ブレイビクはイスラムの北上を恐れていた。北欧のノルウェーは欧州諸国の中でも最も裕福で安定した国で外国人率も10%以下だ。にもかかわらず、ブレイビクはイスラム教徒の増加を恐れ、欧州文化をイスラム教から守る使命感で蛮行に走った。

 すなわち、ポーランドではユダヤ人のプレゼンスはほぼ皆無であり、ノルウェーでは、ブレイビクが恐れたイスラム北上への恐怖は実態がない。にもかかわらず、両ケースとも憎悪だけが生き生きとしているのだ。

 同じ事が慰安婦を通じて反日を繰り返してきた韓国でも言えるかもしれない。時代の経過と共に犠牲者ともいうべき慰安婦や元徴用工がいなくなっても、それに起因した「反日」は消滅せず、生き延びていくと予想できるわけだ。

 誤解を恐れずに言えば、文政権は、生存している元慰安婦20人のために、5000万人の国民の経済活動に大きなダメージを与えている。そして近い将来、もはやいなくなった元慰安婦の賠償を求めて反日を繰返すとすれば、非常にグロテスクだ。

 「反日」の原動力は憎悪だ。憎悪にとって、慰安婦が生存していても亡くなったとしても関係はない。憎悪を拡大し、人間関係、民族関係、国家関係を破壊すればいいのだ。文在寅政権は憎悪の虜になっていることに早く気が付くべきだ。

麻生太郎氏から信仰の友・文在寅へ

 当方は一時期、安倍晋三首相と文在寅大統領の日韓首脳会談の開催前に、前座として麻生太郎副首相(財務相)と文大統領の「信仰の兄弟の集い」(仮題)を開いたらどうか、と真剣に考えていたが、今は考えなくなってきた。実現性は依然あると信じるが、両国を取り巻く状況はそんな悠長なことを言っている場合ではないからだ。

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▲対日関係などを協議する会合で演説する文在寅大統領(2019年7月15日、韓国大統領府公式サイトから)

 麻生副首相(78)も文大統領(66)もローマ・カトリック教会信者だ。キリスト教会信者の間では「兄弟」と呼べる関係だが、両政治家の間に文通やツイッターの交流があるとは聞かない。トランプ米大統領と北朝鮮の独裁者・金正恩朝鮮労働党委員長の間でさえ「美しい書簡」の交流が行われているのに、麻生副首相と文大統領の間は音信不通というのでは、同じ信仰を有する政治家としては少々寂しい。

 民主主義国では政治と宗教は分離するのを原則としている。宗教者が過去、政治を誤導した教訓があるからだろう。政治家が自身の信仰を吐露したり、自身の信仰の友と公の場で話すことを極力避けるようになったことから、宗教は政治家のアクセサリーに過ぎなくなってきた。

 多分、数少ない例外は米国だろう。大統領就任式も聖書の上に手を置いて宣誓する。国が戦争に乗り出す時、大統領はホワイトハウス内の礼拝堂で祈りを捧げ、神に問いかける。自身の命令で多くの若者が戦争で命を落とす危険があるだけに、大統領は真剣にならざるを得ない。例えば、トランプ氏の熱心な支持層には福音派教会がある。堕胎禁止を支持するトランプ氏は教会にとって大きな支えだ。政治家も宗教団体の票を重視する。政治と宗教は米国では少なくとも密接な関係がある。

 ところで、日韓両国関係は戦後最悪といわれる。その大部分は反日を掲げて大統領に就任した文在寅大統領の出現からだ。ただし、両国のキリスト教は全く異なっている。信者の数が人口全体の1%にも満たない日本では日曜礼拝は一種のサロンのような雰囲気がある。礼拝後、談笑したり、会食するのが楽しみという信者が多い。神父がミサで語った内容についてじっくりと話し合うことはほとんどない。日本のキリスト信者は幼児洗礼が多いこともあって、神学論争にはあまり関心がない(「日本の信者は教会の教えに無関心」2014年2月23日参考)。

 麻生副首相が首相に就任した時、バチカンニュースも「日本の首相にカトリック信者が就任した」と大きく報道し、日本最初のカトリック首相に期待を表明していた。麻生氏自身はミサに参加するより、ホテルのカウンターに座ってグラスを傾けているほうが好きな典型的な平信者だ。

 その日本をフランシスコ法王が今年11月、訪問する。日本では広島・長崎の被爆地を訪問し、世界に向かって核廃絶を訴えることになっている。

 一方、韓国では国民の30%以上がキリスト信者だという。フィリピンと共にアジアではキリスト教が定着している国だが、韓国のカトリック主義は韓国流のキリスト教だという声がある。イエスの教えが伝道先の民族の歴史、文化、社会の風習と混合していくのは韓国教会だけではない。自然の流れだろう。小説「沈黙」を書いた作家遠藤周作は西欧のキリスト教ではなく、日本独自のキリスト教に強い関心があった一人だ。

