役
2012年08月03日
台湾新章麻雀 第213建議版
台湾新章麻雀の建議版ルールが改定されたようなので、手役の一覧を分類とともに記しておく。 このブログは日本語で書かれているので、使用する字体は日本語を念頭におく。 定義が明らかなものは省略することもある。 役の分類は以下の通り:
- 全
- 全体役 (手牌全体の構成を制約する役)
- n
- n面子部分役
- n+
- n面子1将頭部分役
- 準
- 準-全体役 (手牌全体の枚数による部分役)
- 況
- 状況役 (和牌の状況による役)
- 態
- 状態役 (聴牌の状態による役)
- 状
- 状況かつ状態役
- 花
- 花牌の使用 / 不使用に関する役
以下、一覧:
- 10点役
-
- 無字無花
- (全花) 字牌を使わず、花牌を抜かない。
- 断幺九
- (全)
- 一般高
- (2) 同一2順子。
- 平和
- (全) 面子は順子のみ。
- 搶槓
- (況)
- 海底撈月
- (況)
- 河底撈魚
- (況)
- 自摸
- (況)
- 門前清
- (態)
- 役牌
- (1 / 花) 箭刻・圏風刻・門風刻・正花牌。
- 槓上開花
- (況)
- 花槓
- (花)
- 20点役
-
- 三色同順
- (3) 同ランク異スート3順子。
- 一気通貫
- (3) 排他ランク同スート3順子。
- 小三元
- (2+)
- 三風会
- (3) 風牌3刻子。
- 七巧玲瓏
- (花) 7枚。
- 30点役
-
- 二般高
- (4) 異なる2組の一般高。
- 三暗刻
- (3) 3組の暗刻。
- 三連刻
- (3) 連続ランク同スート3刻子。
- 混全帯幺九
- (全)
- 八対半
- (準) 7対子+1刻子 (副露不可/点和可能)。
- 40点役
-
- 混一色
- (全)
- 対対和
- (全) 面子は刻子のみ。
- 三色同刻
- (3) 同ランク3刻子。
- 一色三同順
- (3) 同一3順子。
- 混老頭
- (全) 幺九牌のみ。
- 八仙過海
- (花) 8枚。
- 60点役
-
- 四暗刻
- (4) 4組の暗刻。
- 四連刻
- (4) 連続ランク同スート4刻子。
- 純全帯幺九
- (全)
- 人和
- (状)
- 100点役
-
- 大三元
- (3)
- 清一色
- (全)
- 三槓子
- (3) 3組の槓子。
- 地和
- (状)
- 天和
- (状)
- 240点役
-
- 千客万来
- (準) 147/258/369/東南西北中発白 で十三幺型。
- 小四喜
- (3+)
- 五暗刻
- (5) 5組の暗刻。
- 五連刻
- (5) 連続ランク同スート5連刻。
- 四槓子
- (4) 4組の暗刻。
- 360点役
-
- 字一色
- (全)
- 大四喜
- (4)
- 清老頭
- (全)
- 480点役
-
- 四連太宝
- (4) 同一4順子。
- 五槓子
- (5) 5組の暗刻。
2008年09月23日
中麻役の和了形数
中麻の役複合率計算があらかた完了したので、関連していくつか。
- 母関数 (9) に書いたのとは違い、役の配列は大まかなカテゴリ分けをしてその内部を組合せ数順にした。
- 役の難度比較において、副露の可否で分ける必要があるということが一般に言われるが、副露可能形/不可能形/副露可能数などをうまく取り込む方法はないか考え中。
- 母関数 (8) に書いたページには多くの母関数を追加したが、基本的に自分専用であることから、maxima で割り当てを行う文の形に書き換えた方がよいと感じた。
- そのページなどでは、簡化字を積極的に使う試みをしはじめた。フォントに「メイリオ」を指定しているため、私の環境では問題なくきれいに表示されるのだが、他の環境ではどのようになっているのか少々不安である。メイリオの普及具合も心配だ (ばれない程度に狭い範囲なら勝手に配布したい?)。
