April 21, 2012
違いが分かる犬
March 24, 2012
漫画大賞
March 10, 2012
虹
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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子供の頃、雨上がりの放課後に学校の校庭から大きな大きな虹が見えた。
虹は地面からニョッキリ生えていると思っていたアタシとキョーコちゃんは虹の始まりを見たくてたもとを目指して校庭を飛び出した。
歩けども歩けども虹は遠く、いつしかアタシ達は手を繋いで走り出していた。
行く手を阻む背の高い家々やアパート、お店やビルや大人達に遮られて虹のたもとは見えなかった。
どこまで走ったんだろう?
小さな足ではたかが知れてる程度だとは思うのだけど、空ばかりを見ていたものだから気づいたら知らない町にまで入り込んでいた。
アタシ達は虹を追いかけるのを諦めた。目的は果たせなかった。それでもガッカリはしなかった。なんだか凄く楽しかったのを覚えている。
帰り道、もしもの時の電話代としてお母さんから渡されていた10円でフィリックスのガムを買ってキョーコちゃんと半分こした。くじはハズレだったに違いない。もう1つゲットした記憶がないから。
アタシ達は歩きながら当時流行った二重膨らましやどっちが大きく膨らませるか?という風船ガム遊びに夢中になっていた。また今度探しに行こうと、消えかかった虹を背にバイバイと手を振って別れた。
夏休みになり、玄関掃除を言いつけられてジョウロで水まきをしていたアタシは目の前の光景にハッとして釘付けになっていた。
小さな虹が出来ていた。
いつも見上げるばかりだった大きな虹が自分のおへそと変わらぬ位置にフワリと姿を現したのだ。
キラキラと降り注ぐ水玉の中に虹はポッカリと浮かんでいた。冒険は終わった。
ペットブログというカテゴリーの中で必ずと言っていいほど目にする『虹の橋』という言葉。
天国の一歩手前に、『虹の橋』と呼ばれる場所がある…で始まる有名なアレだ。
亡くなったペットがこの虹の橋のたもとで飼い主(あなた)を待っているという作者不明の詩文。
アタシはこの『虹の橋』という表現が大嫌いだった。
嫌いで嫌いで仕方なかった。
正直、ただの慰めにしか過ぎない不確かな幻想に本気で癒されるというのだろうか?と、嫌悪感すら抱いていた。
アタシはいわゆる霊的な事や不思議な現象に対しては肯定的だし、プロテスタントではないので輪廻はある、あって欲しいとは思っているが、『虹の橋』は存在しないと思っていた。
ただの詩文なのに完全否定していた。
と言うより完全拒否していた。
天国へ行ったら縁という繋がりだけはそのままに、魂の記憶はまっさらにリセットされて新しく生まれ変わる順番を待っているのが霊界だと、子供の頃に読んだ黒田みのるの漫画やお寺の坊さんの話を頭に刷り込んできたアタシには『虹の橋』など彼方のそのまた彼方の余所の世界の薄ら寒い話だった。
でもチィが来た。
そう、死んで間もないなら分かるけど、チィがアタシに会いに来たんだ。
10年近くの間、一度として気配を感じた事はない。夢にも現れてくれなかったチィがあまりにも出来過ぎなタイミングで、言うなればアポなし訪問でアタシに抱きついてきた。
正確に言うと、ピョーンとジャンピング抱っこしてくるチィの映像がいきなり見えたワケなのだけど、、、
そのたった1秒にも満たないわずかな一瞬は驚くほどアタシを幸せにした。
まさか次の日にはピンガとの別れが待っていようなどとは露ほども知らずにアタシはチィとの再会を心から喜んでいた。
ピンガが逝ってしまった少し後、アタシはチィの訪問の意味を考え続けていた。
もしもピンガの死にアタシの怠慢が関わっていたのだとしたら…
チィは『気をつけろ!』と、忠告しに来たのではないか?
ピンガを守って!と、言いに来たのではないか?と…。
もしそうだとしたら、それに気づかなかったアタシは本当に取り返しのつかない罪を犯してしまったと一生自分を責め続けるのだけれど、、
そう考えながらチィとのあの一瞬を振り返ると、なぜだか不思議と『そうじゃない。違うよ。』と、後ろ向きではない答えに行き当たる。
さながら責任逃れとも御都合主義とも取れる答えに自分の本質を見たようで、アタシはアタシを軽蔑した。
アタシがピンガを殺した。せっかくチィが注意しに来てくれたのにアタシがピンガを殺した。いつも守る!だなんて偉そうに言っちゃって…アタシは本当に弱くてだらしなく恥ずかしい人間だ、と自分に言い続けた。
ある日のこと、仕事の休憩中に社屋のベランダで空を眺めながら1人で煙草を吸っていた。
ポロリと涙がこぼれて慌てて指で拭った。
仕事は仕事と割り切って、ピンガの事は完全に切り離していたから例え不意に思い出しても職場で涙なんか滲みもしない筈だった。
思い出そうとして思い出したのではなく、自然とチィとの再会が頭をよぎった。そして、答えが見つかった。やっぱり違ったのだと。
チィはアタシに注意を促しに来たのではなかった。決してそんな感じではなかった。だからあの日あの時アタシはあんなに幸せな気持ちになれたのだ。
チィは大好きなピンガを迎えに来たのだ。
そして、ついでに昔のようにアタシに抱きついて甘えに来た‥のではなく、、むしろこれから訪れる避けられない絶望の前にアタシを優しく抱きしめ、心にそっと寄り添いに来てくれたのだとやっと分かった。
ありがとう。と呟いた。
そして、もうひとつ気づいた。
アタシはピンガにまだ『ありがとう。』と言ってなかった。
毎日『ごめんね。』ばかりを繰り返した。
『ごめんね。』と『愛してる。』は言ったけど、『ありがとう。』は一言も言ってなかった。
アタシは大きく深呼吸した。それから、ずいぶん遅くなってしまったけど…
ピンガ、ピンガさん、ピンちゃん、ピンガ兄さん、ピン之介、ピン、、
あ り が と う 。
と言った。
いつもそう言うと照れて顔を隠した後、上目遣いでチラッとアタシを見上げる可愛いピンガを思い出した。鼻の奥がツーンとした。アタシはこの日、煙草を止める決心をした。
数々の別れがあった。
きっともうチェロはお父さんと一緒に橋を渡ったのだろう。
マルはお母さんを、ユキとヴィヴィは兄貴を待っているのだろう。
そしてアタシには…。
つい最近、以前一度だけ読んでフンッと拒否した『虹の橋』を読み返してみた。
『虹の橋』は慰めでも幻想でもなく本当にあるのかもしれない、あって欲しいと、恥ずかしながらも素直にそう思えるようになった今日この頃なのだった。
冒険は終わっていなかった。
これからもたくさんの別れが待っている。覚悟なんてあってないようなもので、その都度アタシは泣きわめくだろう。
帝国を置いてアタシが先に逝くワケにはいかないのだからズドンと落ち込むのはオプションではなく標準装備なのだ。
アタシが冒険を終えて虹の橋を渡る時…
そりゃあ神様も真っ青な賑やかで毛深いピンガ帝国大移動になるだろうね(笑)。
と、そんな事を妄想しながらニヤニヤするアタシがいる。

