TOEICに限らず、英語を学習する上で文法書は1冊2冊手元に置いておくべきです。私は高校生の時から「ロイヤル英文法」(旺文社)を使っておりオススメですが、更にオススメなのが今回ご紹介する「表現のための実践ロイヤル英文法」(旺文社)です。

私がこのblogで良書としてオススメする本にハズレはありません。本書は分厚い文法書ですので、英語学習に真剣に取り組みたい学生の方、文法を深く体系的に学び直したいと考えている社会人の方、英語を教える立場の方に特に強くオススメします。逆に、英語学習に本腰を入れて取り組む意欲のない方にはオススメしません。なぜならそういう方が本書を購入しても埃をかぶってお蔵入りするだけで結局無駄な投資となるのが目に見えているからです。

主観ですが「ロイヤル英文法」との違いを書きます。

◆発信型英語のための文法書
「ロイヤル英文法」はどちらかというと、文法を体系的にまとめただけのもので、確立された”英文法”を学習者に理解させることに主眼を置いています。学習者が学んだ英文法を実際にコミュニケーションとしての英語に活かすという発信型英語の観点では十分な内容とは言えませんでした。それは他の文法書にも言えることです。ところが、「表現のための実践ロイヤル英文法」は、英語を発信することに主眼を置いているため、従来の英文法解説+αでコミュニケーションを意識した解説が充実しています。日本における英語教育が長きにわたって読解(Reading)を重視してきたのは言うまでもないですが、その基本たる文法を学ぶという意味では「ロイヤル英文法」で十分だったでしょう。しかし近年のグローバル化により外国人と英語でコミュニケーションする場が増えるにつれて、自分の意見を発信(Writing/Speaking)することがより重要であることに気付かされている学習者は少なくないと思います。この歓迎すべき時代の潮流に即した発信型英語を学ぶための新しい時代の文法書がまさに「表現のための実践ロイヤル英文法」であると私は思います。

◆読み物としての文法書
「ロイヤル英文法」は文字が小さく、黒一色の印刷で、辞書的な使い方をする本です。「表現のための実践ロイヤル英文法」は本のサイズが大きいので文字も大きくなっており、カラー印刷で見やすく、読める辞書になっています。私は「ロイヤル英文法」「表現のための実践ロイヤル英文法」の両方を読み終えていますが、「ロイヤル英文法」は決して楽に読み通せるものではなく相当時間がかかりました。一方「表現のための実践ロイヤル英文法」は読んでて面白く、ボリュームの割に早く読み終えたと思います。「ロイヤル英文法」ではカバーしきれていない解説が充実していて役立つ情報が満載です。

私が「表現のための実践ロイヤル英文法」を購入したのは2-3年前です。それより前から気にはなってはいたのですが、その当時「ロイヤル英文法」を読んでいたため、読み終わってから購入しようと思ってwaiting listに入れていました。ようやく「ロイヤル英文法」を読み終え、「表現のための実践ロイヤル英文法」を購入し読み始めて衝撃を受けました。何でこの本をもっと早く書いて世に出してくれなかったのかと。本書がどれほど優れた書であるかは、わかる人にはすぐにわかります。読めるなら2冊とも読むにこしたことはないのですが、どちらか選べと言われたら「表現のための実践ロイヤル英文法」1冊で十分です。これこそ文法書のバイブル。新しい時代の文法書として、世紀の大ベストセラーになるでしょう。

TOEIC、TOEFL、英検などの英語資格試験のための勉強に明け暮れるのもよいですが、それはあくまで支流。本流である確固たる英語力の土台となる英文法の学習に本格的に取り組んでみてください。支流にばかり気を取られて本流をおろそかにすれば、いつまでたっても本流の水嵩は増さないばかりかやがて水量が減り支流にすら水が行きとどかなくなります。賢明な学習者は、本流の水嵩を増すことにより多くの時間を割きます。本流の流れがしっかりしていれば、自然と支流にも流れが行きとどくようになります。本流がしっかりしているので支流は決して涸れることはなく、本流はやがて大河となり大海原へと注ぐわけです。

