HTC VIVE Cosmos


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PC向け二大VR HMDの1つである「HTC VIVE」の第2世代となる後継モデルで、外部センサー不要のインサイドアウト式トラッキングを採用し、かつ従来機種よりも高解像度な片目1440×1700ドットのフルRGB液晶ディスプレイを採用した高画質VR HMD「HTC VIVE Cosmos」をレビューしていきます。
レビュー後半ではHTC VIVE Cosmosと、HTC VIVE無印版やHTC VIVE ProやOculus Rift Sでディスプレイの画質を比較して、HTC VIVE Cosmosがどれくらい高画質で綺麗になったのか徹底検証します。

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製品公式ページ:https://www.vive.com/jp/product/cosmos/
サポートページ:https://www.vive.com/jp/support/cosmos/
マニュアル:https://dl4.htc.com/Web_materials/Manual/Vive_Cosmos/VIVE_Cosmos_User_Guide_JPN.pdf






HTC VIVE Cosmos レビュー目次


1.HTC VIVE Cosmosの概要
2.HTC VIVE Cosmosの梱包・付属品
3.HTC VIVE CosmosのVR HMD本体
4.HTC VIVE Cosmosのフェイスクッションとヘッドストラップ
5.HTC VIVE Cosmosのオーディオ機能
6.HTC VIVE Cosmosのケーブルとリンクボックス
7.HTC VIVE Cosmosの専用コントローラー
8.HTC VIVE Cosmosのトラッキング
9.HTC VIVE Cosmosのソフトウェアセットアップ
10.HTC VIVE Cosmosの画質比較
11.HTC VIVE Cosmosのレビューまとめ



【11月17日追記】
VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキングが最新ドライバ・ファームウェアのアップデートによって改善されたとのことで、最新版ソフトウェア(ver1.0.8.1)を使用して再度同様の検証をしてみましたが、やはり2つのコントローラーが重なる(接するほど近づく)などでトラッキングが高頻度で狂います。Oculus Rift S&Touchコンに比べて、コントローラーの動きが粗いのも変わりありません。
HTC VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキング関連は色々と報告されているので、中には改善されている症状もあるのだと思いますが、コントローラーのトラッキングが微妙なところはソフトウェアレベルで完全に改善するのは難しいようです。




HTC VIVE Cosmosの概要

「HTC VIVE Cosmos」の実機をチェックする前に、「HTC VIVE Cosmos」の基本情報について簡単に紹介しておきます。

「HTC VIVE Cosmos」のディスプレイ解像度は、HTC VIVE無印版の片目1080×1200ドットから、片目1440×1700ドットへと解像度で88%。垂直解像度で42%増加しています。サブピクセル構造も従来のペンタイルからフルRGBになっているので、解像度自体の向上も合わせて、レンズの構造にもよりますが、精細感の向上とスクリーンドアの抑制が期待できます。特にフルRGBのピクセル構造は文字の視認性を大幅に向上させます。
3.4インチの1枚パネルとのことなのでディスプレイパネルは自発光型の有機EL(OLED)から、液晶(Fast-switch LCD)に変わっているようです。リフレッシュレートは90Hzが維持されています。

「HTC VIVE Cosmos」で最大の特徴と言えるのは従来機では必要とされた外部センサーが不要となったインサイドアウト式のポジショントラッキングを採用したところだと思います。また別売りの外部トラッキングモッド(2020年に発売予定)と呼ばれるフェイスプレートを装着することで、HTC VIVE無印版やHTC VIVE Proが対応する、Light Houseトラッキングにも互換となります。

「HTC VIVE Cosmos」のヘッドストラップの構造は、HTC VIVEのデラックスオーディオストラップやHTC VIVE Pro標準搭載ヘッドストラップにも採用されるダイヤル式となっており、加えてヘッドストラップを締めたままで通常の視界を簡単に得られるフリップアップにも対応しています。また競合製品となる「Oculus Rift S」では非対応だったハードウェア式のIPD調整にも対応しています。

「HTC VIVE Cosmos」の基本スペックの簡易比較は次のようになっています。
HTC VIVE Cosmosの基本スペック比較

VIVE Cosmos Oculus Rift S VIVE Pro HTC VIVE
解像度(片目) 1440×1700 1280×1440 1440×1600 1080×1200
PPI -(非公表) -(非公表) 615 448
リフレッシュレート 90Hz 80Hz 90Hz
パネルタイプ
(ピクセル構造)
液晶
(フルRGB?)
液晶
(フルRGB)
OLED
(ペンタイル)
視野角 110度 110度 110度
トラッキング 外部センサーが不要 外部センサーが必要
コントローラー 専用コントローラー2個1セットが標準で付属
オーディオ 付属ヘッドホン スピーカー 付属ヘッドホン 付属ヘッドホン
イヤホン 3.5mmジャック 3.5mmジャック 非対応 専用品別売り
ビデオ接続
DisplayPort
HDMI
当サイト
推奨GPU
RTX 2060 SUPER, RTX 2070 SUPER
RX 5700, RX 5700 XT
GTX 1660 / Ti
RX 580/480


「HTC VIVE Cosmos」の推奨動作環境としてHTC VIVE公式からはHTC VIVE無印版の時と変わりなく最小動作環境としてGTX 1060やRX 480といったミドルクラスGPUが挙げられています。しかしながらディスプレイ解像度は88%増加とほぼ2倍に増えているので、単純計算でHTC VIVE CosmosはHTC VIVE無印版の時よりも2倍近く高いグラフィック性能が要求されます。
そのため「HTC VIVE Cosmos」を快適に動作させるためには2019年最新のグラフィックボードのNVIDIA GeForce RTX 2060 SUPERやAMD Radeon RX 5700といったミドルハイクラスのグラフィックボードを使用するのが管理人的には推奨です。グラフィックボードの性能や、グラフィックボード単体もしくは対応グラフィックボードを搭載したBTO PCの選び方については下記のまとめ記事を参考にしてください。

おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
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おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
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PC向け二大VR HMDのHTC VIVEとOculus Riftについて、両陣営の最新機種であるHTC VIVE Cosmos、HTC VIVE Pro、Oculus Rift S、Oculus Questを管理人はいずれも所有しており、実際に使用してみた感想として、それぞれに魅力のあるVR HMDです。
しかしながら、「Amazonや国内PCパーツショップで購入可能」、「日本語を含めた多言語に対応した詳細なマニュアルを用意」、「動画によるわかりやすい導入チュートリアルを公式ページで公開」、「SteamというすでにPCゲーム界に浸透しているゲームクライアントがホームアプリである」など、こと日本語を母国語とするユーザーのサポート、ひいては導入のハードルの低さに観点を絞るとHTC VIVE陣営が優位だと思います。
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Oculus RiftもCV1のころに比べるとSやQuestが発売された2019年では、国内Amazonでの販売開始など販路の確保、セットアップアプリの日本語対応など、日本向けローカライズも進んでいますが、やはりスマホなど電子機器をグローバルに展開しているHTCと比較するとOculusは1歩劣る感じです。



HTC VIVE Cosmosの梱包・付属品

「HTC VIVE Cosmos」のパッケージは400mm×380mm×180mmと比較的大きいですが、天面に持ち手が付いているので持ち運びは難しくありません。
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「HTC VIVE Cosmos」のパッケージサイズをOculus Rift Sと比較すると、高さや厚みはほぼ同じですが、横幅が100mmほど「HTC VIVE Cosmos」のほうが大きい感じです。
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カラープリントのスリーブを取り外すと白色の内パッケージがあり、蓋を開くとVR HMD本体と専用コントローラーが現れます。ビニール袋や紙製スペーサーで保護された梱包はHTC VIVE Proと共通です。
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HTC VIVE無印版やHTC VIVE Proに比べるとトラッキング関連がなくなって梱包がスッキリしていますが、Oculus Rift Sと比べるとごちゃごちゃ感があります。
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VR HMD本体とコントローラ以外の付属品としては、マニュアル、ACアダプタ、リンクボックス、単4電池4本、レンズクロス、USBケーブル、DisplayPortケーブルがあります。
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HTC VIVE CosmosのVR HMD本体

HTC VIVE CosmosのVR HMDの本体についてチェックしていきます。
HTC VIVE 無印版やHTC VIVE ProのVR HMD本体は外装にはベースステーションから発信される赤外線の受光部分である円形の窪みが点在し、どことなく昆虫の複眼を思わせる外見になっており、外見のスマートさについてはOculus Riftに軍配が上がる感じでした。
「HTC VIVE Cosmos」では受光センサーの代わりにインサイドアウト用のトラッキングカメラがHMD表面に複数基設置されて昆虫の複眼っぽさはなくなりましたが、元のイメージがあるせいか、メタリックなブルーがやはり昆虫感を醸し出している気が。
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「HTC VIVE Cosmos」のフェイスプレート上には中央左右に2つ、枠上中央の見上げる方向と見下ろす方向に2つ、さらにHMDの左右側面に2つ、以上の6か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角レンズによって6基のカメラだけで前方270度くらいはカバーできています。
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また「HTC VIVE Cosmos」ではVIVE Cosmos専用コントローラーのVIVEボタンを2回連続して押下することによっていつでも、カメラから取得された通常視界をVR内にカラー映像として表示できます。
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また「HTC VIVE Cosmos」の左側面のカメラ下にはVR HMDの電源スイッチが、右側面の下角にはIPD調整ダイヤルが設置されています。
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VR HMDの重量について本体のみ(ヘッドストラップは含む、ケーブル除く)で測定してみたところ、「HTC VIVE Cosmos」は標準状態で約665g、付属ヘッドホンを外した状態で約553gでした。
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比較対象としてはHTC VIVE Proが約770g、HTC VIVE無印が約495g、Oculus Rift Sが約560g、Oculus Rift CV1が約461gとなっています。「HTC VIVE Cosmos」はHTC VIVE Pro比で100g軽く、Oculus Rift S比では100g重いといった具合ですが、Oculus Rift Sがスピーカーであることを考慮して標準搭載ヘッドホンを外すと重量はほぼ同じなので、重量的にはいい塩梅なのだと思います。
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「HTC VIVE Cosmos」のHMD接続ケーブルは、ビデオ入力、USB接続、電力供給の3役を兼ねていますが、HTC VIVE Proと同様に1本のラウンドケーブルにまとめられ、コネクタも独自端子で1です。ケーブル長は約5mほどです。
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ちなみに「HTC VIVE Cosmos」のVR HMD側のケーブル端子はコネクタのあそび部分も含めてHTC VIVE Proと完全に共通でした。
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VR HMDケーブルコネクタの反対側に、「HTC VIVE Cosmos」では音声出力用の3.5mmオーディオジャックと、USB機器接続用のUSB Type-C端子が実装されています。
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2020年に発売が予定されている別売りの外部トラッキングモッドと呼ばれるフェイスプレートを装着することで、HTC VIVE無印版やHTC VIVE Proが対応する、Light Houseトラッキングにも互換となりますが、標準のインサイドアウトトラッキング用カメラを搭載したフェイスプレートはレンズ横のスライドスイッチによって着脱できます。
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「HTC VIVE Cosmos」はVR HMD内に冷却ファン(蒸れ防止のエアフローファン?)が搭載されています。他にもあるかもしれませんが、とりあえずフェイスプレートの下の向かって右上に小型のブロアーファンがありました。
頭が静止した状態で聞こえる一定したファンノイズは音量もそれほど大きくはなく次第に慣れてくるのですが、頭を上下左右に振った時に蚊の羽音を重くしたような風切り音が聞こえるのが個人的にはかなり気になりました。
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HTC VIVE Cosmosのフェイスクッションとヘッドストラップ