ここまでが去年書きためた日記です。どうして公開しなかったのかは自分でもよく分からない。なにしろ1年のほとんどをぶっ壊れたまま過ごしていたのだから。でも、今は大丈夫。立ち上がった。激やせした体もいとも簡単に戻った。…ちょっぴり戻るだけで良かったんだけど。禁煙も続いている。
いっちゃん、りえママ、かえでママリン、NONOちゃま、ぞ〜いの父ちゃん、chameちゃま、おれんじさん、ろばたん、ミッキー、manamama、さくももママ、まちょ藩主殿、かんなしゃん、ゆうさん、かなでしゃん、ばたしゃん、チビママ、レイナママ、ぴょんちゃん、ジュンナさん、母ちゃん、かいなさん、femiさん、sanaeさん、どりちゃん、ぴーちゃん、あゆタン、おばちゃん、S平くん、ヒロコサン、、
みんなみんなありがとう。本当にありがとうございます。感謝しています。
March 09, 2012
草原色
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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3,1と3,11のショックもまだ覚めやらぬ4月の頭。桜が散る前にお花見に行った。


21日には長野県へ引っ越す妹の送別会を兼ねて清里で1日遊んだ。


コート・ドゥ・ベール。
ピンガはここが好きだった。あとJマート河口湖店のドッグランもね。

家と散歩道以外は緊張面か、しかめっ面だったピンガもコート・ドゥ・ベールでは笑顔で自由に歩き回ってたっけ。
そして、このコート・ドゥ・ベールとJマートのドッグランの共通点、これが後々の話に深く繋がるんだけど…。
泣かない日はない、毎日泣いて泣いて暮らして、やっと涙も収まったかと思ったら今度は無気力に過ごし始めた頃のこと、4月25日のことだった。かえでママリンから小さな小包が届いた。
突然のことにいったい何だろう?と箱を開けたアタシの目に飛び込んできたのは陶器で出来た小さなピンガだった。見た瞬間ボロボロ泣いてしまって、頬ずりしながら『おかえり。』と呟いていた。正確に言うと、パピヨンを象った五月人形なのだが、本当にピンガによく似ていてアタシはものすごくびっくりして、めちゃめちゃ嬉しかった。
そして、たまたま休みで家にいたロミも『そっくりだ!!』と、大騒ぎして、嬉し泣きしながら祭壇に飾って…驚いた。
この五月人形のパピヨンは緑色の甲冑を着ていた。

