【堺からのアピール】

見えてきた都構想の終わり
荒れた法定協議会で維新と公明党との対立は決定的

大谷昭宏事務所Webコラム 吉富有治  2019年1月25日 (金)
http://www.otani-office.com/?fbclid=IwAR0AlJXmV1ahElGiMfTKBYVUU3r8GPEruoQO7h68NeOjBIpvn2qL4ly57


「会長、動議! 動議!」
  大阪市議会で昨日23日午前に開かれた「大都市制度(特別区設置)協議会」、いわゆる法定協議会で、今井豊会長(維新幹事長)が開会を宣言した直後、委員である公明党の八重樫善幸府議が冒頭のように動議を求める発言を繰り返した。これが波乱の幕開けだった。なお法定協議会とは、いわゆる大阪都構想の制度設計をおこなうことを目的に、大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長、また府議会と市議会から各党の代表議員の計20名が参加して議論を進める場のことである。


  さて、動議を提案した八重樫府議は用意していたメモを読み上げ、今年1月11日の第18回法定協議会は今井会長の一方的な通告で開催されるような異常事態であり、次回は改めるよう忠告したにもかかわらず、本日の法定協議会も強引な手法で開催されたと批判。断固抗議するとともに直ちに散会するよう訴えた。


  この動議を受けた今井会長は採択をおこなわず、「大事なことだから皆さんの意見を聞く」と受け流し、なぜか維新の委員ばかりを指名。そこに、この動議の採択を求める委員や維新の委員から「採択しろや」「やかましいー」「職務放棄だ」などと怒声が飛び交い、協議会は40分以上も紛糾。結局、1時間近くの休憩をはさんだ後、今井会長は散会を宣言し、この日の法定協議会は議論がおこなわれぬまま中止となった。


  これまで維新と歩調を合わせてきた公明党が180度も態度を変えたのには理由があった。大阪府の松井一郎知事が昨年12月26日、大阪府庁で記者会見し、維新と公明党が水面下で交わした密約文書を暴露したからである。「合意書」と題されたA4サイズ1枚の紙には、法定協議会において「慎重かつ丁寧な議論を尽くすことを前提に、今任期中に住民投票を実施すること」と書かれ、2017年4月当時の公明党府本部幹事長と大阪維新の会幹事長が署名していた。ちなみに署名した維新側の人物が法定協議会の今井会長である。


  松井知事は市内のホテルで昨年12月23日、公明党の幹部らと面談。この密約文書を盾に、「任期」とは府議と市議のそれだと主張。4月の統一地方選と住民投票の同日実施が無理なら7月の参院選での同日実施を提案したが、公明党は「『任期』は知事と市長の任期であり、住民投票をするにも丁寧な議論が必要だ」と譲らなかった。怒った松井知事は途中で席を立ち、文書の暴露に踏み切った。また松井知事は、吉村市長と共に途中で辞任し、4月の統一地方選で知事選、市長選のトリプル選挙に打って出ることも示唆し、公明党を揺さぶる作戦に出た。


  しかし、公明党は折れるどころか、ますます反維新の態度を強めていく、業を煮やした維新側は、これまで慣例として各党の代表者が集って調整していた法定協議会の日程を会長権限で強引に決めてしまった。確かに日程は会長が決められると法定協議会の規約には書かれている。だが、これでは慣例破りとなり平穏な会議は望めない。当然、維新以外の各党が反発し、冒頭の動議騒動に発展したわけである。


  松井知事らは終了後の記者会見で「公明党は選挙目当ての私利私欲。慎重で丁寧な議論どころか完全な職責放棄だ」と批判した。だが、公明党の八重府議が提案した動議は会議をつぶすことが目的ではなく、正常な会議に軌道修正してほしいというものである。


  対立する意見を目の前にして慎重な議論を進めるためには、その会議の運営が公平・公正・中立であることが前提だろう。片方の主張、意見ばかりを聞き、反対する意見を顧みない会議の運営では、とても慎重な議論など望めない。こんな調子で時間を取って会議を進めても慎重で丁寧な議論などできるわけがない。そもそも密約文書に署名した人物が法定協議会の会長に収まっていること事態、協議会の公平な運営など期待できないし、ここにきて今井会長の議事進行にも強引さが目立つ。公明党は公平で公正な議論の場を求めたにすぎず、職責放棄でも何でもない。むしろ維新による法定協議会の八百長ぶりが目につく。


  いずれにしても今後、法定協議会はまともに開かれないだろう。となれば、「住民投票の実施」を大義に掲げた松井知事と吉村市長が任期を待たずに辞任し、統一地方選とのトリプル選挙になる可能性が非常に高い。だが、仮に知事と市長の椅子を維新が取ったとしても、中選挙区制の大阪市議会で維新が単独過半数の議席を奪うのは、まず不可能。結局、公明党の協力がなければ都構想など絵に描いた餅でしかなく、その公明党は支持母体である創価学会の了承を得て、維新と徹底抗戦の構えでいる。


  この日の荒れた法定協議会を維新の一部議員らは、自民、公明、共産を批判する材料として早くも宣伝材料に使いだした。しかし、あの法定協議会が都構想の終わりを伝えるものだと気づいた議員は何人いたのだろうか。4月の"最終決戦"まで、あと2ヶ月と少しである。 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

焦りの裏返し? 松井知事が出直し選挙に!? 党利党略の選挙など有権者には大迷惑
2018年12月24日 (月) 吉富有治
http://www.otani-office.com/blog/2018/12/web-c8fa-1.html

 大阪のクリスマスイブは早朝からきな臭い話から始まった。12月24日の毎日新聞朝刊は1面トップで「大阪知事・市長 辞職意向 統一選同日公算大 都構想住民投票問う」という派手な見出しをつけ、大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長が来年12月の任期満了を待たず、来年春の統一地方選前に辞任するという記事を載せていた。記事のとおりなら統一地方選は府知事選と市長選のトリプル選挙になる。全国でもあまり例のない事態だろう。


  松井、吉村の両トップが任期前に辞職し、統一地方選と同日に出直し選挙することは以前から噂されていた。松井知事や周辺がせっせと噂をばらまき、担当記者などにも出直し選を臭わせていたからだ。当然、大阪の自民党や公明党、共産党、また市民団体や各種労組もその情報はつかんでいた。ただ、その段階では真偽不明の未確認情報だったが、今回の毎日新聞の記事で本決まりになったと私はにらんでいる。トリプル選挙は、まず実施されるだろう。


  私は前回12月21日のコラムで、いわゆる大阪都構想の住民投票を来年夏の参議院選と同日におこなうため、あの手この手で松井知事が公明党を揺さぶっていることを記事にした。また公明党にも住民投票のスケジュールをめぐって知事に弱みを握られているものの、表面的には同日選には応じない強気の姿勢であることも伝えた。今回、公明党はその姿勢を崩さなかったようだ。だから毎日新聞が伝えたように、破れかぶれになった松井知事が統一地方選との出直し選を言い出した。
  
   もっとも、毎日新聞の記事は出直し選のみに重点が置かれているのではない。最大のポイントは「このため、ダブル選は松井知事、吉村市長の出直し選とは限らず、吉村市長の知事選出馬案など、別の候補になる可能性もあるという」の部分。つまり出直し選ではなく、変則的な選挙になる可能性が高いのだ。


  予想されるのは、吉村市長は府知事選へコンバート。一方、松井知事は来年夏の参院選大阪選挙区に維新2人目の候補になるというものだ。このときは維新も市長選に新たな候補者を出す必要に迫られる。そうでもしないと、かえって維新に逆風が吹く。なぜなら、統一地方選とのトリプル選挙で松井知事が知事選に出馬し、吉村市長が市長選に出馬してダブルで再選しても、公職選挙法の規定で約7ヶ月後の来年11月には再び府知事選と市長選のダブル選挙がおこなわれることになる。これほど税金の無駄使いもなく、有権者から維新が批判を浴びるのは間違いない。それを避けるために両トップは変則的な選挙に打って出るのだ。これなら任期は一からスタートだからだ。


  もし松井知事が参院選の候補になれば、大阪における過去の国政選挙での維新の総得票数を見る限り、維新は2名の候補者を当選させることは十分に可能だと思われる。しかも、松井知事は2025年大阪万博の誘致を成功させた功労者だと世間は見ている。そうなると定員4名の大阪選挙区の中で割を食うのは2名の候補者を出すことを決めた自民党、そして候補者1名を応援する公明党だろう。もし維新が2名を当選させた場合、残りは2議席。自民党と公明党の計3名の候補者が残り2議席を争うことになるが、共産党や立憲民主党などの野党が1名でも当選者を出すようなら、公明党はさらに苦しい戦いを強いられる。


  公明党にとって次の参院選に勝つことは支持母体である創価学会からの至上命令。絶対に負けるわけにはいかない。そこを熟知した松井知事は「それが嫌なら参院選と同日の住民投票に賛成しろ」と公明党に迫る作戦なのだ。


  さて、一般的に知事や市長、町長らの「出直し選挙」というのは単なる首長選挙にとどまらず、信任投票の意味が強い。各自治体でおこなわれた過去の出直し首長選をみても、「私はこのような政策を実行したいのだが議会の反対に遭ってできない。そこで出直し選挙で有権者の皆さんの信任を得たい」というものが大半だ。だから先にも書いたように公職選挙法でも例外を設け、出直し選に出馬した前首長が当選した場合、その任期は選挙前のものと変わらないと定めている。一般の首長選と違って出直し選は信任投票の性格が強いから、わざわざ任期をリセットする必要はないだろうという判断からである。


  もし松井、吉村の両首長がそろって来年春の出直し選に臨んだとして、その根拠とはいったい何か。明らかに住民投票の実施時期をめぐる問題だろう。両首長が考える日程に維新以外の政党が反発し、だったら出直し選挙で民意を問い、両首長が訴える日程の信任を得るというものである。なるほど、これならまだ大義名分はある。


  だが、松井知事と吉村市長が任期前に辞任したとして、その結末が吉村市長は府知事選にくら替え、松井知事は参院選に出馬だとしたらどうなるのか。統一地方選で維新に追い風を送ることが本音だとしても、客観的に見れば両者は有権者から信任を得るために辞めるのではなく、首長の職を途中で放り投げたことになる。これでは大義名分もヘッタクレもない。自分たちの都合で選挙をおもちゃにしているだけの愚行だろう。


  なお、この事態について公明党大阪本部の関係者は「勝手にどうぞ」と冷めた目で突き放し、自民党大阪府議団の花谷充愉幹事長は「松井知事らの出直し選挙は想定済み。むしろ統一選との同時選挙は維新を終わらせる絶好のチャンスだ」と挑発に応じる構えだ。

  松井知事の党利党略にも呆れるが、そんな愚行につきあわされる大阪府民、大阪市民こそ大迷惑な話である。 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ブログ『大谷昭宏事務所』から転載させていただきました。

万博失敗なら府市のダブル破産 だからこそ都構想の議論は保留に
2018年11月28日 (水) 吉富有治
http://www.otani-office.com/blog/2018/11/web-c8fa-1.html?fbclid=IwAR3lP0CKIZMYA8aMgLz1Gbi6tiNC2


  1970年の大阪万博に続き、大阪では2度目の万博が2025年5月3日から11月3日までの185日間、大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲で開かれることになった。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。会場では最先端技術を駆使したAI(人工知能)や仮想現実などが体験できるという。

  ところが高尚なテーマがあるにもかかわらず、聞こえてくるのはカネの話ばかり。経産省や財界からは「経済波及効果は2兆円以上」「目標とする総入場者2800万人は確実だ」といった声が聞こえ、直接的な恩恵を受けるゼネコンやホテル業界はニヤけた顔でソロバンを弾いている。

  だが、これでは趣旨があべこべだ。「国際博覧会条約」の第一条定義には「1.博覧会とは、名称のいかんを問わず、公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう。」と明記されている。

  あくまでも万博の目的は「公衆の教育」や「将来の展望を示す」ことであって経済波及効果は結果論にすぎない。それが口を開けば「2兆円は儲かる」「いや、それ以上だ」とカネの話ばかりでうんざりする。

  つけ加えておくが、万博で儲かるのは過去の話である。立候補していたフランスが辞退したのは採算が取れないと判断したからだ。万博がそれほど儲かるのなら、なぜロシア、アゼルバイジャン、日本の3カ国だけしか手をあげなかったかを考えればいい。

  一方、誘致を成功させた大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長は鼻息が荒い。ロシアとアゼルバイジャンに競り勝ったのは「府市が一体化した成果。やはり大阪都構想は必要」だと訴え、早くも万博を政治利用している。2015年5月17日の住民投票で一度は否決された都構想が、万博誘致の成功で大阪維新の会には追い風となり、ここで2度目の住民投票をすれば確実に勝てると見込んで強気になっているのだろう。

  しかし、私の意見は違う。現在、「大都市制度(特別区設置)協議会」(以下、協議会」)で議論されている都構想はいったん棚上げになるとにらんでいる。万博と都構想を同時に並走させるのは予算や人員配置の面からも難しいからだ。本気で万博を成功させるつもりなら、むしろ都構想の議論を中断しないといけないだろう。

  今は万博の誘致に成功したと喜んでいる大阪府と大阪市だが、これからは様々な問題点が浮き彫りになってくる。万博関連の予算などをチェックする大阪府議会と大阪市議会には難題が押し寄せ、そのうち両議会は衝突すると予測している。

  万博を成功させるためには様々なハードルがあるが、中でも最大の問題は財政的な裏づけをどうするかだ。

  まず、会場整備費の1250億円。果たしてこれだけで済むのだろうか。2020年東京オリンピックのように、いつのまにか2倍3倍と膨らむ可能性はないのか。

  1250億円は国と自治体、企業の三者で分担することが決まっている。それぞれ約416億円ずつだが、特に財政が厳しい大阪府には負担が重い。416億円がさらに膨らむと、「少しは財政に余裕がある大阪市が肩代わりしてくれ」と大阪府が言い出すとも限らない。そうなると市議会の反発は必死である。

  次に交通インフラだ。舞洲会場には既に地下トンネルが開通しており、ここに地下鉄を延伸させる必要がある。その総額は約640億円。この負担も大阪市だけで、大阪府は負担ゼロ。府市はIR・カジノ業者に肩代わりさせるつもりだが、確実に決まっているわけではない。また約640億円という数字も試算にすぎず、さらに増えることも考えられる。その場合、大阪市だけの負担でいいのかと、こちらも府と市の火種になる可能性が高い。

  2800万人の総入場者を目標とするなら、1日あたりの入場者数は約15万人。これだけの人数を地下鉄だけで運ぶのは不可能で、当然、夢洲へ渡る橋や道路の拡張整備も必要だ。その額は40億円以上と言われるが、大阪府と大阪市のどちらが負担するかも決まっていない。他にもJR線の延伸も計画され、府市が一部を負担することも検討されている。

  一事が万事、この調子。他にも課題はまだまだ山積しており、「万博が大阪にやって来た」と浮かれている場合ではない。そこに都構想を加えると、さらに最低でも700億円ほどの予算が必要となる。万博のコストに加えて都構想のコストまでが大阪府と大阪市に重くのしかかるのだ。両方が失敗なら府と市のダブル破産である。

  しかも、都構想の青写真を作る協議会では維新と自民、公明、共産各党との対立が激しく議論は停滞したまま。いつ設計図が完成するのか、まったく先が見通せない。そのうえ、協議会には大阪府と大阪市から優秀な役人が派遣され、人件費も加えるとこれまで莫大な税金が使われている。

  政府は近々、「25年日本国際博覧会協会」を立ち上げるという。そこには当事者である大阪府と大阪市から役人も派遣される。と同時に、大阪府と大阪市でも万博に向けた専門部局を立ち上げ、府市の両議会も普段の公務以外に万博のための議論が加わることになる。議員も寝るヒマがなくなるだろう。

  繰り返しになるが、2025年大阪万博を成功させたいのなら都構想の議論はいったん棚上げにし、そのマンパワーと税金を万博のために一点集中すべきだろう。二兎を追う者は一兎をも得ず。「万博も、都構想も」と欲張っていると、いずれ共倒れになるだけだ。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

【堺からのアピール】StudySessionVol.6

野党こそ「金融緩和と大胆な財政出動」で
     福祉政策の充実を

~市民と野党の「豊かな共通政策」めざして~
 
 改憲を至上命題とする安倍政権は、金融緩和を行いながらも「トリクルダウン」なるフェイクに基づく大企業向けの公共事業、財政均衡論の呪縛に囚われた社会福祉の切り捨てや消費を冷え込ます消費税増税などの愚策に陥っています。
 これに対し左派・リベラル野党勢力こそが「金融緩和と大胆な財政出動」を基にした経済政策を掲げ、とりわけ若者の支持を獲得すべきだとする松尾匡さん。これに対し左派・リベラル野党勢力こそが「金融緩和と大胆な財政出動」を基にした経済政策を掲げ、とりわけ若者の支持を獲得すべきだとする松尾匡さん。
 米バーニー・サンダース、英ジェレミー・コービン、スペイン・ポデモスはじめ欧米左派が金融緩和に基づく経済政策を重視して、極右ポピュリズムと対抗していること、来る参院選に日本の左派・リベラル勢力はどういう共通の経済政策で臨むべきかなど、示唆に富むお話しが聞けます。
* 講師:松尾匡さん(立命館大学経済学部教授)

img_056aae71b38dc41da4f9d537bd8a3b1b81686* 日時 2018年12月2日(日)
  13時30分~16時30分
 (受付開始13時15分)
* 会場 堺市産業振興センター
  
セミナー室4
 (南海・地下鉄中百舌鳥駅徒歩4分)
* 参加費 1000円
 (堺からのアピール賛同人500円)
* 保育あります
 (要事前申込み:下記まで)
* 主催 堺からのアピール
 TEL:072-229-6331  Email:QYD
04504@nifty.com

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2018111900010_1
















日本の公教育の崩壊が、大阪から始まる
子どもの学力テストの成績で教師が査定され、使い捨てされる時代がやってくる

鈴木大裕 教育研究者
2018年11月25日 WEBRONZA
https://webronza.asahi.com/business/articles/2018111900010.html

子どものテスト結果で教師を人事査定する

 世の中を経済的な観点からしか見ようとしない狭く偏った価値観が世界を席巻している。公教育にもビジネス理論を積極的に導入し、学校や教員を競争させれば教育全体が良くなるという「単純で間違った答え」が今、世界規模で子どもたちの教育をダメにしている。

 日本も例外ではない。

 子どもの学力を調べる目的ならば一部を抽出して調査すれば十分だが、第一次安倍政権は2007年に全国学力調査を悉皆式(全員参加)で復活させた。民主党政権で一度は抽出式になったが、第二次安倍政権はまたもや悉皆式に戻し、毎年約60億円もの予算を使って国内すべての小学6年と中学3年の子どもに全国統一のテストを受けさせている。

 この全国学力調査の成績を、自治体別だけでなく学校別にも開示し、競争を煽る動きが広がっている。大都市では公立の小中学校がまるでビジネスのように生存をかけて顧客(生徒)を奪い合う「市場型」学校選択制を導入している例もある。

 イギリスやアメリカではこうした手法がいちはやく導入されたものの、今では「企業型教育改革」(corporate education reform)と揶揄され、見直しが進んでいる(筆者の著書『崩壊するアメリカの公教育:日本への警告』参照)。ところが、日本ではそんなことは知られておらず、まさに今、全盛期を迎えつつある。

 その典型が、大阪市が設計を急いでいる「メリットペイ」制度だ。全国学力調査やその他の学力標準テストの結果を、校長や教員の人事評価やボーナス、そして学校予算に反映させるというものだ。

 この制度が日本の公教育に及ぼす悪影響は計り知れない。

米国では化石のように古びた「メリットペイ」

 子どもの学力を伸ばしたい。頑張っている教員をきちんと評価してほしい。

 そんな思いは誰にでもあるだろう。教育関係者なら尚更だ。だが、それを「メリットペイ」という制度で実現しようとすると、思いがけない落とし穴に落ちてしまう。

 アメリカの教育現場にメリットペイ制度が導入され始めたのは四半世紀以上も前のこと。今ではその欠陥が次々に露呈し、企業型教育改革の中では化石のように古びた印象さえある。

 その制度を、大阪市は今になって導入しようとしている。私が知る大阪市の教育関係者たちは、なぜこのタイミングでメリットペイなのかと首をかしげていた。

 今さら、なぜメリットペイなのか。

 その答えは、公教育さえも経済的な効率性と生産性の観点からしか見ようとしない新自由主義者の視点に立つと見えてくる。一言でいえば、公教育の完全なる市場化と民営化を目指しているからだ。

 新自由主義社会では、政府は保険、鉄道、郵政など、民営化されたかつての公共事業の市場を管理し、未だ市場化されていない領域には新たな市場を作り出す役割を担う。大阪市に続き、まさに今、安倍政権が水道という新たな市場を開拓しようとしているのも、新自由主義の教科書通りのシナリオだ。