「HTC VIVE Cosmos」のフェイスクッションとヘッドストラップについてチェックしていきます。
「HTC VIVE Cosmos」のフェイスクッションとレンズ部分を正面から見ると下の写真のようになっています。HTC VIVE Pro同様にメガネのテンプル(つる)が通るようにフェイスクッションやフレームに凹みがあり、HMD内部スペースは広く確保されています。
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「HTC VIVE Cosmos」のフェイスクッションの材質は従来モデルと同じくウレタンスポンジです。一方でヘッドストラップに装着された額や後頭部のクッションの表面材質はかなりゴムっぽい質感となっており、滑り防止的には良いのかもしれませんが、肌感覚的にはあまりよくありません。
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フェイスクッションはHTC VIVE ProやHTC VIVE無印版と同じく、フェーシャルプレートとマジックテープで装着されていて着脱が可能なところも共通です。
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フェーシャルプレート自体もプラスチックの爪で固定されているだけなので、簡単に着脱が可能です。
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なおVR HMD内への入光を防止するノーズカバーについてはフェーシャルプレートに接着されており取り外しができません。
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一方でヘッドストラップ側のクッションについては着脱自体は対応しているものの、独自形状のプラスチックツメで固定する構造です。滑り止めとしての意味が強いクッションなので比較的簡単に位置がずれてしまうマジックテープ式でないのは仕方ないようです。
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競合製品Oculus Rift Sでは非搭載で賛否を呼んだ部分ですが、「HTC VIVE Cosmos」のHMD本体前方の左下には従来機種同様に、左右の瞳の距離にあたるIPD(Interpupillary distance)を調整するダイヤルが設置されています。
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「HTC VIVE Cosmos」では下のようにダイヤルによってハードウェアレベルでIPDの調整が可能です。
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一方でHTC VIVE Proなど旧モデルにはあったフェイスクッションからレンズまでの前後距離を調整できる機能(下写真はHTC VIVE Pro)は「HTC VIVE Cosmos」では廃止されていました。メガネの接触防止や焦点距離の調整に使っていたユーザーも少なくない機能なので注意が必要です。
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「HTC VIVE Cosmos」のHMDを固定するためのヘッドストラップは頭頂部のマジックテープと後頭部のダイヤル「Fit wheel」の2つで調整する構造になっています。頭頂部のマジックテープはHDMの高さ、後頭部のダイヤルはヘッドストラップの締め具合を主に設定する役割があります。
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加えてヘッドストラップを締めたままで通常の視界を簡単に得られるフリップアップにも対応しています。
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「HTC VIVE Cosmos」のHMDを装着する時は、頭頂部のマジックテープとダイヤルを緩めフリップを開き、HMDを顔に当ててからヘッドストラップ頭の上に乗せ、ダイヤルでヘッドストラップを締め、マジックテープでHMDの高さを調整する、という手順で進めると上手く装着できます。
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競合製品のOculus Rift SではヘッドストラップとVR HMD本体の付け根の部分の角度が可動ではないため装着感に個人差が大きいとユーザーから報告がありました。「HTC VIVE Cosmos」ではフリップアップに対応していることからわかるように、付け根の角度に若干の遊びがあるためOculus Rift Sよりも装着感に個人差は出にくく、一般に良好な装着感を得やすい構造だと思います。
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「HTC VIVE Cosmos」のヘッドストラップの装着感について最初にざっくりとまとめると、HTC VIVE無印版はもちろんのこと、競合製品Oculus Rift Sよりも快適だと感じました。HTC VIVE Proと比較した場合は好みが分かれそうです。

従来のVR HMDは、HMDがずり落ちないように頬骨で支える感じでしたが、「HTC VIVE Cosmos」は”額で支える”感じが強い装着感です。ゴムっぽい質感で滑り難い額当てクッションによってHMDが保持されるので額の皮が下向きに引っ張られる感覚があり、従来のVR HMDに慣れていると最初は違和感を覚えそうです。ただ頬骨の圧迫感に比べると各段にマシで長時間使用しても、しんどくなり難い構造だと思いました。HMDと額当ての接続部分が可動なのでピントも合わせやすかったです。
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「HTC VIVE Cosmos」と「Oculus Rift S」を比較すると、Oculus Rift Sもヘッドストラップの構造は似ていますが額当て部分があまり仕事をしていなくて、重量だけ増えている感があり、加重が前方にかなり寄っているので、ずり落ちないように頬骨で支える感じが依然として残っています。Oculus Rift CV1のように単純なストラップにあった不安定さは解消されており、きつめに装着すればVR HMDがズレそうな感じはしないのですが、やはり頬骨が締め付けられます。

一方で「HTC VIVE Cosmos」と「HTC VIVE Pro」を比較すると、全体の重量自体はHTC VIVE Proのほうが100g以上大きいので、首で感じる重みも当然HTC VIVE Proのほうが大きいのですが、HTC VIVE Proの場合は後頭部からうなじにかけてのフレーム&クッションの重みによって頭頂部を中心にして秤のように前後で重さのつり合いが取れており、前方のVR HMD本体がずり落ちる感覚がありません。

額当て部分に荷重が大きくかかる「HTC VIVE Cosmos」と、頬骨-おでこ-頭頂部-うなじ付近のラインで頭全体へ重さが分散している「HTC VIVE Pro」とではアプローチこそ異なりますが、いずれもその他のVR HMDと比べて頬骨の部分が非常に楽で、長時間使用に適していると思います。どちらが良いかというと使用する人の好みで分かれるのではないかと思います。



HTC VIVE Cosmosのオーディオ機能

「HTC VIVE Cosmos」には高音質ヘッドホンがヘッドストラップの左右に標準で装着されています。
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「HTC VIVE Cosmos」の付属ヘッドホンはヘッドストラップからアームを介して接続されていますが、ヘッドストラップ-アーム間では前後・左右の回転による2軸、アーム-ヘッドホン間ではアームに沿って上下とアームとの接点で半球面の自由度で位置や角度が調整できます。
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「HTC VIVE Cosmos」の付属ヘッドホンでは耳の当たるクッション部分は合皮製カバーが装着されています。
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「HTC VIVE Cosmos」の標準付属ヘッドホンは、VR HMD本体の3.5mmジャックに接続された、3.5mmジャック延長ケーブルを介して単純に接続されています。標準付属ヘッドホンは着脱が可能なので、この延長ケーブルの3.5mmジャックに接続すれば、各自で用意したイヤホンヘッドホンも使用できます。
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HTC VIVE Proではヘッドホンのハウジング円周部分後方には、左側に音量UP/DOWN調整ボタン、右側にはミュートボタンの物理スイッチが設置されていて地味に便利でしたが、「HTC VIVE Cosmos」のヘッドホンは接続形式自体はただの3.5mmステレオジャックなのでそういった機能はありません。
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「HTC VIVE Cosmos」の標準付属ヘッドホンは固定器具の中央にある金具のロックを外すことで簡単に取り外しが可能です。
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各自で用意したイヤホン・ヘッドホンに変えるだけならここまで分解する必要はありませんが、ヘッドホンや3.5mmジャック延長ケーブルを含めてここまで分解することができます。
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3.5mmジャック延長ケーブルも取り外した場合、VR HMD側の3.5mmジャックへ直接イヤホン・ヘッドホンを接続することも可能です。
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なお各自でヘッドホン・イヤホンを用意して使用する場合、標準ヘッドホンの固定器具部分がVR HMDケーブルガイドを兼ねているため、単純に標準ヘッドホンを外すとケーブルが宙に浮いてしまいます。
そこで『イヤフォン用交換キット』というパーツがあるとマニュアルに記載されているのですが、製品には同梱されず、2019年10月現在、まだアクセサリパーツとして販売されていません。正直言ってこのレベルの部品であれば、VR HMD本体に標準付属として欲しいところです。
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HTC VIVE Cosmosのケーブルとリンクボックス

