ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP


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AMD Ryzen Threadripper専用かつ完全対応となる簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4」シリーズから120mm×3で360サイズ大型ラジエーター搭載の高冷却性能モデル「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」をレビューしていきます。
「ENERMAX LIQTECH TR4」シリーズでは360サイズモデルに加えて240サイズラジエーター搭載の「ELC-LTTR240-TBP」もラインナップされていますが、今回は120mm角の冷却ファンを3基搭載できてオーバークロックによって消費電力が300Wを超えるRyzen Threadripper最上位16コア32スレッド「Threadripper 1950X」にも余裕で対応可能な360サイズモデル「LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の冷却性能を徹底検証していきます。

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ENERMAXからはRyzen Threadripper完全対応簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4」シリーズとして240サイズラジエーター搭載「ELC-LTTR240-TBP」と360サイズラジエーター搭載「ELC-LTTR360-TBP」の2モデルがラインナップされていますが、私費で購入した「ELC-LTTR360-TBP」に加えて、「ELC-LTTR240-TBP」についてはENERMAX JAPAN様の協力のもとサンプル機をご提供いただきました。今回は「ENERMAX LIQTECH TR4」全モデルについて一挙にレビューします。
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズのレビュー記事一覧へ
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズ


代理店公式ページ:https://www.links.co.jp/item/liqtech-tr4/
製品公式ページ:
http://www.enermaxjapan.com/cpu-cooler/Liquid/ELC-LTTR240-TBP.html
http://www.enermaxjapan.com/cpu-cooler/Liquid/ELC-LTTR360-TBP.html
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「ENERMAX LIQTECH TR4」はThreadripper専用簡易水冷CPUクーラーで、Ryzen ThreadripperのIHSとピッタリサイズの大型ベースプレートが採用されているのが最大の特徴です。
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「LIQTECH TR4 ELC-LTTR240-TBP」と「LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の両モデルでは詳細な寸法も公開されているので購入前に使用しているPCケースに搭載可能かどうかのチェックも簡単です。
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レビュー目次


1.ENERMAX LIQTECH TR4 360の外観・付属品
2.ENERMAX LIQTECH TR4 360の水冷トップと水冷チューブ

3.ENERMAX LIQTECH TR4 360のラジエーターと冷却ファン
4.ENERMAX LIQTECH TR4 360をセットアップ
5.ENERMAX LIQTECH TR4 360の冷却性能
6.ENERMAX LIQTECH TR4 360のレビューまとめ


補足.
空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



ENERMAX LIQTECH TR4 360の梱包・付属品

まずはENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBPの外観や付属品をチェックしていきます。
360サイズラジエーター採用簡易水冷CPうクーラーのパッケージなのでパッケージサイズは465x235x165mmと巨大です。
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製品パッケージはグレーカラーのシンプルなデザインです。製品パッケージ正面右側にはシルバーの下地に製品名が記載されています。「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」はTDP500Wを超えるようなAMD Ryzen Threadripperのオーバークロックにも対応しています。
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製品パッケージはN式サイド差込式と呼ばれるタイプの箱になっていました。蓋を開くとスポンジの蓋がありそれを出すとスポンジスペーサーに簡易水冷クーラー本体や付属品が収められていました。240や360サイズラジエーターの簡易水冷CPUクーラーはパッケージも大きいので梱包によっては取り出しにくいことがありますが、ENERMAX LIQTECH TR4の梱包は取り出しが非常に楽でした。
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簡易水冷CPUクーラー本体と冷却ファン以外の付属品は、マニュアルと小分けのパッケージ入ったネジ・ケーブル類となっています。
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小分けパッケージの中身をチェックしていきます。
ネジ類については、ラジエーターにファンを固定するための長ネジが12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが12本、水冷トップをマザーボードに装着するためのスタンドオフとスプリング付きハンドスクリューナットが4個づつです。(240サイズの場合は固定ネジは8本ずつとなります)
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熱伝導グリスも付属します。
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360サイズラジエーター搭載モデルの「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」は120mmファン冷却ファンを3基使用するのでPWM4PINファン端子用の3分岐ケーブルが付属します。240サイズの「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR240-TBP」の場合は2分岐ケーブルが付属します。
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「ENERMAX LIQTECH TR4」は水冷ポンプの電源を3PINファン端子から取得する構造になっていますが、4PINペリフェラルから電源を取得できる変換ケーブルも付属します。ただRyzen Threadripper対応のX399マザーボードはいずれも2A以上の出力で水冷対応ファン端子があるので変換ケーブルの出番はないと思います。
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CPUクーラー本体を取り出すと、水冷トップからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
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なお今回のサンプル品ではラジエーターの放熱フィンに凹みはありませんでしたが、他社製品の梱包となりますがこんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。多少のへこみであれば冷却性能に問題が出ることはありませんが、几帳面な人にとっては気になる部分なので、