 さて、このコラムのテーマに入る。麻生副首相には、安倍首相が一国の首相として言いたくても口に出せない本音を、首相に代わって文大統領に進言してほしい。

 以下は、麻生副首相から信仰の友・文在寅大統領への進言だ。

 〃残錙∧減瀑匯瓠△覆爾△覆燭狼言を吐くのか。日韓歴史を知っている兄弟がその史実とは異なる発言を繰り返す姿を見る度に、嘘を言ってはならないといわれたイエスの言葉を思い出す。

 兄弟、文在寅氏、なぜあなたは国家同士の約束を反故するのか。両民族間の代表が一旦合意した慰安婦問題の日韓合意を無視し、合意後、屁理屈をつけてそれを破棄したのか。たとえ、その内容が神からのものではないとしても、約束を一方的に破ることは正しくはない。

 7残錙∧減瀑匯瓠△覆爾△覆燭枠親を武器として日本を批判し、喜々となっているのか。イエスは『汝の敵をも愛せよ』といわれている。文兄弟、あなたはその聖句をご存じのはずだ。そうそう忘れるところだったが、イエスはまた『人を裁くな、自身が同じように裁かれないために』といわれている。ベトナム戦争時、韓国兵士がベトナム人女性に犯した性的犯罪問題が再び表面化してきたのは、イエスのみ言葉を実証している。

 少々、文在寅兄弟にはきつい内容だが、イエスのみ言葉を付け加える。

 「なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目ににある梁を認めないのか。自分の目には梁があるのに、どうして兄弟に向かって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきりと見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう」(「マタイによる福音書」第7章)。

 し残錙∧減瀑匯瓩茵反日は愛の宗教といわれるキリスト教を信じる信徒にとって相応しくない内容だ。あなたは愛ではなく、憎悪を世界に広げている。今からでも遅くはない。憎悪を捨て、愛の実践者となって頂きたい。

 上記の内容を麻生副首相は信仰の兄弟、文在寅大統領にやんわりと語りかけてほしい。文大統領は相手が安倍首相ではなく、同じ信仰を持つ麻生氏からの進言であることを忘れないで、心を広げて耳を傾けてほしい。

 当方は昨年、「カトリック信者・文大統領の『信仰』」(2018年12月11日)を書いた。その最後に以下のようなことを述べた。現時点では、それに付け加えることはない。

 「『イエスの教え』を完全に実践することは誰にとっても容易ではないが、『イエスの教え』を完全に否定するような言動は慎むべきだろう。それは神への冒涜だからだ。文大統領が相手を糾弾する前に自身の過ちを正すならば、同大統領の南北融和政策は必ず神の祝福を受けるだろう。さもなければ、南北融和政策は悪用され、韓国を一層カオスに陥れることになるだろう」

南北の「平和経済」は北独裁崩壊後に

 韓国の文在寅大統領は2日、日本政府が輸出管理に関する優遇措置のホワイト国リストから韓国を排除する閣議決定をしたことを受け、大統領府で緊急会議を招集し、日本政府の決定を「不法な貿易制裁である」と批判する一方、「わが国は結束して日本の不法に立ち向かう。2度と日本には負けない」と強調した。その直後(5日)、「南北が協調して平和経済を確立すれば、わが国の経済は日本を凌ぐだろう」と豪語したという。

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▲板門店で会談するトランプ大統領、金正恩委員長、文在寅大統領(2019年6月30日、韓国大統領府公式サイトから)

 国難に直面する韓国の最高指導者としては立派な檄だが、人権弁護士出身の文大統領には口に出さないタブーがある。「南北が協調して平和経済を構築する」というが、南北間には大きな相違が横たわっている。北は故金日成主席、故金正日総書記、そして金正恩朝鮮労働党委員長と“3代世襲の独裁国家”だという事実だ。文大統領はその現実を無視し、南北の平和経済を実現しようと主張しているわけだ。

 金正恩政権を温存しながら、南北の平和経済は確立できない。民主国家の韓国と独裁国家の北朝鮮がどのように協力できるのか。大多数の国民を弾圧し、反対する国民を政治犯収容所に送っている北政権と文政権は如何なる平和経済を構築するというのか。

 それとも、文大統領が語った南北協力、平和経済は“ポスト金正恩”の話か。金正恩政権後の計画とすれば、文大統領の主張は間違っていないが、「金正恩のスポークスマン」と呼ばれ、北に傾斜する文政権が描く南北協力とは、ベトナム型南北の統合を意味するのではないか。共産党政権の北ベトナムが民主政権下の南ベトナムを併合したように、金正恩氏を国家元首とする南北再統一を構想しているのではないか、という憶測が払しょくできないのだ。

 文大統領はこの憶測に対し可能な限り早急に日米同盟国に説明しなければ大変だ。文在寅政権がベトナム型南北統合を目標としていることが明らかになれば、米国の支援を受けた一部韓国軍のクーデターも排除できなくなる。