HTC VIVE CosmosのHMD接続ケーブルとリンクボックスをチェックしていきます。
「HTC VIVE Cosmos」のHMD接続ケーブルは、ビデオ入力、USB接続、電力供給の3役を兼ねていますが、HTC VIVE Proと同様に1本のラウンドケーブルにまとめられ、コネクタも独自端子で1です。ケーブル長は約5mほどです。
HTC VIVE CosmosはHTC VIVE Proと同様にVR HMD側とリンクボックス側ともに独自端子のケーブルなので、延長ケーブルを使って各自でHMD接続ケーブルを延長するにはリンクボックスから延長する必要があります。
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ちなみに「HTC VIVE Cosmos」のVR HMD側のケーブル端子はコネクタのあそび部分も含めてHTC VIVE Proと完全に共通でした。
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HTC VIVE CosmosのHMDはHMD本体から出るケーブルを直接PCに接続するのではなくリンクボックスという中継器を経由してPCと接続します。リンクボックス関連ではリンクボックス本体に加えて、PCとリンクボックスを接続するためのDP-MiniDPケーブルとUSB3.0ケーブル、ACアダプタが付属しています。
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HTC VIVE無印版やOculus Rift CV1など初期のPC用VR HMDでは、はHDMIによるビデオ接続が主流(HTC VIVE無印版はオプションとしてDP対応)でしたが、HTC VIVE CosmosやOculus Rift Sなど2019年最新のVR HMDではDisplayPortによる接続が主流です。
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NVIDIA RTX 20XX/GTX 16XXシリーズやAMD Radeon RX 5700シリーズなどVR HMDに対応可能な2019年最新GPU搭載グラフィックボードに実装されたビデオ出力はHDMI×1&DisplayPort×3の4系統が主流になっており、DisplayPort接続のPCモニタやHDMI接続のTVを併用していても、「HTC VIVE Cosmos」を問題なく接続できます。
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「HTC VIVE Cosmos」のリンクボックスはHTC VIVE Proと共通です。
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ちなみに「コンバーター」と呼ばれるHTC VIVE Cosmos用のコンパクトな中継器が後日発売されるようです。
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HMD本体から伸びているVR HMD接続ケーブルが独自端子だったので当然ですが、リンクボックスのVR HMD側にはVR HMD接続用の独自端子のみが配置されています。(無印版ではHDMI/USB/DCの3端子が並んでいた) また無印版リンクボックスにはなかったリンクボックス自体の電源をON/OFFする電源スイッチも設置されています。
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リンクボックスのPC側には、USB3.0端子、Mini-DisplayPort端子、DC端子の3つが並んでいます。HDMIがなくなったことを除けばレイアウトはHTC VIVE無印版とほぼ同じに見えますが、USB端子の接続規格がUSB2.0からUSB3.0(USB 3.1 Gen1)に変わっています。
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HTC VIVE CosmosのACアダプタの形状はHTC VIVE無印版やHTC VIVE Proと共通ですが、電源出力が12V/1.5A(18W)から12V/2.5A(30W)へと引き上げられており電力的に互換性はないので注意してください。
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HTC VIVE Cosmosの専用コントローラー

「HTC VIVE Cosmos」の専用コントローラーをチェックしていきます。
「HTC VIVE Cosmos」には左右1対となる専用のVRコントローラーが標準で付属します。
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VIVE Cosmos専用コントローラーは手で握る棒の先端に、棒と直交する向きのリング(センサー部分)が付いたデザインです。標準で投げ飛ばし防止のストラップも標準で装着されています。
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VIVE Cosmos専用コントローラーの先端のリング部分に描かれた幾何学模様はコントローラー使用時に白色に点灯します。VR HMDのカメラから模様の映り方を検出することでコントローラーを精密にトラッキングします。
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VIVE Cosmos専用コントローラーは、HTC VIVEやHTC VIVE Proに付属したVIVEコントローラーとは見ての通り形状やボタンレイアウトがかなり異なります。
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Oculus Rift SやOculus Questに付属したOculus Touch(2019)を”どことなく小さくなったVIVEコントローラー”と表現していましたが、1周回ってVIVE Cosmos専用コントローラーは一回り大きくなったOculus Touch(2019)という具合です。
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実際に手に持った感覚として下の写真を見てもらうと分かりやすいと思いますが、VIVE Cosmos専用コントローラーはOculus Touch(2019)よりそこそこ大きく感じました。重量も後述しますがズッシリしています。
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VIVE Cosmos専用コントローラーには左右の別があり、基本的なボタンとしてXBOX ONEコントローラーに準拠したABXYボタンが左右にそれぞれ分けて配置されています。左右共通のボタンとして△マークの描かれたVIVEボタンと操作スティックが配置されています。細かいところですがボタンやスティックなどが配置されているトップ部分は光沢のある磨き上げ加工がされており、指紋や傷が気になるので艶消しにして欲しかったところ。
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裏面には人差し指で操作する2つのトリガーボタン(R1/R2, L1/L2)、中指で押すことのできるグリップボタンが設置されています。写真を拡大してもらうとわかりますが、指で握る部分の表面に凹凸加工が施され、緩く握っても滑りにくく、グリップ力も良好です。
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前世代で採用されていたVIVEコントローラーは内蔵リチウムイオンバッテリーで動作しており、充電が面倒であるとかバッテリーが劣化するといった問題がありましたが、VIVE Cosmos専用コントローラーは2本の単3電池で動作するのでプレイ中に電池が切れたとしても交換は容易です。奥に装着した電池を簡単に取り出せるようにリボンを付ける配慮がなされています。
同じく電池式のOculus Touchでは電池ケースの蓋の固定がマグネット式なので、不意に外れることはなく、電池交換の際は簡単に開けるというちょうどいい塩梅でしたが、VIVE Cosmos専用コントローラーはプラスチックのツメで固定されていて、ツメがやや固いのが気になりました。
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VIVE Cosmos専用コントローラーの電池蓋を開けるとストラップの着脱が可能です。固定の仕方が少し変わっていますが、一般的な紐のストラップが使用できます。
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コントローラーの重量を比較すると(電池式のものについてはeneloop proを使用)、VIVE Cosmos専用コントローラーは225g、VIVEコントローラーは205g、Oculus Touch(2019)は135gでした。VIVE Cosmos専用コントローラーはバッテリーが2本の単3電池に変わったため、VRコントローラーとしてはかなり重い部類になってしまっています。
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単4電池を2本使用するのと比べると電池の持ちは悪くなりますが、単4電池を単3電池サイズに変換するアダプタを使用してeneloop proの単4電池に変えると重量は30gほど軽くなります。VIVE Cosmos専用コントローラーの重量が気になる人は試してみてください。
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HTC VIVE Cosmosのトラッキング

