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2007年10月28日

思い切り「ハチワンダイバー 践ぁ2

漫画が今スゴいのは何だか分からないうちに

力技でひとつの作品に仕上げきることだ。

書いて作って没にして、繰り返して繰り返して

たたいてもたたいても這い上がって

結局はいいもんだけが残っていく。

そんな不思議な虎の穴的な感じになっている。

本当に謎。

この漫画も作者がどこに熱中したのか

よくわからない将棋漫画なんだけど

走りきる力があって、なんだか

その無我夢中感に憧れる。いいなあ、がむしゃら。

あと、「もぐる」ことで捕まえる

という感覚的な表現は割と分かる。

モノを捕まえるには、相当の、

息を止める、ジッと見ることが必要で

それは結構キツいけど、気持ちがよくもある。
ハチワンダイバー 4 (4) (ヤングジャンプコミックス)


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2007年09月22日

やっと読んだ!「悪人」5

いろんなとこで面白いといわれ

しかも(職業的に)幅広い人が絶賛していた

「悪人」にようやく手をつけたと思ったら

3時間くらいで読み終わる。

面白い!!これは超面白い。

本は最近よく当たる。「アサッテの人」も良かったし。

吉田修一の嫌みじゃないけど

スッと入ってくる技術が好きなのだ。

当たり前のようだけど、意外と難しい

軸がどんどん変わっていく感じとか

すごいなあ、世界が見たことない風に開けてく。

本でしか味わえない感覚だ。

そして、みんなちょっとずつウソをついて

生きていて、悪いといえば悪くて、

そのわずかな掛け違いがとんでもないことに

つながっていって。

大仰なことなんてほとんどない世界で起こる

悲惨なこと。

大風呂敷じゃない分、今らしく、病んでいる。

あとは郊外の描き方、じっとりした感じ、

沈んでいくけど動けない感じが

静と描かれている。

やっぱ、今、日本は地方の崩れ方が

何より熱いのだ。半端ない。

悪人


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2007年09月02日

ルーツを感じること「ヴィジョナリーズ」3

今をときめくファッションデザイナーたちのインタビュー集。

何を武器に闘っているかというと、

知識とか教養とかそういうモノではなく、

むしろそういうモノは当たり前で、

みんなどんなところに生きてきたのかとか

どんなルーツを自分が持っているかとか

国は一体どこなのかとかそういうことを

ガッチリ見据えることが大事だったりしてる。

多くの国をまたいで、たくさんの人の心を打つためには

自分の根っこ、存在の一番の底に何があるかを感じて

作り出すことが力を生み出すようだ。

あとは、業界全体の流れに対する自分のスタンスの取り方。

これは共通していることはなく、

徹底的に過去のモノから脱出しようとするモノと

何もかもを包括しながら次に進もうとするやり方と

大きく分けると2つのやり方があるようだ。

それは生き様だったりするから、正解なんてないんだな。

具体的な言葉は全部かりそめな感じがする不思議な本。

ヴィジョナリーズ?ファッション・デザイナーたちの哲学


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2007年09月01日

気付かぬうちに計画されて「生きさせろ」2

政治とかって、気付かぬうちに色んなことを計画してるんだよなあ。

肝心なことは、その場その場だと意外なくらい流されてる。

格差社会とかいろいろいわれている元凶が

1995年の経団連が出した、

「これからの労働者はこんな風に雇う」みたいな宣言があったらしく

それが少しづつ社会全体に効いてきているらしい。

ああ、恐ろしい。

今までのような、生涯をかけて勤め上げる人。

自分の能力を研ぎ澄ましていくスペシャリスト。

本人の時間を有効に使う短期労働者。

この3つで行こう!と高々と宣言していたんだって。

ああ、見逃してました。

そして、なんで世の中にいろいろなお仕事形態があふれてきたのか

目が覚めました。

そういうことなんだ。何も時代の流れなんかじゃないんだ。

上の方で決まった形にしっかりと進んでいるだけなんだ。

結局は、自分のあり方をしっかりと見据えないとダメなんだなあ。

ほんと、こええ。

生きさせろ! 難民化する若者たち


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2007年08月31日

世界が見えてしまう「自立日記」3

昔でいえば「長谷川町子」とか「さくらももこ」とか

この人ももちろんそうなのだけれど

世界がどうしようなく、妙に見えてしまうあたりが

よい。

ただ、何一つ自分の中に残らない。

でも、だからよいのだと思う。

結局は普段ある世界でしかないから、

刺激は一瞬だけで自分の中を通り過ぎていく。

でも、意地悪なんだよなあ。いちいち。

これだけ目の前の世界がゆがんでいるのに

それを見逃さずに書き留めることができる能力に

本当にうらやましさを感じる。

自分の目の当たりにしている世界もきっと

間違いなくこんな風に面白い感じに

展開しているはずなんだけど。

そしてその場その場はすべてに気がついて

楽しめているはずなんだけど。

するするとなくなっていく。ああ。もったいない。

書き留めなければ、もうひとつの世界が立ち上がらない。

頑張ろう。

だけど、すでに具体例を書き出せない。かなしい。

自立日記 (文春文庫PLUS 50-23)


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2007年08月28日

ありきたりを越えていけ「君に届け」4


貞子って言われても、なんだかポジティブに

生き続けている子が、どんどん笑顔を取り戻す話。

って書くとたぶん内容が完全に誤解されて伝わるんだなあ。

全然いじめられていることをイジイジ思わないのだ。

それが当たり前の中から、いいこと探しがひたすら続く。

実際にいじめられている時って、そういう感じなんじゃないか?

