(堺アピールの賛同人でもあり、3月3日シンポジウムのパネリストでもある、京都精華大学准教授・住友剛さんのfacebookへのご投稿を、ご了解を得て、転載させて頂きます)



(以下、転載)
こんな大阪維新の会・大阪市議団の提案予定の「家庭教育支援」条例案など、いらない。

  こんな大阪維新の会・大阪市議団の提案予定の「家庭教育支援」条例案など、いらない。その前に、教育・子育てに関する先の大阪市PT案を全部撤回することが先決ではないのか。

  そもそも、「家庭教育」については、すでに改正後の教基法10条2項で、「家庭教育の自主性」を尊重したうえで、必要な支援策を地方公共団体が講じることを定めている。また、社会教育法3条3項でも、地方公共団体に対し、社会教育が学校教育・家庭教育の両方と密接な関連性を有することにかんがみて、「家庭教育の向上に資する」こととなるよう必要な配慮をすることとしている。

  一方、次世代育成支援対策推進法にもとづいて、大阪市としての行動計画が策定されており、そこでは子育て支援策や虐待防止策などについてもプランが練られているはず。そして、大阪市には「児童を虐待から守り子育てを支援する条例」が2010年12月に制定されている。

  これだけの法令がありながら、どうして新たな条例が必要なのか。
  今まである法令の趣旨にそって、粛々と、大阪市として、こども青少年局と市教委が軸となって、家庭の子育て支援策を打ちだせばいいだけではないのか。なぜ、そちらの道筋はとらないのだろうか。

  だいたい、そもそも子育ていろいろ相談センターを廃止するとか、ファミリーサポートセンター事業を他の子育て支援事業に一本化するとか言うようなPT案をそのままにしておいて、こんな条例案を出してくるというのは、筋違いというしかない。また、生涯学習センターやクレオ大阪、市民交流センターのような場で、これまでの間、どれだけ家庭の子育てに関する学習機会が提供されているのか。そのような重要施設を廃止するようなPT案が出ているのに、一方でこんな条例案を出そうというのは、維新の会市議団はどんな神経をしているのか。

  さらに、多くの保護者の子育てにとって大事な支援機能を有している学童保育への補助金廃止方針をPT案が打ち出していながら、そこにはなんの批判もなく、他方で「家庭教育支援」の条例を出そうというのは、市議会での議論の争点をずらそうという意図なのか。

  そして、例の大阪市版の教育基本条例案や学校選択制の導入の提案等々が保護者の不安をあおっているのに、その不安をあおっている人々が「家庭教育支援」の条例案を出すというのは、ほんとマッチポンプみたいなものではないのだろうか。

    もう、市長サイドも維新の会市議団のサイドも、教育や子育てに関する領域については、政策的な整合性がまるでないというか、むちゃくちゃ。とてもではないが、こんな人たちに教育や子どもに関する施策を任せておけないというしかない。

  片方で自分達の会派の代表たる首長サイドから、役所に子育て中の家庭を混乱させるような政策提案出させる。他方でそういう子育て中の家庭を「支援」する「ふり」をしながら、よりしんどいことを各家庭に強いるような条例案を市議団がつくっている。

  いったい、大阪維新の会は子ども施策をどうしたいのか? 何がしたいのか?

  ここから見えてくるのは、自分たちの改革によって生じる不利益を文句も言わず黙って受け止めてくれるような、なにかと「自己責任」で解決してくれる子育て中の家庭がほしいという、そういう思惑だけのように思われてならない。

(以下、各紙の報道)

親も教育…虐待・モンスター防止へ維新が条例案
2012年5月1日14時52分  読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120501-OYT1T00706.htm?from=main7

  大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)大阪市議団は1日、保護者に家庭教育の学習機会を提供する「家庭教育支援条例案」を、15日開会の5月定例議会に議員提案する方針を固めた