- 旧ページと見比べた結果、私は植木算ができないことが判明した (一色四同順を6ランク、一色四節高を5ランクとするなど)。
2008年01月07日
役の複合規定 (4)
前稿では主要四麻雀における役の分類を行った。 ここでは、複合可否にまで踏み込んでそれを検討する。
さて、現時点で分類されていない役をもう一度述べると、全不靠、七星不靠、七対、連七対、七対子、十三幺、十六不搭、千客萬來、八対半、連数八対半となる。 全ての役(約100)のうち1割もの役が分類されていないが、これらはすべて、n面子1雀頭形ではないのだ。 このような役は当然、枚数の異なる麻雀に一般化するのが難しい。 十三幺の例で見てみよう。 10枚麻雀「すべての老頭牌と四風牌を1枚以上揃える」、 7枚麻雀「すべての字牌を1枚以上揃える」、 4枚麻雀「全ての四風牌を1枚以上」、 1枚麻雀「任意の幺九牌対子」、 といった具合になるのだろうが、共通するものは何もないのだ。
よって、未分類の役を「非一般形役」として、これらは非一般形役でない役(これを一般形役と呼ぶ)との複合を自由にすればよい。 非一般形役どうしの複合可否は、現状13枚麻雀で6種、16枚麻雀で4種しかないので簡単だろう。 それに、複合形を作れないものがほとんどであることを考えると、複合可否問題の対象となる役の個数の集合は [3, 2, 2, 2, 1] となる。 つまり「七対と連七対と七対子」「全不靠と七星不靠」「十六不搭と千客万来」「八対半と連数八対半」の複合可否だけを定めればよいことになる。 そして、現行のルールを省みれば、これらはすべて「互いに複合できない」と統一されているので、これに従う。
さて、これらの役については、既存の定義から複合可否は決定している。 たとえば、全不靠と七星不靠について考えてみよう。 Wikipediaの記述では
全不靠「字牌と、3種類の数牌で147・258・369の組の中から1枚ずつ14枚で構成された手。五門斉・不求人・単釣将・七星不靠は複合しない」 七星不靠「字牌7種を1枚ずつと、3種類の数牌で147・258・369の組の中から7枚の14枚で構成された手。全不靠・五門斉・不求人・単釣将は複合しない」
とある。 これらは複合しないことが明示されていて、定義文をよく検討すれば、七星不靠は全不靠の上位役である。 当ブログの定義ではこれらを分けることによって、非複合規定を自明化している。 しかし一般に規定を通用させるには、上位役下位役の形で、これが定義文から判断できるようにするべきだ。
次に、非手役について考察する。 これも実際に、形として複合が可能なものを分けてみると非常に少ないことに気付く。 同様に考えると、上位役下位役の形になるものが複合不可で、そうでないものが複合可になっている。 だから、定義文の形式から上位役下位役と認められるものは、複合不可とすればよい。
以上から、複合規定は以下のように進化した:
- 全体役どうし、部分役どうし、非一般形役どうし、非手役どうしは、役の定義形式から包含関係が導かれれば、複合しない。
- 他はすべて、複合する。
たった2つ(実質1つ)の原則からすべての場合を導くことに成功した。
2008年01月06日
役の複合規定 (3)
前稿までで触れてきたシステムが実際に有用であるには、ほとんどの役に対して適切な分類が可能であることが必要である。 既存の役を分類することによって、これを検証しよう。
- 全体役と非包含対象
- 断幺
- 幺九牌
- 全帯幺
- 幺九牌を含まない組合せ
- 純全帯幺
- 老頭牌を含まない組合せ