いじめてたら、あるときを堺に突然いじめられたり、

そういうことを何度も何度も繰り返すのが、

現実だったりするんじゃないかなあ。

どんどんどん底に落ちていくことだけがいじめじゃない。

下がりきったとこにだってある、アップダウン。

ドヨンとしたとこにだったある、キラキラ。

そういうのをつかまえていくところが泣ける。

当たり前に悪いことをエッジ効かせて描くだけじゃなくて

悪い中にある、普通じゃちょっと分からない幸せ感とか

悪口の中に、ハッピーを見つける感じとか

本当に凄いなあと思う。突破力が。

君に届け 1 (1) (マーガレットコミックス)
君に届け 2 (2) (マーガレットコミックス)
君に届け 3 (3) (マーガレットコミックス)
君に届け 4 (4) (マーガレットコミックス)


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2007年08月27日

少しずつコップがいっぱいになる感じ「アサッテの人」5

なかなか乗っていきにくいんだけど

気がつくと、どっぷり入っている。そんな本。

しかも、息苦しい。なんだか深い悲しみがあるのに

それを悲しく描かないことがリアルでグッと胸にくる。

吃音の話なんだけど、その中で病院でこの言葉喋ってみて

って言われるシーンがあって、すごい盛り上げないのに

すさまじくガチャンと心が割れた。

この本は、静かに狂っているので要注意。

一瞬気づかないのがタチ悪い。

音に対して正常でない感覚を持ったがゆえに

音に対してどんどん敏感になっていく。

障害的なモノを才能として捕まえる感覚が

痛々しくもリアルなのだ。

もともとは自分の中で広がっていた世界が失われてしまうことの

厳しさ。代わりになにも用意されない「正常」という世界。

その昔の「大人計画」がまだまだアングラで

そのありあまる力だけがだらだらと流れていた時代の

ムードに近いなあと思った。

アサッテの人


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2007年08月23日

何も生まないから面白い「デトロイト・メタル・シティ」4

顔塗って、パンクやって、いいたくもないのに

メス豚とかいって、なんだか評価されて抜け出せなくて

でもホントはカジヒデキ(懐かしい)みたいのやりたくて

日々をグズグズ過ごすのが、楽しい。

別に何を生むわけでもないし、くだらなさしかないけど

そういうことが何より大事。

骨がないことが大事。

そこでしっかりとバットを振り続けることは大変だけど

それでも生み出し続けて欲しい。

表情見えずに、顔見えずに、ヒーローになれる時代なんだよなあ。

今は。

ネットにしても、こういうバンドにしても。

それでも考えてた。病気だ。

デトロイト・メタル・シティ 1 (1)
デトロイト・メタル・シティ 2 (2)
デトロイト・メタル・シティ 3 (3)


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2007年08月16日

あたりさわりなく幸せ「西荻夫婦」2

何もハッキリ言わず

だけど、きっと幸せで

だから壊す気もしないで

だらだらと毎日が過ぎていく。

そんな夫婦生活。

客観的に見ると、イヤだけど

当人同士はきっとそんなこともない。

こういう漫画は、なんか寂しげにその景色を描くけれど

きっと、そういうところにしかない幸せもあるはずで

そこんとこガッチリ描いてくれるモノがあったら

是非是非読みたい。

だって、そこに幸せがあるのがリアルだし

そういう生活がダメだと描くのはいかにも簡単で。

響かない。

西荻夫婦


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2007年08月03日

媒体の変化にあわせた「ブザービーター」2

これは、パソコンで配信しようとして描いた漫画らしい。

それを読んで、ああとちょっと愕然とした。

なにもかもが腑に落ちた。

考えてモノが作られていて、しかも風情の中に、

その意図が潜んでいることはグッとくる。

漫画としてはそんなに決定的に面白いわけじゃない。

でも、今変わりつつあるメディアに正面から挑戦し

自分の技でぶつかり合い、考え抜いた結果を紙面の上で

表現できていることのスゴさとうらやましさ。

変わっていく状況のすべてを飲み込んでいく

クリエイティビティの高さをなんとかして身につけたい。

そうすれば、どんな時代でもどんな環境でも

戦えるし、生きていける。

そんな力を私は持ちたい、のだよ。

BUZZER BEATER 1 (1) (ジャンプコミックス)
BUZZER BEATER 2 (2) (ジャンプコミックス)


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