「ですよね、担当医でないと恥ずかしいのは当然です」
僕はそう同調する。
無理強いはしない。
だが、提案は重ねる。
その方針で進めてゆく。
「あの内診台に乗って頂き、内部をチェックすることが必要です」
僕はそう粛々と手順を述べる。
「そう」
美里はすこし顔を青ざめ、頷く。
「ええ、正直、初めは抵抗があると思います」
そう指摘する。
赤の他人。
しかも、男性だ。
ここの主治医は女医。
それがハードルを下げていると指摘もされる。
その意味では、僕は異端児。
異端の医師ということになる。
「そうね…」
美里は素直に頷く。
「婦人病には、危険性の高い子宮頸癌とか、どうしても内診が必要なものがあるのです」
僕はそう付け加える。
「MRTとかCRTではダメなの?」
美里はその美しい眉を少し潜めて、聞いてくる。
「ええ、可能だと思います。腫瘍の有無は少なくとも分かります」
僕は素直に答える。
「そう、まずはそれを受けることは可能?」
美里は神にも出遭ったかのように、喜ぶ。
「良いですよ」
僕はそう応じる。
面倒。
こちらは多忙。
何をぶつくさ言っているのか。
そんな横暴な婦人科医が多いと聞く。
元々、数が不足している。
更には少子・高齢化の将来性の無さから、専攻する医師の数も減っているのだ。
その上に、訴訟件数も多い。
子ども。
一番、重要な出産に絡む案件は実に多いのが現状だ。