 米韓両軍は現在軍事演習を実施中だ。それに抗議して北側は先月25日から31日、8月2日、そして8月6日と計4回、6発の短距離弾道ミサイルを発射させ、米韓に圧力をかけている。

 ただし、金正恩氏とトランプ米大統領の間に「トランプ氏が再選されるまでは核実験と米本土に届く長距離弾道ミサイルを発射ない」という口約束ができていて、トランプ氏は短距離弾道ミサイルの発射を容認しているのかもしれない。ちなみに、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官は米FOXTVとのインタビューの中で、北のミサイル発射について、「改良型短距離弾道ミサイルの完成を急いでいるのかもしれない」と受け取るだけで、追加制裁などは視野に入れていないことを明らかにしている。

 トランプ氏が北のミサイル発射に強く抗議していないこともあって、文政権は北の軍事活動に対して静観する姿勢を維持している。というより、表面的には批判する声も聞かれるが、国連決議違反として追加制裁を要求するといった強硬な声は聞かれない。

 短距離弾頭ミサイルは米国の安全の脅威にはならないが、韓国、そして日本の安全を脅かす。だが、文在寅政権は日本のホワイト国排除問題に専念し、北側の軍事活動に対して沈黙している。

 文大統領は就任以来、南北融和政策を展開させてきた。平昌冬季五輪大会、南北首脳会談、米朝首脳会談と一連のサミット会談を実現させたが、トランプ米政権からは信頼されない一方、肝心の金正恩氏からは使い走りか広報官として扱われるだけで、南北協力といった雰囲気はない。その中で、文大統領は平和経済を通じて国民経済の繁栄を夢見ているわけだ。

 誰も夢見る権利はある。中国の習近平国家主席にも「中国の夢」がある。習近平主席は2013年3月、全人代閉会式の演説の中で「中国の夢」として「中国型の社会主義路線を堅持し、5000年の民族の夢を実現させる」と述べている。同じように、金正恩氏も先軍政治と国民経済の復興という夢を追っている。3者の国家指導者の夢のうち、習近平氏と金正恩氏の夢には周到な計画と準備があり、それなりの説得力はあるが、文氏の夢は現実認識に決定的に欠けた妄想の域を超えていない。

 文大統領が南北再統一を民族の夢として追及していくのならば、金正恩氏と人権問題をじっくりと話し合うべきだ。そして「独裁政治はいつか崩壊する」と堂々と主張すべきだ。それができないとすれば、文氏の夢は実現性の全くない妄想に終わるだけではなく、最悪の場合、南は北側に吸収されてしまう。日米両国はそのような悪夢が朝鮮半島で実現される前に文在寅氏の大統領任期が終わり、政界から退場することを願うだけだ。

文大統領「2度と日本に負けない」

 文在寅大統領は2日、日本政府が韓国を輸出優遇対象の「ホワイト国」から削除することを閣議決定したことが伝わると、その4時間後、国民に向かって特別演説をし、日本の制裁が不法なものであり、絶対に正当化できないと強調する一方、日本の無謀な決定に対し、国民に向かって「我々は2度と日本に負けない」と檄を飛ばした。

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▲緊急閣僚会議でスピーチする文在寅大統領(2019年8月2日、韓国大統領府公式サイトから)

 韓国聯合ニュースの上記の記事を読んで、ちょっとしたカルチャー・ショックを受けた。66歳の一国の大統領が隣国に向かって「我々は2度と日本に負けない」と表明したのだ。サッカー試合で韓国ナショナルチームが日本チームに惜敗したからではない。日本政府が2日、輸出管理上の優遇措置の「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定したからだ。日本が隣国にどのよう待遇を決めるかは本来日本側の判断だ。韓国が批判したり、不法と叫ぶ問題ではない。多分、韓国大統領はそのことをよく知っているはずだが、その大統領が「我々は2度と日本に負けない」と強調し、隣国に激しい敵愾心を露わにしたのだ。

 日本と韓国は地理的に最も近い隣国同士でも、歴史、文化は全く異なっていることを知っていたが、「韓国はやはり普通ではない」といった悲しい思いがした。隣国に向かって激しい敵愾心を表明する文大統領は反日では確信犯なのだろう。先ず、日本嫌いがあるから、どのような出来事、事象に対しても反日感情が生まれてくる。その反日感情を粉飾するためにいろいろな理屈が後から付いてくる、といったパターンではないか。

 文大統領は、「韓国政府と国際社会の外交的解決努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明確になった以上、今後起こる事態の責任も全面的に日本政府にある点をはっきりと警告する」(聯合ニュース)とまで言い放っているのだ。一種の戦争宣言のような攻撃性を含んでいる。

 日本政府は韓国のホワイト国除外処置は純粋な貿易上の規約に基づいた処置と説明してきたが、文氏は今回の日本政府の決定が韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用訴訟に対する「明白な貿易報復」と受け止め、「正義は自分にある」といった高姿勢がみられる。