- 混幺九
- 幺九牌でない牌
- 清幺九
- 老頭牌でない牌
- 全帯五
- 5を含まない組合せ
- 碰碰和
- 2個以上の対子・刻子でも対子でもない組合せ*
- 平和(中)
- 字牌・2個以上の対子・対子でも順子でもない組合せ
- 缺一门
- ある1色の数牌
- 无字
- 字牌
- 無字無花
- 字牌と、抜いた花牌*
- 混一色
- ある(k-1)色の数牌*
- 清一色
- 字牌・ある(k-1)色の数牌
- 字一色
- 字牌でない牌
- 緑一色
- 緑色でない色が含まれている牌・無地の牌
- 推不倒
- 図が点対称でない牌*
- 大于五
- 12345・字牌
- 小于五
- 56789・字牌
- 全大
- 123456・字牌
- 全中
- 123789・字牌
- 全小
- 456789・字牌
- 全双刻
- 字牌・奇数牌・2つ以上の対子・対子でも刻子でもない組合せ
- 全偶数
- 字牌・奇数牌
- 部分役と包含対象
- 连六
- 同色ランク差3の2順子
- 老少副
- 同色ランク差最大の2順子
- 一般高
- 同じ2順子
- 一色三同順
- 同じ3順子
- 一色四同順
- 同じ4順子
- 二般高
- 「同じ2順子」2組
- 幺九刻
- 幺九牌の刻子
- 明杠
- 明槓
- 暗杠
- 暗槓
- 双明杠
- 2槓子
- 双暗杠
- 2暗槓
- 三杠
- 3槓子
- 四杠
- 4槓子
- 五槓子
- 5槓子
- 箭刻
- 三元牌の刻子
- 圈风刻
- 圏風牌の刻子
- 门风刻
- 門風牌の刻子
- 双箭刻
- 三元牌の2刻子
- 小三元
- 三元牌の2刻子1対子
- 大三元
- 三元牌の3刻子
- 小三風
- 風牌の2刻子1対子
- 三风刻
- 風牌の3刻子
- 小四喜
- 風牌の3刻子1対子
- 大四喜
- 風牌の4刻子
- 四归一
- 槓子でない同種牌4枚
- 四歸一
- 刻子と順子である同種牌4枚
- 四歸二
- 対子と2順子である同種牌4枚
- 四歸四
- 4順子である同種牌4枚
- 八歸一
- 順子と2刻子である2種牌8枚
- 八歸二
- 2順子と任意の対子・刻子である2種牌8枚
- 八歸三
- 3順子と任意の対子・刻子である2種牌8枚
- 十二歸
- 槓子でない3種牌12枚
- 双同刻
- 同ランク2刻子
- 三同刻
- 同ランク2刻子
- 三色三节高
- 3色1ランクずつずれた3刻子
- 一色三节高
- 同色1ランクずつずれた3刻子
- 一色四节高
- 同色1ランクずつずれた4刻子
- 五連刻
- 同色1ランクずつずれた5刻子
- 双暗刻
- 2暗刻
- 三暗刻
- 3暗刻
- 四暗刻
- 4暗刻
- 五暗刻
- 5暗刻
- 喜相逢
- 異色同ランク2順子
- 三色三同順
- 3色同ランク3順子
- 三色三歩高
- 3色1ランクずつずれた3順子
- 花龙
- 3色3ランクずつずれた3順子
- 五門斉
- 萬子・筒子・索子・四風牌・三元牌
- 组合龙
- 萬子・筒子・索子各3枚からなる9枚の集合で、2枚からなる部分集合すべてについて「同色牌からなる部分集合である」と「同筋牌からなる部分集合である」が同値であるもの
- 清龍
- 同色3ランクずつずれた3順子
- 一色三歩高
- 同色1または2ランクずつずれた3順子
- 一色四歩高
- 同色1または2ランクずつずれた4順子
- 五歩高
- 同色1ランクずつずれた5順子
- 三色双龙会
- 2つの老少副と5の雀頭からなる集合であり、3色からなるもの
- 一色双龙会
- 2つの老少副と5の雀頭からなる集合であり、1色からなるもの
- 九蓮宝燈(日)
- 同色の数牌で、ランクは 1,1,1,2,3,4,5,6,7,8,9,9,9
- 「聴牌形」ではなく「和了形」で判定されるので九連宝灯(中)とは違いここに分類される