ピンガの祭壇は緑色のグッズに統一されていた。しかし、これはアタシ達が意図して緑色に決めたのではなく、自然に緑色の物ばかりが集まるようになったのだ。骨壺のカバーはロミが決めた。赤、金、銀、緑の4色から意識など持たず緑を選んだ。遺影の額はアタシが選んだ。特に何も考えずに。今思うと、通常のアタシなら白かメタルを選んでいたはずだ。水入れのカフェオレボウルも、そのボウルの下に敷いたプチタオルも緑。とにかく不思議なことに緑、緑、緑。緑色の物ばかりが集まった。
ピンガは緑が好きだったんだね。その理由、アタシには分かった。


緑は楽しい思い出の色なのだ。そういえば、遺体をくるんだ若草色のタオルはロミが【草原を走るピンガ】をイメージして選んだものだった。
五月人形の甲冑の緑もピンガのリクエストなのだろう。ママリンの隣りで『緑がいい!緑にしてくれ!』と、偉そうに注文するピンガを想像して笑った。ママリン、ありがとう。
March 08, 2012
足跡
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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ピンガ(骨壺)をスリングに入れて散歩へ行った。ハーヤ激しいから骨壺シェイク。
(´д`)=З

散歩中は元気だけど、ピンガがいなくなってから初めてその存在の大きさを思い知ったマーヤはすっかり臆病になってしまった。元々ビビりな子ではあったが、今まで自由に威張り散らしたり、のほほんとヘソ天でお昼寝できたのはピンガがこの家を守っていたからだとやっと分かったらしい。一時はピンガを押しのけて帝国のトップにのし上がろうとまでしていたマーヤだが、やっぱり彼女にはその器はないのだ。屋外の音や気配に神経質に吠えまくるようになってしまったマーヤが可哀想でたまらない。
マーちゃん、ママも辛いよ。
一緒に走り回った公園、歩き続けた道、ずっとマーキングしてきた電柱が変わらぬ姿でそこにあるのにピンガだけがいないのが辛い。
残像は外より家の中に色濃く残っている。何度も怒ったり、あるいは呆れたり、年月を経て『これはパトロール、ピンガの仕事なのだ。』と諦めた、我が家のあっちこっちに遺されたピンガのマーキングの跡。

雨の日も風の日も晴れの日も、盗み食いしてお腹がピーピーの日もアタシが具合が悪くて思うように体が動かない日も、喧嘩した日も抱き締めた日も、傷つけた日も泣かした日も笑い合った日も、、毎日毎日容赦なくオシッコされては拭いて、されては拭くを繰り返してボロボロに剥げてしまった床。
人間てのはホントに勝手な生き物で、もう牡犬とは暮らさない!二度と!と、思うまで苦悩したはずなのに、今となってはこの全てが愛おしい。
ピンガ、抱きしめたい。
March 07, 2012
視線の先
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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ぴーちゃんからの『ごはん食べてる?』との心配メールで、そういえば何も食べていないことに気づいたアタシ達は台所でラーメンを食べることにした。
食べ終わった後、どちらからともなく携帯を弄り始めて、お互いの携帯に遺されたピンガの写真を覗き合っていた。
写真をスクロールしながら古い話から新しい話まで、静かにピンガのエピソードを語り合っていた時、ロミが自分の携帯に遺された一枚の写真を見ながら思いもしなかったことをボソッと話し始めた。
『ピンガが本当に守りたかったのは俺じゃなかったんだよね…。』
『ヨーコたんはいつもピンガが一番好きなのはあんたなんだから!て言ってたけど、ホントは違ったんだよ。俺知ってたんだ。ピンガがいつも俺んとこ来て騒いでたのは俺がいつもだらしないから、俺にしっかりしろ!ロミ!お前がヨーコを守らなくてどうするんだ!て、言いにきてたんだよね。』
『…そうなんだよ。ホントに。ピンガが一番愛してたのは俺じゃなくてヨーコたんだったんだよ。ほら、ピンガはいつもこうやってヨーコたんばっかり見てたんだよ。』
そう言って一枚の写真を見せてくれた。

それは初めて見るピンガの姿だった。ピンガの視線の先にいるのは紛れもなくアタシだ。もちろんピンガがいつもアタシの足元にピトと張り付いていたのは知っていた。ただし、そんなことはすっかり日常化していたので、何か深い意味があろうなどとは考えもしなかった。
アタシはこの14年、ピンガが一番好きなのはロミだと、ピンガが一番心配していたのはロミだと思っていた。
絶句するアタシにロミは更にもう一枚見せてくれた。

『ピンガ…。』
まさかそんなことがと、アタシは天井を見上げてわんわん大泣きした。そこにいたのはキリッと凛々しい漢のピンガだった。ロミ曰わく、ピンガはいつもこんな顔してアタシを守るように傍にいたそうだ。
『ピンガはいつもこんな顔して俺を睨んでた…しっかりしろ!って。ね?』
アタシはしゃくり上げながらこう答えた。
『ピンガぁ…、コ イ ツ じ ゃ 駄 目 だ 。 』
ロミがガクッとうなだれた。
March 06, 2012
白い花
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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次の日、何をして過ごせばよいのか分からないでいたアタシ達の元に、優しいマンマ達からお花が届いた。