「表現のための実践ロイヤル英文法」を世紀の良書に押し上げているのは、"発展"と称した解説と、128のHelpful Hintの記述です。この部分で、英語でコミュニケーションする上でのニュアンスを出すための文法的解説がなされています。「ロイヤル英文法」でも”参考”や”Q&A”と称した解説が随所に見られましたが、解説の観点がちょっと違います。さらに、「ロイヤル英文法」には見られなかった、章末の確認問題・実践問題が加わり、別冊として「英作文のための暗記用例文300」が付いています。

ボリュームとしては索引も含めると約700ページに及ぶ超大作(「ロイヤル英文法」は約800ページ)ですが、この内容で税抜き1800円とは、何とお買い得でしょうか。1800円でこの知識を得られるなら、買わない手はないでしょう。恐らく時代に即した英文法書をより多くの学習者に届けたいという思いで執筆された著者の綿貫陽氏には頭が下がる思いです。

世の中には良書と混じってしょうもないTOEIC対策本や英語学習本が氾濫していますが、その中にあって学習者は良書を見分ける選別眼を身につけなければなりません。繰り返しますが、TOEICなどの資格対策はあくまで英語学習の支流です。TOEICを英語力向上の踏み台にする分には問題ありませんが、TOEICが全てではないことは肝に銘じておくべきです。最近のTOEIC崇拝主義ともいうべき流れに流されてはいけません。TOEIC講師は満点を取り続けているからといって全能ではないし、それだけでは英語力は計れません。彼らがTOEICの点数を上げるだけの講義をしているのならば、なおのこと崇拝するのは危険で、学習者は閉じた世界の講義と割り切って聞くべきです。TOEIC学習者はある程度のレベルに到達したら彼らから独立し、どこかで支流から本流への舵切りをするべきです。

TOEICで990点満点取る必要性などありませんよ。線引きは個々人で違うと思いますが個人的には900点以上取ったらそれ以降は本流へ舵を切り、英語力そのものを上げる努力をした方が良いと思います。私のTOEIC受験は趣味でしかありません。そのうち満点も取れることもあるでしょうし、点数が下がることもあるでしょう。それは私にとって別にどうでもいいことです。

あらためてこのblogの目的を述べておきます。このblogは自分の学習記録でもありますが、それ以上に全ての学習者に揺るぎない英語力を身につけていただくために、良書を紹介したり、学習する上でのポイント、考え方をシェアすることが目的です。英語学習の突破口としてはTOEICや英検などの資格試験から入っていきやすいということもあり、対策本の良書を中心に紹介しているので、私の本流の学習の方は見えにくいかもしれませんが、[学習]の記事だったり、「AFN最強の生英語リスニング―スポット・アナウンスメント」「ハリウッドスターの英語」「AFN/VOAニュースフラッシュ2011」「ストーリーで学ぶ英語リスニング」「絵で見てパッと言う英会話トレーニング」「The Slangman Guide to Street Speak 1-3」、そしてこの「表現のための実践ロイヤル英文法」の記事などはまさに本流学習の代表例です。それは全く支流とは関係ないかというとそうではなく、本流を学習することで結果的に支流にも水が行きわたるという仕組みになっているし、私自身それを証明済みです。そのうちまた英検1級やTOEFLも受験しますが、本流の学習を続けていればどんな試験もパスする実力が身に付くと信じています。

本流学習の英文法を学ぶ上でのバイブルとして、私は自信をもって「表現のための実践ロイヤル英文法」をオススメします。

ちなみに私が持っているのはCDが付いていないバージョンですが、2011年にCD付きのバージョン(価格は2205円)が発売されているので、こちらも合わせて下記にリンクを付けておきます。音声が録音されているのは付録の暗記用例文300のみです。また、関連書として「表現のための実践ロイヤル英作文法 問題演習」も出ていますのでご参考まで。また「ロイヤル英文法」のリンクも貼っておきます。

(2012/10/8追記)
Harvard Business Review 2012年10月号「グローバル英語力」の最後の方に、英語力を高める厳選ツール20として20冊の書籍が紹介されていますが、その中で唯一、文法書として「表現のためのロイヤル英文法」が紹介されていました。紹介コメントは短いですが。

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