- 未分類手役とその理由
- 全不靠、七星不靠、七対、連七対、七対子、十三幺、十六不搭、千客萬來、八対半、連数八対半
- 特定の枚数の麻雀にしか存在が確認されていないから。
- 非手役と理由
- 独聴、九連宝灯(中)*、九龍飛天*
- 待ちの形によるものであるから。
- 自摸、門前清、不求人、半求人、全求人
- 和了の形や鳴きの有無によるものであるから。
- 和绝张
- 状況役だから。
- 无番和
- 他のすべての役に依存するから。
- 妙手回春、海底捞月、杠上开花、抢杠和、天和、地和、人胡
- 状況役だから。
- 立直、ダブル立直、地聽、天聽
- 宣言役だから。
- 荘家、連荘、拉荘
- 和了する前から決まっているから。
- 花牌、花槓、七搶一、八仙過海
- 花牌が積極的に働く役だから。
いくつか注意がある:
- 「刻子」は、ルールによって「刻子」「刻子か槓子」「刻子か槓子かquint」… などを指す専門用語である。ただし、1つのルール内にも「刻子」と「刻子か槓子」の意味が使われうる(上の定義はその部分を略してある)。「槓子」も同様に、ルールによって「槓子」「槓子かquint」… などを指す専門用語である。
- kは数牌の色数である。
- 「点対称」かどうかの判断は、図柄の大まかな部分に対して行われる。
- 抜いた花牌は、手牌ではないが便宜上ここに加える。
次稿ではこの分類に基づき、役の複合について可否の原則を検討する。
2008年01月05日
役の複合規定 (2)
前稿では、既存の麻雀における複合規定の問題点について指摘した。 本稿ではこれを解決するための新しい複合判断システムと、それに付随する各種概念を導入する。
まず、メタ麻雀なる概念を導入し、各種の役を定義しなおす。 メタ麻雀とは、麻雀一般に通用する原則を集めたものである。 ここでの「麻雀一般」というのは、かなり広い。 各国のルールだけでなく、フェアリーと呼ばれているものやまだ存在しないルールも含むのだ。
メタ麻雀の定義は非常に難しいように思えるが、そうではない。 メタ麻雀は実体を持たないから、定義する必要はない。 メタ麻雀は、麻雀の役のすべてを持つ。 役は専門用語を使った文章で定義される。 専門用語とは、たとえば「幺九牌」や「緑色の牌」など、ルールによって解釈が変わりうる対象を指す語である。
そして、メタ麻雀の複合判断システムは、「形式的上位役下位役の複合は禁止」というものである。
「上位役下位役の複合は禁止」に、形式的という言葉がついた。 これは、複合の可否をその役の性質ではなく定義文の形式から判断するという手法だ。
まず、役のうち手役を2つに分ける:
- 全体役
- 「〜を含まない」という形式で定義されるもの
- 部分役
- 「〜を含む」という形式で定義されるもの
分類不可能な手役や、手役以外の役は別に論じることにする。
さて、上の分類は非常に大きな意味を持つ。 実はこれは役の分類ではなく再定義なのだ。 1つ補足しておくと、上で「〜」にあたる部分をそれぞれ非包含対象・包含対象と呼ぶ。 たとえば、以下のようになる:
(全体役とその非包含対象)
- 断幺
- 幺九牌
- 混一色
- ある(k-1)色の数牌 (kは数牌の色数)
- 全帯五
- 5の入っていない組合せ
- 平和(中麻)
- 字牌・2個以上の対子・対子でも順子でもない組合せ
- 全偶数(台麻)
- 字牌・奇数牌
(部分役とその包含対象)
- 三色三同順
- 同ランク異色の3順子
- 四暗刻
- 4つの暗刻
- 五門斉
- 萬子・筒子・索子・風牌・三元牌
- 小四喜
- 風牌による3つの刻子と1つの雀頭
さて、このシステムの重要なところは、麻雀のルールに関係なく、役の定義文だけから複合の可否が定まる点である。