〇うさん、〇〇ママ、本当にありがとうございます。
また一段と華やいだピンガの祭壇を見つめながら何かが足りないと、『そうだ!写真が欲しい。』と考えていたら、隣りにいたロミが声に出してそれを言った。なんだか気の合う夫婦みたいでゲッと思ったから『アタシも今そう思った!』とは言わなかった。
写真が欲しいと思った時、アタシの頭にはすぐあの日のピンガの写真しか思い浮かばなかった。10歳の時にハーヤと共にプロカメラマンに撮ってもらったピンガの写真だ。どうせどーんと飾るならプロの写真がいい。アタシ達はデータを持ってカメラ屋さんに行った。そして、選んだ写真はこの2つ。

あの時、カメラ嫌いのピンガに撮影は無理と決めつけなくて良かった。ピンガの可能性を潰さなくて本当に良かったと思った。
カメラ屋さんからの帰りの車中、FMラジオでDJがこんな事を言っていた。
『白い花には癒やしのパワーがあるそうです。私も何か落ち込んだり、落ち着かない日は白いお花を買って帰るんですよ。皆さんもそんな日はお花屋さんに寄ってみてはいかがですか?』
何気なく聴いていたDJの話に納得するものがあった。そっか‥そうだったんだ。だからか…、と。
嫌いではないが愛でる心がない上に、飾っても直ぐめちゃめちゃにされてしまう家に住んでるから、普段花など無縁のアタシが気付くと祭壇のお花をボーっと眺めていることが多々あった。
あーー…そうだったんだ…。

かえでママリン、貴女が贈ってくれたこのお花が我が殿下の旅立ちをどれだけ豪華なものにしてくれたか、葬儀を終えて帰ってきたアタシ達をどれだけ癒してくれたことか…。
マンマ達、このお花のおかげでピンガの遺影を選ぶ行動が取れました。ついでに写真を見ながらピンガを偲んで懐かしい思い出話も笑いながらできました。
本当にありがとう。
ありがとうございました。
March 05, 2012
重み
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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前日とは打って変わって青空の、ホントに良い天気だった。葬儀社に今から伺う事を電話で伝えて、ロミが草原をイメージして買ってきたグリーンのバスタオルにピンガを包み、そっと抱っこして外へ出た。バスタオルからはみ出したフワフワの尻尾が風に揺れていた。車に乗り、アタシに抱っこされたピンガをロミが撫でて『じゃ、行くよ。』と言ってエンジンを掛けた。
セレモニーホールに着くと、黒いコートで正装したミヤモトさんが外でアタシ達を待っていてくれた。挨拶をして中に入り、アタシは『お願いします。』と言ってピンガをミヤモトさんの腕に委ねた。ピンガは旅立つ準備をする為にミヤモトさんに抱かれて焼却炉のある部屋へと移動して行った。アタシ達は待合所でタッパから各種料理を出して紙皿に並べて、奮発して作った二段重ねのケーキにデコレーションして、食べ物に関するピンガのエピソードを語りながら時が来るのを待った。
ミヤモトさんに導かれて焼却炉の部屋へ行くと、アタシ達が用意したガーベラやチューリップやかすみ草の他に葬儀社が用意してくれたデンファレンやカラー、大きなカサブランカなど色んな花に囲まれたピンガが横たわっていた。その姿を見た瞬間、かっさらって逃げ出したい衝動にかられたが、もう、本当に、これで…と、アタシも覚悟を決めた。今までで一番リッチで豪華な料理とデッカいケーキ、たくさんのおやつとアタシからの手紙とかえでママリンからのメッセージカードを抱えて、ピンガは去っていった。
車の助手席に座って窓の外をボーっと見ていた時、アタシは生きているピンガを抱っこしている錯覚を起こしていた。腕や膝に感じる骨壺の重みが生前の元気だった頃の重みと酷似していたからだ。嬉しくなった。嬉しくなってきてしまった。ギュッとしながら頬ずりして、左右に振ってヨシヨシしてはお尻(底)をペンペンするアタシを見てロミが『どうしたの?』と聞いてきた。信号待ちの時に『目ぇ瞑ってみ?』と言って骨壺を膝に載せた。少ししてロミがフフと笑った。
March 02, 2012
爪切り
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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朝はピンガを囲んでのんびりと過ごした。お互い何も言わなかったけど、2人共起きて一番にピンガの様子を確認した。ホントは仮死状態で朝になったら生き返るんじゃないかと思って。残念ながらそんな奇跡はなかった。午後になってアタシ達はピンガを送る支度を始めた。ロミはピンガを寝かせるフカフカのクッションと遺体を包むバスタオル、それから沢山のおやつと7歳までロミと半分こして食べていた大好きなマックのチキンナゲットを買いに出掛けた。アタシは今年の誕生日に作ってあげることが出来なかったスペシャルメニューの調理に取りかかった。
ピンガの大好きな人参をトントンと切っている内にだんだん包丁が霞んできた。ポロポロと涙がこぼれて止まらなかった。こんなに早く別れが来るなら何故もっと作ってあげなかったんだろうと、死んでから作ったって意味ないじゃないかと悔やんだ。だけど、こんな後悔の気持ちで作る料理はさぞかし不味かろうと思い、改めてピンガの喜ぶ笑顔を思い浮かべながらハンバーグをこねた。そうしたら自分の口角が自然と上がってることに気づいた。
ロミの買い物は上出来だった。アタシ達はお互いの財布の中身をぶちまけて、ピンガの為に、ピンガにふさわしい今できる限りの最上級の送り方をモットーに行動していた。買ってきた物をひとつひとつチェックしていた時、宅配便が来た。それは香り立つ素晴らしく大きく豪華な花籠だった。

