「離婚したいとか言い出してね…」

私はそう爆弾発言をする。

「り、離婚ですか!」

篠原はびっくりする。

もちろん、ブラフ。

其処まで、妻は表面上は不満を述べていない。

怨みがましい表情を時たま、見せるが、何せ、出戻り娘。

それに、私は姉の元夫。

両方の縛りで、文句を言いようがないのだ。

 

「そ、それは困りますね」

篠原はSEX出来ないと、夫婦とは離婚するものだと安直に理解したようだった。

逆に、日本全体、セックスレス夫婦が急増している現状を全く理解していない。

どの妻もやる気のない亭主に不満を抱きつつあるのも、育児や家事に手を割かれて、口に出すのも憚られるという状況なのだ。

 

「そう、困ってる…」

私はわざと大きなため息を立てた。

「病院には行かれたんですか?」

篠原は極当たり前の事を聞いてくる。

常識は十分ある。

それは認めることにする。

「うん、病院ではED治療薬があるにはあるんだ」

私はそう正直に答える。

今や、スマホで何でも検索できる時代。

下手な嘘は付けない。

「じゃあ、それを飲めば何とか?」

篠原はやや顔を明るくしてくる。

手立てはある。

だが、不十分。

 

「それでは、妻は満足しないみたいなんだ」

私は更に表情を暗くして、答える。

「そうですか、夫婦って簡単じゃないんですね」

慰めともつかないセリフを篠原は述べてくる。

男性として機能を果たせない。

その告白が少なくとも、篠原を優位に立てている事に、全く気が付いていない。

勝っている。

少なくとも、私には男性機能としては勝っている。

そんな余裕が表情から滲み出てきている。

 

ぐっ…

怒鳴りたいのを必死で抑える。

下手な先生、煽てりゃ木に登る。

否、

煽てて、妻を抱かせる。

妻の上に登らせるのだ。

私は改めて、そう決意した。