1つ目の例として、小四喜は混一色と複合する。 理由はとても簡単だ。 「ある2種の数牌を含まない」手が必ず「風牌による3つの刻子と1つの雀頭を含む」かどうかは、定義文からはわからない。 「風牌による3つの刻子と1つの雀頭を含む」手が必ず「ある2種の数牌を含まない」かどうかも、定義文からはわからない。 これだけだ。 中麻では4面子しか使えないので後者が成り立つことを推論できるが、台麻ではこれは反例を作ることができる。 よって一般に成り立つとはいえないから、メタ麻雀では成り立たない。 ということは、複合することができる。
2つ目の例として、全帯五と断幺は、ここでは複合する。 「5の入っていない組合せ」と略記したが、これはある牌集合の集合である。 幺九牌と5を含む組合せが存在するかどうかが麻雀のルールによって異なる以上、定義文からこれらが上位役下位役の関係にあるかどうかは分からないのだ。 3枚で1組とする麻雀において、これが存在しないことは自明で、このような、普通の麻雀に限れば、これらは上位役下位役の関係にある。 しかし、ヒロタシ氏の「加順麻雀」では、789を吃して56と加すればこのような組合せは存在する。 実際に、断幺形でない全帯五を和了ることができるのだ。 他にも、数牌が1から5までである麻雀を想定すると、全帯五は必ず全帯幺と複合する。
3つ目に、複合しない例を出そう。 清一色と混一色は複合しない。 混一色の非包含対象は上に述べたが、清一色の非包含対象は「字牌とある(k-1)種の数牌 (kは数牌の種類数)」となる。 理由は以下の簡潔な式で記述される(役pの非包含対象をEpと書く): 「E清一色⊃E混一色」
4つ目は複合できる例である。 意図的にそのような例ばかり出しているのではなく、メタ麻雀においてはこちらの方が多いのだ。 緑一色と混一色の関係である。 E緑一色:={牌|牌は図柄に緑色以外を含む∨牌は無地} 緑色の萬子があるかどうかなど、判断できるはずもない。 これらは複合を認めるしかない。
このように、「形式的上位役下位役」の概念を用いると、手役の複合規則は以下のようにまとめられる:
- 2つの全体役は、非包含対象同士が部分集合の関係になっていることが役の定義形式から導かれれば、複合しない。
- 2つの部分役は、包含対象同士が部分集合の関係になっていることが役の定義形式から導かれれば、複合しない。
- 他は複合する。
さて、この方法が非常にシンプルであることは同意していただけるだろう。 役の再定義をうまく行うことができれば、これは非常に使い勝手のよい方法である。 そこで、手役すべてを全体役・部分役に分類することが必要となる。 さらに、これに漏れるものについては、個別に考察を加えなくてはならない。 その数が多ければ、結局この方法は役に立たないことになってしまう。
次稿では、主要四麻雀にある役を非手役・全体役・部分役・未分類役に分けよう。
2008年01月04日
役の複合規定 (1)
各種麻雀を学んでいると、役の複合に関する規定がいろいろと異なるのに気がつく。 主要四麻雀(日本・中国・台湾・中庸の4つを総称してこう呼ぶ)を見てみよう。 中麻、台麻では「原則としてある役が成立しているときに必ず成立する役は加算しない」 庸麻では「同系列とリミットハンドを除き、成立している役はすべて加算できる」 日麻では「上位役下位役の関係にないもので、役満以外どうし、役満どうしは加算できる」 となっている。
この問題は頭痛の種である。 どの役とどの役が複合するか、常に考えていなければならないからだ。 さもなければ、和了った手が、逆転には点数が足りないなんて悲劇を生んでしまう。 しかし、役の複合可否を覚えるのはルールの問題であり、技量の問題ではない。 だから、これはできるなら簡便かつ合理的なものがよい。 ここでは、優れた方法を提案したいと思う。