「HTC VIVE Cosmos」のトラッキングについて簡単に紹介していきます。
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初期VR HMDの主流は外部センサーによってVR HMDやコントローラーのポジショントラッキングを行うアウトサイドイン形式で、前モデルHTC VIVE無印版も同形式が採用されていましたが、「HTC VIVE Cosmos」にはWindows Mixed Realityでいち早く取り入れられた外部センサー不要のインサイドアウト形式が採用されています。
2大PC向けVR HMDのOculus RiftとHTC VIVEの両陣営が2019年最新VR HMDでインサイドアウト形式が採用を採用したので今後はこちらが主流になるようです。
VR HMD_2019
ただし「HTC VIVE Cosmos」もオプションパーツで対応しますし、Steam VRのValve陣営は「Light House」と呼ばれるアウトサイドイン形式のポジショントラッキングを引き続き採用しており、2019年にはValve IndexというハイエンドなVR HMDが海外で発売されています。おそらくコストや導入ハードルが高い一方でトラッキング精度的にはアウトサイドイン形式の方が優れるのだと思います。
Steam VR Light House

「HTC VIVE Cosmos」のフェイスプレート上には中央左右に2つ、枠上中央の見上げる方向と見下ろす方向に2つ、さらにHMDの左右側面に2つ、以上の6か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角レンズによって6基のカメラだけでカメラだけで前方270度くらいはカバーできています。
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VIVE Cosmos専用コントローラーのトラッキングについては上述のVR HMD上に実装されたカメラで位置認識を行っています。
極端な例として「HTC VIVE Cosmos」のヘッドストラップのダイヤル付近のように、明らかにカメラからは見えそうにない場所でコントローラーを動かした場合、ポジショントラッキングの範囲外なので位置は動かなくなりますが(カメラ内に移動すると正しい位置にワープしてくる)、コントローラーに内蔵された加速度センサー等によって方向(オリエンテーション)トラッキングは効きます。
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VR HMD本体のトラッキングには特に問題はありませんでしたが、VIVE Cosmos専用コントローラーのトラッキングについては正直なところ現状ではかなり難を感じました。腕を伸ばした、もしくは軽く曲げた程度で体から(VR HMDから)コントローラーが離れている状態では正確にトラッキングされるのですが、VR HMDに近づいたり、左右のコントローラーが重なったりするとトラッキングが高頻度で狂います。
VR用チュートリアル的ゲームThe Labs内の弓を使うアトラクションをプレイするとすぐに分かりますが、左右のコントローラーが重なる時(弓に矢を掛ける動作)、コントローラーがセンサーカメラに接近する時(弓を目の傍まで引く動作)において、コントローラーのトラッキングが狂い、コントローラーが空中で止まったり、変なところにワープしたりします。
コントローラーをセンサーカメラ(VR HMD)の近くに寄せた時にトラッキングが狂いやすいという挙動は、Oculus Rift Sでも見られたので現時点において、インサイドアウト式トラッキングの特長なのだと思うのですが、Oculus Rift Sと比べても、トラッキングが狂う半径が広いです。またそもそものトラッキング精度(ポジショントラッキングのスムーズさ)においてもOculus Rift Sと比べて「HTC VIVE Cosmos」のほうが粗く感じます。



【11月17日追記】-----------
VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキングが最新ドライバ・ファームウェアのアップデートによって改善されたとのことで、最新版ソフトウェア(ver1.0.8.1)を使用して再度同様の検証をしてみましたが、やはり2つのコントローラーが重なる(接するほど近づく)などでトラッキングが高頻度で狂います。Oculus Rift S&Touchコンに比べて、コントローラーの動きが粗いのも変わりありません。
HTC VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキング関連は色々と報告されているので、中には改善されている症状もあるのだと思いますが、コントローラーのトラッキングが微妙なところはソフトウェアレベルで完全に改善するのは難しいようです。


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HTC VIVE Cosmosは外部トラッキングモッド(2020年に発売予定)と呼ばれるフェイスプレートを装着することで、HTC VIVE無印版やHTC VIVE Proが対応する、Light Houseトラッキングにも互換となります。
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HTC VIVE Cosmosのソフトウェアセットアップ

HTC VIVE Cosmosのソフトウェアセットアップについては基本的にマニュアルやセットアップガイドに従ってポチポチしていくだけなので簡単に豆知識だけ紹介します。

HTC VIVEやHTC VIVE ProではSteamがインストールされていれば、ドライバ等のインストールは必要なく、SteamVRから直接トラッキングの設定ができましたが、「HTC VIVE Cosmos」では直接SteamVRを起動してもヘッドセット未検出と表示され設定できません。というかトラッキング設定がそもそもSteamVRに統合されていません。
HTC VIVE Cosmos_software_setup_2

そのため「HTC VIVE Cosmos」を使用するには、まずVIVE PORTおよびVIVE Consoleといった周辺ソフトウェアをインストールする必要があります。「HTC VIVE Cosmos」のソフトウェア初期設定の手順についてはこちらの記事でざっくりと解説しているので、VIVE Cosmosを使う前にざっくりと目を通してみてください。
「HTC VIVE Cosmos」のソフトウェア初期設定の手順を解説
HTC VIVE Cosmos_software_setup