ENERMAX LIQTECH TR4 360の水冷トップと水冷チューブ

続いて「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の水冷トップ本体をチェックしていきます。
水冷ヘッドのトップは透明アクリル板なので傷防止の保護フィルムが貼られています。
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ENERMAX LIQTECH TR4の水冷トップの形状は単純な四角形となっており、天板は透明なアクリル板が装着されて中央にメーカーロゴが刻まれているだけという非常にシンプルなデザインです。
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水冷トップのENERMAXロゴにはLEDが埋め込まれており、電源が入ると白色LEDが点灯します。
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水冷トップは簡易水冷クーラーでは一般的なポンプ一体型水冷ブロックになっていますが、高さは40mmほどです。ポンプの構造が刷新されており、精密工学によって設計された強力なポンプは最大450L/h(7.5L/m)の高い流量を実現し優れた冷却性能を発揮します。「Ceramic nano Pl ベアリング」を水冷ポンプに採用することで、MTBF(平均故障間隔)100,000時間という高耐久性かつ耐熱性に優れ、摩擦抵抗を抑えることで低ノイズと滑らかな回転を実現します。
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水冷トップからは直出し構造で水冷ポンプおよび冷却ファンの電源取得のための汎用3PINファンケーブルが伸びているのでマザーボードのファン端子から水冷ポンプへの給電が可能です。
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ポンプ回転数は定格仕様値は3000RPMとなっていますが、「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming」に接続したところフルスピードでは2800RPMとなりました。ポンプはPWMによる速度調整には非対応ですが、電圧調整による60~100%の速度調整には対応しており、2300RPM前後まで回転数を落とすこともできました。
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ENERMAX LIQTECH TR4のCPUと接触するベース部分は銅製になっており、購入時点では保護フィルムで保護されて熱伝導グリスは塗られていません。使用前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
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銅製ベースは鏡面磨き上げではありませんが、滑らかな表面に研磨されています。
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AMD Ryzen Threadripperのロンチと同時にCPUクーラーとして対応していたAsetek OEMの簡易水冷CPUクーラーと比較すると水冷トップのベースプレートのサイズは一目瞭然なレベルで「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」のほうが巨大です。
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製品紹介の通りに約70x50mmとなるRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダ―全体を覆うことができる、ピッタリサイズな銅製ベースとなっています。
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また銅製ベース内側のマイクロフィンにはENERMAX特許取得済みの「SCT(Shunt-Channel-Technology)」設計が採用されています。「SCT」設計ではマイクロフィンの流入-流出経路の中間にフィンがないスリットを挿入することで通常発生する境界層を排除して、クーラントの流れの運動量を増やすことで循環効率と熱伝導性能を最大限に高め、強力な冷却性能を実現しています
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水冷チューブは見ての通り水冷トップの上面から直出しの構造になっています。
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水冷トップ側のチューブの根元は少し硬めですがストレート型ロータリー式になっているので、ラジエーターの設置レイアウトに合わせて柔軟に水冷チューブの取り回しが可能です。
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水冷チューブには劣化に強く水漏れ、クーラントの揮発の心配がないポリアミドゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
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水冷チューブの長さは約400mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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水冷チューブの径は15mm程と比較的太めなのでチューブ折れや潰れの心配はあまりありませんが、少し曲げにくくなっています。とはいえ大型ラジエーター搭載モデルなのでミドルタワー以上のPCケースに搭載することが前提になっており水冷チューブの取り回しに困ることはないと思います。
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ENERMAX LIQTECH TR4 360のラジエーターと冷却ファン

続いてENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBPのラジエーター部分をチェックしていきます。
ENERMAX LIQTECH TR4のラジエーターはラジエーターコアを保護するグリルの側面にENERMAXブランドネームとロゴの刻印された外装が装着されており重厚感のある雰囲気になっています。
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側面にフレームがあるだけでもラジエーターの外観が他とは違った印象でカッコよくなります。
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ラジエーターのグリルのファン固定部分には防振ラバーパッドが貼られており、冷却ファン高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し静音性を高める役割を果たします。サードパーティ製の冷却ファンの交換してもラジエーター側に防振ラバーパッドがあるのでノイズ対策面で安心です。
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防振の配慮自体は嬉しいのですが、ネジ穴付近のラバーパッドの穴が狭いのでファンを固定する時にラジエーターのネジ穴にファン固定ネジを合わせにくいという欠点もありました。ラバーパッドのネジ穴はもう少し広めにとってもらえると良かったかも。

放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点でも狭すぎず広すぎずちょうどいい塩梅です。このフィンピッチであれば低速ファンによる静音動作から高速ファンによる高冷却動作まで幅広く対応できると思います。
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管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチ(右)と比較するとENERMAX LIQTECH TR4 360のフィンピッチ(左)のほうがやや細かいかな、というくらいでほぼ似たようなフィンピッチになっています。
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今回レビューするモデルは360サイズラジエーター搭載モデルなので片面に120mmファンを3基設置可能ですが、下位モデルには240サイズラジエーター採用で片面に120mmファンを2基設置可能な「LIQTECH TR4 ELC-LTTR240-TBP」もラインナップされています
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ENERMAX LIQTECH TR4のラジエーターの厚さは簡易水冷CPUクーラーとしては標準的な30mm厚となっています。ファンマウントスペースのクリアランスは55mmほど必要になります。なお240サイズモデルは40mm厚で10mmほど厚みが大きいので注意してください。
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ENERMAX LIQTECH TR4 360には「T.B.Pressure 120mm fan」という冷却ファンが3つ付属します。
「T.B.Pressure 120mm fan」は500~2300RPMで速度調整可能なPWM対応の4PIN型ケースファンです。
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軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
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ファンフレームのネジ穴周辺部分には、高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し、静音性を高める防振ラバーパッドを搭載しています。
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吸気面と排気面ともにファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されて大風量を獲得できるように最適化されています。
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冷却ファンの軸受には製品名”T.B”の頭文字にもなっている、ENERMAXが特許を取得した「Twister Bearing」が採用されています。「Twister Bearing」は摩擦を最小限に抑えるためにひとつのパーツで構成され、オイルを注すことなく滑らかな動作を実現する特殊な素材を採用、マグネティックボールが軸を支持することにより振動を大幅に軽減しています。自称軸音ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音が聞こえない良いファンでした。低回転軸音に煩い管理人的も納得の良い冷却ファンなので低回転運用しても軸音が気になることはないと思います。
Twister Bearing


ネジ類の数についてはラジエーターサイズごとに異なっており、ファン固定用32mm長ネジとラジエーター固定用6mm短ネジは240サイズでは8個ずつ、360サイズでは12個ずつ付属しています。
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冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格は、採用の多いUNC No.6-32や日本国内ホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジのどちらでもありませんでした。コメントからの情報によるとネジ規格はM3.5のようです。


ラジエーター固定ネジ穴下については、ネジによる貫通を防止するガードなどはありません。ネジ穴の下に冷却液の流れるチューブこそないものの放熱アルミフィンがあります。付属のネジを使用して付属ファンを固定する場合はクリアランスが確保されています。ネジ穴下にチューブはないので水漏れなどの心配はありませんが個体差で問題が生じる可能性もあるのでネジ穴下でチューブとの接触がないかは注意が必要です。
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冷却ファンをラジエーターに固定すると下のようになります。
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冷却ファンを設置すると厚さは55mm程度となります。
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ENERMAX LIQTECH TR4のラジエーター&冷却ファンの外観は、ラジエーター側面のオリジナル外装と冷却ファンのデザインに統一感があり、工業製品的な重厚感があってカッコいいです。
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ENERMAX LIQTECH TR4 360の検証機材・セットアップ

ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBPを検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
ベンチ機1
CoolerMaster MasterAir Maker 8_05001
ベンチ機2
CoolerMaster MasterAir Maker 8_04619
OS Windows10 64bit Home

CPU

AMD Ryzen Threadripper 1950X
16コア32スレッド 定格3.6GHz
レビュー
M/B 【動作検証用】
・ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming

【各種クリアランス検証用】
・ASRock X399 Taichi(レビュー
・ASUS ROG ZENITH EXTREME (レビュー
・MSI X399 GAMING PRO CARBON AC (レビュー
・GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR
DDR4 8GB*4=32GB(レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
EVGA GTX 1080 SC2
レビュー
システムストレージ
Samsung 850 PRO 256GB
レビュー
電源ユニット
Corsair RM650i
レビュー
Corsair HX1200i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー
Cooler Master
MASTERCASE MAKER 5t
レビュー


CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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一応テンプレなので管理人的に高評価なCPUクーラーマウントについて説明しましたが、
「ENERMAX LIQTECH TR4」についてはCPUソケットがそのままでほぼマウントパーツになっており、
 1.スタンドオフをマザーボードに装着
 2.CPUクーラーをスプリング付きハンドスクリューナットで固定
以上の2ステップとなっており非常に簡単です。

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Asetek OEMクーラー互換のリテンションブラケットやNoctuaのTR4対応空冷CPUクーラーではベースコアにリテンションネジが装着済みなので1ステップで装着可能とENERMAX LIQTECH TR4よりもひと手間少ないですが、ENERMAX LIQTECH TR4ではスタンドオフが水冷トップの装着ガイドの役割を果たしており、ネジ穴(水冷トップ)の位置合わせが簡単というメリットがあります。
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前置きはこのあたりにしてベンチ機へENERMAX LIQTECH TR4 360をセットアップします。
ENERMAX LIQTECH TR4 360をマザーボード装着する時に使用するネジ類はスタンドオフとスプリング付きハンドスクリューナットの2種類だけです。
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スタントオフをCPUソケット周辺のCPUクーラー固定用ネジ穴に装着するだけでCPUクーラー装着のための下準備は完了です。
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熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
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この塗り方で後ほどCPUクーラーを着脱してみたところCPUのヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びていました。
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熱伝導グリスを塗ったらスタンドオフに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んで、スプリング付きハンドスクリューナットを締めたら「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の設置完了です。
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AMD Ryzen Threadripper対応X399マザーボードのメモリクリアランスについてチェックしてみましたが、CPUスロットとメモリスロットの間隔が比較的狭いATXフォームファクタの「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming」でも問題なくメモリ8枚刺しが可能なスペースが確保できました。CPU-メモリスロット間スペースの大きいE-ATXサイズの「ASUS ROG ZENITH EXTREME」はもちろん、ATXサイズでスペースが若干狭くなる「ASRock X399 Taichi / PG」「GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7」「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」と組み合わせても問題なくメモリ8枚刺しが可能です。
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簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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以上でENERMAX LIQTECH TR4 360のベンチ機へのセットアップ完了です。
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ENERMAX LIQTECH TR4 360の冷却性能

本題となるENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBPの冷却性能や静穏性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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比較対象として240サイズラジエーター採用の下位モデル「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR240-TBP」、Noctua製のRyzen Threadripper対応空冷CPUクーラーである「Noctua NH-U14S TR4-SP3」、Ryzen Threadripperロンチ当時から対応している280mmラジエーター搭載ハイエンド簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X62」についても同一環境で検証を行いました。
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検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はThreadripper 1950Xの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
AMD Ryzen Threadripper_stress


まず最初にAMD Ryzen Threadripper 1950Xの定格動作時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。
定格動作においてはCPUへフルに負荷をかけると180Wの消費電力制限がかかるため綺麗に2乗根的なグラフになっています。ENERMAX LIQTECH TR4 360のファン回転数を1000RPMに固定していますが、最大49.8度という抜群に優秀な冷却性能を発揮しています。定格運用のサーマルスロットリングの閾値は68度ですが、ベンチ板測定でこの温度ならPCケースの実用環境であってもサーマルスロットリングとは無縁で運用できるはずです。
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続いてAMD Ryzen Threadripper 1950XでマザーボードASRock Fatal1ty X399 Professional Gamingを使用して、CPUコアクロックを全コア4.0GHz, 1.350V, LLC:Level2に手動でオーバークロックした時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。
ENERMAX LIQTECH TR4 360のファン回転数を今回は1600RPMに上げましたが、今回の検証では唯一、CPU温度が70度未満に収まって最大温度67.5度でした。1950Xの全コア4.0GHz OCでは消費電力も300Wを超えてくるので放熱容量だけでなくCPUヒートスプレッダと接するベースの熱交換性能のCPU温度に対する比重がかなり大きくなってきます。簡易水冷クーラーの放熱容量や熱移動のスムーズさにENERMAX LIQTECH TR4の超大型ベースプレートが組み合わさって1950Xの4.0GHz OCに対しても余裕のある冷却性能を実現しています。
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サウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
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電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。