 そして、冒頭で述べたように、教育面でも公教育の市場化の準備は着実に進んでいる。

教師に子どもの成績の「結果責任」を負わせて競わせる

 公教育の完全なる市場化と民営化に向けて、現時点で不足しているものは何か。

 それは、すべての学校、校長、そして教員が、自らの生存をかけて、子どもの成績の結果を競い合う体制だ。

 学力テストが単なる調査で終わると市場化は完成しない。その調査に結果責任を負わせることで、初めて市場が動き出す。つまり、全国学力調査を教員評価に連動させることには、教育現場の結果責任を問うための根拠作りとしての一面があるのだ。

 大阪ではただでさえ教員が足りていないのに、教員不足にさらに拍車がかかり、点数アップが期待できる「優秀」な教員の争奪戦が激化し、本格的な「教員市場」の誕生が想定される。非常勤講師の更なる増加、教員免許制度の規制緩和や塾講師の教育現場への派遣、そして教員の年俸制も視野に入ってくる。

 こうして教育は「サービス」と化し、受ける側だけでなく、提供する側も生存競争を強いられ、公教育の「市場」が活性化していくのだ。
2018111900010_2
















全国学力調査の開始を待つ小学6年生たち=2018年4月17日、大阪市北区

 新自由主義の分析と批判の先駆者でもあるデヴィッド・ハーヴェイは、次のように言っている。新自由主義は「人間が行う全ての行動を市場の領域に持ち込もうとする。そのために、グローバル市場における様々な決定を導く情報創出のテクノロジーとデータベースを必要とするのだ」。

 つまり、教育という事業の効率と効果を証拠として残すためのメカニズムの構築が公教育の市場化には不可欠であり、そのためには生徒の学力だけでなく教員の教える能力さえも「パフォーマンス」として数値化する必要があるのだ。

 元米国教育指導カリキュラム開発連盟会長のアーサー・コスタの言葉からは、測定可能な「エビデンス」の追求に翻弄されたアメリカ教育界の姿がうかがえる。

「教育的に大事で測るのが困難だったものは、教育的に大事ではないが測定し易いものと置き換えられてしまった。だから今、我々は、学ぶ価値のないものをどれだけ上手に教えたかを測定しているのだ」

1%の「勝ち組」目指して99%が生存競争する社会

 「アメとムチ」の政策であるメリットペイ制度に対して各方面から批判が噴出すると、大阪市の吉村市長は「子供達の学力向上の努力をし、結果を出す教員が高く評価されるのは当然だ」(吉村氏のツイート)とアメの側面を強調してきた。

 しかし、そもそも事の発端が、全国学力調査で大阪市が政令都市中2年連続最下位だったことに対する市長の怒りだったことを考えれば、それはあくまでも建前に過ぎないだろう。

 いったんムチの側面に光を当てれば、このメリットペイ制度が、教員の身分保障の脆弱化を加速させるツールとなる危険性を孕むことがわかる。

 終身雇用資格の剥奪や正規公務員から非正規契約雇用への切り替えなど、教員の身分保障の脆弱化はも
はや世界的な傾向となっている(参照:勝野正章『教職の「非専門職化」と「脱」非専門職化」』:「人間と教育」〈97号、2018〉)

 一つ理解しておきたいのは、市場化を目指す新自由主義政府にとって、教員など公務員の安定した雇用形態およびそれを守る組合は邪魔な存在だということだ。新自由主義は、不安定性を肥やしにする。新自由主義的に言えば、1%の「勝ち組」を目指して99%の人間が生存競争をするのが理想的な社会のあり方なのだ。

 その意味では、「頑張っている」教員や校長へのボーナス支給を「エサ」にして導入されたメリットペイ制度が、政府に教育現場に対する管理の強化をもたらし、「結果」を出していない教員や校長を「正当に」解雇し、最終的に教員組合の解体へと突き進んでいくことは大いに考えられる。

 そうなれば教員の序列化は正当化され、公教育の枠組みの中で「当たり」と「ハズレ」が生まれ、「公」の概念そのものが崩壊を起こす。そして皮肉なことに、「結果がすべて」のテスト教育体制の中で、教員が目先の結果、つまり生徒のテストの点数を上げようと頑張れば頑張るほど、教員は自らの専門性を失い、「使い捨て労働者」になっていくのだ。

「どんな複雑な問題にも決まって短く、単純で、間違った答えがある」

 これが大阪市だけの問題ではないということは、強調しても仕切れない。

 大阪市のようにあからさまに全国学力調査を評価の根拠にしようとはしていないものの、ビジネス界の「常識」として人事考課制度を教育現場に導入している自治体は少なくない。それらの自治体も大阪市が進めるメリットペイ政策にまつわる攻防を凝視し、同様の政策の導入チャンスを狙っているとみたほうが良い。

 「どんな複雑な問題にも決まって短く、単純で、間違った答えがある」と言ったのは、アメリカの著名なジャーナリストであるH.L.メンケンだった。公教育に市場原理を持ち込めば諸問題が解決するというのは、まさに「短く、単純で、間違った答え」なのだ。

*後編「AI・非常勤講師任せの『負け組』教育」に続きます。日本より先に公教育の市場化が進んだ米国での教育格差の実態に迫ります。11月26日公開予定です。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

img_7495b8fbe3085dd699cd52ce52e9e50719776456










2025年大阪万博の会場となる夢洲(写真:アフロ)

万博誘致で大阪都構想は再燃するのか
万博開催で大阪が財政破綻都市に逆戻りする懸念
吉富有治 JBPress 2018.11.24(土)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54763?fbclid=IwAR1robbA5lvBS1M8wFPACAgFYDvAHq3dTb6ZrZdGSUn

 2025年の国際博覧会は大阪で開かれることになった。会場は大阪湾の埋立地、夢洲だ。大阪に住む者の1人として素直に喜びたいと思う。まずは誘致の成功、おめでとうございます。

 とは言うものの正直なところ、私は「大阪万博」の開催自体については特に賛成でも反対でもない。ただ、大阪府政や大阪市政を長年ウォッチしてきただけに、今回の誘致には素直に喜べないものがある。これまでの誘致活動の背景に、大阪の複雑な政治的思惑があることを感じているからだ。

万博誘致と「大阪都構想」はワンセット!?

 この万博誘致は大阪府の松井一郎知事が言い出したもので、その最大の目的は「大阪経済の発展」にある。もちろんそのことに異議をはさむ余地はない。私も賛成である。

 ただ、松井知事が考える「大阪の経済を発展させたい」という願望の裏には、別の願望も混じっていると推測している。いわゆる「大阪都構想」の実現である。

 松井知事は大阪維新の会の代表でもある。その大阪維新の会は大阪都構想(以下、都構想)を最大の政治的目標とする政党だ。その都構想のキモは大阪市を廃止することである。と同時に、府と市に横たわる二重行政を解消し、事務を簡素化。行政コストを引き下げ、大阪の知名度を上げることで大阪経済を発展させようというのが都構想の狙いである。だが、2015年5月の住民投票で反対票が賛成票を上回り、都構想も一度は否決されている。

 松井知事が万博誘致を言い出したのは、1回目の住民投票で負けた後のことだった。おそらく松井知事の頭の中には、万博と都構想をワンセットにすることで、万博誘致の成功も、それに伴う経済波及効果も都構想の効果の1つだと訴えたいのだろう。実際、大阪府と大阪市は現在、2度目の住民投票の準備を進めている。

 2025年の大阪万博は決定した。松井知事が純粋に大阪経済を活性化させたいのであれば、まずは都構想と万博とは切り離して考えてもらいたい。事実、都構想に反対の自民党と公明党も大阪万博の誘致には前向きなのだ。ここに政局を持ち込んでもらいたくはない。

発想がハコモノ行政の延長線上にありはしないか

 さらにもう一点、疑問に思っている点がある。2025年大阪万博で、本当に経済が発展するのかということだ。経産省は約2兆円の経済効果があると説明しているのだが、果たしてそろばん通りにいくものなのか。会場の建設が始まって海外からも観光客が押し寄せればゼネコン、ホテルなどのサービス業は潤うだろう。ただし、課題はそれが長続きするかどうかだ。単に万博を開催しただけでは一時的な効果はあっても、景気は長続きしない。
 
 今の万博は、昔の万博と違うのだ。1970年の大阪万博は日本の高度成長期にぶつかっていた。日本の経済発展が右肩上がりに続いている中で開かれたものだったから、その勢いを加速させる役目を見事に果たすことができた。

 ところが今の日本経済に当時のような勢いはないし、大阪経済にいたっては地盤沈下が著しい。なるほど、万博は景気のカンフル剤にはなるだろう。多くの観光客も来るだろうし、インバウンドで利益を上げる産業もあるだろう。だが大切なことは、その勢いを長期間にわたって維持する方法ではないのか。

 一方で支出は膨大なものになる。会場整備費だけで約1200億円かかると言われているし、交通網のインフラ整備も必要だ。相当な金が必要になるのだが、大阪府も大阪市も必ずしも金に余裕があるわけではない。もちろん万博の費用は国と自治体、企業の三者で分担するのだが、フランスは効果が見込めないとして立候補を途中で辞退したのだ。不透明な経済効果に目を惑わされて万博に巨額の金を投じて大丈夫なのだろうか。
 
 万博誘致で経済を発展させようという考えは、ひと昔前のハコモノ行政と本質的には変わらない。ハコモノを作れば、確かに建築土木業や設備系の企業は儲かる。しかし、効果はその程度だ。

img_4e3c89eabae29f60a17d72d4d6098bd5290184














ハコモノ行政の失敗で一時は財政破綻寸前に追い込まれた大阪(2018年8月9日撮影、資料写真)。(c)AFPPHOTO / Toshifumi KITAMURA〔AFPBB News〕

 かつて大阪は、ハコモノ行政で手痛い失敗を経験している。2005年ごろの大阪市は財政破綻寸前だった。その大きな原因は、大阪湾岸エリアの開発に失敗したからだ。今回の万博の会場となる夢洲も、その負の遺産である。大阪湾岸を埋め立て、大きな土地を作って整備し、企業誘致をすれば、企業も人も集まり、経済発展していくだろう――。こんな思惑が当時の大阪市を支配していたのだが、思ったほど企業は誘致できず、結果は大失敗。多額の借金だけが残ってしまった。

 今回の万博誘致の発想は、このときの発想から抜け切れていないのではないか。それが、また同じ間違いを繰り返すのではないか、と心配する所以である。

   大阪の経済がこれほどひどくなったのは、もともと大阪に本社を置いていた企業が、東京に移ってしまったことも原因だ。裏を返せば、それだけ大阪が魅力ない街になってしまっているのだ。

 万博開催を契機に持続的な経済発展に結びつけようと思うのなら、まずは企業が根付くような環境を作ることが大切だろう。法人税の優遇や優秀な人材を呼び込む雇用体制など、企業や研究機関を呼び込むような施策とワンセットでなければならない。万博終了後も「やっぱり事業をするなら大阪だ」と思わせるくらい企業にとって魅力ある街にしないことには本当の経済発展は望めない。万博を開催しただけでは企業が集まってきたり、転入してくる世帯が増えてくることはない。

カジノと万博、だけでは大阪経済は甦らない

 大阪万博には、政府の思惑も絡んでいる。1964年の東京オリンピックで敗戦国からの復活を世界にアピールした日本は、6年後の大阪万博で先進国としての姿を各国に知らしめた。事実、それなりの経済効果もあった。今回も昔の夢を見ようと、2020年の東京オリンピックと2025年の大阪万博をセットで考えている。ただし当時と今では経済環境がまるで違うことは注意しなければならない。

 政府は2020年の東京オリンピックに、景気を大きく刺激する効果を期待している。オリンピック終了後の反動で景気の谷がやってくることも織り込んでいる。その緩衝材として、5年後の大阪万博でもう一度景気を押し上げようと目論んでいるのだ。

 しかし2000年代に入って以降の各国の事例を見てみても、万博の後に景気が長続きした事例は少ない。唯一の成功例は2010年の上海万博くらいだろう。
 
 1990年には、大阪で国際園芸博覧会である「大阪花博」(大阪花と緑の博覧会)が鶴見緑地(大阪市鶴見区)で開催された。花博自体はまずまずの成功だった。ところが、この時に作ったインフラである地下鉄・長堀鶴見緑地線は現在、赤字路線なのだ。博覧会に合わせて作った交通インフラが、その後の地下鉄経営を圧迫しているのである。これもつい28年前の出来事なのだ。

 2025年の万博開催に合わせて、今度は夢洲まで地下鉄を伸ばす計画がある。延伸された路線はその後どうなるのだろうか。

 夢洲の万博会場の隣は、IR、つまりカジノの有力な候補地になっている。推進派の思惑通りに進めば、万博開催時にカジノはすでに開業しているはずなので、「2025年はカジノと万博の相乗効果で景気拡大」ということになる。そのときは延伸された地下鉄も活用されるだろう。

 ただ繰り返しになるが、大事なのは持続的な経済成長だ。「大阪に来れば企業活動がしやすい」「科学技術が集積していて、研究開発拠点を置くのに最適」と感じてもらえる環境を作ることが大切だ。今の国や大阪府と大阪市には、その施策がまだまだ十分ではない。

 国や大阪府、大阪市に望みたいのは持続的な経済発展である。万博誘致に成功したのだから、万博が一時的な打ち上げ花火にならないようにしてもらいたい。その経済波及効果が万博の開催期間だけで終わるのではなく、長く持続するような取り組みをしてもらいたいのだ。

 2025年の大阪万博が一時的な打ち上げ花火に終わってしまうと、また経済破綻寸前の大阪に逆戻りしてしまう可能性が高い。大阪の人たちは、そんな悪夢は二度と見たくないのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Webコラム 吉富有治
果たして「逃げた」のはどちらか "私的サロン"で議論する茶番
2018年11月21日 (水)  大谷昭宏事務所
http://www.otani-office.com/blog/2018/11/web-c8fa.html?fbclid=IwAR3lLKMtV_bQFyu3dxNijYSEMDqIgRS

大阪府の松井一郎知事をはじめ大阪維新の会の一部議員らが、ある会議に大阪府議会と大阪市議会の自民党、公明党、共産党の各議員らが参加しなかったことに対して、「逃げた」「議員として自己否定だ」などとメディアやSNSを使って批判している。そこに吉本興業所属の某芸人も便乗し、「これ行かないのはホンマに腹立つ」などとツイッターに書き込み、それに賛同する人も増えている。だが、「逃げた」のは維新以外の政党ではなく、実は大阪府と大阪市の両行政であり、その2人のトップである。

  「ある会議」とは、大阪府と大阪市が設置した副首都推進本部会議だ。この会議の主催者は知事と市長で、有識者を招いて大阪が抱える諸問題を討議し、ときに提言を受けて政策に活かす諮問機関である。諮問機関だから、この場で決まったことが法的根拠を持つことはなく、もちろん議会が追認することもない。言ってみれば、府知事と市長の"私的サロン"でしかない。

  さて、この私的サロンである副首都推進本部会議で11月16日、いわゆる大阪都構想が及ぼすであろう経済効果の議論がおこなわれた。議論のたたき台になったのは、大阪市が約1000万円の税金を支払って学校法人「嘉悦学園」に試算を委託した調査報告書だ。

  この報告書は都構想の"経済効果"を数値化したもので、そもそもは維新側の強い求めに応じて大阪市が今年1月に事業者を公募したことがきっかけだった。ところが、1度目はどこの事業者も尻込みし、結果は応募ゼロ。4月におこなわれた2度目の公募で、ようやく嘉悦学園に決まった。

  ただし厳密に言うと、嘉悦学園が出してきた報告書は都構想の経済効果を示したものではない。示されたのは、大阪市を解体して4つの特別区になれば、年間で計約1000億円規模の財政が削減でき、それが10年間で最大約1兆1000億円の削減効果が期待できるとしたものである。したがって、経済効果と言うよりは「歳出削減効果額」と呼ぶのが正確である。

  そもそも経済効果とは、新しい産業が起こり、また企業誘致で消費や雇用が増えた結果、地元に落ちてくるお金の総額を示したものだ。大阪市が廃止されて特別区ができたからといって、どんな産業が生まれるのか、全国から多くの企業が大阪にやってくるなど占い師でもない限りわからない。そのため1度目の公募で実績のある大手事業者ですらさじを投げて入札には応じなかったのは当然で、ようやく嘉悦学園が「歳出削減効果」というアクロバット的手法で入札を果たしたのだ。

  だが、この報告書には府議会や市議会から批判が相次いだ。大阪市議会では大都市・税財政特別委員会などで自民党などの議員が「試算の根拠が恣意的であいまいだ」などと担当者に何度も問題点を質している。

  その内容を一部紹介すると、4つの特別区が年間で計約1000億円も歳出をカットすれば、その代償として住民サービスが確実に落ちるだろうと指摘。その約1000億円にしても、病院や下水道事業など、大阪市が廃止されたあと大阪府に移管する事務が含まれていることまで判明。このきわめてズサンな試算に対して大阪府と大阪市は「専門家の分析だから問題ない」と木で鼻をくくった役人答弁をオウムのように繰り返すのみ。松井知事や吉村市長にいたっては、「そこまで言うのなら報告書を作った学者に聞けばいい」と開き直る始末。結果、冒頭の副首都推進本部会議でのヒアリングになった。

  しかし、これは順番が逆だろう。学者から説明を受けるのは自民党や公明党などの議会ではなく、本来は行政の仕事である。

  大阪市は約1000万円の税金を使って事業者に報告書を作成させたのだ。ならば、納入された報告書の信ぴょう性をまっさきに検証する義務が行政にはある。ところが大阪市は報告書に書かれた「約1兆1000億円」という景気のいい数字に満足したのか、中身を十分に検証していない疑いがある。検証していれば、自民党や公明党の指摘くらいは正面から答えられるはずだからだ。その基本的な義務すら怠り、「学者に聞けばいい」という態度は、自分たちの不作為を棚に上げる行為でしかない。

  議員は行政が暴走しないか、税金をムダ使いしていないかをチェックするのが本来の仕事であり、その主戦場はあくまでも議会や各委員会なのだ。行政は当然、議会や委員会で決まったことには従わなければならない。私的サロンである副首都推進本部会議に議員が参加する義務などなく、議員の主戦場ですらない。そこで話し合われた内容に法的な拘束力などなく、議会や行政が追認する場でもない。だいたい「逃げた」と叫ぶほうがおかど違いなのだ。

  大阪府と大阪市の役人は、そして松井知事と吉村市長の両トップは嘉悦学園の学者からの説明を聞いて納得し、報告書には信ぴょう性があると確信したのだそうだ。では各政党は役人と両トップを議会に呼び、数々の疑問点を再度質せばいい。今度は真正面から答えてくれるだろう。答えなければ「副首都推進本部会議で居眠りしていたのか」と笑い飛ばすことだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2018社会主義ゼミナール伊藤誠さん.doc

























*日時 2018年10月14日
13時30分~16時30分
(受付開始:13時~)

会場   国労大阪会館大会議室

JR環状線「天満」駅徒歩5分 地下鉄堺筋線「扇町」駅 徒歩6分

大阪市北区錦町2-2 Tel06-6354-0661

*資料代 1000(学生・青年非正規500円)

 事前申込制です  参加ご希望の方は、

QYD04504nifty.comまたは FAX:072-242-6315まで

#「お名前」と「府県名」をご連絡下さい。定員になり次第締め切らせて頂きます。

 主催 社会主義ゼミナール実行委員会in近畿

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

大型台風が連発する今年の日本 一貫性のない松井知事の対応に議会も苦言
http://www.otani-office.com/blog/2018/10/web-c8fa.html
吉富有治 

  今年の日本は、まるで台風に好かれているかのようだ。1961年に襲来した「第二室戸台風」に匹敵する台風21号は9月4日、非常強い勢力を保ったまま日本に上陸し、13人の尊い命を奪い去った。台風21号の勢力に劣らぬ24号は9月30日に和歌山県田辺市付近に上陸し、そのまま列島を横断。関東地方では交通機関がマヒし、静岡では大規模な停電が発生。4人の犠牲者を出し、各地で床上浸水や停電などの被害も発生した。

  台風24号が上陸する前日の29日、大阪府の松井一郎知事はこれ見よがしに防災服を着込んで緊急の記者会見を開き、「24号も21号と同程度の強い勢力を保ったまま接近、上陸する恐れがある」と強調、「まずは自分の命や身体を守ることを第一に行動してもらいたい」と府民に警戒を呼びかけた。

  災害への備えと対策をいち早く住民に伝える姿勢は自治体トップとして至極当然であると思う。だが、台風24号より勢力が強い21号のときはどうだったのか。前回の緊急コラム「知事失格! 台風被害がまだ残る大阪を離れ沖縄県知事選に首を突っ込む松井知事」で書いたように、その行動は首をかしげたくなるものではなかったのか。このとき知事は台風の前日も当日も府民に向けて注意を呼びかけるメッセージは発しなかった。むろん防災服など着てはいない。それどころか、台風が大阪を襲った当日の午後6時半にはさっさと退庁していた。