HTC VIVE Cosmosの画質比較

「HTC VIVE Cosmos」に関する基本的なチェックは済んだので、HTC VIVE Pro、Oculus Rift S、Oculus Rift CV1(HTC VIVE無印版の代わりに)と画質を比較していきます。サムネイルよりもオリジナル写真のほうがわかりやすいですが、オリジナル写真は画像サイズが大きい(1~3MBのものもある)ので、画像をクリックして確認する時は注意してください。

画質比較の前に補足しておくと、「HTC VIVE Cosmos」はVR HMD内メニュー「Lens」から3種類のカラー設定が選択できます。選択可能なカラー設定には標準モード、夜モード、ビビッドモードの3つがあります。
HTC VIVE Cosmos_Lens_coloer-setting
標準モードはその名の通り標準設定なのですが、標準モードはビビッドモードに比べて彩度が低く、全体的に白みがかった表示になります。今回行う画質比較では「HTC VIVE Cosmos」は標準モードを使用しているので、同じ液晶パネル採用のVR HMDと比較しても全体的に白っぽいのはそれが理由です。
HTC VIVE Cosmos_def-vs-vivid


まずは画面中央に表示される遠方のオブジェクトを見た時の比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
CP_VR HMD_1
遠方のオブジェクトはHTC VIVE CosmosとOculus Rift CV1(HTC VIVE無印版)で大きく差が出るポイントの1つです。
Oculus Rift CV1やHTC VIVE無印版では解像度(PPI)が足りずボヤけた象になっていますが、「HTC VIVE Cosmos」では境界もクッキリと描画され立体感が増して見えます。スクリーンドアについては境界線や左上窓枠のラインがわかりやすいですが、「HTC VIVE Cosmos」がスムーズに描かれているのに対して、Oculus Rift CV1(HTC VIVE無印版)では網目模様で線が細かく切れています。
同じフルRGBの液晶パネルを採用する「HTC VIVE Cosmos」とOculus Rift Sを比較すると垂直解像度の分だけやはりHTC VIVE Cosmosのほうが精細感が高く、スクリーンドアの影響が小さく見えます。
「HTC VIVE Cosmos」とHTC VIVE Proを比較すると、垂直解像度はHTC VIVE Cosmosのほうが若干大きく、サブピクセル構造はHTC VIVE CosmosはフルRGBに対してHTC VIVE Proはペンタイルなので、スクリーンドアはHTC VIVE Proのほうが目立ちます。ただHTC VIVE Cosmosが白みがかる標準モードであることを加味しても、有機ELパネルのHTC VIVE Proのほうがコントラストが綺麗で発色が良いことがわかります。
スクリーンドアについてOculus Rift CV1やHTC VIVEではピクセル間に網目が見える感じでしたが、解像度の増した「HTC VIVE Cosmos」とHTC VIVE ProとOculus Rift Sでは目の非常に細かいストッキングの上に映像を投射しているような感じです。
CP_VR HMD_1_HTC VIVE Cosmos_def_DxO
CP_VR HMD_1_Oculus Rift S_DxO
CP_VR HMD_1_Oculus Rift CV1_DxO
CP_VR HMD_1_HTC VIVE Pro_DxO

次に近い位置にテキストを表示したときの比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
CP_VR HMD_2
テキスト表示は特に垂直解像度やサブピクセルの構造によって違いが出るので、パっと見でVR HMD毎の差が最もわかりやすいと思います。
HTC VIVE無印版やOculus Rift CV1ではピクセルが荒く、かつスクリーンドアで潰れてしまい、文字が完全にボヤけてしまっていますが、HTC VIVE Cosmosではクッキリと綺麗に読むことができます。垂直解像度自体はHTC VIVE Proの方が上ですが、境界線で認識されるテキスト表示ではペンタイル構造独特の斜め線のスクリーンドアが影響して、文字が滲む、ボヤける傾向にあり、フルRGBなOculus Rift Sのほうがクッキリとして見えます。その流れで垂直解像度が高く、かつフルRGBなHTC VIVE Cosmosが一番優秀かと思いきや、特殊なピクセル配列が影響して、描画が細かいのに輪郭がボヤという一長一短な結果になっています。
CP_VR HMD_2_HTC VIVE Cosmos_DxO
CP_VR HMD_2a_Oculus Rift S_DxO
CP_VR HMD_2a_Oculus Rift CV1_DxO
CP_VR HMD_2a_HTC VIVE Pro_DxO
「機能」の漢字はHTC VIVE CosmosやOculus Rift Sの第2世代と、Oculus Rift CV1やHTC VIVEの初期製品との差が特に顕著です。
HTC VIVE無印版やOculus Rift CV1では両方とも文字がほぼ潰れて雰囲気でしか読めません。HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sでは「能」の文字は余裕ですし、「機」もそこそこ認識できます。HTC VIVE Proは垂直解像度の高さで何とかカバーしていますが、やはりペンタイル構造の影響で文字がボヤけます。フルRGBで綺麗に格子状のピクセル配列なOculus Rift Sはクッキリと見えます。
肝心のHTC VIVE Cosmosはというと、縦長で半分ズレて並ぶという特殊なピクセル形状(Oculus Rift Sのような一般的なストライプ配列に対してデルタ配列というらしい、ペンタイルと違ってサブピクセルはフルRGB)のせいで文字の線の境界がボヤける傾向があります。垂直解像度自体は高いのにHTC VIVE Proほどではありませんが文字の輪郭がぼやけており、Oculus Rift Sに比べてクッキリ感がありません。文字との距離が離れてくると垂直解像度の差が優位になってくるのですが。
漢字については小学生が習う常用レベルでも「機能」のように非常に密度の高い字があるので、文字認識はVR HMDが日本人向けに普及する上で課題でしたが、「HTC VIVE Cosmos」では近づいて目を凝らさないとメニューすら読めないような状況はなくなりました。
CP_VR HMD_2b