『わぁ☆凄い!!』と、その場が一瞬で沸いた。2階で眠るピンガに届けてから2人で京都の方角へ向いてそっと手を合わせた。ママリン、ありがとう。
旅立ちに持たせるスペシャルメニューをタッパに詰めて、いよいよピンガを色男に整える死化粧に入った。
死に水を含ませた後、それぞれにウェットタオルを持ち、ピンガに声を掛けながらゆっくり丁寧に身体を拭いた。そして、優しくブラシをかけたらピンガの身体にわずかに残った毛がフンワリと持ち上がって輝きを取り戻した。尻尾も倍に膨らんで、なんだかスゴく誇らしげだった。

仕上げに爪を切った時、つい癖でピンガの顔色をうかがってしまった。ピンガは爪切りが大大大嫌いだった。アタシはピンガの爪を切る度に手や指から血を滲ませなきゃならなかったし、ピンガの機嫌ひとつで全ての爪を切るまで1週間近く掛かる時もあった。だからパチンと切ってから『ごめん。』と言って見上げたピンガの顔は怒っているように見えた。でも、アタシは初めて無傷だったし、ものの数十秒ほどでいとも簡単に爪切りは終わった。また号泣した。
March 01, 2012
慟哭
※去年投稿しないままずっとメールボックスに保存していた記事です。
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いつもと変わらぬ様子でロミが帰ってきた。
突っ立ったまま見下ろす形で『ピンただいま』と小さく呟いて発泡酒のプルトップをプシュと開け、ピンガを見ながらグビと一口煽った。
アタシは無言だったしロミも無言だった。
その内惰性で流してるだけのテレビを観始め、しまいにはピンガに背を向けて焼酎を飲み始めたこの男にアタシは心底ガッカリした。
コイツはいつもそうだった。そして、ピンガもいつもこうだった。
ピンガは毎日ロミの帰りを待っていた。
例え自分よりマーヤが優遇されようともピンガはいつも控え目にロミが自分を見てくれるのを待っていた。
アタシはいつも歯をギリギリしながらピンガの代弁を繰り返した。
ピンガを一番に考えろ!
ピンガを一番に敬え!
ピンガが一番好きなのはあんたなんだから!
ピンガはいつだってあんたを一番に心配してるんだから!と。
すると、ロミはいつも決まってこう言った。
『いいんだよ!俺とピンガは理解しあってんだからぁ!ねぇ?ピンガ?』
そして、ピンガの頭を指でコチョコチョッとして再び『ねぇ?』と言ってピンガに同意を求め、たったそれだけで触れ合いを終いにした。膝にマーヤを抱きながら。
その僅かな触れ合いでも喜ぶピンガの嬉しそうな横顔がアタシを余計に怒らせた。
何が理解しあってるだ!?あ゛?テメーはエスパーか?なーんにも分かっちゃいないくせに!!!ピンガ!そんなヤツほっとけ!アタシんトコおいで!ほらっ!
と、そんな事をよく繰り返した。でも、それも終わった。
もうピンガはニコニコしながら『ロミおかえり。』とは言ってくれないのにこの男は背中を向けて酒を煽っている…。
もういつもと変わらぬ毎日は永遠に失われたというのにコイツは…。
アタシは心の中で毒づいた。
最後くらい…最後くらいピンガだけを見ろよ!!
いつもなら怒りで溢れ出す言葉もこの日は一行も発する事はなかった。
アタシはテレビを観ながら携帯を弄り始めたロミの背中を見ながら無言でピンガの頭を撫でていた。何に対して泣いているのか分からなくなっていた。
と、アタシの携帯に続々とメールが届き始めた。
普段余程のニュースがなければ誰かと電話もメールも交わさないアタシの静かな携帯が珍しく騒いでいた。
ピンガの訃報は朝ぴーちゃんと、夕方葬儀の打ち合わせ後にいっちゃんとかえでママリンに伝えるのが精一杯で他の人達はまだ知らない筈だった。
もう夜中だし、いったい誰が何の用なのだろう?と覗いてみるとぴーちゃんからの心配メールとマンマ軍からのお悔やみメールであった。
どうやらいっちゃんがみんなに知らせてくれたようだった。
1通1通読んでは泣き、読み返しては泣き、その内これを現実として受け止める事に拒否反応が出てきて読むのが辛くなって携帯を閉じてしまった。
みんなに優しくされればされる程どう応えたらいいのか分からなくて誰とも話したくない。
正直そんな混乱した心情だった。
すると、また1通のメールが届いた。
着信音を聴きながら思い直した。
こんな夜中にも関わらずピンガの為に涙してくれる優しい人達がいる。。
アタシは再び携帯を開いた。
そして、送り主のその名を見た瞬間、誰とも話をしたくなかったアタシがなぜか電話を掛けていた。
りえママは直ぐ電話に出てくれた。
