2014年09月28日

田中優さんの八ッ場ダムの解説(きっとびっくりしますよ)

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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第369号
2014.9.27発行

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□◆ 田中 優 より ◇■□■□


◆ 未来の辞書から[やらせダム] ◆ 

(2011.12.18発行 有料・活動支援版メルマガ "未来レポート" 第2号より)


 国交省の関東地方整備局が公募した、「やんば(八ッ場)ダム」建設の是非に関わるパブリックコメントで、寄せられた意見の96%が全く同じ内容だった。
内容は言うまでもなく「ダム建設賛成」というもの。しかも最後の一日で5963人増え、同じ体裁で同じ文言だったものが5739人。
このパブコメが行われたのは与党が中止をマニフェストに入れていたはずのダムだが、今回の事態を記念して
「やらせダム」と呼ばせてもらおう。

 この構図はどこかで見たことがある。そうそう原発だ。建設会社が儲かり、推進したい人たちがよくやる「やらせ」だ。やらせがばれるとたいがいは中止かやり直しになるものだが、どうやらダムは常識の外にあるらしい。


 こうして建設されてきた原発は国土の3%を人が住むのに適さないレベルまで汚染して、やっと見直しの機運にある。だが与党と野党の自民党はそれに抵抗している。ダムも同じ運命にあるのだろうか。


 ダムではそこまでの被害は生まない、と一般的には思われているだろう。
しかしイタリアのバイオントダムでは貯水と同時に群発地震が起こり、山滑りが起きてダムに山が崩れ落ち、ダムの水を洪水状にふもとにもたらしてダム下の村2125人を死なせた。中国でも台風の豪雨でダムが決壊してドミノ倒しに63基ものダムを壊し、合計で23万人を死なせている。ダムの被害も負けず劣らず大きいのだ。そして今回のやらせダム、浅間山の噴火で作られた弱い地盤で、バイオントダムと同じような地崩れを起こしかねない。
 その事故は「世界最悪のダム災害」という名のイタリア製の映画になっている。

(写真上:バイオントダム、ウィキペディアより)
(写真下:バイオントダムの事故を起こしかねない火山灰の大地、上が平らなの
は火山灰の大地を川が浸食したため。)


 「でも、水が必要なんだから」と思うかもしれない。だが、東京の一日最大配水量が最大だったのはいつだろうか。なんと1978年なのだ。そこから33年間、水道需要は上がるどころか下がり続けている。しかも水洗化に伴って増えてきた水消費量は、すでにほぼ100%水洗化が終了したため上がる余地はない。それどころか節水型のトイレの水消費は、かつての三分の一以下しか水を使わない。
 この「やらせダム」、なぜ必要なのか全く理解不能なのだ。


 水も電気と同じで、家庭消費量はたいした量ではない。水消費量の7割は農業用水で、工業用と家庭用が残りの3割を分けている。その農業が衰退したために、実際には水利権を確保しているだけで、水はそのまま海に流れ出ているのだ。

 だからもう水はいらない。

(写真:東京都の一日最大配水量グラフ)


 でも治水に役立つと思うかもしれない。治水は常に財産の集中している下流域を守るためのものだ。その地点から見上げると、ダムははるか上流にあって、そのダムが貯められる水量はそのダムの上流に降った雨だけだ。下流から見ると、下流地域に流れ込んでくる水量の数%をくい止められるにすぎない。むしろ役立つのは堤防のかさ上げや、下流の遊水地で洪水時の水を一時的に貯めておく方法だ。

 でも今年は豪雨があって、南紀の熊野などで大洪水が起きていると思うかもしれない。しかし被害のあった新宮市に届けられたJ−POWER(電源開発)からの義援金を、市は返還している。なぜか。ダムの運用が洪水を引き起こしたと考えているからだ。

 発電用ダムにとって、水はそのままカネになる。落として発電すれば電気を生むからだ。だからなるべく貯めておこうとする。ところが水の貯まったダムには洪水を貯め込む貯水の余地がない。その結果、カネが大事だから水を貯めていて、かえって洪水を増大させてしまうのだ。しかもダムにはどんどん土砂が蓄積し、水の流れを悪くして、堆積した土砂の上流に洪水をもたらす。

(写真:土砂で埋まった美和ダム)


 これが未来の辞書に書かれるとしたら、こんな感じだろう。

◆ [やらせダム(Yarase-damu)]

 漢字で「八ッ場」と書くことがあるが、正しくない。
不要なものを造らせたいときに使う方法。ダム建設によって利益を得られる人たちが、まるで利害関係のない人のように装って「賛成」の意志表示をすること。
 パブリックコメントや原発建設公開ヒアリング、原発再稼働などで行われる。
 2011年頃には習慣となっていたらしく、「普通のことだ」という意見が県知事や官僚の言葉に確認されている。

(写真:ダム予定地の看板)


 しかもこの「やらせダム」には人体に有害なヒ素が蓄積しているという問題もある。もともと火山のため、強酸性のヒ素を含んだ水が流れている。この強酸性のために、通常のコンクリートで建設した場合、あっという間にダムが溶けてしまう。その強酸性の水を、石灰を流し込むことで中和し、その石灰を下流の小さな品木ダムで受け止めている。しかしそこから集められた石灰の堆積物には、数億人分の致死量に値するヒ素が含まれている。ダムを造ればこの強酸性の水のバイパスは水没して使えなくなり、ダムのヒ素が流入して下流の水道水を汚染する可能性がある。

(写真:10日で溶けたクギ)


 こんなダムを復活させて、恥ずかしくないのだろうか。あれほどマニフェストで大見栄を切って、「マニフェスト選挙」などと呼ばれたのに、そこに書かれていたメニューを裏切るのだ。議員たちはダムに反対する理由すら、理解できていなかったのだろうか。

(写真:現在の吾妻渓谷)


◆[どぜう(Noda)]※
 
 漢字で「厚顔無恥」「公害無知」と書くことがあるが、正しくない。
 事故だらけで老朽化した原発を再稼働させたり、豊かでない国に輸出したり、国内の医療制度や遺伝子操作食品の市場化や農業支配を進める米企業を応援したり、中止予定のダムを建設再開させたり、再生可能エネルギー促進法を骨抜きにしたり、地球温暖化を防止する京都議定書を破壊したりする化石頭の総称。

(※当時の野田首相のことを指しています)

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