 問題は、しかし、事象に対する受け取り方、解釈の相違ではない。文氏の思考世界にはまず、反日、日本を許さないといった一方的な憎悪がある。解釈や受け取り方は否応なくその影響を受けるから、自身の思考に問題があること、不合理性には気が付かない。容易に正当化できるわけだ。

 韓国人は勝敗に拘る。スポーツの世界でも敗北を潔く受け入れない。五輪大会で審判に度を超えた抗議をするのは韓国人選手が多い。あたかも、勝利以外受け入れられない、といった激情を感じる。第2次世界大戦では韓国は日本軍と一緒に戦い、敗戦したが、終戦直後、「韓国は戦勝国だ」と主張しだしたことを思い出す。

 「日本には2度と負けたくない」という文氏の発言は、負け癖がついた選手たちを鼓舞するサッカーコーチの悲痛な叫びのように響く。同時に、文氏の反日感情が如何に中途半端なものではなく、根が深いかが分かる。勝敗に淡白な日本人にとっては恐ろしさすら感じるのだ。

 度重なる不法な反日言動に忍耐してきた日本はようやく相手に目を向け、刀の鞘に手をかけた。相手は「2度と負けたくない」と宣言し、憎悪を露わにしている。残念ながら、どちら側に理があるか、と解説している時は過ぎてしまった。日韓の本来の敵、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、日韓の争いがデスマッチとなることを内心期待しているはずだ。

文大統領は休暇を取るべきだ

 「韓国大統領府は28日、文在寅大統領が29日から8月2日まで予定していた夏季休暇を取りやめたと発表した。
 具体的理由は明らかにしていないが、日本政府が8月2日にも、優遇措置を適用する『ホワイト国』から韓国を除外する政令改正を閣議決定する見通しとなる中、対応を準備するなど懸案に取り組むためとみられている」

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▲対日関係などを協議する会合で演説する文在寅大統領(2019年7月15日、韓国大統領府公式サイトから)

 上記の時事通信の記事を読んだとき、「文大統領は予定通り、夏季休暇を取るべきだ」と感じた。欧州に長く住んでいると、夏季休暇ばかりか休暇そのものは基本的人権だと考えるようになったこともあるが、特に文大統領には今、休暇を勧めたいと思うからだ。

 7月29日から8月2日までの夏季休日は正味5日間、週末の2日間を含めると1週間となるが、その貴重な夏季休暇を大統領としての職務を継続するために放棄したという。誰がそのように決めたのか。文大統領自身が自主的に休暇をキャンセルしたのだろうか。側近が「大統領、国民の手前、夏季休暇している時ではないでしょう。大統領が率先して働く姿を国民に見せるべきです」と助言したのだろうか。本音は、日本政府が韓国をホワイトリストから排除する日(8月2日)が差し迫っているのに、休暇どころではない、というわけだ。

 文大統領を含む韓国大統領府は発想の転換が必要だ。いい知恵を得るために、これまでのパリパリ(早く早く)ではなく、頭を休めて次の一手を考えるために休暇は絶好のチャンス、と考える発想が大切だ。

 これまでの政策が全てうまくいき、文大統領自身も燃え上がっているというのなら、“押せ押せ”でいくのもいいが、文大統領を含む韓国を取り巻く情勢はそうではない。息切れ寸前にもかかわらず、“押せ押せ”と前だけをみていると、心配になってくる。燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)だ。文大統領の政治の師匠(盧武鉉元大統領)を思い出してほしい。限界まで自身をストレス下に置くと溜まってきたものがいつか暴発する危険性が出てくる。

 大統領就任以来、「革命の時来たる」として大統領府の刷新、歴史の書き直し、外交では徹底した反日路線を突っ走り、国内では積弊清算を実行。一方、北朝鮮に対しては近い将来の南北統一を視野に置きながら南北融和政策を促進させてきた。3回の米朝首脳会談、4回の南北首脳会談を実現させたが、ここにきて行き詰まってきた。

 南北融和政策を実行してきたものの、35歳の独裁者金正恩朝鮮労働党委員長の文大統領への評価は余り良くない。北はここにきて2発の短距離弾頭ミサイルを発射させて文大統領を困惑に陥れたばかりだ。一方、トランプ米政権とは基本的な信頼関係がない。北に傾斜する文政権に対するワシントンの基本的な懐疑があるからだ。

 そして大統領就任以来、反日政策を積極的に進めてきたが、そのツケが回ってきた。忍耐強い日本政府も輸出管理の見直しに乗り出し、国際法に差し障らない範囲でソウルを攻撃してきた。慌てたのは韓国側だ。叩いても大丈夫だと勝手に思い込んできたが、日本が本気に怒り出してきたのだ。そうなれば勝敗は明らかだ。韓国経済は発展し、先進国の仲間入りをしたが、それも日本側の陰日向の支援があったからだ。日本は過去の韓国植民統治時代を謝罪するという意味合いもあって韓国を支援してきたが、文大統領政権が1965年の日韓基本条約・請求権協定を破棄する一方、慰安婦問題でも日韓合意を一方的に放棄する無法国家のような振る舞いを実行するのに及んで、さすがの安倍晋三首相も切れてしまった。

