2009年03月
2009年03月23日
中国での騒乱について
<中国>チベット僧ら暴動 4千人衝突、6人逮捕
3月22日19時32分配信 毎日新聞
【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国青海省ゴロクチベット族自治州で21日、僧侶約100人を含む数百人の暴徒が地元警察署を襲い、地元政府の職員数人が軽傷を負った。警察当局は22日に暴徒6人を逮捕。89人が自首した。チベット亡命政府によると、チベット族約4000人が「独立」を叫んで警察と衝突したという。
中国当局は今月、ダライ・ラマ14世亡命につながったチベット動乱から50年、ラサ暴動から1年になることから、チベット族居住地域で厳戒態勢を敷いていた。今年に入って中国国内で、僧侶の大規模暴動が発生したのは初めて。
同通信によると、僧侶が地元警察の取り調べ中に行方不明になったとのうわさが引き金になったという。
一方チベット亡命政府によると、僧侶は動乱50周年の今月10日に寺院屋上の中国国旗を降ろし、亡命政府の旗を掲げた。地元警察に拘束されたものの逃走し、黄河に飛び込んで自殺を図ったという。
「暴動」とのことですが、私個人としては「抗議行動」と呼ばせていただきます。地元警察は武装しているのですから、これは「内戦」ということになるのではないでしょうか。ウイグルの時の報道も言葉がとてもおかしいと感じました。あれは「テロ」ではなく、「武力衝突」です。早く新華社通信以外のソースを報道してほしいものです。
生命を投げ捨てても抗議行動に走るチベット人たちの悲しい近代史は本映画祭でしっかりと提示いたします。その代表作は『チベット難民 世代を超えた闘い』です。
当たり前の自由を求めて抗議する人々に実弾や拷問で応えることなど、許せるはずがありません。パレスチナも然りですが、テレビ報道や新聞だけでは伝わらない凄惨な真実があります。
ヒマラヤ国際映画祭で、そのことを知ってほしいと願います。
人間は自由であるべきです。
2009年03月22日
『盲目のクライマー』『運命の高峰』『死の領域を越えて』
『盲目のクライマー』『運命の高峰』『死の領域を越えて』の3本です。
私は海は潜りや遠泳で親しんでいますが、登山はまったくだめです。こういった人間がヒマラヤ映画祭の運営をしているというのも、「人生」なのですが、山のことなど知らないからこそ、この3本を観て、のけぞりました。
標高7000メートルを越えた登山の過酷な世界をはじめて知り、知らなかった私が悪うございましたと、スクリーンに思わず謝ってしまいました。とんでもない挑戦なのです。
垂直の絶壁、マイナス40℃、しかも空気がきわめて薄いときたもんです。空気ボンベがないと正常な意識も保てない世界なんですね。こんなところでキャメラを回し続けたみなさん、もう恐れ入ります。
この3本、実ににすごいです。できるだけ映画祭の最初で鑑賞いただいたほうが山の知識を持つことができてよろしいかと存じます。
感動はエベレスト級でございます。
詳細は述べませんが、まず『盲目のクライマー』には人間の無限の可能性を感じて欲しいと思います。健常者ですら6人に一人が死んでしまうエベレスト登頂に、まったく目が見えない青年が挑戦します。しかも彼には奥さんも子どももいます。彼もすごいのですが、彼を送り出す奥さんも本当にすごい!!「夫婦善哉」ヒマラヤ版でございます。泣けて仕方がありません。
目が全く見えない主人公は私たちより遥かに自由な世界に生きています。私たちの多くは何かをできないことを他人のせいや自分の力のせいにしてしまいますが、この映画は人間には不可能などないとはっきりと宣言しています。思う存分泣いて勇気をもらってほしいと思います。
『運命の高峰』もまた、力作です。パートナーの無謀さゆえにすさまじい不幸に見舞われたクライマーの絶望と悲劇、そしてそこから立ち直っていく姿を描いた本作は上映時間こそ1時間足らずですが、壮大な物語です。登山映画入門としてもお薦めします。
『死の領域を越えて』はある「超人」の物語です。詳細は映画をご覧になってください。特に映画の最後の後日談は(クライマーの間では有名なお話ですが)秘密です。
命を賭した過酷な挑戦の数々に、私たちは人生の意味や人間の可能性はどこまでか、という根本的な問いをつきつけられます。
2009年03月19日
『少女とアイスホッケー』は自由のために戦う少女たちの青春映画です
隣村(といってもかなり遠そうな)はふだんまったく交流がないモスリムの人々の村ですが、ドルカたちはチームのメンバーを探しに出向き、ついにチームが結成されます。婦人会にも口ぞえを頼みます。
そしてトーナメントの日を迎えます・・・。
『少女とアイスホッケー』は一人の少女とその仲間がアイスホッケーをする自由のために戦う物語です。
(何だかよくわからない)インドのポップミュージックに乗った、笑いあり涙ありのさわやか青春スポーツ・ドキュメンタリー映画です。
今回の映画祭は大変重たいテーマの作品も多数ありますが、本作はさわやかさ抜群!モスリムの女の子たちの妙に力の抜けた感じも最高でっす。
ドルカちゃんたちと一緒に踊りたくなった方は、どうぞ劇場内で踊っていただいて結構かと存じます。
www.wgfilm.com/english/home/
2009年03月18日
『天空を駆ける』は稀有なロードムービーです
製作、監督、撮影、録音、そして主演をたった一人でこなしている「一人映画」です。しかも撮影技術は今回の映画祭作品の中でもかなり上位に位置します。
http://dirttrackproductions.com/
ユーモアセンスもたっぷりで、前半は笑ったり、無謀な冒険にあきれたりといった感じなのですが、旅が奥地に行くに連れて、なんとも素晴らしい遊牧民との交流がはじまります。エモーションが映像を揺るがし、旅の映画につきものの「別れ」が胸をしめつけます。
チベットをよく存じないチベットファンやチベット支援者の方も必見です。チベット自治区と外国の難民キャンプだけがチベットだというのはとんでもない勘違い!チベットは壮大な文明圏であり、その広大さ奥深さに、ぜひ本作品で圧倒されてください。
映画の勉強をしている皆さんにも、ぜひ本作品をお薦めします。映画を撮り上げるという行為が対象への愛に他ならないこと、それだけで映画が完成してしなうことの奇跡を目の当たりにすることでしょう。ロジャー・コーマンなどのローバジェット(低額予算)云々のレベルを遥かに「下回る」超低額予算の一大傑作です。映画が撮れないのはお金のせいではありませんよ!