最後に遠方に細かいテキストが大量に表示されるときの比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。原寸の画像ファイルは非常に大きい(3~4MB)ので注意してください。
CP_VR HMD_3
レンズの差なのかHTC VIVE ProやOculus Rift Sでは中央だけでなく左右もピントが合って文字がボヤけにくくなっています。たしかにVR HMDを装着した時の体感でもHTC VIVE無印版やOculus Rift CV1では中央近辺以外はボヤける感じがあったのですが、HTC VIVE ProやOculus Rift Sでは中央から視線が逸れてもピントが大きくはズレなくなっています。下写真の傾向とは異なるのですが実際の体感ではHTC VIVE CosmosはHTC VIVE無印版よりは幾分マシですが、HTC VIVE ProやOculus Rift Sと比べてレンズ外周の歪み(滲み)をやや強く、視野角が狭く感じました。
HTC VIVE無印版やOculus Rift CV1よりは大分改善されているものの、「HTC VIVE Cosmos」やHTC VIVE Proでもまだハッキリと視認できない感じもあり、このくらい細かいものがクッキリ見えるようになると、VRの世界がいよいよ現実感を伴ってくると思います。さらに次世代のVR HMDに期待したいところです。
CP_VR HMD_3_HTC VIVE Cosmos
CP_VR HMD_3_Oculus Rift S_DxO_DxO
CP_VR HMD_3_Oculus Rift CV1_DxO
CP_VR HMD_3_HTC VIVE Pro_DxO

参考までに下はOculus Rift S(液晶パネル)とOculus Quest(有機ELパネル)の画質比較の写真となります。液晶パネルと有機ELパネルそれぞれの傾向として、HTC VIVE CosmosとHTC VIVE Proの比較にも概ね当てはまります。
自発光画素の有機ELパネルを搭載しているOculus Questのほうが、液晶パネルのOculus Rift Sよりも鮮やかであり、かつ細かい色調まで再現されているのが一目でわかると思います。Oculus Questは机の細かい模様や反射の様子も細かく再現されており、有機ELパネルの鮮やかさと1440×1660の高解像度を遺憾なく発揮しています。色の鮮やかさや黒の暗さについてはこれまでのVR HMDの画質比較ではあまり気にしていなかったのですが(喫緊の問題は文字認識だったため)、Oculus QuestとOculus Rift Sの比較で有機ELの偉大さを再認識しました。
CVR_2_Oculus Rift S_DxO
CVR_2_Oculus Quest_DxO


HTC VIVE Cosmosの画質比較のまとめ

「HTC VIVE Cosmos」などの画質を比較した結果を簡単にまとめると
 オブジェクトの精細感: HTC VIVE Pro>HTC VIVE Cosmos> Oculus Rift S > HTC VIVE
 色の鮮やかさ: HTC VIVE Pro > HTC VIVE > HTC VIVE Cosmos、Oculus Rift S
 スクリーンドア: HTC VIVE Cosmos、HTC VIVE Pro、Oculus Rift S > HTC VIVE
 文字認識: HTC VIVE Cosmos、Oculus Rift S > HTC VIVE Pro > HTC VIVE
 総合評価: HTC VIVE Pro > HTC VIVE Cosmos > Oculus Rift S > HTC VIVE
概ね以上のような感じです。

もう少し詳しく管理人のインプレッションをまとめると、

視界内にめいっぱいに広がる近方のオブジェクトはHTC VIVE無印版やOculus Rift CV1と比べてもあまり差を感じないというのはHTC VIVE Proをレビューした時の感想のままですが、遠方のオブジェクトの精細感については垂直解像度で勝るHTC VIVE CosmosやHTC VIVE Proに軍配が上がり、次点でOculus Rift Sと感じました。
サブピクセル構造も影響するのですが、細かい明暗が視認しやすいので有機ELパネルのHTC VIVE Proのほうが遠方のオブジェクトの精細感ではHTC VIVE Cosmosを上回ると思います。

色の鮮やかさについては自発光な有機ELパネルのHTC VIVE Proがやはり一番綺麗です。HTC VIVE CosmosやOculus Rift Sは液晶パネルなので若干ですが白っぽかったり黄色っぽかったり感じます。なおモーションブラーリダクション機能が効いているので液晶パネルでも強い残像感はありません。

HTC VIVE CosmosとHTC VIVE ProとOculus Rift Sの3機種のスクリーンドアについての評価は各自の好みで分かれるところだと思います。
HTC VIVE無印版やOculus Rift CV1ではピクセルが分断される網目と感じたスクリーンドアは、HTC VIVE ProとOculus Rift Sでは目の細かいストッキングに映像を投射しているような感じ(写真に2次イラストのストッキングのような網目効果をオーバーレイしている感じというのが正確かも)に変わっており、違和感や視認性への悪影響は軽減されています。
垂直解像度に比例して、Oculus Rift Sのほうが網目感は強いのですが、HTC VIVE Proはペンタイル構造の影響もあってギザギザした網目感を感ます。また「HTC VIVE Cosmos」もフルRGBなので単純に一番スクリーンドアが感じにくそうですが、縦長のピクセルが半分ずつズレて並ぶという不思議な構造が影響しました。好みで評価が分かれると言ったのはこれらが理由です。

最後に文字認識について、これはフルRGBのサブピクセル構造が有利で、特に文字密度の大きい漢字を使用する日本語ユーザーにとってはHTC VIVE CosmosやOculus Rift SのほうがHTC VIVE Proよりも読みやすいという感想で間違いないと思います。ピクセル配列が綺麗な格子状ではないものの垂直解像度の高いHTC VIVE CosmosのほうがOculus Rift Sよりも文字の視認性は高いと思いますが、輪郭は若干ボヤけるため、クッキリしているOculus Rift Sのほうが読みやすいと評価する人もいるかもしれません。
ただし「機能」のような常用漢字ですら認識に難のあったOculus Rift CV1やHTC VIVE無印版と違って、HTC VIVE Proは若干ボヤけて違和感こそあるものの、文字自体は問題なく認識できるので、オブジェクトの精細感や色の鮮やかさで勝るHTC VIVE Proが今回比較した機種の中では総合的な画質は最も上だと感じました。



HTC VIVE Cosmosのレビューまとめ

最後に次世代の高画質VR HMD「HTC VIVE Cosmos」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 片目1440×1700のフルRGB液晶ディスプレイ採用で高精細
  • センサー不要なインサイドアウト式ポジショントラッキング
  • 高音質ヘッドホンを標準搭載
  • HMDの重さは主に額にかかり、頬骨の圧が少なくて楽なので、装着感が良い
  • ヘッドストラップの締め方がダイヤル式
  • フリップアップ対応なので即座に通常視界が得られる
  • VIVEボタンを連続で2回押すとVR内でカメラ越しの通常視界(カラー)が表示される
  • ハードウェアのIPD調整には非対応
  • Light Houseトラッキングにも対応(2020年以降、別売りモッドが必要)
悪いところor注意点
  • フルRGBとのことだが、ピクセルの並びが特殊?
  • コントローラーの重量が比較的大きい
  • 専用コントローラーのトラッキング精度が微妙(Oculus Rift Sよりも悪い)
  • イヤホン交換キットやコンバーターなどアクセサリ類が未発売
  • 無印版の後継、普及機という扱いだが価格は競合製品よりも2倍近く高価な10万円
  • 頭を上下左右に振った時にHMD内蔵ファンは蚊の羽音のような音を出す
  • VIVE PORT、VIVE Console、SteamVRなどソフトウェア環境が冗長