この方法は現況の複合可否を拡張したものではない。合理性を追求した結果、いくつかの例について、複合可否に変更を迫るものである。
上には主要四麻雀の規定についてごく簡単に触れたが、まずは、以下に詳しく説明しよう。
中・台の方法は、役の性質に注目する方法だ。 ごく簡単なところからいくと、たとえば中麻で[123456m45677p456s]を和了ったら、喜相逢は主張できない。 喜相逢の成立条件は三色三同順成立の必要条件であるから、消えてしまうのだ。 この方法は一見シンプルだが、実は大きな問題がある。 現在の中・台ルールでは、どの役にどれが複合できるかできないかを覚えるのがとても大変なのだ。 それに、解釈が割れていて、競技会ごとにいちいち確認しなければならないものもある。
次に、庸麻の場合だ。 庸麻の「系列」という概念は、考案者の關兆豪氏によれば、役が存在している理由(幺九牌を含む、槓子がある、など)が重要な位置を占める。 この系列さえ覚えれば、あとは簡単だ。 つまり、系列が異なる役どうしは加算可能だが、系列が同じ役は加算不可能だ。 しかしこの方法にも問題がある。 庸麻の内部では、役同士の関係(すなわち系列)は閉じた体系を作っている。 だから、すべての役は系列によって完全に分類されている。 ところが、さまざまなローカル役やフェアリールールを世界中から集め、すべてを分類するということは行われていない。 中麻の推不倒や緑一色は缺一門/混一色/清一色と複合するか否か、などは、系列の概念では説明しきることができないだろう。 次に、たとえば字一色と混一色を考えると、字一色は「字牌のみからなる」混一色は「1色の数牌と字牌のみからなる」役だ。 これらの関係は、「字一色が混一色を包含する」という解釈が可能だが、庸麻においてはそれぞれ「字牌類無系列」と「一色類一色系列」であり、別系列である。 しかしこれらは加算できない。 それは、字一色が320点のリミットハンドだからである。 ここはぎりぎりの線で揚げ足を取らせないようにしているということになる。
実は、主要四麻雀のうち最も長時間にわたって実践されているのは、日麻である。 だから、ルールの不統一という大きな不備はあるものの、一番洗練されていると期待される。 たしかに、日麻を打っていて「○○と○○は複合するのかしないのか」を疑問に感じたことはないだろう。 その秘密を探っていきたい。 まずは、以下に日麻の役を列挙する。 ずいぶん少ないから、簡単だ:
一盃口, 飜牌, 立直, 平和, 断幺九, 門前清自摸和, 海底撈月, 河底撈魚, 嶺上開花, 搶槓, 一発, 混全帯幺, 対々和, 三色同順, 一気通貫, 三色同刻, 三暗刻, 七対子, 三槓子, 混老頭, 小三元, ダブル立直, 二盃口, 純全帯幺, 混一色, 清一色, 天和, 地和, 清老頭, 小四喜, 字一色, 四暗刻, 大四喜, 大三元, 緑一色, 九蓮宝燈, 四槓子, 国士無双
複合しない役の例を挙げ、その理由を書いてみる。
- 一盃口・二盃口
- 上位役下位役の関係だから。
- 飜牌・大三元/大四喜
- 大三元/大四喜は役満役だから。
- 立直・ダブル立直
- 上位役下位役の関係だから。
- 混全帯幺・純全帯幺・混老頭・清老頭
- 清老頭以外は、上位役下位役の関係だから。清老頭は役満役だから。
- 混一色・清一色
- 上位役下位役の関係だから。
- 門前清自摸和・天和
- 天和は役満役だから。
- 混一色・字一色
- 字一色は役満役だから。
理由のどこを見ても、いかにもあたりまえというものしかない。 なぜここまで簡単なのか?