  台風翌日の9月5日の時点で関西電力の管内では約218万3000軒が停電し、関西の空の玄関口である関西国際空港では高潮によって空港機能は完全にマヒ。空港内では6日未明まで職員と利用客の約8000人が取り残されていた。にもかかわらず松井知事は9月7日、日本維新の会代表として政務で県知事選のために沖縄入りし、9日には万博誘致運動のために、こちらは府知事の公務として欧州へと旅立った。松井知事は「24号も21号と同程度の強い勢力」という認識があるのなら、どうして21号と24号とで対応に差が出てくるのだろうか。

  筋も通っていなければ一貫性もない松井知事の対応について、自民党大阪府議団の杉本太平府議は10月2日の大阪府議会本会議で府の対応を批判した。

  杉本府議は、超大型の台風21号が大阪を襲うこは予報されていて事実そのとおりになったのに、なぜ大阪府は災害対策本部を立ち上げなかったのかと何度も質問。対して松井知事をはじめ府の危機管理室の幹部は、「地震と違って台風には災害対策本部を立ち上げる明確な基準はない」「適切に対応した」と繰り返すのみだった。

  明確な基準がないから災害対策本部を立ち上げなかったというのなら危機管理など不要である。危機管理の基本とは、最悪の事態を想定して最善の策を講じることだろう。たとえ「明確な基準」はなくても、万が一に備えて危機管理本部を立ち上げ府民の命と財産を守り、そのために備えることが行政の役割ではないのか。

  杉本府議は質疑の最後に、「知事は台風24号のときは前日に防災服を着て府民向けのアピールをした。まさか誰かから『ウソでもいいから防災対策に乗り出している姿を府民に見せてください』と釘を差されたわけではないと思うが、21号の対応がまずかったと事みずから認めたということではないのか」「多くの死傷者が出ているにもかかわらず、9月7日には沖縄県知事選に応援に行った。府知事として優先すべき公務はなかったのか。府民、被災者の気持ちに寄り添うことが本来の府知事として本来のあり方ではないのか」と府と知事の対応を厳しく批判したが、松井知事には蛙のツラに小便だったようである。

  台風21号で大阪を留守にした松井知事について「ありえない」と驚く府議や府職員は多く、ネットでも批判が集中した。それで慌てたのか、「災害対応は基礎自治体の仕事。知事の役割は国との折衝などで、事実、松井知事は早々に政府関係者と面談して関空の早期回復が実現した」などと擁護する維新の議員がいたほどである。

  なるほど、この主張が正しいとしよう。だったら、なぜ松井知事は台風24号で同じ態度を取れなかったのだろうか。防災服を着て府民にメッセージなどを出さず早々に政府関係者と会い、ついでに沖縄へ飛べばいい。自ら推薦状を渡した佐喜真淳候補が破れたことについて日本維新の会の馬場伸幸幹事長に謝罪させず、自分の努力が足らなかったと支持者に頭を下げていれば、まだ一貫性はあっただろう。

  この週末には大型で非常強い台風25号が列島を襲おうとしている。台風の影響や被害も心配だが、まるで一貫性のない府知事がトップにいることのほうが、もっと不安である。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

緊急Webコラム 吉富有治 知事失格! 台風被害がまだ残る大阪を離れ沖縄県知事選に首を突っ込む松井知事

2018/09/08 8:13:20  大谷昭宏事務所

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/731737/606254/89922864


  猛烈な勢力を持った台風21号は4日昼ごろ、高知県に上陸し、その後は全国各地に大きな傷跡を残して過ぎ去った。


  特に大阪の被害は深刻だった。府内南部では強烈な暴風雨で電柱が根こそぎ倒れ、飛んできた瓦や屋根が電線を切断し、台風翌日の5日午前9時の段階で、関西電力の管内では約218万3000軒で停電が発生した。関西国際空港では高潮の影響で滑走路や空港建物の一部に海水が入り込み、空港機能は完全に停止。タンカーが連絡橋にぶつかったことで、空港内では6日未明まで職員と利用客の約8000人が取り残されていた。


  かつてない規模の台風被害に遭った大阪府では、今も府庁や府内の各自治体の職員が、また大阪府議や府内43市町村の市議、町議らが政党を問わず住民のために必死に走り回っている。


  ところが、行政職員や議員が台風被害の状況把握とトラブル解決に奔走する一方で、なにをやっているのかまったく不明な行政トップがいたから驚いた。大阪府の松井一郎府知事である。


  府議会関係者の話によると、大阪に台風が襲った4日午後から松井知事の動きがまったく見えず、知事が指揮を執る災害対策本部も立ち上がらなかったという。また、いつもは饒舌なツイッターも、なぜか台風の間は沈黙。台風が過ぎ去った後の最初のツイートは、共産党批判と平松邦夫前大阪市長への罵倒という有り様だ。一部の自治体では、停電や断水に関する情報を市長がツイッターでこまめに伝えているのに、大阪府のトップが緊急時に何一つ情報を伝えないのは異常だろう。


  だが、驚くのはこれだけではない。7日午後1547分に流れた産経新聞ネット版には、松井知事が大阪府内ではなく、なんと沖縄県那覇市にいることを報じていた。記事では、自民党の総裁選に触れた松井知事が「『もう消化試合の状況になっている』と評した。那覇市で記者団に語った」と書かれていたのだ。


  7日午後9時現在、府内では停電が続く世帯がまだ5万6000軒以上もあり、関空の機能も完全には戻っておらず、じわじわと関西経済や私たちの生活にも影響が出始めている。大阪府では8日昼までは大雨による土砂災害への警報も出ているのだ。それなのに大阪府の最高責任者が大阪を留守にし、沖縄に飛んでいるとすれば、これは知事として職務放棄にも等しい行為ではないのか。


  なぜ那覇なのか。わが目を疑った私は、念のため取材先の国会議員や府議、また府政担当者に確認を取ったが、誰も「知らない」「沖縄? まさか」と口をそろえ、中には絶句した議員までいた。私も当初、産経の記事は誤報ではないのかとさえ思ったほどである。だが、事実だった。松井知事は7日の午後、那覇市にいたのである。


  9月30日投開票の沖縄県知事選挙に立候補する予定の佐喜真淳氏(54)陣営の関係者に確認したところ、松井知事は佐喜真氏の事務所「沖縄県の未来をひらく県民の会」を訪れ、午後2時から日本維新の会の推薦状を手渡していたのだ。


  松井知事は大阪府知事と日本維新の会代表の2つの顔を持つ。理屈の上では、府知事の公務が終われば維新の代表としての政務に励むのは自由である。この日も維新の代表として那覇市に行ったのだろう。


  しかし、だ。府内には台風被害の爪あとがまだまだ残っているこの時期に、いくらなんでも大阪府知事より維新代表の仕事を優先していいわけがない。維新の府議、市議だって住民のために奔走している。推薦状を手渡すなら馬場伸幸幹事長が代行できたはずだ。政治家として目を向けなければならないのは沖縄知事選ではなく、今は府民の安全と生活を守ることだろう。松井知事はいったい、どこを見て仕事をしているのだろうか。 


  また松井知事は6日、関空の機能がマヒしたことで、大阪国際空港(伊丹空港)と神戸空港を関空の受け入れ先にしたいと政府に要望した。だが、過去の言動を振り返ればこれは奇妙でしかない。


  そもそも橋下徹前府知事は2008年、伊丹空港の廃止を訴え、2010年4月に大阪維新の会が立ち上がってからも同会は伊丹空港廃止をぶち上げていた。その後、民主党政権の下で伊丹と関空は経営統合されたが、その原因は維新が伊丹廃止を訴えたからだけではない。むしろ政府や官僚らの思惑が大きく働いたからで、維新の本音はあくまでも伊丹の廃止だったはずだ。それが困ったときだけ伊丹空港に頼るというのは、ご都合主義もはなはだしい。


  9日からは大阪を離れ、万博誘致活動のため欧州を訪れる松井知事。大阪府民の安全よりも選挙とイベントにしか関心のない人物が、果たして大阪府のトップにふさわしいのかどうか。府民もいい加減、このデタラメぶりに気がつかないと、いずれ大阪は関空のように機能不全に陥ってしまうだろう。



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

大阪都構想、今秋の住民投票困難...公明府議団
読売新聞  2018年4月19日

 大阪市を廃止して、4特別区に分割する大阪都構想の住民投票で、大阪維新の会が目指す「今年9~10月実施」について、公明党大阪府議団の八重樫善幸幹事長は18日、「どう考えても難しい」と否定的な考えを示した。住民投票の実施には公明の協力が不可欠で、今秋の実施は困難な見通しとなった。

 八重樫氏は府庁で記者団に、「(議論が)まだまだ足りない。(今秋までに)住民の理解が深まるとは思えない」と語った。

 これに対し維新代表の松井一郎知事は府庁で記者団に「秋を目標にしているが、9、10月にこだわりすぎると議会の同意が得られない。柔軟に対応したい」と述べ、先送りを検討する考えを改めて示した。

   また、吉村洋文市長は18日夜、自身のツイッターに「9月10月は難しくなった」と書き込んだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



(web サイト「大谷昭宏事務所」から転載させていただきました)
橋下前市長が言い出した住民投票延期の背景とは
〜 それでもやるなら2つの提案の受け入れを 〜
2018年1月31日  吉富有治

 1月25日の朝日新聞1面に橋下徹前大阪市長のインタビューが載った。橋下さんが政治家になって今年で10年。聞くところでは、朝日新聞では10年の総括記事を載せるつもりだったようである。

 ところが橋下さんは、今年秋にも予定されている、いわゆる大阪都構想の住民投票を「無理してやらない方がいい」と述べたことから、これが波紋を広げた。都構想の言い出しっぺが住民投票の延期を訴えたのだから世間は首を傾げ、大阪維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)は「実施は予定通り」などと露骨に反発した。

 ただ、冷静に状況を分析できる者なら橋下さんに限らず、いま都構想の住民投票をやっても勝てる見込みが低いことはわかるはずだ。

 1月27日に大阪・難波でおこなわれた維新のタウンミーティングを見てもわかる。都構想の説明会のはずなのに、集まった聴衆はわずか。2年前に橋下さんが街宣車の上に乗って説明していたときは熱狂した聴衆で周囲は埋め尽くされていたが、いまは当時の面影もなく寂しい限りである。

 要するに、多くの大阪市民にとって都構想の関心は前回より低くなっているのだ。これは、都構想の対案として出てきた「総合区」も同じで、大阪市が24区の住民を対象にした説明会では、予想の3割しか席は埋まらなかった。都構想や総合区といった都市制度の改革よりも、いまの大阪市民の関心は目の前の生活のほうが大事なのである。

 そこに加えて、維新の勢いが前回の住民投票のときほどでないことも橋下さんにとっては懸念材料なのだろう。昨年の衆院選と堺市長選挙の結果を見ても、明らかに維新がパワーダウンしていることは素人でもわかる。

 このような状況の中で秋に住民投票をやれば、反対多数で否決される可能性が高い。棄権する有権者も多いだろう。もし都構想が否決されたら、「政策の一丁目一番地」が崩れ落ちるのだから、その時点で大阪維新の会は存在意義を失ってしまう。橋下さんの「住民投票延期論」は現状の分析に基づくもので、それは同時にまた、「維新延命策」でもある。

 とは言え、いま現在、都構想の制度設計を担う法定協議会が府と市で開かれている以上、いずれ住民投票が実施する可能性は高い。松井知事も吉村洋文大阪市長も「予定通り」という姿勢を崩していない。府市の両議会でカギを握る公明党の態度もはっきりとしない。

 だが、市民の関心が低いまま住民投票をやってしまうと、20%台、30%台の低投票率で終わることは十分に考えられる。大阪市を廃止するかどうかの重大な決定を低投票率で終わらせてしまうのは、直接民主主義の正統性が揺らぐことにもなりかねない。

 そこで、個人的な提案をしたい。1つは、仮に今年の秋に住民投票をおこなう場合、最低投票率を導入してほしいのだ。最低投票率とは、定められた投票率以下だと、結果が賛成多数、反対多数のいずれであっても無効とするものである。その基準は、せめて過半数はほしい。また、できれば最低投票率に届かなかった時点で住民投票をジ・エンドにするのが望ましい。そうでないと、延々と住民投票が続くからだ。

 最低投票率の導入は府市の両議会で附帯決議を設ければ可能だ。法律や条例と違って、議会の強い意志を示す附帯決議に法的拘束力はないが、行政に対する一定の牽制にはなる。次元は異なるが、憲法改正の国民投票にも同じことが言える。低い投票率のまま憲法を改正されてはたまらない。民主主義の名が泣くというものである。

 もうひとつは投票用紙についてである。前回の投票用紙(写真)を見ると、「大阪市における特別区の設置についての投票」と書かれているが、ここには重大かつ意図的なミスリードがある。「特別区の設置」はいいとして、大阪市の廃止が記されていないのだ。

IMG_6073


 そもそも、都構想の根拠法である「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大都市法)の第一条(目的)には、「この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、(後略)」と、明確に政令市を「廃止」することが記されている。にもかかわらず、大阪市民にはその事実を伏せ、あろうことか投票用紙にも「大阪市の廃止」という一文すらない。これは直接民主主義によって重大な決定を下すにしては、有権者に正確な情報を流していない。根拠法を無視した行政の怠慢でもある。

 そこで、もし住民投票をするならば、次回の投票用紙には「大阪市の廃止と特別区の設置についての投票」等と、正確な文言を入れるよう行政当局と府市の両議会は務めてほしいのだ。


 橋下さんは住民投票の延期を言い出したが、実際に延期されるかどうかはわからない。ただ、いずれにしても実施するのは確実だろう。だからこそ、民主的な住民投票にするためにも府市の両議会は2つの提案について真剣に考えてほしいと願うのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

あなたもアピール賛同人に加わって下さい

【堺からのアピール】

安倍政権の暴走STOP!維新NO!

市民と野党が力を合わせよう!


あなたへ呼びかけます。

あなたと同じように毎日笑ったり困ったりしながら、堺に住み、働いたり、育児をしたり、介護をしたりして生活しているわたしから、あなたに呼びかけます。

そして今、わたしでなければできないことがあります。

安倍政権の暴走を止めること。そして、わたしと、あなたと、みんなのための政治を作ることです。


*「戦争しない」と世界に平和の約束をした憲法9条、これをやぶる安保関連法は廃止します。派遣された自衛隊が他国の人々との間で「殺し、殺される」ことのないよう、戦地から引き上げます。

* 地震などで事故が起これば、尊い命を奪い土地を汚し生活を不可能にする原発は再稼働しません。

* アメリカ追従のしわ寄せを沖縄の人たちに押しつけ知らん顔をする米軍新基地建設を止めます。

* 一部の多国籍大企業の利益のためだけのTPPには加わりません。

* 格差を拡大し、新たな貧困をつくり出すアベノミクスを転換します。

わたしの生活、あなたとあなたの大切な人の健康、この国の平和と未来を破壊するからです。


わたしが声をあげなければこの安倍政権の暴走は止まりません。

一人ではありません。

今の政治を変え、誰もが安心して暮らせ、誰もが尊重される政治を望むすべての人と取り組みます。何より大切なわたしたちの憲法に基づく政治、立憲主義を取り戻します。


立場や価値観、思想や信条、政治理念などあらゆる違いを、過去のしがらみも超え、手をつなぎ、力を合わせます。

どこかから力が拡がってくるのを待つのではなく、誰かが立ち上がるのを傍観するのでもなく、今ここでわたしが声を上げて行動します。

わたしの意志が同じ思いの多くの一人と重なったとき政治は本当に変わります。

堺市で、安倍政権の暴走STOP!維新はNO!の意思を示し、憲法に基づいた新しい政治を作るための輪を広げます。

そのために来る総選挙で、わたしたちの代表となる第16区、第17区における野党統一候補を実現し、市民と野党が力を合わせて、わたしと、あなたと、みんなのための政治を作ります。

2016年12月


【発起人】

井村身恒(オダサク倶楽部代表)小川たか子(グループあい代表)梶原隆憲(キリスト教信徒)斉藤努(羽衣国際大学名誉教授)佐藤美津子(小児科医師)笑福亭竹林(落語家)野島聡子(民主主義と生活を守る有志=SADL)浜埜千晶(子どもの未来を考えるママの会@大阪)藤本統起子(シャンソン歌手)松永直子(与謝野晶子研究家)村田浩治(弁護士)山部聡(VOHS=VOTE for Our Happiness @ Sakai)山元一英(全港湾労組大阪支部顧問)/2017年3月14日現在


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

20171213-063149709













対話の“チャンネル”だけは消すな〜 大阪市がサンフランシスコ市との姉妹都市を解消
吉富有治
大谷昭宏事務所 2017年12月14日
http://www.otani-office.com/column/yo_106.html


  中国系米国人として初のサンフランシスコ市長となったエドウィン・リー市長(65)が12月12日、突然亡くなった。現地の報道によれば心臓発作ということだか、詳しいことはわからないという。死因はともかく、大阪市とは姉妹都市として関係の深かった市長だけに残念だ。ここに哀悼の意を表したい。


  リー市長といえば、従軍慰安婦像をめぐる問題がある。サンフランシスコ市議会は11月22日、在中国系の市民団体が市内に建てた従軍慰安婦像の受け入れを決め、その決定文書にリー市長が署名。これに対して大阪市の吉村洋文市長が反発し、60年も続いた姉妹都市の提携を解消するとしている。その理由として吉村市長は、碑文の「性奴隷」などの表現が「不確かで一方的」と述べ、サンフランシスコ市が慰安婦像を公共物として置くことは「日本バッシングとなる」と指摘した。


   この問題は大阪市民だけでなく全国的な関心も高く、吉村市長の決断を支持する人たちは少なくない。新聞やテレビも詳しく報じ、また歴史認識の問題を含んでいるだけに、菅義偉官房長官も「極めて遺憾で、誠に残念」と述べたほどだ。

 
   その一方で吉村市長の判断に反対する人も多い。サンフランシスコ市と民間レベルで交流する市民団体はもちろん、身内の大阪市職員ですら首を傾げている。何人かの市職員を取材したが、いずれも「吉村市長は市内24区の小さなイベントにも顔を出さず、大阪市のことには興味がない。それでいてサンフランシスコ市との姉妹都市提携の解消には熱心。大阪都構想の住民投票に向けて市民の歓心を買いたいためか、それとも目立ちたいだけなのではないか」と市長の行動を皮肉っていた。

 
   大阪市議会も同じだ。吉村市長の与党会派である大阪維新の会は「姉妹都市提携の解消を求める決議案」を市議会に提出。これに市議会が12月11日、自民党と公明党、共産党などが反対多数で否決した。ただし、市議会は姉妹都市の解消には反対でも、存続か解消は市の専決事項だから拘束力がない。そのため吉村市長も市議会の決定を無視して12日、提携解消の手続きを完了させてしまった。後日、サンフランシスコ市に通告するという。


  この難問の落とし所はどこだろうか。姉妹都市を解消して大阪市が敵意をむき出しにすれば解決するかというと、それは違う。解消後も両市の感情的なシコリは相変わらず残ったままで、建設的な答えなど絶対に出てこない。歴史認識や「性奴隷」の定義が日本と諸外国とでは違ったとしても、強姦や強制売春、人身売買は人道に対する罪であると考える国際社会からは、大阪市の歴史観と人権意識に疑問符が付けられるかもしれない。そうならないためには、大阪市が姉妹都市の解消をちらつかせても将来の解決のために対話のチャンネルだけは残すべきだろう。


  この難問の落とし所はどこだろうか。姉妹都市を解消して大阪市が敵意をむき出しにすれば解決するかというと、それは違う。解消後も両市の感情的なシコリは相変わらず残ったままで、建設的な答えなど絶対に出てこない。歴史認識や「性奴隷」の定義が日本と諸外国とでは違ったとしても、強姦や強制売春、人身売買は人道に対する罪であると考える国際社会からは、大阪市の歴史観と人権意識に疑問符が付けられるかもしれない。そうならないためには、大阪市が姉妹都市の解消をちらつかせても将来の解決のために対話のチャンネルだけは残すべきだろう。


  たとえば、いまや一触即発の米国と北朝鮮を見ればいい。「明日には北爆か」という危うい状況にありながらも、両国は対話のチャンネルはしっかりと残している。ティラーソン米国務長官も12日、核の放棄を対話の条件としていた従来の姿勢を修正し、北朝鮮と条件抜きで直接対話する用意があると述べている。


  「戦争か、平和か」という究極の情勢にあっても、対話で戦争を避ける努力を外交のプロは怠らない。それはかつて、太平洋戦争に突っ込む直前まで日本の外交官たちも米国相手にやってきたことだ。


   従軍慰安婦像の設置を「日本バッシング」だとする吉村市長の主張に「その通り」「従軍慰安婦は間違い」などと同調する大阪市民も少なくない。だが、政治はうっぷん晴らしとは違う。対立する価値観や主張から一歩抜け出し、ときに妥協し、ときにより高次な解決策へと向かう高度な作業なのだ。「慰安婦像を置くなら姉妹都市はやめ!」というのは、いくら自治体間の外交だとしても、あまりに安易すぎないか。姉妹都市を解消した先に何が見えるのか、吉村市長に聞いてみたいものだ。