ENERMAX LIQTECH TR4 360のファン・ポンプノイズの騒音値はファン回転数別(ポンプ回転数は定格3000RPMに固定)で次のようになっています。ファン回転数が1400RPMを超えてくるとノイズレベルが45dBを超えてファンノイズがはっきりと聞こえるようになってきました。ENERMAX LIQTECH TR4 360を使用する場合はファン回転数が1000RPMから1200RPM以下に収まるように設定すると静音動作で運用できると思います。付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm fan」の定格(最大)回転数は2300RPMなのでファンノイズを度外視すればさらに冷却性能を上げていくこともできます。
ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP_noise



ENERMAX LIQTECH TR4 360のレビューまとめ

最後にAMD Ryzen Threadripper専用かつ完全対応となる簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4」シリーズの360サイズラジエーター搭載モデル「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ThreadripperのIHSにも余裕のある73x63mmの超大型ベースプレートを採用
  • 360サイズの大型ラジエーター採用なので放熱容量も大きい
  • 16コアRyzen Threadripper 1950Xの全コア4.0GHz OCを運用可能な冷却性能
  • 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。曲げやすく潰れにくい。細いので取り回しに優れている
  • 水冷ブロックの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
  • 水冷チューブが水冷ブロック上面から直出しなのでメモリとの干渉フリー
  • 水冷ポンプの電源がM/Bファン端子と4PINペリフェラルの両方から取得可能
  • 付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm Fan」は低速回転時も軸音が小さく高品質
  • ラジエーターグリルの側面にオリジナルプレートを装備
  • ラジエーターのファンマウントに防振ラバーパッドがある
  • 2年間の正規代理店保証
悪いところor注意点
  • ファン・ラジエーターの固定ネジの規格が不明
    (コメントからの情報によるとネジ規格はM3.5のようです。)

冷却性能の検証結果からもわかるように「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」はオーバークロックで発熱が大きくなり温度管理が格段に難しくなるAMD Ryzen Threadripper 1950Xでも余裕で運用可能な冷却性能を備えています。
Ryzen Threadripper対応簡易水冷クーラーとして既存品に足りなかった大型ベースプレートを採用し、360サイズの大型ラジエーターを搭載しているので、ELC-LTTR360-TBPは購入してそのまま使える既製品のRyzen Threadripper対応CPUクーラーとしては最強の冷却性能を実現しています。

AMD Ryzen ThreadRipperのリテールボックスに付属するAsetek OEM簡易水冷CPUクーラー用リテンションブラケットと違って、ENERMAX LIQTECH TR4ではスタンドオフ&ハンドスクリューナットによる2ステップの装着手順が採用され、ひと手間増えていますが、スタンドオフがそのまま水冷ブロックの位置合わせガイドとして働くのでネジ穴の位置に迷うことないため、実際に設置を行ってみるとENERMAX LIQTECH TR4のほうが簡単に設置できました。

水冷トップのデザインも光沢のある透明アクリル天板にENERMAXのメーカーロゴイルミネーションという万人受けしやすいシンプルなものが採用されています。一方でラジエーターにはメーカーロゴの刻まれたオリジナルプレートが装着されており、付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm Fan」と一体感のある工業製品的な重厚な雰囲気になっています。

「ENERMAX LIQTECH TR4」シリーズには240サイズラジエーターと360サイズラジエーターの2モデルが存在します。今回レビューしたELC-LTTR360-TBPは下位モデルのELC-LTTR240-TBPよりも高い冷却性能を発揮しますが、一方で360サイズという大型ラジエーターは搭載可能なPCケースを選ぶので各自のPCケースが設置可能スペースを備えているか事前に注意が必要です。
Ryzen Threadripper 1950Xのオーバークロックにも余裕で対応可能であることはもちろん、現時点では最強と言っても過言ではない「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」はおすすめなCPUクーラーです。

以上、「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」のレビューでした。
ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP





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ENERMAX LIQTECH TR4シリーズ



補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

動作検証に移る前に「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。
まず大前提として当たり前ですが空冷クーラーも水冷クーラーも”最終的にCPUの発熱は空気に放出されます”。自作PCにおける空冷と水冷の違いは、どこの空気を使ってCPUクーラーの放熱フィンから空気への熱交換(放熱)を行うかです。
例えば次の画像のようなサイドフロー型の空冷CPUクーラーの場合、ケースフロントなどから吸気された空気はケース内を通り、CPUクーラーの放熱フィンでCPUから熱を放熱されます。CPUから放熱された暖かい空気はリアファンやトップファンから排気されますが、一部はケース内に残留する可能性があります。そのため「フロントから吸気されてケース内を経由してきた冷たい空気」と「一度CPUクーラーを通った暖かい空気」が混ざるため次第に冷却効率が下がることが予想されます。
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一方で水冷(簡易水冷)CPUクーラーの場合は次のように、PCケース外から直接吸気を行う、もしくはPCケース外へ直接排気を行うことができます。水冷クーラーの場合、空気への放熱を行うラジエーターはPCケースという壁でイン・アウトが遮断されているため、PCケース内の空冷クーラーで起こるような一度放熱された空気が循環して冷却効率を下げるという現象が起きません。これが自作PCで水冷クーラーを使用するメリットです。
もちろん空冷でもケースファンを適切に設置すれば、一度熱せられた空気の循環が避けられる理想的な状態に近づきます。しかしその分ファンノイズが増えます。なので原理的にはPCケース壁で単純に熱交換部分のインアウトを遮断できる水冷クーラーのほうがよく冷えて静音になります。
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ただし上の議論は最終的な放熱部分である「冷却に使用する空気」のみに着目して空冷と水冷を比較しています。つまり出口だけの議論なので、CPUヒートスプレッダからCPUクーラーベース部分への熱移動の効率、すなわち入口部分の性能が低ければあまり意味がありません。CPUクーラーの総合的な性能はベース部分の熱交換効率、放熱フィンやラジエーターの熱交換効率などいくつかのパラメータの組み合わせなので必ずしも水冷が空冷よりも冷えるわけではないことに注意してください。

また下の2つの画像では簡易水冷クーラーを吸気にした場合と排気にした場合で、ラジエーターに流入する空気を示す矢印の色を変えています。
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まず前提として「部屋の体積はPCケースの体積よりも十分大きいのでPCで消費される程度の電力(1000W以下程度)では室温は変化せず一定」です。上の画像でPCケースへの吸気がケースフロントである場合、PCケース内には熱源が多数存在するためラジエーターに達するまでに空気は温められます。とすると空気の温度は「室温空気≦PCケース内空気」です。どんなに理想的なエアフローが存在したとしてもPCケース内を経由してラジエーターに達する空気は室温空気よりも低い温度にはなりえません。ラジエーターでの熱交換効率を左右するのは「空気とクーラントの温度差」と「ラジエーターを通過する空気の量」の2つなので「室温空気≦PCケース内空気」である以上、水冷クーラーにおいて「冷える排気」は存在しますが、「吸気よりも冷える排気」というものは存在しません。
吸気にすると熱風がPCケース内に入って壊れるとかのたまう人がたまにいますが、排気なしのケース密封で吸気にするようなそもそも馬鹿げた構成でもなければ起こりえないことなので無視してOKです。もし壊れるなら内排気空冷オリファングラボが真っ先に壊れます。
水冷クーラーを使用する場合、排気構成にしたほうがPCケース内からの見栄えがいいため、メーカーも排気構成のイメージサンプルを使用することが多い(おそらく)ですが、純粋な冷却パフォーマンスを考えれば排気よりも吸気のほうが性能が高いことは原理的に自明です。
見栄えを重視して排気にするのは全く問題ありませんし、そういう意図のもとで作られたカッコいい見せる自作PCは管理人も好むところです。しかしながらエアフローが云々とか吸気による故障を理由に「吸気よりも排気のほうが冷えるし安全」と主張するのは非常に恥ずかしいことなのでやめましょう。

最後に本題の空冷クーラーと水冷クーラーの違いについてまとめると、「水冷クーラーと空冷クーラーの理想的な性能を比べた場合どちらのほうが性能が高いかは製品次第ですが、水冷クーラーは熱交換部分をケース外に近い場所に配置できるので、吸気の簡易水冷クーラーは空冷クーラーに比べて理想的な性能を発揮しやすいという特徴があります。」




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)


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