 文政権発足後の日韓関係の詳細な経緯は省略するが、いずれにしても日韓関係は戦後最悪の状況といわれる。その多くの責任はやはり文政権にある。韓国側の現在の窮地は自業自得といわれても仕方がない。

 そこで当方はカトリック教徒の文大統領に「今こそ休暇を取って聖書をじっくりと読みなおし、朝鮮半島の将来を考えてみたらどうだろうか」とアドバイスを考えていた矢先だった。その時、韓国大統領府は大統領は国難に対処するために国家が認定した有給休暇を断念して、青瓦台に閉じこもって対日政策について考えると発表したのだ。致命的な間違いだ。韓国が国難に直面しているからこそ文大統領は休みを取り,内省の時間を取るべきであり、国民や経済界は文大統領が休んでいるときこそ政府からの干渉を心配せず、これまで通り積極的に活動すべきではないか。

 文大統領を含む韓国大統領府を牛耳る革命世代は押せ押せ、革命だと無理強いをしてきたが、その歩みは限界に達したのだ。遅いということはない。文大統領には残された後半の任期を有終の美で飾るために、どうか夏季休暇を取って頂きたい。これまで見えなかったものが見え、これまで忘れていた思考やアイデアが生まれてくるかもしれない。パリパリ文化から脱皮する絶好の時だ、文大統領はその見本を国民に見せるべきだ。国民が走り、その大統領もバリバリと奔走する文化から韓国は脱皮し、先進国に相応しい余裕のある思考世界を構築していくべきだろう。

 安倍首相との日韓首脳会談はここ当分は期待できない。そこで文大統領は安倍首相をゴルフに誘ったらどうだろうか。堅苦しい話はせず、もっぱらゴルフに集中する。ゴルフ外交だ。もちろん、安倍首相はトランプ米大統領とのゴルフには喜んで応じても、文大統領とゴルフとなれば考えるかもしれないが、一度トライしても悪くない。安倍さんがあまり乗り気でない場合、文大統領は「わが国には世界最強の女性ゴルファーがいます。ユン・チェヨン選手の教えを受けながら、安倍さん、プレイしましょうよ」と一押ししてもいいだろう。案外、効果があるかもしれない。

文大統領に「大阪」で考えてほしい事

 大阪市で主要20カ国・地域の首脳会談(G20サミット)が28日午前(現地時間)、開幕した。欧州のメディアの関心はもっぱらトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の2大経済大国間の貿易戦争の行方に注がれている。オーストリアのメディアは、「実質はG20ではなくG2だ。他の18カ国はそのサミット会議を盛り上げるための書割的役割を演じるだけだ」と報じていた。

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▲大阪のG20首脳会談に参加した韓国・文在寅大統領(韓国大統領府公式サイトから)

 当方はウィーンの地から大阪G20サミット会議の行方を追っている。当方が注目していたのは、首脳会談の記念写真撮影前後のホスト国・安倍晋三首相とゲスト国・韓国文在寅大統領との接触時だ。時事通信も聯合ニュースも日韓首脳の挨拶の瞬間の写真を配信していた。その絵解きは「両首脳は互いに目を合わさず」というのだ。トルコのエルドアン大統領やフランスのマクロン大統領との挨拶では笑顔であいさつした安倍首相も文大統領との時には笑顔は消え、握手しただけで終わった。

 安倍首相の立場も理解できる。文大統領政権に入って、韓国はこれでもかこれでもかと日本批判を繰り返し、海外には慰安婦像を輸出し、日本は過去多くの犯罪を犯した国であるとアピールしてきた。文大統領はその反日政策の張本人だ。その人物と笑顔で握手することは如何に寛大な心の持ち主の安倍首相であっても容易ではないだろう。笑顔を見せれば、反日批判で傷ついてきた多くの日本国民を傷つけることになる一方、日本を批判しても反撃や報復はないと高を括っている韓国人を一層増長させることになる。安倍首相は、「日本国民は怒っている」というメッセージを反日政策の主人公、文大統領に伝えるために笑顔を殺すだけではなく、厳しい表情で握手したのだろう。

 文大統領が空軍機で大阪に乗り込んだとき、雨が強かった。機内から出た文大統領夫妻は「屋根なしのタラップ」から傘を差しながら降りてきた。韓国の中央日報日本語版は早速「なぜホスト側の日本は屋根付きのタラップを準備しなかったのか」という声を報じ、「日本の韓国冷遇」を紹介していた。