  言うまでもなく、リー市長がお亡くなりになったことと従軍慰安婦像の問題とは別である。ならば、ここは大阪市も哀悼の意を表し、可能なら吉村市長も葬儀に参列してはどうか。市長が公務で忙しいのなら、市議団の代表が参列してもいい。可能性は低いが、弔問外交から何らかの解決策と発展が望めるかもしれない。


  危機的な状況下に置かれても対話のチャンネルは残す。その機会をリー市長みずからが作ってくれたと大阪市も考えてはどうか。八方塞がりに見える複雑な外交問題も、ひも解いてみれば所せんは感情のもつれ。ちょっとした行動で、そのもつれが元に戻ることもあり得るかもしれないのだ。


慰安婦像(wikipedia)
  https://ja.wikipedia.org/wiki/慰安婦像 
大阪市:姉妹都市・友好都市 (…>国際化・国際交流>大阪市の海外ネットワーク)
   http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000184422.html 
大阪市大阪市会:姉妹・友好都市交流 (…>国際交流・視察>姉妹・友好都市交流)
   http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/page/0000299956.html 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

「世界的に息吹きを取り戻しつつある社会主義復権の『政治革命』も、国家の役割に圧倒的に依存していた20世紀型の社会主義と社会民主主義の発想とその軌跡から解放されて、地域社会に根ざしたグラス・ルーツの多様な民衆の連帯運動にあくまで基盤を置き、その成長をうながしつつ発展していくことが望ましい。20世紀型社会主義の限界とゆがみをのりこえて、マルクスが想定したような、権力装置としての国家の死滅に至る社会主義への道も展望しやすくなると思われる」(伊藤誠さん『21世型社会主義の再生へ』2016/7)


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

『資本論』には社会主義の具体的な青写真はほとんど書かれていません。しかし社会主義の科学的論拠が示唆されています。
その点で、社会主義における市場経済をどう位置付けるか、その際、複雑労働の評価をどう行うか、剰余労働は社会的ファンドとして個人には分配しないとした従来の通説をどう考えるか、大きなテーマが『資本論』を踏まえて研究されなければなりません。
また集権的計画経済運営を行ったソ連が社会主義からの大きな歪みを抱えながらも、70年代まではそれなりの経済発展を遂げ、その事が西欧等での社会民主主義政策の実現にも大きな影響を与えたのはなぜなのか、そしてそれが80年代に入って急速に行き詰まったその要因は何か?
そしてそれを突破するために導入されようとした市場経済は何によって阻まれたのか、それに反して中国では改革解放は何ゆえ導入しえたのか?
21世紀型社会主義再生の重要な要素としての、自由な個人のアソシエーション。それを基にした多様な生産手段の公有形態。国家の死滅に向かわせる分権的で草の根の連帯運動とは何か?
ベーシック・インカム、地域通貨、共同組合は、刷新された労働組合とともにどのような役割を果たすのか。
などなど、81歳の世界的に著名な老マルクス経済学者・伊藤誠さんがどのような提起をされるのか、ぜひお聴き下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


*2017年11月12日(日)13:30〜16:00

(受付開始13:00)

*国労大阪会館大会議室

*講師  伊藤誠さん(東京大学名誉教授)


「『資本論』刊行150年とロシア革命100年の年、資本主義をこえる変革への展望をどのようにひらいてゆけるか。資本主義の原理を探求して、その変革への可能性を体系的にあきらかにしたマルクスの発想にたちもどり、20世紀型の社会主義と社会民主主義の成果と限界が検討されなければならない。そこから新自由主義に対抗する多様な民衆の地域社会に根ざした連帯運動に基礎をおく、21世紀型社会主義への新たな潮流の意義をごいっしょに考え、協力の輪を広げてゆきたい」(伊藤誠さん)

*資料代:1000円(学生・青年非正規500円)

事前申込制です 参加ご希望の方は

QYD04504@nifty.com または FAX:072-242-6315

「お名前」と「府県名」をご連絡下さい

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

(大谷昭宏事務所ブログから転載させていただきました)

大混乱だった解散総選挙〜 その余波は維新の内紛と都構想頓挫の可能性へと発展
吉富 有治 2017年10月26日
http://www.otani-office.com/column/yo_104.html


  突然の衆院解散で有権者も慌てたが、政界も大混乱となったのが今回の総選挙だった。

 
 小池百合子都知事が希望の党を作って民進党を引っかき回したかと思えば、枝野幸男元官房長官が男気を出して立憲民主党を立ち上げ、多くの有権者の支持を得て、いきなり野党第一党の座を獲得した。与党は現状を維持したが、希望の党は失速し、民進党は見る影もなくなって野党は大打撃を受けた。だが、小さいながらも立憲民主党が大きく飛躍したことは、今後、健全な野党が生まれる下地を作ったのではないか。


  大混乱と言えば、大阪も混乱している。大阪の地域政党・大阪維新の会と、そこから出発した日本維新の会がお家騒動で大揺れになっている。


  ことの発端は維新の敗退だ。公示前の14議席から3議席を減らし党勢を失った日本維新の会から、松井一郎代表(大阪府知事)の責任を問う声が上がった。9月24日に投開票がおこなわれた堺市長選挙にも維新は破れ、今回の総選挙でも大阪以外の小選挙区で勝ち抜いた候補者はゼロ。選挙を指揮した松井代表の辞任を求める声が党の中から上がり、敗戦で意気消沈した議員らに追い打ちをかける異様な事態になっている。


 しかも、選挙戦敗退の責任と総括を求めた丸山穂高衆院議員(大阪19区)に、橋下徹元代表(前大阪市長)が「このボケが」とブチ切れる場外乱闘まで勃発。怒りの収まらない橋下前代表は日本維新の会の法律顧問を辞めると宣言したから、事態はますます泥沼の様相になってきた。


  この問題、おそらく橋下前代表と丸山衆院議員だけのケンカでは収まらないだろう。なぜなら、維新の内部では吉村洋文政調会長(大阪市長)をはじめとして松井代表を支持する者がいる一方で、同代表の責任を問う声は他にも複数いるからだ。このまま維新の反松井派が矛を収めなければ、おそらく日本維新の会は分裂する。仮に反松井派が一時的に矛を収めてもシコリは残る。いずれ再爆発するはずだ。


  希望の党もそうだが、維新という政党は民主的な組織のように見えて、その実態はワンマン社長が経営する零細企業と変わらない。上が「右向け」と言えば、下は全員が右を向くような非民主的な組織である。こんなこと、特に大阪維新の会の議員あたりが一番よく理解しているはずだ。


  自民党が老舗の大企業なら、公明党や共産党は少し歴史のある中小企業。一方、希望や維新は小さな町工場である。零細でもトップが癖のあるワンマンなので、似たような零細企業と業務提携や合併しても互いに個性が強すぎてうまくいくはずがない。石原慎太郎元都知事が率いる太陽の党や江田憲司衆院議員らの結いの党と一緒になっても1年足らずで破談になったのは、このためなのだ。


  丸山衆院議員は東大を出て経産省の官僚になった優秀な政治家である。だか、まだまだ維新の実態を理解していない。そこそこ儲けて大きくなった零細企業のワンマン社長が、「ここで我が社も新卒を募集しようと思う」とトップダウンの一言で新卒を募集。いわば、採用第一号が丸山衆院議員である。ところが本人はなまじ才能があるものだから、新入社員なのに『(株)維新の経営改善計画』なんてものを出したところ、経営陣らから「生意気だ」と怒りを買った。いまの維新のお家騒動はワンマン社長が支配する零細企業の内紛と同じで、少人数で組織の風通しが悪い分、長く尾を引くのは間違いない。


  維新の逆風はこれだけではない。維新が総選挙で敗退して勢力を落としたことで、大阪維新の会が目指す大阪都構想の実現にも黄信号が灯ってきたのだ。


  大阪都構想を実現するためには大阪府と大阪市の両議会で住民投票条例案を可決させねばならず、その前段階として、都構想の制度設計を担う法定協議会で「協定書案」(いわゆる都構想の設計図)を各会派に認めさせないといけない。ただし、住民投票条例案にしても協定書案にしても維新単独での可決は不可能。どうしても公明党の協力が必要なのだ。


  2015年5月の住民投票実施に向けた裏工作で、維新は公明党の協力を仰ぐため、同党が出馬する大阪の選挙区に維新候補は立てなかった。公明党はその引き換えとして、府市の両議会で住民投票条例案を可決させた経緯がある。ところが、公明党は選挙前から維新と距離を置き始めた。公明党の佐藤茂樹衆院議員(大阪3区、大阪本部代表)は選挙演説の中で都構想を厳しく批判。「公明党の大阪府議、大阪市議も同じ思いだ」と支持者の前で宣言した。

 
 一方、これまで維新に肩入れしていた安倍晋三政権にも変化が現れた。選挙中、自民党と維新がガチンコ対決していた大阪の選挙区に、安倍首相は自民党候補者の応援演説に来ているのだ。過去の選挙戦では維新に気兼ねして大阪での演説を控えてきた安倍首相だが、ここに来て安倍政権も公明党と同じく、維新と距離を置き始めている。自民党のある国会議員は「維新に肩入れするのは危ないと、周囲から忠告されているようだ」とまで語っているから、都構想に黄信号が点滅しているのは間違いないだろう。


  野党の大混乱で終わった総選挙。その余波は大阪にも及び、どうやら都構想が風前の灯となるオマケまでついたようである。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

wst1710250062-n1







【解剖「維新の会」(下)】
橋下の言う「ふわっとした民意」こぼれ落ち…立民に“盗まれた”フレーズ、見えぬ次の一手、どうなる都構想

2017.10.25 15:00 産経WEST 
http://www.sankei.com/west/news/171025/wst1710250062-n1.html


■  拡散したフレーズ、「右でも左でもなく前へ」の“元祖”は


 ツイッターなどのSNSで今回の衆院選期間中、拡散したフレーズがある。「右でも左でもなく前へ」だ。主な発信元は、躍進した立憲民主党の支持者。代表の枝野幸男も選挙公報に使っていた。


 同じフレーズを、衆院選公示日の第一声で発した日本維新の会の候補がいる。大阪10区(高槻市など)で立民政調会長の辻元清美に敗れ、比例復活もならなかった前職の松浪健太だ。「右」は安倍政権、「左」が共産・立民、「前」は維新・希望-という注釈をつけて選挙戦を戦った松浪は、「自分がずっと前から使ってきたフレーズだ」と不快感をあらわにする。


 立民の辻元は松浪の約1・7倍に当たる7万5788票を獲得し当選。同じ言葉を使った松浪が、有権者の心をとらえることができなかったのは、なぜか。答えは、「勢い」としか言いようがない。


■ 敗因「…が分かったら負けへん」 身を切る改革、もう受けない?


 前代表の橋下徹の「ふわっとした民意」をつかみ取る独特の嗅覚と、現代表の松井一郎の「動物的な勘」(維新関係者)で支持層を取り込んで勢力を拡大し、政界再編を経ても存続し続けてきた維新。だが、今回の衆院選では大阪市の心臓部・選挙区大阪1区でも敗北を喫した。テレビの開票速報を淡々と眺めていた松井が思わず、「あぁ…」とうめいた瞬間だった。


 苦戦の兆候は、1カ月前からあった。9月の堺市長選では、大阪府議を辞職し出馬した維新新人が現職に敗北。挙党態勢で挑んだにもかかわらず、無党派層への支持は広がらなかった。


 「死にものぐるいでやれば票は掘り起こせる」。党執行部は衆院選公示直前、「小選挙区で2回連続敗れれば、次期衆院選で候補者差し替え対象」とのルールを設けた。それでも府内の選挙区で3議席しか獲得できなかった原因を報道陣に重ねて尋ねられた松井は、「それが分かったら、負けへんっちゅうねん」といらだちを隠さなかった。


 「『身を切る改革』を訴えても、有権者にはもう受けない」。内部からもこんな声が上がり始めた維新。これまで背中に感じてきた「ふわっとした民意」が、どんなに頑張ってもつかめないどころか、こぼれ落ちていく。次の一手が見いだせない中、維新には看板政策「大阪都構想」実現に向けて描いたロードマップ上の「次の関門」が迫る。来秋に想定する2度目の住民投票だ。


 維新の“鬼門”住民投票


 大阪市を廃止して特別区を導入、大阪府に再編する都構想の可否を住民に直接問う住民投票は、維新の看板政策実現への扉だ。橋下は平成27年5月に実施した1回目の住民投票での否決を受けて政界引退に追い込まれており、維新にとっての“鬼門”でもある。


 しかも現在、府市両議会で単独過半数を持たない維新には、「是々非々」で対応してきた公明党の協力が不可欠だ。維新は衆院選で公明前職がいる4選挙区には候補者を擁立しなかったが、ある公明府本部関係者は「今後、空気は変わるだろう。都構想もどうなるか分からない」と突き放す。


 松井の知事の任期はあと2年あまり。次の住民投票が維新の命運を握ることは間違いない。維新大阪市議団は24日、住民投票に向けた対策本部を立ち上げた。


 都構想に反対の自民は今回、府内に擁立した15人のうち10人が当選、残りは全員比例復活と勢いに乗る。自民府連幹部は、同情すら交えてこう話した。


 「既成政党化した維新が同じことを発信しても、無党派層には届かない。維新はもう、どうしたらいいか分からないんやろな」   (敬称略)   =おわり

    ◇

 平田雄介、山本祐太郎、吉田智香、江森梓、有年由貴子、地主明世、神田啓晴、小笠原僚也が担当しました。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

wst1710240043-p1



















【解剖「維新の会」(上)】
橋下不在補えず…「何で希望と組んだんや」罵声浴びた候補
維新低調に「崩壊の始まり」指摘も

2017.10.24 15:00 産経WEST 
http://www.sankei.com/west/news/171024/wst1710240043-n1.html


■ 率直に負け認めた松井代表、最初から予期していた?


 衆院選が投開票された22日夜。間もなく日付が変わるという時刻になっても、当選者の名前が掲げられるはずのボードは真っ白なままだった。


 大阪市内のホテルに設けられた日本維新の会の開票センター。テレビのニュースが報じる「当選確実」に、維新の候補者は一人もあがらない。重苦しい空気が漂う中、ようやく幹事長の馬場伸幸に当選確実が出ると、「馬場先生に出た! 良かった!」と、控室の関係者から悲鳴にも似た声が上がった。


 結局、維新が獲得できたのは11議席。希望の党や立憲民主党という新党の波にのみ込まれ、公示前から3議席減らした。維新誕生から7年間、大阪で苦汁をなめさせられ続けた自民党からは「維新の崩壊の始まりだ」(府連所属の国会議員)と、威勢の良い言葉まで飛び出した。


 「われわれの力不足。これに尽きる」「維新の力はこんなもんだ」。1人で記者会見した維新代表の松井一郎は、率直に負けを認めた。表情には遊説で全国を駆け回った疲れが張り付いていたが、言葉の端々には、初めからこの結果を予期していたような気配も漂っていた。

■「振り返っても仕方ない」

 本拠地・大阪の比例代表で得票数が初めて100万票を切る約93万5千票となり、第一党の座を自民に明け渡した維新。大阪府内の選挙区は3勝12敗と全敗は免れたものの、大阪以外では当落争いにさえ食い込めず、埋没した。


 「なんで希望と組んだんや」。選挙期間中、こんな罵声にも似た声を浴びせられた維新候補者は少なくなかった。「戦略的互恵関係」として大阪には希望が候補者を立てず、維新も東京での擁立を見送る「連携」が成立したが、ある候補は「希望との連携で『孤立無援でも頑張ってほしい』という維新ファンが離れた」と唇をかんだ。


 だが、松井は連携の成否は「振り返っても仕方ない」とし、今後については「希望の党さんとも是々非々。政策が違えば協力はできない」と明言した。ある維新幹部は、「希望との連携は選挙で候補者をすみ分けただけで、政策のすり合わせはこれから。全くの白紙だ」と語る。


 維新が希望と連携した狙いの一つは、前代表の橋下徹不在で戦う初の衆院選で、「東京のキー局を完全にジャック状態」(維新幹部)だった希望代表・小池百合子の「発信力」を活用することだったとみられる。


 だが、小池の「排除」発言を機に、発信されるのは「ブラック情報」ばかりに。まるでゲーム盤上の石が一瞬で1色になる「全消し(パーフェクト勝ち)」のように動く“風”に、ある自民関係者はこう語った。


 「大きな潮流には逆らえないのが、国政選挙。橋下なら逆流させられるが、今の維新メンバーには、それはできない」


■ 維新は「大阪のことしか考えないローカルパーティー」 離反におわせる声も


 選挙区で大阪以外「全敗」の代償は大きい。関西の維新関係者の間には、大阪と東京のみで希望と候補者をすみ分けたことに「大阪だけを優遇し、ほかは切り捨てられた」との不満が渦巻き、離反をにおわせる声すらある。


 ある地方議員は「希望とのすみ分けはマイナスイメージしかなく、有権者を戸惑わせた。結局、大阪の候補者に甘いだけ」と指摘。ある候補者は「京都、奈良、兵庫では希望とつぶし合い、共倒れになった。結局、維新は大阪のことしか考えないローカルパーティーだ」と断じた。


 大阪の地方議員も「少しずつできてきた地方組織も、今回を機にしぼんでしまうだろう」と懸念する。そもそも、国政進出は看板政策「大阪都構想」実現に必要な法改正を成し遂げることが目的だった。それがとうに達せられた今、「自民党をぴりっとさせる勢力」(松井)と抽象的な政党像しか語れない維新は、国政政党として何を目指すのか。
 
  維新幹部の一人はこう語った。「『橋下商店』からわれわれが自立し、天下の一大事のときには橋下徹が復活して、大改革をする。それが目標だが、今のわれわれにはまだまだ遠い」

     ◇


 衆院選で「自公」「希望・維新」「立民・共産・社民」の3極対決を打ち出したが、埋没した維新。その背景と今後に迫る。(敬称略)

▼【関連ニュース】橋下流「ふわっとした民意」こぼれ落ち「立民に“盗まれた”フレーズ」…見えぬ次の一手、大阪都構想

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

竹林隆さんの堺市長選に関する優れた論考です。大いに拡散ください。

以下のことはどこまで知られているんだろうか。

もともと堺市立学校の教職員の服務監督権(日常業務や服務について指示・監督する権限)は堺市にあったし、堺市が政令指定都市になってから、任免権(教職員を雇用したり人事配置する権限)も大阪府から堺市に移された。けれど、それでも府費負担教職員と言って堺市立小中学校の教職員の賃金負担者・支払者は大阪府のままとなっていた。

そのため、2008年の橋下府知事誕生以降、それ以前からあった府の教職員に適用された人事査定制度(「評価・育成システム」)を悪名高い「教育基本条例」「職員基本条例」などとリンクさせて、教職員を競争させて査定結果で大きく賃金に差をつけさせ、同一懲戒処分3回で首にするとんでもない賃金制度に縛られてきた。

こうして、維新登場以降、府の教職員の賃金水準は大きく低下して全国最低水準となり、また、賃金の低さと現場の息苦しさを嫌ってこの数年、大阪府の教員採用試験の合格者の辞退率は急上昇だった。

しかし、今年2017年4月以降、地方自治法の改正によって政令指定都市に対する権限移譲がおこなわれ、賃金負担も堺市となった。その結果賃金制度も堺市が独自に設計できることになった。

そこで堺市は英断をした。府(維新)が執着していた人事査定制度(「評価・育成システム」)から離脱し、評価制度自体は残しつつも、評価と賃金とのリンクをやめた(唯一一時金とのリンクは残っている)。また、悪評高い「授業アンケート」による評価への反映もやめた。

つまりこの結果、堺市の教職員は府立学校およびすべての府内市町村立学校の中で唯一、査定結果で賃金が左右されず、また「府職員基本条例」「府教育基本条例」「君が代強制条例」に縛られず、教育労働に打ち込むことができる環境となったのだ!