自分がどうしてこんな行動を取ったのか分からないまま『置いてかれた。』と子供みたいに泣きじゃくり、叫び、混乱したまま想いの丈をぶつけていた。
何を言ったのかは殆ど覚えてないけど、りえママは全部受け止めてくれた。息子である以上に最愛のパートナーを失ったと気づいた直後のこの時のアタシはりえママじゃないと無理だったと思う。りえママには本当に迷惑でごめんなさいな話なのだけど。。
変な話、同じ屋根の下、同じ部屋で同じ悲しみと同じ痛みを分かち合うべき相手が数センチ隣りにいるのにね?
丁度その相手が焼酎のおかわりを作りに部屋を出て行った時、りえママが『ロミは?』と聞いてきた。
たぶんロミを心配して聞いてくれたのだと思うけど、アタシは確か唐突に『もう別れたい。』と言ったと思う。そして、ピンガが死んだのにヤツはいつもみたくつまらんテレビ観ながら飲んだくれてると曝してやろうと口を開きかけた直後、アタシはハッとした。
突然朝の様子を思い出した。ロミは立ち尽くしていた。アタシは這いつくばってピンガに覆い被さっていたのでロミの顔は見ていない。足だけを見た。人工呼吸で蘇生を試みるアタシの隣りで何もせず立ち尽くしていた。ピンガの亡骸にしがみつくアタシの隣りで黙って立ち尽くしていた。
足しか見なかったけど、それは茫然と、一歩も、1ミリも動けないといった印象だった。
悲しくないワケがなかった。
辛くないワケがなかった。
アタシはロミのだらしなさや情けなさばかりをクローズアップして『薄情な野郎』と一括りしていた。
『ロミは…』
今朝、気づいたら仕事へ行く支度をしていた。黙っていつも通りの事をしていた。そして出掛けて行った。アタシには出来ない。
ロミは今日1日どんな気持ちで過ごしていたんだろう…?
どんな気持ちのままピンガの事を知らない大勢の他人と交流してきたんだろう…?
ロミの事だからピンガの事は一言も触れずに、何もなかったかのように過ごしてきたのだろうな…。
なにしろ人前で泣くのは恥だと思っている男なのだから。きっと物凄い我慢をしながら過ごしてきたのだろうな…。
アタシの口から出た言葉はロミを曝す為の暴言ではなかった。
『…ロミは頑張って仕事行ったよ…。頑張ったんだよ。』
泣きながら言った。
すると、突然部屋の中で嗚咽が響いた。
いつの間にか戻ってきていたロミが拳を握り締めてギィッと歯を食いしばって顔をクチャクチャにしながら必死に涙を堪えていた。
真っ赤な顔でドサッと座り込み左手で目を、右手で口を塞いで溢れ出す涙を、嗚咽を押さえ込もうともがいていた。
アタシはそれを見て電話の向こうにいるりえママに言うでもなく、目の前で背中を丸めて肩を震わすロミに言うでもなく、誰に言うでもなくピンガに『ロミは頑張った。』と、もう一度言った。
ロミが振り返ってピンガを見た。声にはならなかったけど『ピンガ…』と唇が動いていた。そして大声で泣いた。涙も叫びももう誰にも止められなかった。
りえママに御礼を言って電話を切った後しばらくそれぞれで泣いた。
ロミは無理な抵抗を止めて感情に身を任せ、ピンガの名前を叫びながら泣いていた。泣いても仕方ないのに2人で泣き続け、、呆けた。
どれくらいそうしていたのか?
ロミがボソッと口を開いた。
『今日ピンガ来たよ。』
…うん…ホント…?
『休憩中、車ん中で寝てたら夢に現れたよ…。』
…どんな感じだった?
『普通だった。一番元気だった頃の、毛もフッサフサで…ほらっ!太ってて威張り散らしてた頃の一番いい姿。』
また泣いた。
そして、明日送ろうと決めた。
ロミに葬儀社のパンフレットを見せながら打ち合わせの内容を話して聞かせ、次の日のタイムスケジュールとお互いの役割分担を確認しながらピンガを挟んで川の字で寝ることにした。
電気を消して布団に潜り込んだ時、いっちゃんがピンガの訃報をGREE日記でみんなに知らせてくれた事を思い出して、眠る前にお礼しようとアクセスした。
アタシのホームには友人の書いた《ひとこと》、いわゆるつぶやきってヤツと日記が時系列に並んでいるのだけど、いっちゃんの日記を探してスクロールしていたらロミの《ひとこと》がズラリと姿を現した。
「頑張ります。」
「頑張ります。」
「頑張ろう。」
「頑張る。」
「頑張ります!」
ピンガに背中を向けて焼酎を飲みながら携帯を弄っていたのはコレだったのかと分かった。アタシは涙をこらえて発信し続けるロミの背中を思った。ロミはGREEを活用していない。使うとしたらゲームだけだ。《友達》も招待したアタシしかいない。だから自分の《ひとこと》が《友達》のホームに反映される事を知らない。

