ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ西約50キロにあるメジュゴリエに聖母マリアが顕現して今月24日で30周年目を迎える。
 メジュゴリエでは1981年6月、当時15歳と16歳の少女に聖母マリアが再臨し、3歳の不具の幼児が完全に癒されるなど、数多くの奇跡が起きた。通称「メジュゴリエの奇跡」と呼ばれ、これまで1000万人以上の巡礼者が訪れている。
 バチカン法王庁はメジュゴリエの聖母マリア再臨地を公式の巡礼地と認めていないが、ローマ法王ベネディクト16世が2008年7月、「メジュゴリエ聖母マリア再臨真偽調査委員会」を設置。枢機卿、司教、専門家13人で構成された同委員会が10年3月に調査を開始したばかりだ。
 同委員会議長のルイニ枢機卿は14日、ローマでの記者会見で「『メジュゴリアの奇跡』の近い将来の公認は目下、考えられない」と述べた。30周年を前に奇跡の公認を期待していた現地の多くの聖職者、信者たちは枢機卿の発言を聞き、「失望」したといわれる。
 バチカン法王庁は「奇跡」や「霊現象」には非常に慎重な姿勢を取ってきたことは周知の事実だ。カトリック教会では「神の啓示」は使徒時代で終わり、それ以降の啓示や予言は「個人的啓示」とし、その個人的啓示を信じるかどうかはあくまでも信者個人の問題と受け取られてきた経緯がある。その点から判断すれば、今回の枢機卿の発言は決してサプライズではない。
 ちなみに、聖母マリア再臨地を実際訪問したオーストリアのカトリック教会最高指導者シェーンボルン枢機卿は09年12月、「メジュゴリエ現象は社会の平和に貢献する内容が含まれている、多くの若者たちが同地を訪れ、平和のために祈りを捧げ、病気が治ったり、回心者まで出ている」と報告し、同地には宗教的エネルギーが溢れていると証言している。
 「メジュゴリエの奇跡」公認問題が難しい背景には、バチカンの姿勢もそうだが、巡礼者へのケア問題で現地のフランシスコ会修道院と司教たちの間で権限争いがあったからだともいわれる。
 いずれにしても、「メジュゴリエの奇跡」がバチカンに公認されなくても、多くの巡礼者が今後も訪れることだけは確かだ。現代人は「奇跡」に飢えているからだ(「若者たちは奇跡に飢える」08年9月15日、「奇跡を待って徹夜する人々」(09年11月3日参照)。