なんといっても、堺市教育委員会は府の教育基本条例制定時に公式に反対声明を出したことがある教委だ。

それに、今年話題になった来年度小学校で使用の「道徳」教科書の採択の教委定例会の傍聴に行ってきたが、「アベ教科書」・「道徳版育鵬社教科書」と揶揄される教育出版の教科書には目もくれず、参加した教育委員からも「谷川俊太郎訳の世界人権宣言が掲載されていることが極めて重要。これが掲載されている教科書を推したい」「他の教科書が子どもへの発問などが掲載されたり、そのための別冊ノートがつけられているが、これはかえって子どもの自由な思考を阻害する。教員にとっても評価のための授業に縛られず自主的授業が展開できる」などの声が続出して全員一致で光村図書出版の教科書が採択された。

堺市長選挙で万一維新が市政を乗っ取るようなことがあれば、以上書いたような現在の状況が崩されることは目に見えている。

一方、同じく権限移譲によって独自の賃金制度を構築できるようになった大阪市では、維新市政の下、なんと、37歳までに上級職の試験に合格しなければ教諭はそれ以降60歳まで昇給なし、というトンデモ賃金制度を導入しようとしている。

労働者の立場からも、国家主義教育に反対する立場からも、今回の市長選でどちらを選んだらいいのか、もはや明らかだ。

これらのことはもっと広められていいことだし、広められなければいけないことだと思う。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

橋下徹からトランプへ。最近では都民ファースト。ポピュリズム〜世界を覆い尽くす「魔物」の正体を、薬師院仁志さん(帝塚山学院大学教授)とともに解き明かします。
7月29日土曜日午後2時〜5時、ドーンセンター(地下鉄・京阪天満橋駅)、資料代1000円、事前申込制です。
Eメール QYD04504@nifty.com
FAX 072-242-6315
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


橋下徹 都民ファーストの会の躍進は「憲法改正の大チャンス」

livedoorニュース 7月4日

http://news.livedoor.com/article/detail/13288457/


3日放送の「橋下×羽鳥の番組」(テレビ朝日系)で、橋下徹が、都議選での都民ファーストの会の躍進が自民党・安倍政権にとって憲法改正を進める上での「大チャンスになる」と語った。


番組では、今回の東京都議会議員選挙の結果を踏まえて、今後の国政について橋下氏と羽鳥慎一が中心となってスタジオで討論した。


橋下は、今回の都議選の結果に「自民党は確かにお灸をすえられたと思いますが、安倍さんにとっては、大チャンスになると思ってるんです」と指摘した。小池百合子都知事が率いた都民ファーストの会が「国政政党になるのは間違えない」とまで断言している。


続けて、反安倍票が民進党に流れれば政権に打撃になると指摘しながらも「でも、小池新党の方に議席が流れていったら、安倍さんはいくらでも話ができます」といい、自民党は小池新党とならば連携がとれると指摘する。


さらに、橋下は「そして、憲法改正ですよ」と安倍政権の悲願である政策項目を挙げた。自民党内でも反対論があるとされる改正論議だが「小池さんは安倍さんと歩調を合わせていきますよ」と、かつて自民党に所属していた小池氏との同調姿勢を予測したのだ。


最後に、橋下は「憲法改正に前向きな、小池新党の議席が増えることはね、ある意味で(憲法改正の)大チャンスなんですよ」と改めて強調していた。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


「安倍改造内閣」で入閣が噂される「橋下徹」からの恥ずかしい伝言をスクープ

7/6(木) 18:00配信  Yahoo!News

都議選では小池百合子都知事が率いる「 都民ファーストの会」が圧勝。自民党は歴史的な大惨敗となった。森友・加計学園をめぐる一連の問題、稲田朋美防衛相の法律違反発言、 豊田真由子議員をはじめとする若手議員の相次ぐ不祥事、だめ押しになった下村博文都連会長の加計学園ヤミ献金問題……。すでに安倍内閣は死に体だが、永田町では内閣改造が早まるとの話がささやかれている。こうした中、橋下徹前大阪市長が入閣するという話が複数の筋から出てきた。これまでも安倍政権の腐敗ぶりを『安倍でもわかる政治思想入門』『安倍でもわかる保守思想入門』で指摘してきた作家・適菜収氏と、国の行方を憂えている内閣官房参与・藤井聡氏が緊急対談。藤井氏が明かしたのは、橋下が裏でとっていた驚きの行動だった……。



言論弾圧し続けた「橋下徹」からの伝言

藤井 適菜さんとはいろいろ話をしてききましたが、今、僕が仰天してるのが、官邸が橋下氏に「入閣」を打診している、という話です。そんなことになると滅茶苦茶なことになりますよね。今日は橋下さんの件について、一つだけお話しておきたいことがあるんですよ。

適菜 是非お願いします。橋下は徹底的に言論弾圧をやったり、ウソをつきまくってきた人間ですよね。アレが入閣したら、日本は滅茶苦茶になります。で、藤井さんが橋下について話したいこと、って何ですか? 

藤井 せこい話ですが、今の段階で、「公言」しておいたほうが公益に資すると思うんです。橋下氏が市長を退任した後、僕にコンタクトをとってきたんです。

適菜 ええっ! 本当ですか? 

藤井 当方のことをすごく「尊敬」してて、だから、あそこまで「攻撃」したんです、ということを、わざわざ人づてに伝えてきた。つまり、尊敬していない学者は歯牙にもかけないけど、「藤井は尊敬しているから攻撃したんだ」というわけです。

適菜 どこで言っていたのですか? 

藤井 一応、プライベートの「伝言」ですから公言する気はなかったんですが、その後も橋下氏は、ツイッターやメルマガで、パブリックの場で当方に対する攻撃をしつこく繰り返したんです。どうやら僕が「権力の犬」で、「藤井が内閣官房参与なんて世も末」というようなことを言っていた。

適菜 はい。

藤井 単なる顔を合わせたときの社交辞令ではなくて、「伝えておいてくれ」と、「わざわざ」、人づてに伝言していただいたわけですから。橋下氏の藤井批判は、当方に対する尊敬の証だったってことになりますよね。

適菜 なんだか、よくわからないですね。

藤井 伝言してくださった方は直接は関係ない話なので、誰かをここでは公言はしませんが、その方は橋下さんにも近く、当方もよく存じ上げている方です。ちなみにその話をしてる時、周囲に複数の方がいたので、いつでもその方々の証言を公表することも可能です。

適菜 お下劣な話ですね。

藤井 浜田宏一先生も僕と「経済政策」について、雑誌面上でやりあった後、何年かしてから自らの誤りを認めて、「やっぱり藤井の言うとおりだった」という趣旨のことを、わざわざ当方の部屋まで来られて言ってくださった。原田泰先生についても似たようなことがあった。彼らは学者だからまだいい。間違いを認めて、これからは正しいことを発言するようにすればいい。でも、橋下はかつては強大な公権力を持った人物で、かつ、政策顧問は離れたとは言え、いまだに国政政党の実質的なオーナーでしょう。まさに今、「大臣」という政治家になる可能性が各メディアで取り沙汰されている「完全なる政治的存在」である橋下氏に対してはそうはいかない。

適菜 私や藤井さんも書いている『ブラック・デモクラシー』(晶文社)で、橋下および維新の会がやってきた反社会的行為については、明らかにしています。


藤井 橋下氏は、市長であり政党代表であったにも関わらず、都構想に批判的な特定の学者を「バカ」「コチンピラ」などと公的に罵倒したり、「藤井がTVに出ること自体が(番組内容が何であれ)、維新に不利になるからTVに出すな」という手紙をTV局に公党名義で出して圧力をかけたりした。

適菜 政策の中身についての批判ではないわけですね。

藤井 そうです。彼がやったのは、政治権力と社会的権力を駆使した単なる言論弾圧です。学者として、言論人として、これを許すわけにはいかない。

適菜 詐欺を詐欺と指摘したら逆ギレした。

藤井 この対談がネットにアップされたら、橋下氏は「僕はそんなことを言っていない。藤井はウソをついている」などと言ってくる可能性もあります。そうする方が利益が高いと彼が判断すれば、確実にそういう対策をとる。しかし繰り返しますが、少なくともこれには証人がいる話です。

適菜 自分が難癖をつけた相手に、裏でコンタクトをとるというのは、橋下がいつもやっていることなのでしょうね。

藤井 どうやらそのようです。大阪市の住民投票の後に、橋下氏をずっと取材している大手雑誌記者もこう言ってました。「しばらくすると、橋下はどうせ『いやぁ藤井さん、あのときはボロクソ攻撃しましたけど、本当は尊敬してるんすよ。これからは仲良くしましょうよ』とニコニコしながらやってきますよ。その日が楽しみですね」と。当時は、まぁありがちな話だけど、まさかそこまで恥ずかしいことはしないだろうと思っていましたが、その雑誌記者の予想は的中したわけです。さすが記者の方って、ターゲットのことをよく見てるんだなと改めて感心しました。

適菜 きちんと物事を見ている人には、わかるのでしょう。結局、「大阪都構想」なるものは、二重行政がどうしたとか、「教育費を5倍にした」といったデマを流して、政令指定都市である大阪市を解体しようとした詐欺事件にすぎません。

藤井 そうです。仰るような卑怯な手口で、大阪の自治自体を破壊しようとしたんですから。そうなれば、大阪の街はさらに衰退して、多くの人が不幸になって、中には会社の倒産や首をくくらなきゃならない人もたくさんでてくるかもしれない。政治というのは、本当に恐ろしいものです。単なるゲームや遊びで戦ったんじゃない。

適菜  ハンナ・アレントに倣って言えば、政治は子供の遊び場ではない」ということです。当時、「対案を示せ」というバカもいましたが、大阪市が狙われている状況で、対案もなにもない。大阪市の住民投票は、「デマを垂れ流す奴」と「デマを垂れ流してはいけない」という奴の戦いだったわけです。

藤井 橋下氏からの伝言があったとき、面倒なので「ありがとうとだけお伝えください」と言っておいた。要するに、取り付く島がないという空気を伝えてもらった。だからその後、コンタクトはない。取りつく島がないということがわかったのでしょう。

適菜 本当に恥ずかしい奴だな。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

【(私見)都議選結果について】

自民党の歴史的大敗は、誠にご同慶の至りです。もっとも過去の大敗とは違い、他方で躍進したのが都民ファーストという「得体の知れない」ポピュリズム勢力であることは間引いて考えておく必要がありますね。

都民ファースト幹事長の野田数は、こんな人物です。

201210 月には日本国憲法無効論に基づく大日本帝国憲法復活請願を東京都議会に提出した。その中で『我が国の独立が奪われた時期に制定された』と現行憲法の無効を主張するとともに皇室典範についても『国民を主人とし天皇を家来とする不敬不遜の極み』『国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄』すべきことを主張した」。小池百合子の自民党籍もまだ残っていますし、安倍には1月に「総選挙では自民党を支援する」と約束したままですから、都民ファーストの行方には維新同様大いに警戒が必要です。

それでも今回の都議選結果が安倍政権の行方と安倍の改憲スケジュールに痛打を与えたことは間違いないでしょう。

都民ファースト旋風の中で、当初の予測を覆して共産党が前進したことも希望です。

自由党や新社会党、安倍政権の暴走に危機感を抱く無党派層や保守層の一部も共産党を今回支援したことを忘れずに今後も引き続き謙虚に運動を進めてほしいと期待したいです。

しかし共産党+民進党+生活者ネットワークの合計では、議席が後退したことは気がかりです。

安倍改憲を食い止めるためには、安倍が企図している「今秋臨時国会での改憲案提出来年通常国会での衆参両院での改憲発議 来年秋の国民投票」に至る前の段階で、市民の側から総選挙に追い込み、衆議院での改憲勢力の3分の2割れを実現できるかどうかです。

そのためにも市民と野党が総選挙を迎え撃つ態勢づくりを急ぐ必要がありますね。

皆さんはどう受け止められましたか?

https://www3.nhk.or.jp/shutoken2/senkyo/

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


橋下氏、敗訴確定 VS新潮社、実父らめぐる月刊誌報道

2017.6.5 18:14  産経WEST

http://www.sankei.com/smp/west/news/170605/wst1706050065-s1.html


 前大阪市長の橋下徹氏が、実父と叔父が暴力団組員だったと報じた月刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の新潮社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(木沢克之裁判長)は、橋下氏の上告を退ける決定をした。1日付。橋下氏敗訴の2審判決が確定した。

 問題となったのは、橋下氏が大阪府知事で、市長選出馬を表明していた平成23年10月発売の「新潮45」。橋下氏が小学生の時に亡くなった実父と、叔父が暴力団組員だったとの記事を載せた。

 1審大阪地裁判決は、記事の内容を真実と認め、実父が組員だったことは人格形成に影響しうる事実で、公共の利害に関わると指摘し、橋下氏の請求を棄却した。2審大阪高裁も支持した。

 橋下氏側は「コメントはない」、新潮45編集部は「当然の結果と考えている」とした。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


大阪からベテランの優秀な教員が逃げ出した理由

by 大平誠  AERA

https://dot.asahi.com/aera/2017060800089.html


 教育費無償化を公約に掲げて実行するなど成果を上げる一方で、厳しい管理で教育現場の疲弊を招いた維新の「教育改革」とは──。

*  *  *
 大阪府立高校で40年近く教鞭を執ってきた2人の男性ベテラン教員が、目の前にいた。一人は理科、もう一人は社会科。何千という教え子を、これまで世に送り出してきた。学力を伸ばすのはもちろんだが、個々の生徒が協力し合う中で、自身の才能や生きる道を探し出す手助けをすることが、教師の本分だと思ってきた。職員会議でも意見を出し、式典の在り方も生徒と一緒に考える。しかし、周りを見渡せばいつの間にかそんな発言すら憚られるような雰囲気が、職場を覆っていた。そしてこの春、大阪府教育委員会は定年を迎えた2人の再任用を拒否した。

 社会科教師であり3年生の担任だった岩谷智志さん(61)は2012年3月、東大阪市内の府立高校卒業式で君が代斉唱の際に着席、ほどなく戒告処分を受けた。大阪維新の会が主導して11年6月に施行された「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」がその根拠。公立校の教職員に君が代の起立斉唱を義務付けた全国で初めての通称「国旗国歌条例」のことだ。処分を受ける際、岩谷さんは府教委が用意した「反省文」に署名するよう求められた。条例に従わないようなことは「二度としません」と印字された部分に斜線を引き「自分の良心に従って行動します」と書き込んで提出した岩谷さんに、担当者は何も言わなかった。

 その後は3年生の担任を受け持たなかったこともあり、卒業式では会場外の仕事が割り当てられた岩谷さんが「踏み絵」を踏む機会はなかった。しかし定年退職を間近に控えた今年1月末、5年ぶりに「反省文」を突きつけられ、校長にこう迫られた。

「正しいモノに書き直しますか」

 断った岩谷さんに3週間後、校長はこう告げた。

「府教委はあなたの再任用を不合格としました」

●不起立で再任用拒否職員会議は連絡伝達だけ

 再任用は、年金受給開始が5年先に延びた分、無収入期間が発生しないよう雇用と年金を接続する生活権の保障制度。民間企業に対しては高年齢者雇用安定法の改正で、年金受給開始年齢までの希望者は継続雇用を認められるようになったが、法的根拠のない公務員については、総務省通知で同様の措置が講じられてきた。

 それゆえか、府教委が「不合格」とした理由は「総合的判断」。そして校長は、非常勤講師としての継続雇用を申し出た。常勤の再任用と比べれば労働条件は下がるが、生活の糧を得られる代替措置を提案することは学校長として最善手を模索した末のことだろう。距離的に近いもう一つの府立高校でも社会科の非常勤講師の枠が空き、岩谷さんはこの4月から2校で非常勤講師として再スタートを切るはずだった。時間割も決まり、始業式直前の4月6日には教科書も受け取った。ところが同日午後、校長から携帯に電話がかかってきた。

「府教委の意向であなたを非常勤でも雇えなくなりました」

 もう一校にも確認の電話を入れてみると、同様の理由でドタキャンされた。

「教職員組合を通じて府教委には抗議をしましたが、何のリアクションもありません。自分の状況を改善することはもはや望めないのかと諦めの気持ちもありますが、行政の一部とはいえ、教育機関がここまで徹底して見せしめのような処分をするということを多くの方に知ってほしい」(岩谷さん)

 大阪府の「再任用教職員採用審査会」議事録を見ると、理由は明らか。12年度からの6年間で再任用不合格になった懲戒処分者9人のうち7人が「君が代不起立」による戒告処分者だ。驚いたことに、体罰や飲酒運転容疑で停職などの重い懲戒処分を受けた教員でも採用を認められているにもかかわらず、である。

 この春再任用を拒否されたもう一人が、理科教師の梅原聡さん(61)だ。在籍していた学校は守口市内で岩谷さんと異なるが、同じように3年生の学年主任だった12年3月の卒業式で君が代斉唱時に着席、戒告処分を受けていた。梅原さんは、自主性や考える気風を失い、士気の下がった教育現場そのものをこう嘆いた。

「かつて職員会議は、教員同士が意見を出し合って意思決定する機関でした。校長は会議の議決を尊重する、いわば民主主義を体現する場だった。ところが3年ほど前から意思決定の場として使ってはいけないと禁じられ、単なる校長からの連絡事項を伝達する場になってしまったのです」

 府教委が14年6月に出した「学校組織運営に関する指針」がそれ。「校長・准校長のリーダーシップのもとでの組織運営の原則を確認し、学校組織の一体性を確立する」ことなどを目的に「教職員の意見が校長・准校長の権限を実質的に制限することがあってはならない」と定めた上意下達を徹底するガイドラインだ。文部科学省の通知を受けたものであり、大阪に限った措置ではないが、これでは、教員間の自由闊達(かったつ)な議論など望むべくもない。

■自由な卒業式はもうない教育の多様性の否定

 卒業式などの式典も、日の丸・君が代とは関係ない次元で自主性を奪われ、管理が強まっているという。梅原さんは言う。

「かつてはどういう卒業式が3年間の締めくくりにふさわしいかを教員と生徒会で話し合うのが基本でした。卒業生と保護者・在校生が対面するように椅子を配置し、その真ん中の通路で卒業証書の受け渡しをしたこともありましたが、今は証書を校長が壇上で授け与えるという画一化されたスタイルしか許されない」

 生徒の自由な発想と、学校の秩序をうまく融合させてよりよいものを目指す。卒業式や文化祭、体育祭などの学校行事がそもそも何のためにあるのか。高校時代にそんなことを見つめ直す機会を奪われた生徒が大学で教職課程を専攻し、戻ってきた教育現場とは、いったい何を考え、目指す場になっているのだろう。その兆候は、既にある。

 日の丸は軍国主義のシンボルであり、君が代の歌詞は身分制度を固定化する天皇制の永続を願う意味があるのではないか。歴史的にそういう側面があったからこそ、一律に起立斉唱を強制することはアイデンティティーの抑圧につながると異を唱える民がいて、管理する側は既に戦後民主主義を象徴する旗であり、お互いを思い合う歌詞なのだと応酬してきたのではなかったか。

大阪は植民地時代の朝鮮半島から多くの労働者を集め、ことに平野川改修工事という大事業に、済州島から大挙して押し寄せた人たちが旧猪飼野地区(現在の大阪市生野区・東成区一帯)に集住した。その子孫が二世になり三世、四世、五世になった。ある者は国際結婚し、ある者は帰化という名のもとに日本国籍を取得し、ある者は朝鮮戦争後に韓国に籍を移し、ある者は祖国の南北分断で単なる「記号」と化した朝鮮籍にこだわってきた。彼らが抱く日の丸・君が代への思いもまた、一様ではない。そうした歴史的経緯に理解が深いからこそ、大阪府内の公立学校、特に府立高校は入学に際して民族名を使用する指導に取り組んできたのではなかったのか。

 大阪府出身の在日三世で『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件 <ヘイトクライム>に抗して』などの著書がある中村一成(いるそん)さんはこう語る。

「全国に広がる朝鮮学校への補助金停止・廃止も橋下徹氏の『見直し発言』がきっかけで、石原慎太郎氏らがリレーのように続いていった。補助金をチラつかせて外国人学校の教育内容に介入し、最後は補助を打ち切るなど教育の多様性を否定することでしかない。『改革』とは名ばかりの少数意見の排除だと思
う」

●ベテラン教員の流出前教育長はセガに再就職

 良心的な教育者はこうした状況に陥った大阪に心理的距離を置き始めている。ある教育ジャーナリストは嘆く。

「京都の私立高校の理事長と雑談していたら『最近、大阪府立高校を辞めたベテランの優秀な教員が流れてくるから助かってます』と真顔で言うので驚きました。その一方で『これ以上、教え子を大阪の公立学校に送り込みたくない』と大阪以外の近隣府県での教員採用を目指すように指導している教育大学や教育学部の教授も一人や二人ではありません」

 公募校長を経て大阪府教育長になり、君が代斉唱の口元チェックで話題を呼んだ中原徹氏は、府教委職員らへのパワーハラスメントを問題視されて辞職、維新のカジノ構想に積極参入の意思を示す遊戯機器メーカーに再就職した。一方、同僚らに「誰が傷つくわけでなし、書類にサインさえすればよかったんちゃうんか」と心配されながら信条を曲げられなかった硬骨漢。

 2人から職を「奪った」理由をただすと、府教委はこう回答した。

「総合的判断です」

(編集部・大平誠)

※AERA 2017年6月12日号
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

改めて問う「共謀罪」 成立させていいのか

毎日新聞 2017年6月6日 東京夕刊

https://mainichi.jp/articles/20170606/dde/012/010/006000c?fm=mnm


 「共謀罪」法案の問題点を、この特集ワイドで何度も取り上げてきたが、政府・与党は数の力で成立させようとしている。ならば、改めて指摘したい。この法案を通すと、憲法の理念がますます崩されるということを。【葛西大博】