アタシも頑張ろうと思った。
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いつもと変わらぬ様子でロミが帰ってきた。
突っ立ったまま見下ろす形で『ピンただいま』と小さく呟いて発泡酒のプルトップをプシュと開け、ピンガを見ながらグビと一口煽った。
アタシは無言だったしロミも無言だった。
その内惰性で流してるだけのテレビを観始め、しまいにはピンガに背を向けて焼酎を飲み始めたこの男にアタシは心底ガッカリした。
コイツはいつもそうだった。そして、ピンガもいつもこうだった。
ピンガは毎日ロミの帰りを待っていた。
例え自分よりマーヤが優遇されようともピンガはいつも控え目にロミが自分を見てくれるのを待っていた。
アタシはいつも歯をギリギリしながらピンガの代弁を繰り返した。
ピンガを一番に考えろ!
ピンガを一番に敬え!
ピンガが一番好きなのはあんたなんだから!
ピンガはいつだってあんたを一番に心配してるんだから!と。
すると、ロミはいつも決まってこう言った。
『いいんだよ!俺とピンガは理解しあってんだからぁ!ねぇ?ピンガ?』
そして、ピンガの頭を指でコチョコチョッとして再び『ねぇ?』と言ってピンガに同意を求め、たったそれだけで触れ合いを終いにした。膝にマーヤを抱きながら。
その僅かな触れ合いでも喜ぶピンガの嬉しそうな横顔がアタシを余計に怒らせた。
何が理解しあってるだ!?あ゛?テメーはエスパーか?なーんにも分かっちゃいないくせに!!!ピンガ!そんなヤツほっとけ!アタシんトコおいで!ほらっ!
と、そんな事をよく繰り返した。でも、それも終わった。
もうピンガはニコニコしながら『ロミおかえり。』とは言ってくれないのにこの男は背中を向けて酒を煽っている…。
もういつもと変わらぬ毎日は永遠に失われたというのにコイツは…。
アタシは心の中で毒づいた。
最後くらい…最後くらいピンガだけを見ろよ!!
いつもなら怒りで溢れ出す言葉もこの日は一行も発する事はなかった。
アタシはテレビを観ながら携帯を弄り始めたロミの背中を見ながら無言でピンガの頭を撫でていた。何に対して泣いているのか分からなくなっていた。
と、アタシの携帯に続々とメールが届き始めた。
普段余程のニュースがなければ誰かと電話もメールも交わさないアタシの静かな携帯が珍しく騒いでいた。
ピンガの訃報は朝ぴーちゃんと、夕方葬儀の打ち合わせ後にいっちゃんとかえでママリンに伝えるのが精一杯で他の人達はまだ知らない筈だった。
もう夜中だし、いったい誰が何の用なのだろう?と覗いてみるとぴーちゃんからの心配メールとマンマ軍からのお悔やみメールであった。
どうやらいっちゃんがみんなに知らせてくれたようだった。
1通1通読んでは泣き、読み返しては泣き、その内これを現実として受け止める事に拒否反応が出てきて読むのが辛くなって携帯を閉じてしまった。
みんなに優しくされればされる程どう応えたらいいのか分からなくて誰とも話したくない。
正直そんな混乱した心情だった。
すると、また1通のメールが届いた。
着信音を聴きながら思い直した。
こんな夜中にも関わらずピンガの為に涙してくれる優しい人達がいる。。
アタシは再び携帯を開いた。
そして、送り主のその名を見た瞬間、誰とも話をしたくなかったアタシがなぜか電話を掛けていた。
りえママは直ぐ電話に出てくれた。
自分がどうしてこんな行動を取ったのか分からないまま『置いてかれた。』と子供みたいに泣きじゃくり、叫び、混乱したまま想いの丈をぶつけていた。
何を言ったのかは殆ど覚えてないけど、りえママは全部受け止めてくれた。息子である以上に最愛のパートナーを失ったと気づいた直後のこの時のアタシはりえママじゃないと無理だったと思う。りえママには本当に迷惑でごめんなさいな話なのだけど。。
変な話、同じ屋根の下、同じ部屋で同じ悲しみと同じ痛みを分かち合うべき相手が数センチ隣りにいるのにね?