 幸い、韓国大統領府報道官は、「空港到着時、開放型タラップを設置したのは写真取材の便宜などを考慮した韓国側の選択だ。雨に少々打たれても、歓迎に出てきてくれた方々に礼を尽くすためのものだった」(中央日報)と説明し、韓国冷遇説を一蹴していた。

 大阪サミット会議では安倍首相と文大統領の日韓首脳会談は開催されないという。韓国側は最後まで安倍首相との首脳会談開催を願ってきたが、日本側からは「日程上で難しい」という返答だったという。韓国側は「最後まで可能性を探る」と述べていたことから、突撃インタビューではないが、ひょっとしたら非公式だが、偶然会談が実現できるかもしれない。

 韓国側にとって数少ない朗報はトランプ米大統領が大阪サミット会議後、29日、30日に訪韓し、文大統領と米韓首脳会談を開くことになったことだ。外交筋では「韓国大統領府からの強い要請を受け、トランプ大統領は訪韓を受け入れた」という。

 文大統領は就任以来、南北融和路線を推し進め、日本に対しては「積弊清算」を掲げ、反日路線を突っ走って来た。その結果、4回の南北首脳会談を実現し、北朝鮮の金正恩労働党委員長の“広報官”と呼ばれるほどになったが、文大統領の北欧訪問時での演説内容について、北側からかなり厳しいクレームが報じられた。

 聯合ニュースによると、北の対外宣伝インターネットメディア「メアリ」は28日、「今は恩着せがましい振る舞いや不穏当なたわごとではなく、南北関係の膠着局面を打開するための実践的な行動が必要な時」とし、文大統領の北欧訪問時での発言を批判している。

 文大統領は報道記事を読んだだろうか。平昌冬季五輪大会で北側を支援し、トランプ大統領との米朝会談実現を“陰で支援した”のに、という思いが文氏に出てくるかもしれない。

 文大統領は大阪首脳会談のホスト国日本から冷遇され、南北融和路線の相手、北側からは「黙れ」と批判されるなど、逆風に直面している。ただし、文大統領は現状の窮地を誰のせいにもできないだろう。日本から厳しい目線で迎えられる原因の種をまいたのは本人であり、金正恩氏の広報官に就任したのも自身が選択した道だ。残る希望はトランプ大統領の訪韓だろう。2020年の選挙戦を控えるトランプ大統領から朝鮮半島の非核化の労を評価され、慰めの言葉を受けるかもしれない。金正恩氏を友人と評価できるトランプ氏だ。その金正恩氏の広報官に慰めの言葉の一つぐらい飛び出すかもしれない。

 いずれにしても、日韓両国指導者が互いに目を向けあい、朝鮮半島の将来について協議できないということは、アジアの未来にとってもマイナスであることは間違いないだろう。特に、文大統領には考えて頂きたい。大阪のG20サミット会議は文氏にとって大統領就任2年余りの反日政策の結果と向かい合っている、ということを。

 ひょっとしたら、文大統領は「大阪」といえば金正恩委員長の実母・高英姫(故人)、あるいは自ら断罪した元大統領・李命博の出身地を最初に思い浮かべるかもしれないが、大阪には多くの在日韓国人が住んでいる。彼らは日韓関係の改善を心から願っている。そのことを忘れないでほしい。

文大統領「対話で国防」の脳天気さ

 韓国最大手日刊紙「朝鮮日報」日本語版(6月20日)の社説には考えさせられた。タイトルは「『対話で国を守る』と主張する韓国軍の笑えない喜劇」だ。朝鮮日報は国防日報17日付1面の記事「南北の平和を守るのは軍事力ではなく対話」(その内容は文在寅大統領のスウェーデンでの演説)を報じ、「国の安全保障における最後の砦となる韓国軍が、軍事力ではなく、対話で国を守る」という趣旨に大きな懸念を表明している。

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▲南北融和路線を一直線に走る文在寅大統領(2019年6月20日、韓国大統領府公式サイトから)

 朝鮮日報の懸念は正論だろう。「対話」は戦争や軍事衝突を回避するための前哨戦だが、国を守るのは最後はその国の軍事力だ。軍事力の脆弱な国は対話テーブルにおいて、守勢をどうしても余儀なくされる。

 冷戦時代を思い出す。欧州は東西陣営に分割され、民主主義陣営と共産主義陣営が激しく覇権争いを展開させていた。最終的には、米国の圧倒的な軍事力の前にソ連は白旗を挙げて冷戦時代は一応を幕を閉じた。そこまで到着するのは安易な道ではなかった。軍事力で劣勢が明らかになると、ソ連共産圏陣営はデタントを表明し、対話路線をちらつかせてきた。カーター米大統領(任期1977〜1981年)はデタント戦略に騙され、「人権外交」を標榜し、共産主義の拡大を許したことは歴史的教訓だろう。冷戦時代では「対話」は軍事力が劣勢の時、時間稼ぎを目的とした一種の戦略に過ぎなかった。国連を舞台とした国連外交もその延長戦にあった。