「HTC VIVE Cosmos」は前世代から多くの変更点がありますが、とりわけ大きい2つの特長は『外部センサー不要のインサイドアウト式トラッキングを採用したこと』、『ディスプレイ解像度が片目1440×1700ドットとなり垂直解像度で42%の向上を果たしたこと』です。

HTC VIVE無印版など第1世代のPC向けVR HMDは、外部センサーの設置・接続が必要だったり、USB帯域やUSBコントローラーに注意が必要だったりと導入のハードルが高いと言わざるを得ませんでしたが、「HTC VIVE Cosmos」は外部センサー不要のインサイドアウト式トラッキングを採用したことによって、リンクボックスやコンバーターを介してDisplayPortとUSB3.0ケーブルをPCに繋ぐだけで物理的なセットアップが完了します。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはともに外部センサー不要のインサイドアウト式トラッキングを採用しており、「HTC VIVE Cosmos」はリンクボックスとACアダプタが必要という程度の違いなのでハードウェアセットアップにおける導入のハードルに差はないと言って構わないと思います。

次に「HTC VIVE Cosmos」の画質についてですが、ディスプレイ解像度が片目1440×1700ドットになったことに加えて、サブピクセル構造がフルRGBに変わったので(ピクセルの並びがやや特殊ですが)、文字認識が大幅に改善されたところが最も重要なポイントです。HTC VIVE無印版では基本メニューで表示される「機能」のような常用漢字ですら認識に難がありましたが、「HTC VIVE Cosmos」は画数が多く密度の高い漢字もはっきりと認識できるようになったので文字認識におけるストレスからはほぼ解放されるはずです。
パネルタイプがOLEDから液晶パネルに変わったので若干白っぽいもしくは黄色がかった印象を受けますが使っているうちに慣れる程度ですし、モーションブラーリダクション機能が効いているので、残像感もありません。

「HTC VIVE Cosmos」はヘッドストラップの完成度も高く、主に額へ荷重がかかる構造によって従来のVR HMDにあった頬骨への圧迫感がなく長時間使用しやすくなっています。HTC VIVE Proとは異なるアプローチなので、どちらが快適かは好みが分かれそうです。
フリップアップに対応しておりVR HMDとヘッドストラップの付け根が可動で、ハードウェアでのIPDにも対応しているのでピント調整も柔軟です。Oculus Rift Sでヘッドストラップが合わない、ピントが合わないといった問題がある場合はHTC VIVE Cosmosで解決する可能性が高いです。


「HTC VIVE Cosmos」には良いところもあるのですが悪いところも散見されました。インサイドアウト式のハイエンドVR HMDを狙うならもう少し完成度を高めて欲しかったところです。
「HTC VIVE Cosmos」のVR HMD本体には冷却ファンが内蔵されています。静止した状態で聞こえる一定したファンノイズは音もそれほど大きくはなく次第に慣れてくるのですが、頭を上下左右に振った時に蚊の羽音を重くしたような風切り音が聞こえるのが個人的にはかなり気になりました。

VIVE Cosmos専用コントローラーについてはOculus Rift SのOculus Touch(2019)と比較してゴツく、重量が大きいところが気になります。従来機種ではコントローラーの形状や機能がそもそも大きく異なったので個性の違いとも見ることもできましたが、VIVE Cosmos専用コントローラーとOculus Touch(2019)は形状が非常に似ているため、比較すると単純にVIVE Cosmos専用コントローラーが悪く見えるというのが正直な感想です。接触センサーも内蔵して多機能であり、かつ軽量・コンパクトとなると、専用コントローラーの完成度ではOculus Rift Sに軍配が上がります。

VIVE Cosmos専用コントローラーはトラッキングについても難があり、同じくインサイドアウト式トラッキングのOculus Rift Sと比較してもトラッキング精度が明確に劣ると感じました。左右のコントローラーが重なったり、VR HMDに近づいたりした時にポジショントラッキングが高頻度で狂いますし、そもそもOculus Rift Sに比べてコントローラーのトラッキングに粗さを感じました。

ソフトウェア面でもVIVE PORT、VIVE Console、SteamVRなど複数のソフトウェアにまたがる冗長な設計は扱いにくさを感じました。SteamVRに統合するか、VIVE PORTに一本化するか(OculusのようにSteamはオプション扱い)、ソフトウェア回りを簡略化して欲しいです。

一般ユーザーでも手を出しやすい5万円の「Oculus Rift S」、一般ユーザーにはなかなか手を出しにくい10万円の「HTC VIVE Cosmos」、という2倍の価格差を考えると両陣営にとって同じインサイドアウト型VR HMDの普及機とはいえ競合製品とは呼び難く、Oculus Rift Sを前にするとそもそも普及機じゃなくてハイエンド機という扱いが正しいのでは、との疑問もあります。しかし一方でトラッキング精度のことを考えるとインサイドアウト型VR HMDで10万円クラスのハイエンド機というのがそもそも難しいという意見も。

VR HMDが体に装着して目で見る機器である以上、ディスプレイ解像度とリフレッシュレートが高い、フリップアップ対応などヘッドストラップの装着感が良い、ハードウェアでIPD調整に対応しているのでピントが合わせやすい、などの要素を重視すれば、「HTC VIVE Cosmos」は製品価格の通りOculus Rift Sの上位機種的な扱いにしても間違いないではないと思いますが、細かく気になる部分も多く、特に専用コントローラーのトラッキング精度が悪いという問題もあって、インサイドアウト式トラッキングのハイエンドVR HMDを名乗るには完成度が不足しているというのが正直な評価です。
価格がさらに上がり、アウトサイドイン型なのでハードウェアセットアップのハードルも高くなりますが、Oculus Rift Sの上を狙うならHTC VIVE CosmosよりもHTC VIVE Proを選択するのがベストだと思いました。


以上、「HTC VIVE Cosmos」のレビューでした。
HTC VIVE Cosmos







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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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