「次は通信傍受拡大」 揺らぐ憲法理念


 まずは、兵庫県警の元刑事、飛松五男さん。2005年に定年退職するまで通算36年を捜査部門の第一線で過ごしたベテランは、法案が成立すればこんな展開になると予想する。


 「政府は次に、盗聴法(通信傍受法)の改正に着手するでしょう。電話やメールの盗聴をより広範囲に、合法的にするためです」


 憲法は基本的人権の一つとして「通信の秘密」を保障している。一方、重大犯罪を取り締まるため、裁判所の令状を取れば、捜査機関は例外的に盗聴を許される。00年施行の通信傍受法は対象犯罪として、薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4犯罪としていたが、昨年の改正で詐欺や窃盗など9犯罪が追加された。


 今国会で審議されている組織犯罪処罰法改正案は、「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設するのが柱で、対象とするのは277犯罪。「どこの県警も適用第1号を目指します」と飛松さん。そのための手段が盗聴であり、その合法化だ。


 日本弁護士連合会の共謀罪法案対策本部副本部長を務める海渡雄一弁護士も同意見だ。「『共謀罪』法案が成立しても、現在認められる犯罪以外の通信傍受はできないので、当然、通信傍受法の改正が提起されるでしょう」


 現在、テレビのコメンテーターとして活躍する飛松さん。「新しい法律ができたら、息が詰まるような監視社会の始まりです。警察はいったん法律が通ったら、それに向かってまい進する。冤罪(えんざい)がどんどん出ますよ」と断言する。


 「共謀罪」法案の問題点はどこにあるのか。まずは、「組織的犯罪集団」の定義についての疑問だ。法案は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定。集団の活動として、2人以上で犯罪を計画し、うち1人以上が計画に基づく「実行準備行為」を行った場合に、計画した全員を処罰可能としている。政府は東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策を強調するが、日本で起きた大規模テロというと、オウム真理教(現アレフ)による地下鉄サリン事件(1995年)を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。安倍晋三首相も今年2月の国会答弁で、オウムを例に挙げて説明している。


 これに対し、オウムを長年取材してきたジャーナリストの江川紹子さんはあきれ顔だ。「オウムのテロは共謀罪があれば防げたと言う人もいるが、それは有り得ません。地下鉄サリン事件が起きるまでオウムの関与が疑われる既遂事件が何件もあったのに警察が防げなかったのは、警察幹部の判断能力のなさと、全国の警察の情報共有や連携がなかったことが原因です」。江川さんは一例として、警察幹部が当初は「失踪」との見立てにこだわった89年の坂本堤弁護士一家殺害事件を挙げた。


 江川さんは自ら書いた記事で、自宅アパートにオウム信者から毒ガスをまかれ、命を狙われたこともある。そんな江川さんが懸念するのが「共謀罪」で一般の人に捜査が及ぶ恐れだ。金田勝年法相は繰り返し否定したが、江川さんは「オウムでさえ、犯罪をやっていたことを知らなかった信者の方が多い。つまり、誰が組織的犯罪集団のメンバーか、全員総当たりで聞かないと分からない。信者の家族や勧誘を受けた人は当然一般人ですが、そういう人も調べないと実態は分からないはずです」


 さらに、この法案の大きな問題点は、日本の刑法体系を根本から揺るがしかねないことだ。刑法は、心の中で犯罪を考えただけでは処罰されず、既遂や未遂など実際に犯罪行為をして初めて処罰されるのを原則としている。憲法が最も根本的な人権として「思想・良心の自由」を保障しているからだ。


 一方、殺人や現住建造物等放火など重大犯罪を未然に防ぐ必要がある。刑法には例外的に未遂より前の予備段階の行為を処罰する「予備罪」がある。さらに現行法でも「予備」より前段階の「共謀」を処罰できる内乱陰謀罪などがある。既遂が最も重く、未遂、予備・陰謀、共謀(計画・準備)罪とだんだん罪が軽くなるのが原則だ。


 こんな国会のやりとりがある。5月19日の衆院法務委員会で弁護士でもある民進党の階(しな)猛議員がこう指摘した。


 「組織で大量殺人を計画し、毒入りカレーを作れば、具体的な危険があるから(刑法の殺人予備罪が適用され)2年以下の懲役だ。だが、(毒のない)カレーだけをつくればまだ実行準備行為なので(共謀罪が適用され)5年以下の懲役。なぜ毒入りカレーを作った方が罪が軽いのか」


 この質問は、「凶器や毒物を用意した」など具体的な危険性を要件とする予備罪よりも、準備行為だけの共謀罪の方が刑が重くなる矛盾を指摘したものだ。青山学院大名誉教授の新倉修さん(国際刑事法)は「すごくアンバランスな刑法体系になってしまう。捜査機関が、刑が重い共謀罪で処罰しようとしかねない」と解説する。


 「準備行為」はどう判断するのか。「内心の自由に踏み込まないと分からない」との指摘もある。判断基準について問われた金田法相の答弁は「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」。質問した議員からは「双眼鏡を持ってバードウオッチングすることもある」と突っ込まれ、法相の答弁はすっかり有名になった。


 前出の海渡さんは話す。「この答弁ではっきりしたのは、犯罪をやろうとしているかは外形的には分からずに、取り調べをしないと分からないということです。つまり内心の自由に踏みこまないと、それが準備行為かどうかは分からないのです」


 監視され、内心の自由に踏みこまれる社会。江川さんは「私たちが気付かないところで監視が進み、気付いたときには全身に毒が回り手遅れということになりかねない」と指摘する。


 「全身」とはこの国の民主主義社会を指すという。多くの人は自分が事件の被害者になるかもしれないとは考えても、罪を着せられる恐れがあるとは思わない。民主国家で、知らない間に自分が「犯罪者」になってしまうかもしれない社会を想像できるだろうか。


「共謀罪」(テロ等準備罪)のポイント

・適用対象は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」

・対象犯罪は5分野(テロの実行、薬物、人身に関する搾取、その他の資金源、司法妨害)の277

・犯罪計画に基づく凶器購入のための資金調達や犯行現場の下見など「実行準備行為」があって初めて処罰可能

・死刑や10年を超える懲役・禁錮を定めた犯罪の計画は「5年以下の懲役・禁錮」に、4年以上10年以下の懲役・禁錮を定めた犯罪の計画は「2年以下の懲役・禁錮」に処す

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



大阪万博とカジノの見返りか? 維新、「共謀罪」成立に"ゴマスリ"協力
 週刊『金曜日』
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170531-00010000-kinyobi-pol

    日本維新の会は、自公両党と「共謀罪(テロ等準備罪)」について、取り調べの可視化(録音・録画)やGPS(全地球測位システム)捜査の立法措置の検討を附則に盛り込む法案修正に合意。5月29日、同法案は衆院を通過した。現在、参院で審議が始まっている。

 昨年12月に自公と維新の賛成で成立したカジノ法案と同じパターンだが、野党を標榜するものの実態は「第2自民党」「官邸別動隊」と呼ぶのがぴったりの維新の賛成で、「強行採決ではない」と与党が言い訳をすることが可能になる。維新を狂言回しにした官邸主導の"茶番劇"といえるのだ。

 維新のブレーンだった元経産官僚の古賀茂明氏は、こう批判する。

「大阪の地域政党が国政に進出したことで、大事な政策を歪めてしまう。『大阪で万博をやります。そこにカジノを誘致しましょう』という地元への利益誘導のために、国政で譲ってしまうということです。大阪で維新が信任を得たのは『改革をします』という訴えが支持されたからで、安倍政権との連携が信任されたわけではない」

 実際、松井一郎大阪府知事・維新の会代表は、悲願である「大阪万博誘致」と「カジノを含む統合型リゾート(IR)推進」で安倍政権と二人三脚を組んでいる。万博もIRも候補地は大阪湾の人工島「夢洲」(大阪市此花区)だが、南海トラフ地震の津波襲来想定区域で浸水や液状化が懸念されている。しかも交通手段が未整備であるため、液状化対策や地下鉄整備(約540億円)などの莫大なインフラ整備費が必要だ。

 そこで安倍政権は「東京五輪後の経済対策は大阪万博」という錦の御旗を掲げることで、巨額の血税投入を正当化。一方、維新の悲願実現を後押しする安倍政権に恩返しするために、維新は前国会のカジノ法案や今国会の共謀罪などで協力しているに違いない。まさに「ギブ・アンド・テイク」の蜜月関係といえるのだ。

【終盤国会と都議選に注目】

 両者の"出来レース"の兆候は、共謀罪法案が提出された先月から漂っていた。衆院での審議が始まった4月6日、府庁内の囲み取材で松井知事は「(共謀罪の)対案を出していきたい」と語る一方で、大阪万博立候補の閣議了解が予定よりも1カ月早まったことについて、感謝していたからだ。

「(閣議了解の前倒しについて)ありがたいと思っています。閣議決定をしていただければ、速やかにBIE(博覧会国際事務局)に申請をしたいと思います。開催地の組長として国とご一緒したいと思います」(松井知事)

 政府が大阪への莫大な血税投入という"餌"をまき、それに地域政党の維新が食いつくという構図。この時点から「当初は反対する構えを見せ、最後は修正協議をして賛成に回る」という維新・官邸合作のシナリオが透けてみえた。

 修正合意3日前の8日夜には、大阪万博誘致を目指す超党派議連会長の二階俊博自民党幹事長が、維新の馬場伸幸幹事長と遠藤敬国対委員長と会談。大阪誘致の機運醸成に向けたイベント開催の考えを示すと同時に、維新との修正協議の歩み寄りについても触れた。自民党が万博を後押しする見返りに、維新が共謀罪法案成立に協力する"癒着"を物語るものだ。

 これに対して、民進・自由・社民の野党3党は11日、テロと組織犯罪対策を目的とした法案(「航空保安法案」「組織的犯罪処罰法改正案」)を衆院に共同提出。同日の会見で蓮舫民進党代表は「現実的なテロ対策の強化法案」と強調。修正協議の真っ最中であった「維新の政権補完勢力的な役割」について聞くと、直接的な批判は避けたものの、「国民の皆さんには各政党がこの『共謀罪』についてどのような対応をしたのかは、よく見ていただきたい」と答えた。

 なお「共謀罪は都議選の争点」と会見で表明した蓮舫代表は7日、都議選予定候補の応援演説で共謀罪法案を批判、対案提出も予告。

 終盤国会の動向とともに共謀罪反対の民意が、都議選や次期衆院選でどう現れるのかが注目される。

(横田一・ジャーナリスト、5月19日号)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

大阪都構想・大阪府市政にご関心の皆様へ

GWもあけ、5月となりましたが、
  「大阪都構想」を実現するための「法定協議会」の「設置」に対して、「公明党大阪市議団」が「賛同する」可能性が極めて高い状況となってきているようです。

    例えば、当方の下記Facebookでご紹介しましたが、公明党大阪市市議団のお一人である辻議員が、法定協での「都構想」の議論に対して、極めて「前向き」なメッセージをツイートしておられます。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1041239029310373

   これは、5月中に「法定協」の設置が決められる見込みが極めて高いことを示しています。結果、あの「住民投票」が、再び近い将来に繰り返されるリスクが相当程度高まって参りました。

   つまり、「「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク」が現実味を帯びてきたわけです(下記記事をご参照ください)。
【公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスクについて】
https://38news.jp/politics/10040
【公明党市議団の「大バクチ」に破壊される大阪市と日本の未来】
http://www.mag2.com/p/money/35028

   二年前のあの住民投票は、日本の政治史上最も恥ずべき投票運動ともいえる、デマでまみれた推進派のプロパガンダが大量の公的資金が活用されながら展開された、極めて危険なものであったことは、これまで様々な書籍や研究で、筆者を含めた様々な研究者・学者が明らかにしてきたことです。そうした事は、先月開催した、

シンポジウム
『特別区(大阪市廃止)と区の合併を考える~大阪における府市再編問題~』でも、そうしたあたりを徹底的に、学術的な視点から明らかにしています。
    
   当日の資料、動画は、下記からご覧いただけます。
 HP:
https://www.youtube.com/watch?v=tZNB08RyyNk

   なお、このシンポジウムでも詳しく議論していますが、あの「ダブル選挙」は、あくまでも首長選挙であって、「都構想の賛否」とは、全く異なるものです。なんと言っても、投票は、「大阪市長」という「大阪市の存続」が前提とする首長の選挙だった事を忘れてはなりません!

   ご関心の方はぜひ、上記ご覧いただきたく存じます。

    そして、大阪、ひいては日本が破壊されることを防ぐためにも、

「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスクについての客観的、学術的情報を、(ご賛同頂ける方には是非)徹底的に様々な方に拡散いただきたく存じます。
 https://38news.jp/politics/10040
 http://www.mag2.com/p/money/35028
 http://satoshi-fujii.com/symposium8/
 https://www.youtube.com/watch?v=tZNB08RyyNk

何卒よろしく、御願い申し上げます。

 京都大学大学院 藤井 聡
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

https://youtu.be/ucW7PDHLDiE

堺のママたちが告発した、原発安全神話を子どもたちに洗脳する、文科省委託・放射線出前授業について、今日の参議院決算委員会て辰巳孝太郎参議院議員(日本共産党)が政府を追及しました。


(参議院インターネット審議中継で、5月8日決算委員会・辰巳孝太郎議員を選ぶと、アーカイブでご覧いただけます。放射線出前授業についての質疑は前半の15分です)


堺市の小学校で行われ、私たちがビデオにしっかり録画し、そのデタラメぶり(「君たちの身体に農薬カリウム通じて放射線が入ってよかったね」「原発事故が起こったら鉄板を身体にまけばいい」等々)を公開した、エネ理研による出前授業の問題は、当該講師の個人的な逸脱などではありません。

エネ理研理事長・中村日出夫は原発再稼働推進論を唱えており、エネ理研として行った県立熊本工業高校での出前授業で「500mSv以下の被曝では健康被害は生じない」「低線量被曝ではむしろ健康増進や寿命延長などのホルミシス効果がある」「原発一基を太陽光発電で代替しようとすると山手線いっぱいのパネルが必要となる」などと話し「原子力発電所の必要性を理解させる」と明記しています。

これは文科省による委託事業者選定の条件(原発については中立)にも明確に反しているものであり、このまま今年も5000万もの税金を投じて委託出前授業を行わせていい筈はありません。

辰巳議員は、これらの点を追及し、最後に文科相に「授業内容を確認してみる」ことを約束させました。


ようやく国政の場でこの問題が取り上げられたことは、ママたちの粘り強い取り組みの成果であり、辰巳参議院議員の努力の結果です。

今年は大幅に遅れ、5月25日が応募締め切りとなった文科省放射線出前授業委託事業に再びエネ理研が選定されることのないよう引き続き監視していく必要があります。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



【『泉北コミュニティ』誌➕維新による「堺市財政悪化論」をファクトチェック】


   彼らが「竹山市政の下で堺市が負債を増やしている」と盛んに宣伝する際に用いる指標には、必ず「臨時財政対策債」(臨財債)を含めている。この「臨財債」を除いた堺市債は全く増えていないどころか、2012年をピークに着実に減り続けているからだ。「臨財債」をどう見るか、これが堺市財政の健全性評価の大きなポイントの一つだ。そこで堺市の「臨財債」についてファクトチェック。

  

  「臨財債」とは、本来国から来る予定の地方交付税の一時肩代わりであり、後年度金利も含めて地方交付税に加算してカバーされるものである。総務大臣も、必ず国で財源を保証する旨、国会で答弁している。その意味では、純粋な地方自治体の債務からは抜いていいと言える。

 

  もちろん自治体は「臨財債」残高を全く無視していいかということとは別だ。「臨財債」も市の負債であることには間違いないのだから、「臨財債」を含んだ市債残高を考慮しながら財政運営をしなければならないのは当然のことだ。


   しかし市財政の健全性を評価するために公表する際には、「臨財債」と一般会計の市債残高を明確に区別して表示するべきなのに、『泉北コミュニティ』誌や維新は「臨財債」込みの合算した数字をあたかもすべて一般会計の純粋な借金のように表示しているところに悪意に基づく意図的な間違いがある。


    また財政の健全性を示すものは、市債残高のみならず、「将来負担比率」や「実質交際比率」を見なければならない。彼らはそれをあえて行わない。 そして、将来の市債の償還に備えるための「減債基金」をきっちり積み立てているかも重要だ。


   橋下ー松井府政下の大阪府はこの「減債基金」を取り崩したり、積み立て不足を起こし、「実質公債費比率」は遂に18%を超え、新たな府債の発行に総務大臣の許可が必要な「起債許可団体」転落した。


    これに対して堺市は「減債基金」は確実に積み立て、大阪府のようにこの基金に手をつけるようなことはしていないので、「将来負担比率」は5.5パーセントと極めて健全だと言える。


    これが『泉北コミュニティ』誌や維新にとって苦いファクトだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

安倍政権・松井大阪府政の「教育勅語」容認に、断固として抗議する

2017年4月20日

大阪教育合同労働組合

執行委員長 大椿 裕子

 

    学校法人森友学園(以下、森友学園)に対し、不当に安い価格で国有地を売却した問題は、安倍晋三首相並びにその妻である安倍昭恵氏をはじめ、様々な政治家や行政の関与があったのではないかとして、野党・市民団体などからの追及が続いている。この問題を、曖昧なまま終息させてはならない。


    一方で、この事件を発端に、森友学園が経営する塚本幼稚園で、園児たちに教育勅語を暗唱させる様子や、運動会で、「安倍首相ガンバレ 安保法制国会通過良かったです」と選手宣誓をさせる様子が日本のみならず世界にも配信され、大きな衝撃を与えた。これを受け、塚本幼稚園並びに新設を計画していた瑞穂の國記念小學院への批判が相次いだ。新理事長に就任した籠池町浪氏は、前理事長である父・籠池泰典氏(以下、籠池氏)の方針を改め、今後は教育勅語の暗唱は行わないとメディアを通じて発言している。


【与党議員が教育勅語容認発言を連発】

   しかし、この批判に逆行するかのように、教育勅語を容認する政治家の発言が後を絶たない。


   3月8日、稲田朋美防衛相は参院予算委員会で、「教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだ」と発言。3月14日には松野博一文部科学相が、「教材として用いることは問題としない」と発言。そして政府は3月 31日、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。これについて安倍政権最大の支持母体であり、憲法改正運動を推進している右派団体・日本会議からは、同団体の地方役員だった籠池氏が絡んだ森友学園問題が終息しないことに苛立ちながらも、閣議決定は「思いがけない成果だ」との声が上がっていると言う。


   続いて4月4日には、菅義偉官房長官が記者会見で、道徳を含めた学校教育の教材に教育勅語を使用することについて「憲法や教育基本法に反しない適切な配慮の下で取り扱うことまでも、あえて否定すべきではない」と発言した。4月7日には、義家弘介副文部科学相が衆院内閣委員会において、教育現場の朝礼で子どもたちが教育勅語を朗読することについて、「教育基本法に反しない限りは問題のない行為」と答弁。4月 11日には、またしても稲田防衛相が教育勅語について、「親孝行とか、夫婦仲良くとか、友達との信頼関係とか、現代でも通用するような価値観」と発言している。

 

【松井大阪府政も教育勅語を容認】

 大阪教育合同労働組合は、3月17日、おおさかユニオンネットワーク主催の春闘総行動にて、大阪府教育庁私学課(以下、私学課)に対し、森友学園問題に関して、「塚本幼稚園は、失効・排除が国会で決議されている教育勅語を教えているなど、日本国憲法・教育基本法・学校教育法に違反していることが明らかなので、認可を取り消すこと」等の要求を行った。これに対し3月 31日、私学課から『平成29年(2017年)3月に文部科学省に確認したところ、「教育勅語の効力は1948年に失われているが、道徳心を養うということは重要であり、目的や効果に照らして、幼稚園の設置者が十分に考慮して、建学の精神に従って活用してもらうことには問題はない」との回答がありました』と、文科省受け売りの回答が行われた。


【アジア・太平洋侵略をおしすすめた教育勅語】

教育勅語は、明治天皇が教育に関して与えた勅語(天皇のことば)であり、第二次世界大戦後の1948年、国会が「主権在君並びに神話的国体観に基づいている」ことから、「明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残す」として、排除・失効の確認を決議している。

教育勅語には、「我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムル」(日本は天皇の祖先がつくった)、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(戦争が起きたら天皇のために命を捧げろ)と書かれていることは多くの人々が知るところであり、とりわけこの箇所にはこれまでも批判が集中してきた。しかしながら教育勅語を容認する政治家たちはそろって、この部分については触れない。


   第二次世界大戦では、多くの若者が「天皇のために」と戦地に駆り出され命を落とし、多くの人々が戦火の中で死んでいった。それと同時に、日本はこの戦争において、アジア・太平洋地域への侵略と殺戮を繰り返し、本土決戦を引き延ばすために沖縄を捨て石にしたことを忘れてはならない。これらの背景に、「戦争が起きたら天皇のために命を捧げろ」と書かれた教育勅語による軍国教育があったことは明白である。教育勅語教育による犠牲者は、日本国民あるいは日本の子どもたちだけにとどまらない。沖縄を含むアジア民衆もその多大な犠牲者であり、そこにおいて私たちは加害者でもあるという事実に真摯に向き合い続けなければならない。