庸麻の部分を注意深く読めば、その理由は分かってくるだろう。 その理由は、役満の多さにあるのだ。 なにしろ、役の階級のうち最も多くの役が属するのは、役満であるのだから。 実際ニ数えてみると、1飜役11, 2飜役11, 3飜役3, 6飜役1, 役満役12である。 最も多くの役が属する階級は、 中麻では1点(1点から順に、役の数は [12, 10, 4, 6, 10, 5, 6, 9, 3, 2, 6, 7] )、 台麻では2台(1台から順に、役の数は [13, 15, 8, 9, 3, 9, 3, 2, 2, 5, 2, 2,] )、 庸麻では5点(5点から順に、役の数は [6, 5, 5, 1, 4, 1, 1, 3, 4, 1, 1, 2, 1, 1, 2, 2, 3] )である。 これを考えると、日麻の特徴として、高い評価の役に差がつけられていないことが挙げられるだろう。 日麻の役満制は、役の複合可否問題については簡単にするために一役買っている。 しかし、役に対して適切な評価を与えるという点では非常に弱いのだ。 四槓子と四暗刻や国士無双が同じ評価であることは、非常に大きな問題である。 「すぐに日麻を変革する必要がある」とまでは言わないが、少なくとも、新しい合理的なルール体系を作ろうとしたら、これを取り入れるべきではない。
すると、結局「字一色と対々和は複合するか」「大三元と役牌(白・発・中)は複合するか」「混一色と小四喜は複合するか」のような問題が噴出することになる。 以上で見てきたように、各種ルールのいずれを採用してもある程度の不都合を生む。 そこで、新しい複合判断システムを導入しよう。(つづく)
2007年12月29日
2007年12月28日
2007年12月27日
2007年12月26日
2007年12月24日
2007年12月23日
2007年12月22日
2007年12月21日
2007年12月20日
2007年12月18日
2007年12月17日
2007年12月14日
2007年12月13日
2007年12月12日
役紹介 (47)
日麻でこれを見たら、37が危険らしい。 これに限れば、宣言牌と当たり牌の相関は計算しきることができるのではないかと思うのだが、どうだろうか。 たまたま双碰と嵌張を選択できる形の時にどうするかはあまり考えず、「牌Aだけが通ったリーチに対して、牌Bが当たる確率」を計算してしまうということだ。
- 日: ダブル立直 (2飜)
- 碰吃槓のない1巡目の立直。
- 台: 天聽 (8台)
- 子が配牌で聴牌し、ツモの前に"MIJI"と宣言した手。手牌変更不可。
- 台: 地聽 (4台)
- 自分の実質第1ツモで聴牌し、打牌前に"MIJI"と宣言した手。手牌変更不可。
未定義用語。
- 実質第1ツモ
- 純粋でなくてもよい、自分にとっての第1ツモ。
親の配牌における最後の1枚をとる前に宣言したら、認めてあげてもよいような気がするが。
役紹介 (46)
16枚だから定義が変わって当然である部分は、完全に同じ役とみなす。
- 日: 大車輪/大竹林/etc (ローカル役)
- 中: 连七对 (88分)
- 門前の清一色で、ランクが1ずつ異なる7種を各2牌持つ手。
- 台: 連數八對半 (20台)
- 清一色・八對半形で、1または9のどちらか一方を除いた全てのランクの牌がある手。
七対子と表現すると、日麻では二盃口との兼ね合いで重箱の隅をつつかれる可能性がある。 ところでこの手が天和で入ってしまったら、どれをツモったことにしても両門聴牌である。 純麻では、以前「荘家の配牌アガリは、順搭以外のツモアガリとする」というルールだったが、このケースを指摘したところ「順子があれば順搭のツモアガリとする」と変更された。 この手のおかげで、他の手が1飜得したってことか。
