Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X


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国内外のプロオーバークロッカーから熱伝導グリスブランドとして高い評価を得ているThermal Grizzlyから新たにリリースされた、高度な先端技術で新開発された炭素繊維によって高い熱伝導率と密着性に優れる柔軟な特性を兼ね備えたサーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」のサンプルを国内正規代理店の親和産業よりご提供いただけたのでレビューしていきます。
「Thermal Grizzly Carbonaut」が32コア64スレッドRyzen Threadripper 3970Xの冷却において実用に足るのか、Thermal Grizzly製ハイエンドグリス「Kryonaut」と比較して冷却性能を徹底検証します。



代理店公式ページ:https://www.shinwa-sangyo.co.jp/thermal-grizzly/tg-ca-51-68-02-r




Thermal Grizzly Carbonautについて

最初に「Thermal Grizzly Carbonaut」の概要や製品の実物について簡単に紹介します。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はKryonautなど同社製グリスと同様に黒色のビニール袋で包装されていました。
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ビニール袋の上側を切ってジップロックを開くと、中には「Thermal Grizzly Carbonaut」のサーマルシート本体が収められた紙製パッケージと、簡易マニュアル&登録シートが封入されていました。
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「Thermal Grizzly Carbonaut」は高度な先端技術で新開発された炭素繊維によって、高い熱伝導率と密着性に優れる柔軟な特性を兼ね備えた、高性能なサーマルシートです。
独自の炭素繊維構造により62.5W/m・kの非常に高い熱伝導率を生み出し、熱伝導グリスの代替品として優れた能力を発揮します。加えて同素材は柔軟性があり小さな圧力で設置面の凸凹に密着し、炭素繊維の持つ優れた熱伝導性能を十分に活かすことができます。
シリコングリスと違って、ドライアウト(硬化不良)をおこさないのて長期間に渡って安定した冷却性能を維持でき、少なくとも数回着脱した程度では消耗せず、再利用が可能なため経済的です。
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「Thermal Grizzly Carbonaut」のサーマルシート本体は、紙製パッケージでしっかりと保護されており、輸送・保管中に折り曲がったり、千切れたりする心配はありません。
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封印シールやホッチキスでしっかりと封印されたパッケージを開くと、紙製パッケージの中央に安置された「Thermal Grizzly Carbonaut」のサーマルシート本体が現れます。
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「Thermal Grizzly Carbonaut」は厚み0.2mmの非常に薄いシート状です。
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今回の検証で使用する「Thermal Grizzly Carbonaut TG-CA-51-68-02-R」は縦68mm×横51mmサイズで、AMD Ryzen ThreadripperなどAMD TRX4ソケットCPUのヒートスプレッダのサイズ合わせてカットされており、同モデルは加工せずにそのまま使用できます。「Thermal Grizzly Carbonaut」は導電性があるので端子と接触しないように注意する必要がありますが、IHSピッタリのサイズにカットされているので基本的にショートの心配はありません。
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Thermal Grizzly Carbonautの検証機材

「Thermal Grizzly Carbonaut」の冷却性能の検証に使用する機材について紹介しておきます。
今回はThermal Grizzly CarbonautがRyzen Threadripper 3970Xを冷やせるかどうかを検証するので、TRX40マザーボード「ASRock TRX40 Taichi」などを含む検証機材を使用しました。テストベンチ機の詳細構成については下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X
(レビュー)
マザーボード
ASRock TRX40 Taichi
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C14Q-32GTZN
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
ELC-LTTRO360-TBP (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
ビデオカード MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー


第3世代Ryzen Threadripper検証環境のシステムメモリには、第3世代Ryzenプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenや第3世代Ryzen Threadripperの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

Ryzen Threadripper 3970Xを使用したオーバークロックも実践するので検証機材CPUクーラーにはAMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに完全対応となる大型ベースプレートと360サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」を検証機材として使用しています。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」をレビュー
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB

今回、「Thermal Grizzly Carbonaut」の冷却性能を確認するための比較対象として、当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を使用しました。
使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
Noctua TRX4_tp
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper_noctua



Thermal Grizzly Carbonautの冷却性能

さて「Thermal Grizzly Carbonaut」の冷却性能の検証結果をチェックしていきます。
今回、「Thermal Grizzly Carbonaut」の冷却性能を検証するために、Ryzen Threadripper 3970Xの同じCPU個体についてサーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」とサーマルグリス「Thermal Grizzly Kryonaut」の2種類で負荷テストを行いCPU温度を比較しました。
CPU温度は環境温度にも影響されるため測定時は室温(ベンチ機付近の温度)が温度計で22度程度となるように注意しました。CPUクーラーには「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用していますがファン回転数は1600RPMに固定しています。
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冷却性能を比較するための負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を4並列のエンコードを行い、20分以上に渡って負荷をかけ続けました。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Ryzen Threadripper 3970X_Stress


Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperは、従来のRyzen CPUと同様にCPUクーラーの冷却性能に応じた自動OC機能「Precision Boost 2 & XFR 2 (Extended Frequency Range 2)」が機能します。ただし第3世代Ryzen Threadripperは自動クロックアップの際に参照されるテーブルが限界近くまでチューニングされており、ユーザーが設定を変更したとしてもコアクロックを上昇させることが可能なマージン(ヘッドルームと呼ばれている)が非常に小さくなっています。
Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperについてはコアクロック回りを下手に弄るよりも、定格のまま、もしくはPrecision Boost Overdriveで電力制限を解除する程度に留め(定格と比べて消費電力の増加に対する性能の伸びは小さいが)、360サイズ簡易水冷CPUクーラーのような高性能なCPUクーラーの冷却性能にまかせて自動OC機能によるクロックアップを狙うのがオススメです。

上記のようにRyzen Threadripper 3970Xを実際に運用する上では、コアクロックは基本的に弄らないほうがいいのですが、XFRが効くとCarbonautとKryonautを厳密に比較するのが難しくなるので、まずはRyzen Threadripper 3970Xを全コア4.2GHz、コア電圧1.270Vに固定して検証を行いました。メモリのOC設定は「メモリ周波数3600MHz」、「メモリタイミング14-15-15-35-CR1」、「メモリ電圧:1.450V」としています。
Ryzen Threadripper 3970X_BIOS_OC_42 (1)Ryzen Threadripper 3970X_BIOS_OC_42 (2)

Ryzen Threadripper 3970Xを全コア4.1GHz、コア電圧1.200Vに固定した時について、「Thermal Grizzly Carbonaut」と「Thermal Grizzly Kryonaut」で負荷テスト中のCPU温度の推移を比較したグラフは次のようになっています。
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X_OC-42

続いてRyzen Threadripper 3970XをPrecision Boost Overdriveによって自動クロックアップさせた時について検証を行いました。Precision Boost Overdriveの設定は「PPT = 1000W、TDC = 490A、EDC = 630A」、メモリは「メモリ周波数:3600MHz」、「メモリタイミング:14-15-15-35-CR1」、「メモリ電圧:1.450V」にOCしました。
Ryzen Threadripper 3970X_BIOS_PBO (1)Ryzen Threadripper 3970X_BIOS_PBO (2)

Ryzen Threadripper 3970XをPrecision Boost Overdriveによって自動クロックアップさせた時について「Thermal Grizzly Carbonaut」と「Thermal Grizzly Kryonaut」で負荷テスト中のCPU温度の推移を比較したグラフは次のようになっています。
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X_PBO_t
上のCPU温度比較グラフのように「Thermal Grizzly Carbonaut」を使用した時のほうが「Thermal Grizzly Kryonaut」を使用した時よりもCPU温度は僅かに高いので、CPUコアクロックも平均で20MHz程度ですが低くなります。とはいえ。ほぼ同等といってよい冷え具合とコアクロックです。
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X_PBO_clock

Ryzen Threadripper 3970Xにおいて「Thermal Grizzly Carbonaut」の冷却性能をハイエンドサーマルグリスKryonautと比較した結果をまとめると次のグラフのようになりました。
Ryzen Threadripper 3970XはCPUクーラーの冷却性能が十分でPrecision Boost Overdriveによって限界までクロックアップされると400W程度のCPU消費電力になりますが、この時にCPU温度の差は2~3度程度、CPUコアクロックも20MHz程度しか違いはありません。厳密に比較するとKryonautに及ばなかったものの、「Thermal Grizzly Carbonaut」はKryonautと同等の冷え具合とパフォーマンス(コアクロック)を維持できており、Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperのポテンシャルを限界まで解放できる冷却性能があります。
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X_cp

CPUやCPUクーラー交換時の拭き取りや塗りなおしが不要であり、数年スパンの長期使用においても性能低下の心配が基本的になく、再利用も可能といったメリットもあるので、とにかく冷却性能を追求するということでなければ、サーマルグリスの代用品として「Thermal Grizzly Carbonaut」はかなり有用な製品だと思います。
CarbonautとKryonaut 性能比較 早見表

Carbonaut Kryonaut
冷却性能 KryonautのほうがCarbonautよりも
2~5度程度、冷却性能が高い
長期使用
(数年スパン)
基本的に劣化なし ドライアウト(硬化不良)
で性能低下の可能性あり
再利用 少なくとも数回の使用で
消耗することはない
毎回、使用済みグリスの
拭き取りと塗りなおしが必要


以上、『Thermal Grizzly CarbonautはRyzen TR 3970Xを冷やせるか!?』でした。Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X







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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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