 児童虐待や、無理難題を強いる「モンスターペアレント」の出現を防ぐ狙いで、成立すれば全国でも異例の条例となる。

 市議会で審議中の教育基本2条例案に盛り込まれた保護者向け家庭教育支援を具体化する内容。

   「親になる心の準備のないまま子どもに接し、途方に暮れる父母が増えている」とし、具体的には市内の全保育園・幼稚園に保護者を対象とした一日保育士・幼稚園教諭体験の機会を設けるよう義務化。

   結婚や子育ての意義を記した家庭用道徳副読本を高校生以下の子どものいる全世帯に配布するほか、市長直轄の推進本部を設置し、「家庭教育推進計画」を策定することも盛り込んだ。



親の保育士体験義務化 維新の会、大阪市で条例案
2012年5月1日 13:12 スポニチ
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/05/01/kiji/K20120501003160360.html
 
 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会大阪市議団は1日、保護者の子育て学習を支援する目的で、保育園と幼稚園で保護者を対象にした「1日保育士体験」などを義務化する「家庭教育支援条例案」を市議会に提出する方針を決めた。提出時期は未定。公明党市議団も賛同する見通しだ。

 条例原案の前文で「親になる心の準備のないまま、いざ子供に接して途方に暮れる父母が増えている」と指摘。子育てする保護者自身への教育が必要だとの認識に基づき施策を打ち出している。ただ保護者側には新たな負担ともなりかねず論議を呼ぶ可能性がある。

 母子手帳に子育て学習の記録をつけることや、全ての保育園と幼稚園で年に1回以上の保護者向け学習会開催なども盛り込んだ。条例に違反した場合の罰則規定はない。

 市に親の役割や家庭のあるべき姿を考える「家庭教育推進本部」を新設することも打ち出した。


 維新の会によると、保護者が子育てを学ぶ機会を増やし、児童虐待や教育問題の解決につなげる狙いがあるという。


 維新の会市議団は、東京都による尖閣諸島の購入方針を表明した石原慎太郎知事の考えを支持する決議案を5月市議会に提出する方針も決定。同会大阪府議団も同様の決議案を提出する意向だ。



保護者に保育士1日体験義務化 維新大阪市議団が条例案提出へ
2012/5/2 日経新聞
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A91E2E3E2E0808DE2E3E2E7E0E2E3E09391EAE2E2E2


 橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」の大阪市議団は1日、子育て支援や児童虐待防止などを目的とした「家庭教育支援条例案」を市議会に提出する方針を決めた。

 保護者自身に親としての心構えを持ってもらうことが必要との観点から、保護者に対し保育園や幼稚園での「1日保育士・幼稚園教諭体験」を義務化するなどの条項を盛り込む。公明との共同提案を目指しており、早ければ5月市議会にも提出する見通し。

 条例案では保護者のほか、「これから親になる人」として、中学生から大学生までに保育園などで乳幼児の生活に触れる体験学習も義務化。市長直轄の推進本部を設置し、発達障害の予防などに関する「家庭教育推進計画」を策定することも盛り込まれる。

 市議団幹部によると、行政による保護者向けの家庭教育支援を明文化する条例は全国でも異例。違反した場合の罰則規定はないが、保護者側が新たな義務を課される内容は議論を呼びそうだ。幹部は「親自身の成長を促し、行政がしっかり支援できる仕組みをつくりたい」と話している。


「義務は好きじゃない」 家庭教育条例案で橋下市長 
2012.5.2 12:06 msn産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120502/lcl12050212070000-n1.htm

 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は2日、維新の会市議団が保護者の保育士体験などを義務化する「家庭教育支援条例案」の提出方針を決めたことに関し「市民に義務を課すのは好きでない」と否定的な見解を示した。市議団との考え方の違いが浮き彫りになった。


 一方で、市議団側が積極的に条例案をつくろうとする姿勢を評価。「必要なルールなら議会でどんどんつくったら良い」と強調した。市役所で記者団に述べた。


 条例原案は、母子手帳に子育て学習の記録をつけることや、全ての保育園と幼稚園で年に1回以上の保護者向け学習会を開くよう規定。違反した場合の罰則規定はなく、維新の会市議団は早ければ5月市議会での提出を検討している。