 「対話外交」の実例を挙げて考えてみたい。イラン核協議で13年間の対話外交が続けられた。核協議はイランと米英仏中露の国連安保理常任理事国にドイツが参加してウィーンで協議が続けられ、2015年7月、イランと6カ国は包括的共同行動計画(JCPOA)で合意が実現した。イラン核合意は13年間の対話外交の成果として評価された。

 ところが、トランプ大統領が2018年5月、「イラン核合意は不十分であり、イランの核開発を阻止できない上、テヘランは国際テロを支援している」として、核合意から離脱を宣言、同時に対イラン制裁を再開した。米国の核合意離脱表明後、イランは、「欧州連合(EU)を含む欧州3国がイランの利益を守るならば核合意を維持するが、それが難しい場合、わが国は核開発計画を再開する」と主張し、関係国に圧力をかけてきた。具体的には、イランは今月27日にはJCPOAで許容されている低濃縮ウランの保存量300キロを超え、来月8日にはウラン濃縮レベルを3・67%を超える高濃縮プロセスに入ると警告を発したばかりだ(核兵器用には90%のウラン濃縮が必要)。

 冷戦時代の軍縮外交の成果といわれた中距離核戦力全廃条約(INF)が米国とロシア両国間で破棄された。トランプ米大統領は昨年12月初め、「ロシアはINF条約に違反している」と批判し、モスクワが陸上発射型巡航ミサイル「ノヴァトール9M729」(NATOのコード名・ 巡航ミサイルSSC−8)を破棄しなければINFから離脱すると表明、60日内という最後通牒を発した。それに対し、プーチン大統領は、「米国は自国の軍拡政策をカムフラージュするためにロシアを批判している」と反論し、米国のINF違反批判を一蹴してきた。

 INF条約、そしてイラン核合意は“対話外交の成果”と受け取られてきたが、第2次冷戦時代に入ったといわれる現在、2つの対話外交の成果は破棄されたわけだ。外見的にはトランプ米政権の一方的な条約破棄のようにみえるが、INFの場合は、ロシアがINFの陰でミサイル開発を促進してきたという事実、イラン核合意の場合、テヘランは核合意の背後でミサイル開発を続ける一方、地域テログループに軍事支援をして中東地域の危機を深めてきたという事実がある。冷戦時代の構図の出現だ。敵国を対話テーブルに誘い、相手側を油断させる一方、軍事力の拡大に腐心するというパターンだ。

 同じことが朝鮮半島でもいえる。核実験とミサイル発射を繰り返し、国際社会の厳しい制裁下に陥った北朝鮮は韓国の文在寅政権の南北融和路線を巧みに利用して対話外交を展開させてきたが、非核化に応じる考えは最初からない。対話外交で対北制裁を解除させる一方、核保有国の認知を得るという戦略だ。ここでも対話が重宝に利用され、南北首脳会談、米朝首脳会談、ロ朝首脳会談、中朝首脳会談と次々と対話外交を展開させてきたわけだ。

 強硬な対話外交を展開させる北朝鮮に対し、文政権はもろ手を挙げて歓迎し、「対話で国を守る」というメッセージを韓国軍の兵士たちの前で叫ぶ有様だ。金正恩氏は文大統領のメッセージを読んで笑いだしただろう。当の金正恩氏はミサイル発射実験を現場で視察した際、「強力な力によってのみ、平和と安全は保証される」と発言しているのだ。文在寅大統領は“第2のカーター”になろうとしている。

 それだけではない。朝鮮日報は今月15日に江原道三陟港に入港した北朝鮮漁船を巡る一連の事態を報じ、首を傾げている。国防省は北朝鮮の漁船乗組員による帰順を把握できなかったばかりか、韓国軍の警戒網に致命的な欠陥があることを無視して偽証している。「対話こそ国を守る」といわれ、60万人の韓国軍兵士の士気が下がっている。

 相手を理解する手段としては「対話」は素晴らしい。個人から国家の外交に至るまで問題を対話を通じて解決するという考えは大切だが、第2次冷戦時代を迎えた今日、対話が悪用されるケースが出てきているのだ。中国の最近の軍事拡大路線はその典型的な例だ。世界が冷戦終焉に酔っていた時、北京の共産党政権は着実にその版図を拡大してきた。それに気が付いたトランプ政権は対中強硬政策に乗り出してきたわけだ。

 対話、寛容、公平、譲歩を愛するリベラルなメディアからはトランプ政権は激しい批判を受けているが、“ディールの名手”を自負するトランプ大統領は対話の価値と同時にその限界を知っているのだろう。対話テーブルではトランプ氏は常に世界最強のパワーをちらつかせる。平和憲法を掲げておけば、国が守れると考えている一部の日本人には、トランプ氏の言動は国際連帯を無視した米国ファースト外交と見えるのだろうが。