おっと、これで中・台の2国役は最後である。
2007年12月11日
2007年12月10日
2007年12月09日
2007年12月08日
役紹介 (41)
清一色・平和込みで50は58を和了ったことがある。
- 中: 一色四步高 (32分)
- 台: 四步高 (3台)
- 同色でランクが1または2ずつ異なる4順子からなる部分役。
役紹介 (37)からコピーして作ろうと思ったら、ミスに気付いた。
役紹介 (40)
日麻のローカル役としてはかなりマイナーだが、浅見先生の純麻にはある役な〜んだ。
- 中: 三风刻 (12分)
- 台: 三風會 (3台)
- 純: 三風刻 (2飜)
- 風牌刻子3組からなる部分役。
もう1種類を含んだら別の役になってしまう。 そしてそれは、中: 四风会/小四风会, 台・純: 大四喜/小四喜だ。 ここでは、定義ではなく役の名がねじれている。
2007年12月07日
2007年12月06日
2007年12月05日
2007年12月04日
役紹介 (33)
字体が違いすぎて、別の役かと思ったりするが、別の役はたくさんあるようだ。
- 中: 四归一 (2分)
- 槓子でない同種牌4枚からなる部分役。
- 台: 四歸一 (1台)
- 順子と刻子で使われた同種牌4枚からなる部分役。
- 台: 四歸二 (2台)
- 順子2組と刻子で使われた同種牌4枚からなる部分役。
- 台: 八歸一 (2台)
- 順子と刻子2組で使われた、同種牌4枚×2組からなる部分役。
- 台: 八歸二 (3台)
- 順子と刻子で使われた同種牌4枚の2組からなる部分役。
- 台: 八歸三 (4台)
- 順子と刻子で使われた同種牌4枚と、順子2組と刻子で使われた同種牌4枚からなる部分役。
- 台: 四歸四 (4台)
- 順子4組で使われた同種牌4枚からなる部分役。
- 台: 十二歸 (10台)
- 1組の順子と3組の刻子で使われた、同種牌4枚×3組からなる部分役。
台麻は16枚麻雀だから、俗にいう槓仔もできやすく、役のバリエーションが増えることにつながったのだろう。
2007年12月03日
2007年12月02日
2007年12月01日
役紹介 (29)
この役たちは、日中台の間でかなり入り組んでいる。あえて同列にしてしまおう。
- 日: 国士無双 (役満)
- 中: 十三幺 (88分)
- 全ての幺九牌を1枚以上持つ手。
- 中: 全不靠 (12分)
- 字牌5種か6種を1枚ずつ、色が異なることと筋が異なることが同値である数牌を1枚ずつ持つ手。
- 中: 组合龙 (12分)
- 色が異なることと筋が異なることが同値である数牌を1枚ずつ、合計9枚からなる部分役。
- 中: 七星不靠 (24分)
- 字牌7種を1枚ずつ、色が異なることと筋が異なることが同値である数牌を1枚ずつ持つ手。
- 日: 十三不搭 (ローカル役)
- 台: 十六不搭 (5台)
- 手牌から2枚を選び出すと、対子が1つでき、搭子ができない手。
- 台: 千客萬來 (10台)
- 字牌7種を1枚以上ずつ、色が異なることと筋が異なることが同値である数牌を1枚以上ずつ持つ手。
気付いているかもしれないが、私は役の定義について、できるだけ短い文で表すことを考えて書いている。 普通、国士無双は「全ての幺九牌を1枚ずつと、どれかをもう1枚で和了り」のように説明されるが、私にはまどろっこしいのだ。
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