この映画を見るまでの私自身も含めてヴィム・ヴェンダースこそが偉大なロード・ムービーの大御所だと思ってきた皆さんは、その考えが無残に打ち砕かれます。ヴェンダース命の人はショックを受けるので観ないほうがいいかもしれません。実際、『天空を駆ける』の抒情は・ヴェンダースの最高傑作(?)『さすらい』に匹敵し、膨大なお金と有名俳優を使わないと『世界の涯てまでも』を撮れなかったヴェンダースの試みを凌駕します。
テーマ曲もばっちり。何かちょっと70年代の日本映画の良質のサントラみたいです。耳に残ります。
本作で身も心もヒマラヤに抱かれてください。
http://himalaya2009.jakou.com/
2009年03月17日
『思いを運ぶ手紙』ウゲン・ワン監督と会いました!
驚くべきことに、今回の上映作品『思いを運ぶ手紙』のウゲン・ワン監督が来日、来場されていまして、思いがけず初めてお目にかかることができました。本人も関西での上映を大変よろこんでいました。
さすがに映像作家でして、ホーム用ビデオキャメラを持ち歩き、自分の作品を見た感想をキャメラに日本語で話してくれとのリクエスト。私とO君が話しました。
ハンドキャメラがあれば、世界を切り取り、スクリーンに再現することで人を感動させることができるのがドキュメンタリー作家です。今回上映する作品の偉大なる作家たちに改めて敬意を表します。
出会いが広がるヒマラヤ国際映画祭です。
http://himalaya2009.jakou.com/
2009年03月14日
秘境?ブータンの傑作『雷龍の国へ!』『思いを運ぶ手紙』
そこで、今日はブータンに関する作品紹介をいたします。
今回の映画祭でもイチオシの傑作はブータンを舞台にした『雷龍の国へ!』です。ブータンというと秘境、伝統、仏教、最近では国民総幸福量政策というイメージがつきまといます。
しかしこの映画はカナダ人の青年2人が何と一輪車で急峻な地形のブータンほぼ全土を西から北、東まで旅する楽しいアドベンチャー映画なのです。見たことがない乗り物に子どもたちは大喜びで、町や村は大混乱。いや子どもたちだけではなく、大人たちも・・・。とにかく笑って楽しんでブータンがどんな国かも知ることができる最高の45分です。
もちろん、ドキュメンタリーです。
公式サイトはこちら
http://www.unicycle.com/thunder.asp?id=653
予告編動画
http://www.youtube.com/watch?v=1zBwv3PIa6Q
私も最初に東京で見たときはその奇抜さに空いた口がふさがりませんでした。
いやあ、この二人いわゆる最近の日本であまり見かけなくなった「バカ」なのです。
人間はどんな「バカ」になってもいい自由があります。エアギターというパフォーマンスがありますが、あれに世界コンテストがあって世界中からフィンランドでの大会優勝をねらって「バカ」たちが参加します。私はこのコンテストのドキュメンタリーを見て、その壮大な自由讃歌に涙してしまいました。
この一輪車乗りたちも同じように壮大な自由を具現化するのです。
この映画祭の隠れテーマは実は「自由」です。『雷龍の国へ!』はそのシンボルともいえる作品なのです。
ぜひ親子連れで来て、小さいお子さんたちにも見せてください。
撮影テクニックは奇抜でユーモアたっぷり。ブータンを舞台にしたスピード感あふれる映画なんて、他に絶対ないでしょう。
もう一本は『思いを運ぶ手紙』です。首都ティンプーと山村の片道10日の距離を26年も往復してきた郵便配達人の記録映画です。ブータンは自動車が入れない道がたくさんある国なのです。もちろん自動車もまだあまり普及していません。
この映画に物語はありません。ただただ寡黙に仕事に従事する彼の生き方の美しさと雄大な自然に圧倒されます。
私たち日本人が経済成長の中で捨ててきてしまったとても大切なものが、この映画にはたくさん詰め込まれています。日々疲れた人や、悩みがある人たちに本当に見て欲しい映画です。
ヒマラヤ国際映画祭は、みなさんをスクリーンの中の秘境ブータンへご案内します。
http://himalaya2009.jakou.com/
2009年03月12日
スケジュールが決まりました
正式サイトで発表しています。
スケジュールのテキスト版、HTML版も一両日にアップしたいと思っています。
http://himalaya2009.jakou.com/home.html
どうぞ、30本の作品から、興味のある作品をぞんぶんにお楽しみください。
でも、どの作品を観ていいか、迷ってしまうほどの本数です。
そこで今日からこのブログで、ヒマラヤ映画祭 WEST JAPAN 2009の見どころや最新情報をお知らせしていきます。
あなたの映画祭のスケジュールの一助になれればと思っています。