【封建的家族制度への逆戻り】

    稲田防衛相をはじめ教育勅語を容認する政治家たちは、「親孝行し、兄弟姉妹仲良く、夫婦は仲むつまじく、友人とはお互い信じ合って」などの部分が、「現代にも通じる内容である」「道徳心を養う」などと言う。しかし、大日本帝国憲法・教育勅語が有効であった、 1947年に大幅改正される前の民法は、戸主を中心とする封建的な家族制度を中心に規定しているのである。つまり、このときの家族関係を評価するということは、現在の日本国憲法第24条「個人の尊厳と両性の本質的平等」や現行民法をも否定し、安倍政権の家族政策(家庭教育に国家が介入できる)ことを支持・容認することを意味する。


【教育勅語の負の歴史を無視した政策展開】

    「教材として用いることまでは否定されることはない」などの一連の発言は、教育勅語を今後の教育活動の積極的理念として、肯定的に活用していく為に意図的に発言されたと言わねばならない。


    なぜなら、教育現場では、これまでも戦後教育の中で一貫して、教育勅語は教材として使用されてきた事実があるからだ。多くの中学校の歴史教科書、高校の日本史教科書、歴史資料集等にも教育勅語は掲載されている。教科書では「教育勅語」という言葉は重要語句として太字になっているほどである。つまり、これまでの戦後教育では、教育勅語とは、大日本帝国憲法下での民衆支配の手段として、いわば「とんでもないもの」という位置づけで積極的に教えてきたのである。今、ことさらに安倍政権が教育勅語の教材使用に前のめりになっているのは、明らかに教育勅語の負の歴史を無視して、そこにありもしない教材としての「歴史的正当性」を子どもたちに刷り込むための政策転換にほかならない。それは、塚本幼稚園のようなことがどこでもできるようにするためだ。現に、義家副文科相は、朝礼で子どもたちが朗読することも「問題のない行為」と発言している。


【道徳教科化の狙い】

   そしておそらく、この「教材としての使用」は、これまでのように歴史学習においてではなく、教科として新設される「道徳」において、より明確になってくるであろう。すでにこれまで「道徳」教科書検定のマスコミ報道でも明らかになっているように、安倍政権は教科としての「道徳」において「国家」「日本」「古来からの伝統」などが核心的価値観であることを隠していない。これらが教育勅語登場の露払いでなくてなんだろうか。

 

【国家主義・排外主義的な教育政策に私たちは抗う】

これまで、戦前・戦中の軍国教育を否定し、戦後の民主主義教育は始まったとされてきた。しかし実のところ、当時の軍国教育を身にまとったまま戦後の教育は出発し、私たちはその矛盾を曖昧にしたまま、過去の過ちから克服したという思い込みを抱いてはいなかっただろうか。そのつけが、戦後72年を迎えようとする今、政治家による教育勅語容認発言という形で現れていると思われる。


 教育労働者が結集する大阪教育合同労働組合は、安倍政権・松井大阪府政による、教育勅語の容認・擁護を絶対に許さない。なぜなら、このような発言をてことして、国家主義的な教育政策が拡大されることが容易に想像できるからである。さらに、「道徳」の名を借りた思想統制、排外主義に対して、今後も教育現場で徹底的に闘い続ける。


 私たち教育合同は、これまでも、そしてこれからも、アジア各地の人びとと共存する社会をめざし、戦争につながる教育に荷担することを一切拒否する。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


【大阪観光大学 (明浄学院)で争議拡大~組合つぶしに出てきた理事会の狙いは何か?】

  大阪観光大学教職員組合が大阪教育合同労働組合(教育合同)に団体加盟したのは2014年10月です。名称はそのままですが、教育合同の支部に位置します。
 それまでの上部団体は日教組系でしたが、2014年4月から20%の賃金引き下げが強行されたことに対して、十分な指導が受けられなかったことなどから、教育合同への加入を決めたのでした。

《次々と理事長が交代》
 観光大の設置者は学校法人明浄学院で、明浄学院高校も運営しています。2013年、理事会は学内の反対を押し切って観光大国際交流学部を開設しました。しかし案の定、定員を充足できず、また法人経営の失敗もあり、財務状況は悪化しました。
 ところが、理事長らは教職員の賃金・労働条件を切り下げるだけで自らは経営責任を取ることなく、法人の売却先を探しました。そこへ、ブローカーまがいの人物や団体が入り込み、5億円の空手形を切って、まんまと理事会を牛耳ることとなりました。賃下げを強行した当時の理事長が、次期理事長を提訴する事態に発展しました。
 組合は、新理事長に対して経営責任を追及し、賃下げ撤回を求めて団交を行いましたが、「労使関係に無知」(法人側代理人談)な理事会は不誠実団交に終始しました。組合は、2015年10月に団交拒否等で府労委に救済を申し立て、現在も審査が続いています。

さらに悪辣な理事会

 2016年4月、明野欽一氏らが5億円の寄附金を持参したとして、理事会多数派を占めることになりました。組合は、明野新体制との団交で労使争議の解決をはかろうとしました。明野理事会は府労委事件は前理事会に責任があるとして、和解協議に応じてきました。ところが、いざ調印という段階で副理事長が「組合員名簿を出せ」「組合には解決金を払わない」と言い始め、府労委の説得もむなしく、和解を壊してしまいました。

《組合敵視にとどまらず》
 理事会は5億円の寄附金が入金されたというものの、寄附者を明らかにしません。私学への寄附は絶好のマネー・ロンダリングになるため、教職員の間には不安が高まっていました。
 理事会は組合との和解を決裂させたのと同時期、明浄学院高校で3年担任をしている高校組合委員長を攻撃しました。昨年11月、指定校推薦入試で合格した生徒とその保護者に対して大阪観光大に変更するよう依頼せよ、と3年担任等に迫ったのです。3年担任は困難であると伝えると、理事は怒鳴り散らしました。これについて教職員一同名の声明を理事長に届けると、理事会は全教職員に対し、声明に賛同しているかの調査を行いました。そして、経営改善計画に沿わない進路指導をした、賛同していない教職員がいるのに教職員一同の声明を発信したことなどを理由に、3年担任の組合委員長に減給処分を行ったのです。

《出退勤カードリーダー》
 同じく昨年11月、出退勤管理を行うとして、従来の出勤簿の代わりにカードリーダーを観光大に導入しました。組合は、労働条件の変更だとして団交を申し入れましたが、理事会は団交事項ではないとして拒否しました。
 それでも、賃下げ撤回も含めて団交を申し入れると、今年3月に団交に応じてきました。ところが団交当日、従前の団交担当者以外が参加しているとの理由で、団交の席を蹴って出て行きました。団交担当者は組合が決定できることです。この日は観光大に卒業生を進学させている高校等支部役員が参加していたにもかかわらず、団交を拒否したのでした。
 組合は直ちに団交拒否で府労委に申し立てました。5月から審査が始まります。

《「君が代」不起立で懲戒》
 観光大組合委員長は人権問題論等を専門にしていますが、大学は雑誌「部落解放」の購読中止を決めました。さらに、卒業式の国歌斉唱の際に起立の指示に従わなかったとして懲戒にすると組合委員長に通知してきました。起立の指示や業務命令はなく、式次第にも「国歌」としか記載されていなかったにもかかわらずです。大学において、しかも私学で、「君が代」不起立で懲戒処分を行った例は見当たりません。明らかに、組合委員長を攻撃して組合つぶしを狙ったものにほかなりません。
 組合は、当然ながら団交を申し入れました。また、弁護士同席の弁明の機会を求めています。

《教育と無縁な理事会に不安》
 今年2月頃から、「日本タイムズ」がネット上で明浄学院のことを報道し始めました(http://nippon-times.net/)。理事会は反社会勢力とつながり、高校校地の売却を狙っていると報じています。この情報について高校生・保護者の間に不安が広がり、4月4日には理事会が説明会を開催し、HPで偏向的な報道・情報に惑わされないように呼びかけています。
 明野理事長体制は、組合敵視から組合つぶしへとギアを上げています。学校法人あるいは教育機関に相応しい理事会体制とはいえません。教育合同は上部団体・全労協と連係して反撃を開始しました。

#大阪観光大学 HP http://www.tourism.ac.jp/
#学校法人明浄学院 HP http://www.meijo.ac.jp/
#明浄学院高等学校 HP http://www.meijo.ed.jp/

#日本タイムズ が掲載した学校法人明浄学院の記事
①大阪の私立高校を乗っ取りか
「岡山のトランプ」のバックは山口組?
http://nippon-times.net/2017%e5%b9%b42%e6%9c%88%e5%8f%b7/

②大阪府ライブドア残党と反社が結託 明浄学院高校の学校用地を狙う

③大阪府第二の森友学園?明浄学院「転売」に自民党国会議員と地元市議 http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/49862159.html

#学校法人明浄学院理事長明野欣一  #大塚哲也 #明浄学院の理事は元ライブドア副社長大塚哲也 #日本タイムズ川上道大 #大阪教育合同労働組合 #教育合同 #大阪観光大学教職員組合 #団交拒否 #不当労働行為 #不当労働行為救済申立 #大阪府労働委員会 #組合弾圧 #組合つぶし #大学初君が代不起立で懲戒処分か #組合委員長を攻撃
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 

大阪万博会場用地として想定されている夢洲。奥は舞洲=大阪市此花区で2017年1月27日、本社ヘリから三村政司撮影


大阪万博誘致  提案書はカジノ「隠し」 タブー国の票意識

毎日新聞 2017年4月9日 07時50分(最終更新 4月9日 11時29分)

https://mainichi.jp/articles/20170409/k00/00m/040/131000c


 2025年の国際博覧会(万博)の大阪開催に向けた誘致活動を巡り、会場予定地の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)で計画される統合型リゾート(IR)の中核を占めるカジノについて、国が博覧会国際事務局(BIE、本部・パリ)に提出する「招致提案書」では一切言及しないことになった。開催地はBIEの加盟国による投票で決まるが、宗教上の理由などからギャンブルをタブー視する国もあるからだ。


 万博の開催地はBIE総会で加盟国による投票で決められ、25年の開催地は来年11月の総会で決まる見通し。経済産業省によると、加盟国は今年2月現在で168カ国だが、国の国内総生産(GDP)などに応じて決まる分担金を支払わないと投票権はない。日本は年約540万円で、一番低い国では30万円程度。分担金を支払っている国は昨年11月現在、112カ国という。

 投票は1カ国につき1票で、候補地が2カ所ならば過半数を得れば決定。3カ所以上の場合は票数の3分の2以上が必要だが、達しない場合は最下位の候補地を除いて投票を続け、最後に過半数を得た候補地が選ばれる。

 大阪府と市は万博会場予定地の夢洲でIRの誘致も計画し、カジノは集客の中核。関西財界には、万博に必要な交通インフラをIRと一体的に整備し、湾岸地域の活性化を図る期待がある。万博の来場客をIRのホテルで受け入れることでの相乗効果や、万博の跡地利用としてパビリオンをIR施設に再利用する案も想定される。

 ただ、イスラム圏など賭博をタブー視する国は少なくない。誘致活動は11日にも予定されている政府の閣議了解から本格化し、6月のBIE総会からプレゼンテーションが始まる。政府は万博の具体的な内容を盛り込んだ招致提案書を今秋に提出する予定だが、加盟国から多くの支持を得るにはカジノには触れない方が得策と判断した。誘致レースではフランスが首都パリでの開催を目指して先行しており、日本の誘致関係者は「投票に勝つためには、さまざまな点を考慮する必要がある」と言う。【念佛明奈】

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


伊丹、宝塚市長選 維新、独自候補の擁立断念

2017/4/6 06:15 神戸新聞

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201704/0010070278.shtml


   9日告示、16日投開票の兵庫県の伊丹、宝塚市長選で、日本維新の会が独自候補の擁立を断念し、自主投票とすることを決めた。


 維新の県組織「兵庫維新の会」が4日に決定。宝塚市長選では、現職以外の複数の立候補予定者から推薦要請もあったが、応じないという。同会幹部は「残念だが、他の地方選や次期衆院選に力を注ぎたい」とした。


 また宝塚市長選で、党の対応方針が決まる前に、自民党推薦の立候補予定者の集会に参加したとして、3月31日付で岩佐将志・同市議を除名処分とした。


 維新は4年前に行われた前回の両市長選で、大阪府外の首長選で初の公認候補を立てたが、ともに敗北。今回も動向が注目されていた。(黒田勝俊)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

民進党がダメなところは幹部が腐りきっていることだ
2017-04-05  天木直人のブログ

http://kenpo9.com/archives/1222


森友問題はあらゆる意味で一大疑獄事件である。その森友問題で、自分や妻が少しでも関与していたら首相どころか政治家まで辞めると国民の前で大見得を切った安倍首相を、なぜ野党は一気に内閣総辞職に追い込めないのか。

その答えを、発売中のサンデー毎日が教えてくれている。はやくから森友問題を追及していた民進党の議員に、福島伸享や岸本周平といった官僚出身(それぞれ経産省と財務省)の議員がいる。

彼らが、インタビューした倉重篤郎記者に要旨次のように語っている。森友問題は疑惑だらけだ。徹底的に追及すれば間違いなく安倍首相を辞職に追い込める。我々はそれで解散・総選挙になっても恐れない。しかし我々下っ端議員がどんなに頑張っても、判断するのは民進党の幹部議員だと。

この言葉を聞いた倉重記者は深いため息をついている。私は繰り返し書いて来た。森友問題を鋭く追及できるのは官僚出身の議員たちだと。なぜなら彼らは行政や法律のからくりを知っているからだ。政治家と官僚の関係を手に取るように解説できるからだ。だから、元官僚議員たちを総動員して森友疑惑について安倍首相の矛盾を徹底追及すれば、安倍首相はひとたまりもないだろうと。

その元官僚たちが、安倍首相を追い込めると断言しているのだ。覚悟も出来ているとまで言っている。それにもかかわらず、蓮舫や野田や枝野、細野、玄葉、安住、前原といった民進党幹部にその覚悟がない。

今度の森友問題がこのまま幕引きされて終わるとすれば、すべての責任は野党第一党の民進党の腐りきった幹部議員たちにあるということだ。

この機会に民進党は解体し、若手議員の集まりに生まれ変わるべきである。
それが民進党再生の唯一の道である。
(了)
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

大阪府第二の森友学園? 明浄学院「転売」に自民党国会議員と地元市議
日本タイムズ4月号
http://nippon-times.net/news/#t07

   これまで日本タイムズが徹底追及してきた、大阪市の私立明浄学院高校の乗っ取り問題。

 「黒幕」に神戸山口組最高幹部の池田組の企業舎弟である大山武夫氏と、その配下の元ライブドア副社長で、暴力団組員とのツーショット写真が大きく報道された大塚哲也氏が学校経営に関与し、現在大阪市阿倍野区にある学校の敷地転売をもくろんでいることを書いてきた。


  対外的には、学校移転はしないと説明してきた明浄学院。しかし本紙はこのほど、明浄学院の内部資料を入手。学校移転、転売が確定しているような状況であることが明らかになった。それどころか、安倍政権を揺るがす、森友学園とそっくりの図式であることがわかってきた。


  3月18日、明浄学院では終業式が行われた。本紙ですでに書いたように、校長・教頭以下18人の退職者が発表され、うち13人が壇上に登って、明浄学院に別れを告げた。


  「先生と生徒、最後じゃないですか。にもかかわらず、大橋実愛子副理事長が延々と大阪観光大学のPRをして、そちらに入学せよという話をする。しらけた最後のお別れでした」(明浄学院関係者)


 その2日前、3月16日のことだった。大塚氏がやってきて、教師と面談。

  花粉症のためか、マスクをしていた教師に対して
「なぜマスクをしている、なぜだと怒号を浴びせた。もう殴りかからんばかりで、日本タイムズでも報じられているが、まさにヤクザそのものの言動で、とても教育に携わる人物ではない」(前出 明浄学院関係者)


  そんな中、今、日本を揺るがす森友学園問題。明浄学院もそっくりな手法で、現在の学校を売却し、新しい場所への移転を計画していたのだ。

 それを裏付けるのが、昨年9月28日に明浄学院法人本部が作成した「北千里移転案」の極秘文書である。

 移転場所は、大阪府吹田市、2009年に廃校となった、吹田市立旧北千里小学校の跡地だという。阪急北千里駅から徒歩数分という好立地。

 その資金計画として

〈(吹田市の)土地の購入は27億、新校舎建設に45億に対し、(現在の阿倍野区文の里)売却による収入は55億、土地の担保での借入金で17億。資産価値は現在の50億円に対して70億円〉


大塚哲也理事と暴力団


〈(阿倍野区文の里)残り建て替えた場合、2000坪売却金20億円となり、新校舎建設金45億円で、借入金25億円を抱えることとなる。総資産は50億円と変動はない〉
として、吹田市への移転が最適だとしている。


 また〈校地移転スケジュール〉という一覧もつけられ〈平成30年4月新校地開設、平成32年3月文の里を閉校〉など具体的なプランが練られている。本紙既報の通り、現在の阿倍野区の学校には、すでに大手マンション業者が56億円という価格を提示している。

 しかし、旧北千里小学校跡地は吹田市が所有。現在は地域の公民館などとして一部を利用。利便性が高い場所ゆえに、明浄学院以外にも他の学校法人や一般企業、マンション開発業者なども興味を示しているという。


  随意契約ではなく、公募となる可能性が高い。


  森友学園の籠池康博理事長は3月23日に国会の証人喚問で、安倍首相夫人、安倍昭恵氏や複数の国会議員、地方議員の名前をあげて、取り計らいを依頼していたことが明らかになった。


  明浄学院の内部資料から、複数の国会議員や地方議員に「口利き」を依頼しているのではないのかと思わせる内部文書が存在しているのだ。大橋氏が作成したとみられる、この文書。九州選出、自民党の閣僚経験者の兄だというH氏、吹田市議で議長経験者のO氏という2人の名前が書かれ「相談している」と記されている。


  そして、大橋氏作成の文書では
〈落札確度は、ここまでですと80%と考えています。
 (今回の動きの情報が漏れない限り100%)〉
 さも、落札が決まったような文言がならんでいる。


  だが、昨年10月25日、吹田市役所4階会議室で、明浄学院の明野理事長、大橋氏らが、吹田市の副市長、春藤尚久氏と池田一郎氏と会談した。
 「資金がまわるのか」
 「吹田市に移転する理由は」
などと厳しい質問が飛んだという。吹田市民の貴重な財産を預かり有効的な利用を考えた場合、当然のことである。


  すると、大橋氏は自らの思い通りにならないと思ったのか、メールで吹田市の池田氏に「脅し」ともとられかねない内容を送りつけていた。昨年11月18日のメール。吹田市が大阪府私学課に相談するという意向を示すと

〈私学課にいかれるとか、当方で確認しておりますこと以外に何の目的でいかれますか? 新規校ではありませんので、許可申請の必要はありません〉
と強い調子で不満を述べている。そして、


 〈私の知り合い(共産党系議員)に公募についての今までの経緯及び現状況話し合いなどをお尋ねしたり、ご支援のお願いをしていかなければならなくなります〉


 12月8日のメールでも、
 〈(大阪府)私学課に知れた以上この話をこちらも公にいたします〉
 〈9日午後13時に共産党系議員さんとマスコミをお呼びして今までの誠意ない市の対応について語らなければならない〉と記載されている。と共産党の議員から「圧力」をかけますよと「宣戦布告」するようなメール。


  その一方、
 〈吹田市さまのご支援をいただきますように〉
ともメール送信している大橋氏。
 
  与野党問わず、議員の名前をあげるやり口は森友学園の籠池氏が国会の証人喚問で話したこととそっくり。

 吹田市に対して、持ち上げて、都合が悪いと「脅し」をかけるメールはまさにヤクザの手法そのもの。

 
  明浄学院の関係者によれば
「本当は随意契約で買うのがベストと黒幕の大山氏以下は考えているようだ。だが、公募となった場合も、こちらが買えるようにウラで動いてもらおうと、議員の名前をあげるなど、工作をしているようです。吹田市への移転は断固反対。阿倍野区で建て替えるべき。このまま移転すれば阿倍野区や吹田市に暴力団の組事務所ができかねない」と話す。

 
  そして、大橋氏はメールで明浄学院の理事のひとりを「不動産賃貸業」だと力説、移転後、学校を食い物にして、いかに「稼ぐ」ことができるのか力説しているのだ。


  原稿の締め切り直前、学校関係者が捜査機関に相談し、告訴状をだしたらしいとの未確認の情報が飛び込んできた。

 舞台は学校内だけではない、新たな展開を迎えるのか、注目されるのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


明浄学院 暴力団「介入」疑惑  内部資料入手 独占公開 教育者たる者今こそ立ち上がれ!