韓国は全てを失う危機に陥っている

 韓国は今、大きな選択を迫られている。簡単にいえば、中国との経済的利益を優先するか、米国との戦略的関係を重視するかの選択だ。もう少し具体的に言えば、中国最大の通信機材・華為技術(ファーウェイ)との経済的関係を維持するか、トランプ米政権の反ファーウェイ陣営に入るかだ。その選択は文在寅政権にとって容易ではないのだ。

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▲ハンガリー遊覧船沈没事故で早急な救援を指示する文大統領(2019年5月31日、韓国大統領府公式サイトから)

 トランプ大統領はファーウェイが中国共産党政権の情報工作でスパイ活動的な役割を果たしているとして、自国のIT・通信企業にファーウェイとの取引を禁止させる一方、同盟国に対してもファーウェイ封じ込みに加わるように要請している。日本はトランプ政権の要請を受け、ファーウェイの公共事業への参加を禁止している。カナダ、オーストラリアを始め欧州でもファーウエイ警戒が高まっているが、韓国は、というと態度があいまいなのだ。もちろん、それなりの理由はある。

 ファーウェイが世界市場から封鎖されれば、サムソンなど韓国製スマートフォンにとって市場シュアの奪回チャンスであり、販売数が増加することは考えられる。複数の通信事業者がファーウェイ製スマートフォンの新製品発売を先送りしている。サムスン株は米政府がファーウェイ封鎖策を発表して以来上昇している、という情報も報じられた。

 しかし、それはコインの一面だけだ。ファーウェイは、サムスン製半導体メモリーの最大顧客だ。世界2位の半導体メモリーメーカーである韓国SKハイニックスの最大顧客もファーウェイだ。韓国にとって、中国が米国を大きく凌ぐ貿易相手国だ。昨年の貿易額では対中は全体の26・8%だったが、対米は12%にとどまっている(ロイター通信5月30日)。

 だから、韓国が反ファーウェイ陣営に加われば、自身の最大顧客を失うことを意味する。ビジネスを優先すれば、ファーウェイが中国共産党政権のスパイ活動を支援しているという疑いだけで、最大のビジネス相手を捨てるわけにはいかないのだ。

 それだけではない。中国共産党政権を怒らせれば、その報復が怖いのだ。韓国が2016年、対北ミサイル防衛のために米国の新型迎撃ミサイル「サード」(THAAD、高高度防衛ミサイル)の国内配置を決定した時、中国は猛烈な報復に出てきた。サムソンのスマートフォンや韓国製自動車の売り上げは急減し、民間レベルでも中国人の韓国旅行は前年比で60%減を記録し、韓国ロッテグループの店舗建設は中止に追い込まれ、最終的にはロッテは中国市場から追放されたことはまだ記憶に新しい。

 朝鮮日報は6月4日、「中国外務省の当局者がサード問題に言及し、韓国政府に対し『正しい判断をしなければならない』と述べた」と報じている。中国側が「韓国よ、昔の過ちを繰り返すなよ」と警告を発したわけだ。

 もちろん、米国側も無関心ではない。中央日報(日本語版)は7日、「ハリー・ハリス駐韓米国大使は5日、韓国内のIT企業を招いて『信頼できないプロバイダー(ファーウェイ)を選択すれば長期的なリスクと費用が大きくならざるをえなくなる』と指摘し、米国の『反ファーウェイ同盟』に韓国も参加するよう要請した」と報じている。ファーウェイ問題で米中の双方が韓国に圧力を強めてきているわけだ。

 中央日報は、「韓国が昨年ファーウェイから購入した装備は約460億円にすぎない反面、ファーウェイが韓国企業から購入した部品は約1兆1500億円に達する。もし韓国が米国の要求通り取り引きを中断すれば、ファーウェイ装備を使っているLGユープラスだけでなく、最大輸出国である中国の比重が高いサムスン電子やSKハイニックス、さらには韓国産業全般に大きな打撃が避けられなくなる状況だ」と報じ、韓国経済が中国依存体質であることを明らかにしているのだ。

 大国に挟まれた韓国は過去、強国から軍事的、政治的、経済的圧力をかけられてきた経緯がある。そして過去の韓国の為政者が間違った選択をしたために民族が苦渋を味わってきたことが少なくない。ファーウェイ問題は、中国を取るか、米国を選択するか、経済的利益を優先するか、同盟国との戦略的連携を重視するか―の選択を韓国に迫っている。短期的には、前者の選択が魅力的であることはいうまでもない。後者の選択は国民や経済界に犠牲を強いることにもなるからだ。ただし、韓国側が忘れてはならない点は、中国が北朝鮮と同様、一党独裁国家であり、民主主義とは程遠く、実際は人権蹂躙国だということだ。

 韓国が選択を躊躇していると、最悪の場合、両方を失ってしまう。文在寅政権が中国から小馬鹿にされ、米国からは同盟国扱いされなくなってきている現状は、その最悪のシナリオが現実化してきているようにみえる。
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