丁度その相手が焼酎のおかわりを作りに部屋を出て行った時、りえママが『ロミは?』と聞いてきた。
たぶんロミを心配して聞いてくれたのだと思うけど、アタシは確か唐突に『もう別れたい。』と言ったと思う。そして、ピンガが死んだのにヤツはいつもみたくつまらんテレビ観ながら飲んだくれてると曝してやろうと口を開きかけた直後、アタシはハッとした。
突然朝の様子を思い出した。ロミは立ち尽くしていた。アタシは這いつくばってピンガに覆い被さっていたのでロミの顔は見ていない。足だけを見た。人工呼吸で蘇生を試みるアタシの隣りで何もせず立ち尽くしていた。ピンガの亡骸にしがみつくアタシの隣りで黙って立ち尽くしていた。
足しか見なかったけど、それは茫然と、一歩も、1ミリも動けないといった印象だった。
悲しくないワケがなかった。
辛くないワケがなかった。
アタシはロミのだらしなさや情けなさばかりをクローズアップして『薄情な野郎』と一括りしていた。
『ロミは…』
今朝、気づいたら仕事へ行く支度をしていた。黙っていつも通りの事をしていた。そして出掛けて行った。アタシには出来ない。
ロミは今日1日どんな気持ちで過ごしていたんだろう…?
どんな気持ちのままピンガの事を知らない大勢の他人と交流してきたんだろう…?
ロミの事だからピンガの事は一言も触れずに、何もなかったかのように過ごしてきたのだろうな…。
なにしろ人前で泣くのは恥だと思っている男なのだから。きっと物凄い我慢をしながら過ごしてきたのだろうな…。
アタシの口から出た言葉はロミを曝す為の暴言ではなかった。
『…ロミは頑張って仕事行ったよ…。頑張ったんだよ。』
泣きながら言った。
すると、突然部屋の中で嗚咽が響いた。
いつの間にか戻ってきていたロミが拳を握り締めてギィッと歯を食いしばって顔をクチャクチャにしながら必死に涙を堪えていた。
真っ赤な顔でドサッと座り込み左手で目を、右手で口を塞いで溢れ出す涙を、嗚咽を押さえ込もうともがいていた。
アタシはそれを見て電話の向こうにいるりえママに言うでもなく、目の前で背中を丸めて肩を震わすロミに言うでもなく、誰に言うでもなくピンガに『ロミは頑張った。』と、もう一度言った。
ロミが振り返ってピンガを見た。声にはならなかったけど『ピンガ…』と唇が動いていた。そして大声で泣いた。涙も叫びももう誰にも止められなかった。
りえママに御礼を言って電話を切った後しばらくそれぞれで泣いた。
ロミは無理な抵抗を止めて感情に身を任せ、ピンガの名前を叫びながら泣いていた。泣いても仕方ないのに2人で泣き続け、、呆けた。
どれくらいそうしていたのか?
ロミがボソッと口を開いた。
『今日ピンガ来たよ。』
…うん…ホント…?
『休憩中、車ん中で寝てたら夢に現れたよ…。』
…どんな感じだった?
『普通だった。一番元気だった頃の、毛もフッサフサで…ほらっ!太ってて威張り散らしてた頃の一番いい姿。』
また泣いた。
そして、明日送ろうと決めた。
ロミに葬儀社のパンフレットを見せながら打ち合わせの内容を話して聞かせ、次の日のタイムスケジュールとお互いの役割分担を確認しながらピンガを挟んで川の字で寝ることにした。
電気を消して布団に潜り込んだ時、いっちゃんがピンガの訃報をGREE日記でみんなに知らせてくれた事を思い出して、眠る前にお礼しようとアクセスした。
アタシのホームには友人の書いた《ひとこと》、いわゆるつぶやきってヤツと日記が時系列に並んでいるのだけど、いっちゃんの日記を探してスクロールしていたらロミの《ひとこと》がズラリと姿を現した。
「頑張ります。」
「頑張ります。」
「頑張ろう。」
「頑張る。」
「頑張ります!」
ピンガに背中を向けて焼酎を飲みながら携帯を弄っていたのはコレだったのかと分かった。アタシは涙をこらえて発信し続けるロミの背中を思った。ロミはGREEを活用していない。使うとしたらゲームだけだ。《友達》も招待したアタシしかいない。だから自分の《ひとこと》が《友達》のホームに反映される事を知らない。

アタシも頑張ろうと思った。