日本タイムズ4月号

http://nippon-times.net/news/


大阪の私立高校、明浄学院高校と神戸山口組の疑惑をこれまで追及してきた。


1.大阪の私立高校を乗っ取りか 「岡山のトランプ」のバックは山口組?  

http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/49798959.html


2.大阪府ライブドア残党と反社が結託

 明浄学院高校の学校用地を狙う

http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/49799023.html


神戸山口組最高幹部の池田組の組事務所を提供していた、大山武夫氏が学校経営に参画。
自らの意にかなう理事を送り込み、大阪市阿倍野区にある学校を売却。


一方で、大阪府吹田市に移転され、その事業計画で多額の融資を銀行から引き出すという絵図が描かれていた。

「今の学校が売り飛ばされ、そこに暴力団の組事務所が建つかもしれない」

「売却交渉がうまくいかなければ生徒たちに万が一のことがどうなるのか」
と不安を漏らす学校関係者。


明浄学院は創立90年を超す伝統ある学校。それが、反社会勢力に食い散らかされ、路頭に迷うのは残された生徒や教職員たちであることは明白だ。

 

3月29日、明浄学院高校は4月3日の18時30分から、緊急の保護者説明会を開催する。

 

「これまで日本タイムズで報じられてきた内容について、PTAや生徒たちから不安の声があがりはじめた。
学校側が押し切られて説明会を開催することになった」(前出・学校関係者)


日本の未来を背負う子供たちの教育現場は、清廉潔白、正義であらなければならない。それが日本タイムズの一貫した主張である。
ゆえに、学校と暴力団というテーマを真正面からとりあげた。


そして、われわれは、刑事事件にもなりかねない、明浄学院の内部資料を入手した。そこには生徒不在、学校をカネもうけの手段としている、大橋副理事長や大塚理事、そして背後に控える、神戸山口組の大スポンサーである大山武夫氏の影が見え隠れするのだ。

 

今年2月3日付けで作成された<学校法人明浄学院中期事業計画>という書類。


<今後の計画>に記されているのが
<2017.04吹田市北千里に明浄学院学校用地購入、5500坪>
先に書いた、阿倍野区の学校を売却し、校舎を移転。売却益に加え、銀行の融資を受けてその価値を倍増させようという計画が進んでいるのだ。

安倍首相まで巻き込み、大きな問題となっている森友学園。その理由の一つが、国有地を政治的な「コネ」を使い入手しようとしたことだ。



明浄学院が移転を計画している、吹田市古江台の旧北千里小学校跡地。所有者は吹田市だ。


明浄学院は、昨年から取得にあたる交渉をはじめた。吹田市にとっては、貴重な市民の財産である。慎重に交渉を進める意向を見せた。


すると大橋副理事長は

<共産党系議員さんとマスコミをお呼びして今までの誠意ない市の対応について語らなければなりません>

と昨年12月8日、吹田市の池田副市長にメール送信。


一方移転資料の中に

<内閣府特命担当大臣X氏兄、H氏>

<吹田市側Y議員>

と政治的な「コネ」で土地を取得しようと試みているフシがあるのだ。今年1月31日にはY議員と大橋副理事長が会ったという記載もある。

まさに、森友学園と同じような構図だ。


おまけに、明浄学院の理事に就任している、山下隆志氏は不動産会社を経営。

売却、移転計画に深く関与しているようだ。

そして、移転にともなって泉州池田銀行から融資を引き出そうとして、

<融資額(最大)80億円>

と赤文字で書いている。


阿倍野区の学校は、50億円から60億円でマンション業者に売り渡す予定。

移転案の検討という資料には<土地の購入は27億円、新校舎建設に45億円、売却による収入は55億>

それどころか、吹田市から6000坪を買い、2000坪は転売してさらなる利益をも目論んでいるのだ。


融資の80億円と売却の55億円で135億円。土地と新校舎建設で72億円、63億円が手元に残る。本当に80億円もの融資が必要なのか。いったいこれはどこに流れるのか。


明浄学院は、日本タイムズ既報のように、週刊誌で暴力団と親密写真を撮影されている、大塚氏が理事を務め、大山氏が関与する学校に、泉州池田銀行は本気で融資を考えているのか?


そして、吹田市に移転した場合のタイムスケジュールも示されている。平成30年に吹田市の校舎が完成した時点で、高校1年生を受け入れ、平成32年で阿倍野区は閉校、転売となっている。最後の3年生は、阿倍野区で1学年のみで勉強することになるという。

「学校は勉強だけではなくクラブ活動などさまざまな要因がある。

1学年だけだと、クラブ活動はとてもできない。もちろん勉強だって、先生が3年生専属だなんてありえない。生徒や教員はどうでもいい、儲けるための計画」(前出・学校関係者)


まさに「儲け」のために明浄学院が邁進しようとしていることがわかる、決定的な資料がある。

 

平成28年12月2日、大阪府の泉佐野税務署の受付印が押された法人設立届出書。

法人名には「株式会社明浄」。


代表者には、明浄学院理事長の明野欣一氏が就任している。学校法人明浄学院の別会社ができていたのだ。


会社登記で確認すると、明野氏が代表で、取締役には大橋氏が入っている。所在地は、系列の大阪観光大学と同じ住所。なぜ、こんな会社が必要なのか。


「学校法人なら、何をするにも理事会などで了承をとり、進めないとダメだ。会社にすれば学校法人から請け負った格好にして、何でもできる。トンネル会社として作ったと聞かされた」(前出・学校関係者)


それを裏付けるように<業務契約書>が平成28年12月20日に、学校法人明浄学院と株式会社明浄の間で、交わされているのだ。

そこには<覚書><事業計画書>もついていおり、大阪観光大学の学生募集について、海外から留学生を連れてくれば、1人につき20万円、マイクロバスについては毎月25万円支払う、そして吹田市への移転計画でも解体費用など45億円を請け負うように記載もある。


エージェントのように株式会社明浄が入り込んでいるのだ。



そして、不思議なのは明浄学院にはまったく関係がない、事業が記されていることだ。


<共同事業同意書>という書面には

大橋氏が代表の岡山県にあるNPO法人サクシードと株式会社飯井商店が、福島県南相馬市に作業員寮を共同で建設する同意書を交わしているのだ。


建築費用は6億3千万円。サクシードが4億3千万円、飯井商店が2億円を出すという。

だが不思議なことに<NPO法人サクシード(観光大学)4億3千万円>とある。明浄学院の関係者によれば、

「表向きは、大橋氏のNPOが絡むが、大阪観光大学、明浄学院がカネを出して、作業員の建設、つまり除染ビジネスに進出するということ。


大橋氏のNPO法人は、学習支援、保育事業などが目的。4億円もの巨額なカネがあるとは思えない。


自分の商売に、学校のカネを流用しようという魂胆じゃないかと聞いています」

株式会社明浄の<事業計画>には、ウイッツ青山学園のM&A、別の資料には<ベトナム病院投資>などとうてい関係あるとは思えない内容が並ぶ。


そして、すでに明浄学院のカネは株式会社明浄に流れているようだ。先に指摘のあった<トンネル会社>という形容がピッタリな気がする。


資料によれば、株式会社明浄は学校法人明浄学院が400万円、明野氏と大橋氏がそれぞれ300万ずつ、合計1000万円が資本金。

 

学校法人明浄学院から発注が多いほど、明野氏と大橋氏の利益となるのだ。

 

すでに、株式会社明浄は学校法人明浄学院に対して、明浄学院高校のダンス指導料、大阪観光大学の事務委託費用、システム開発費用などとして、2000万円あまりを支払うようにとする、請求書を作成。三井住友銀行の口座に入金するように求めている。


これらは、学校法人明浄学院から直接、発注されば中間マージンがとられないため、もっと安価になるのは当然だ。


株式会社明浄に利益が出れば、当然、株主の明野氏や大橋氏に還元されるのは、言うまでもない。

 

学校を「食い物」にするこの手法。

ここで得た「カネ」はいったい、どこに流れてゆくのだろうか。


「大山氏は、現在、産業廃棄物処理、福島の除染関連のビジネスに忙しく『あとは大橋氏と大塚氏に任せた』と言っていたそうです」(前出・学校関係者)

ということは、暴力団にカネが流れることを意味するのだろうか?


3月初めのこと、大阪府警に2人の人物が出向いた。明浄学院の関係者だった。

対応したのは大阪府警の幹部。学校の現状つまり暴力団の影について事情を聞いたという。


学校現場がこれでは、日本の未来は、真っ暗だ。正直、明浄学院には現状を憂う教職員がいないわけではない。しかし、保身から自ら、行動し生徒を守ろうとするものはいない。

まさに3月末で退職した、前校長がその典型。教育者を名乗る資格はない。

 

そこで、本紙・川上は、明野氏と大橋氏を背任などで刑事告発することを視野に入れている。大橋氏は副理事長という肩書にもかかわらず「校長」という肩書で決済印を押している。また森友学園の籠池氏は本名が「康博」だがなぜか「泰典」と名乗っている。


大橋氏も「美枝子」であるにもかかわらず「美愛子」としている。その謎を解くカギもわかってきた。


大塚氏の暴力団まがいの言動、退職の強要、とても看過できない状況が続いているからである。

 

明浄学院、大阪観光大学の心ある教職員には、生徒、学生、父兄、そして日本のために立ち上がってほしい。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


大阪府ライブドア残党と反社が結託

日本タイムズ3月号

http://nippon-times.net/2017/03/


明浄学院高校の学校用地を狙う

神戸山口組の最高幹部の池田組、池田孝志組長の企業舎弟とされ、組事務所まで建築、提供していた「岡山のトランプ」と呼ばれる大山武夫氏。


大阪市の私立高校、明浄学院の経営難に乗じて「乗っ取り」を図り、学校を廃校にして売り飛ばす計画を進めていることを、 前号 でお届けした。


大山氏は、明浄学院の再建をちらつかせながら、自らが暴力団に関係していることを認めていたという重大証言を得た。


「大山氏は岡山ロイヤルホテルの経営者という触れ込みでした。だが、ある時自らが『山口組の幹部池田組と関係があるとよく言われる。池田組長は幼なじみであるだけ』と語るのです。そこで池田組を調べると、山口組の最高幹部。


日本タイムズでも書いているように、大山氏も池田組の事件に絡んで、逮捕されている。これ以降、生徒に何かあればと怖くなり、大山氏の言いなりになるしかなかった」
と学校関係者はそう明かすのだ。


まさに「脅し」の他ならないのだ。
そして、大山氏が一躍、注目されたのは週刊新潮、1999年9月 30日号の「野村監督とサッチーを操る黒幕実業家」というタイトルの記事。当時阪神の監督だった、野村克也氏と妻の沙知代氏、それぞれが隠しビデオを撮影され「夫婦別々に男女のきわどいシーン」があったというものである。 


そこに登場する「黒幕実業家」が大山氏。野村氏のタニマチで愛人まで紹介したのではないのかと、報じられ、暴力団と深いつながりがあるとも指摘される。隠しカメラに愛人と、まさに暴力団そのものの手口を繰り出す大山氏。


「大山氏は最近は学校にこない。こいつに任せたと2人の人物を送り込んできた」(学校関係者)

その一人がかつて、ホリエモンこと堀江貴文氏で知られたライブドアの副社長まで務めた大塚哲也氏。


「今、明浄学院の一番のガンが、大塚氏です」

と学校関係者は1枚のコピーを見せてくれた。写真週刊誌「FRIDAY」の 2006年2月17日号。「ホリエモン側近暴力団組員と豪遊親密写真」という記事が掲載された。暴力団組員と笑顔で肩を組む長髪の男性。まさしく大塚氏なのだ。現在は明浄学院の理事という肩書だというのだから、驚きだ。


「この記事をみて、大山氏の息がかかった、暴力団と強いつながりがある、大塚氏がやってきたのかとますます怖くなった。大山氏はあまり学校には来なかったが大塚氏は毎週1,2度やってきて、教師や事務職員に対してやくざそのものの口調、態度で『言うことを聞け。聞かないならくびだ』とパワハラ、恫喝。17 人が3月末で退職をなかば強要されていますが、ほとんどが大塚氏の脅しのせいです」

と先の学校関係者は話すのである。


大塚氏の知人によれば

FRIDAYの写真が出たときに聞いたら『仲良くしている写真が出てしまった』と笑い、暴力団とは親しいとはっきり言っていた」

2月22日、明浄学院教職員組合で広くまかれたビラを本紙は入手した。そこには、今年3月で高校を卒業する生徒の進路をについて記されていた。


明浄学院高校では、大学入試で、特定の大学から指定校推薦の枠を得ているという。すでに合格が決まっている生徒に、同じ学校法人が経営する、大阪観光大学に変更せよと「強要」しているというのだ。その中心が大塚氏だという。


〈高等学校としての信頼を失墜させる〉

〈理事の高圧的なパワーハラスメント〉

と抗議がなされているのだ。


理事会がこのように「強要」するのは、大阪観光大学の経営難が背後にあるとされ、

「来年度も入学者は定員に達しない模様で、なんとか増やそうと考えたのが、進学先変更の強要。もちろん発案者は大塚氏とみられます。しかし、暴力団がバックにいると思うと、怖くて誰も声をあげられない」(前出・学校関係者)


進学先の「強要」。憲法が定める「学問の自由」に反するのは明白。


本紙川上は、明浄学院に出向き、取材を申し入れたが、大山氏が「後を任せた」という大橋実愛子氏が副理事長にもかかわらず

「私が校長だ、取材には応じないので、帰ってください。警察を呼びます」

と用件も聞かずに大騒ぎするばかり。


「大山氏、大塚氏、大橋氏とこんな人物が、教育の場で権勢をふるっているというのは、大きな問題。このままだと大量に先生がやめ、学校の信用失墜、経営難、学校用地は売り飛ばされ推定60億円が大山氏らに入り、その一部が暴力団に流れるのでしょう。

広大な学校の用地、売り飛ばされ暴力団の事務所になれば大変。そして一番の被害者は路頭に迷う600人の生徒たちです」(学校関係者)


早急な対応が必要だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


大阪の私立高校を乗っ取りか

日本タイムズ2月号

http://nippon-times.net/2017/02/


「岡山のトランプ」のバックは山口組?

「生徒たちには申し訳ない気持ちでいっぱいです。教育現場が反社会勢力に乗っ取られ、金儲けの道具にされようとしている」と涙ながらに訴えるのは大阪市にある、明浄学院高校の関係者だ。明浄学院は、大正時代に開学された女子高。現在は大学も併設する、90 年以上の歴史を誇り、関西では「お嬢様」学校として知られている。そんな名門校で「内紛」が起きているという。発端は2013年のことだ。


「2000年に明浄大学(現大阪観光大学)を開学。しかし少子化の影響もあり学生募集は芳しくなく、経営が苦しくなった。そこである医療法人から5億円とも 10億円ともいわれる支援を受けることになった。


その医療法人も芳しくない噂があった。それ以上にもっととんでもない人物は入り込んだのです」(前出・関係者)その人物の名前は、大山武夫氏。岡山ロイヤルホテルなどを経営する、岡山県の実業家。アメリカの大統領をまねて「岡山のトランプ」と呼ぶ人もいる。支援を口実に、学校現場にまで出入りするようになった大山氏。いつしか、学校の幹部を、JR天王寺駅近くの高級ホテルに呼びつけるようになる。


「信じられないような話が出てきたのです。5億円の寄付はするが、明浄学院高校はそのうち廃校にして、土地を売却するというのです。呼びつけられた幹部は、たくさんの無理難題を強要され沈痛な表情でした」(前出・関係者)


実業家の触れ込みだったが、トランプ大統領と似ているのか、理不尽極まりない要求が続く。学校法人の理事長は大山氏の息のかかった人物に変更、理事の顔ぶれも総入れ替え。そこで学校関係者たちは大山氏の「素性」を調べたところとんでもないことがわかった。指定暴力団山口組と深い関係にあるのだという。「岡山県にある池田組と懇意だという情報ももたらされた」(前出・関係者)それをもとに、本紙・川上は大山氏について調べてみるととんでもないことがわかった。


 1993年1月6日、大山氏の名前がニュースに踊った。岡山県警がゴルフ場開発を巡って門木和郎県議(故人)と大山氏と経営していた大武興産に対して車庫法違反容疑で強制捜査。なんと山口組の直参幹部、大石組と池田組まで家宅捜索されたのだ。当時の毎日新聞の報道によれば〈(大山氏から)乗用車の提供を受けていた山口組系暴力団事務所などを車庫法違反(保管場所に関する虚偽届け出、車庫飛ばし)容疑などで家宅捜索した〉〈(1985 年に)池田組(岡山市)の組事務所の敷地を購入。翌年には、鉄骨四階建ての事務所が建ち、大山社長経営の不動産会社が所有している。県警は大武興産が池田組の有力資金源とみている〉池田組に車だけでなく組事務所まで提供していたというのだ。


そういう人物が、教育現場を「カネ」と「暴力」で支配しようとしているのだ。池田組に車だけでなく組事務所まで提供していたというのだ。そういう人物が、教育現場を支配しているのだ。池田組は一昨年の山口組の分裂で、神戸山口組に移った。 池田孝志組長は神戸山口組の舎弟頭という最高幹部だ。この問題は当時の岡山県議会でも問題となり〈門木県議や全国最大の暴力団山口組系の池田、大石組への高級乗用車の無償提供と102台分の車庫とばし、不正登記で大武興産社長らが逮捕されました〉と徹底追及を求めているのだ。「山口組とわかりただ震えるばかり。今、別に山口組のような人物が週に1度、学校にきて職員を恫喝。この3月には校長以下 16人が辞めるというか、クビ切りで辞めさせられる」(前出・関係者)危機的な状況を迎えている、明浄学院。 次号では更なる深刻な状況をお届けする。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

20170401-00082391-playboyz-000-1-view



















森友学園問題で「僕の失態」と闇に葬る?橋下前大阪市長の狡猾さ

2017年04月01日 06時00分 週プレNEWS
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12176-82391/


連日、世間を騒がせている森友学園問題。果たして、設置認可は正当に行なわれたのか?


『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、火消しに余念がない元・維新コンビへ疑惑の目を向ける。


* * *


森友学園の不正に関与した疑いで、安倍政権の支持率が急落した。直近の調査によれば、前月比7.3ポイント減の47・6%という数字も出た。そんな政権を見て、二の舞いになるのはゴメンとばかり、火消しに余念がないのが橋下徹前大阪市長と松井一郎大阪府知事の元・維新コンビだ。


森友学園をめぐる疑惑の主な論点は
(1)なぜ、国有地を8億円も安く買えたのか、
(2)なぜ、「瑞穂の國記念小學院」の設置が認可されたのか

の2点だ。


この(2)の疑惑、小学校の設置認可のプロセスに関与してきたのが橋下、松井両氏が知事を務めてきた大阪府である。


それまでの設置基準では森友学園のように、幼稚園しか経営していない学校法人は借入金で小学校を設置・開校することはできなかった。規模の小さな幼稚園しか経営していない法人は、自己資金で学校をつくれるくらいの財力がないと持続的な学校経営は難しいと行政は判断していたためだ。


しかし、2011年7月頃、籠池理事長はこの条件が厳しすぎると、当時の橋下知事に緩和を要望。その後、松井現知事が12年4月に規制緩和を決めた。


その結果、「瑞穂の國記念小學院」は15年1月、府の私学審議会から条件付きで認可されることとなった。規制緩和後、小学校の設置申請は森友学園1件のみだという。これではまるで橋下、松井両氏による規制緩和は、森友学園に便宜を図るためのものだったかのようだ。


それだけではない。実は、極めて明白な重大問題がある。


規制緩和された設置基準には「学校の土地は"自己所有地"でなくてはならず、(一部例外はあるものの、その例外の場合でも)特に校舎だけは"借地"の上に建てられない」とある。


ところが、森友学園は財務省と10年以内(計画では7年後)に土地を買い取れるという契約を交わしていたが、それまでは借地で学校を運営する計画だった。つまり、小学校の新設は規制緩和後の設置基準に明確に違反していたのだ。なのに、府の私学審議会は「瑞穂の國記念小學院」を審査の対象とし、設置適当の認可を出している。


14年10月に森友側が認可申請を出したときに、大阪府は基準違反だとして申請を受理しないのが普通だ。しかし、なぜか府はこれを受理した。その理由は、それ以前に森友側と何回も打ち合わせして、当初は借地のままでもよいという判断を示していたからである。これは明らかに「故意」だ。


にもかかわらず、橋下前知事はツイッターで「(規制緩和後の)審査体制強化をワンセットでやるべきだった。ここは僕の失態」「財務状況の確認がなかった。府の判断はミス」と繰り返し「ミス」だったことを強調している。自分の「ミス」が事務方の「ミス」を呼び、不適切な認可につながったというストーリー。問題の矮小化(わいしょうか)を狙っているかのようだ。


しかし、財務ウンヌンの前に、7年間借地という時点で森友学園の認可申請は即却下するのが当然だ。それがされなかったのはなぜか?


忖度(そんたく)なのか? 府政与党である日本維新の会の関与、口利きはなかったのか?

「ミス」という軽い表現で、この闇をスルーしてはならない。


●古賀茂明(こが・しげあき)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