June 2010
June 29, 2010
ジャミン・ゼブ『裏・ガーデン』その5
さっそくいきましょう。
う〜〜ら〜〜が〜〜で〜〜〜ん。
♬その5♬
--------------------------------------------------
♪SWEET SWEET LOVE♪
(スウィート スウィート ラヴ)
--------------------------------------------------
この曲のリズム・トラックは、
ライヴでお馴染みの、
あのトリオに、
演奏をお願いしました。
そう、
森丘ヒロキ(ピアノ)
佐藤 有介(ベース)
ジーン重村(ドラム)
あの3人です。
そして、
このレコーディング風景は、
なんとも、のどかな雰囲気で、
進行していきました。
まるで、
あの落語を彷彿とさせるような…。
そう、
題名は忘れましたが、
何をやるにも、
超スロー・テンポの男と、
気が短くて、
せっかちな男を対比させた、
あの、ケッサクな落語を…。
……。
その落語のなかで、
超スローな男は、
話すのも超ゆっくり。
「は〜〜や〜〜い〜〜は〜〜な〜〜し〜〜が〜〜、
は〜〜ら〜〜が〜〜へっ〜〜た〜〜ぞ〜〜。」
すると、
せっかちな男が、
もうもうイライラしまくりで、
「く〜〜〜! な〜にが早い話だ、べらぼうめ。
もっと、てきぱきとしゃべりやがれ、
この、唐変木め。」
と早口でまくしたてる。
しかし超スロー男は、
終始マイ・ペースで、
「そ〜〜ん〜〜な〜〜に〜〜、
お〜〜こ〜〜ん〜〜な〜〜い〜〜で〜〜よ〜〜。」
せっかち男、
ますますイライラして、
「くそ〜〜〜〜〜〜!
イライラすんなあ、
もっと早くしゃべれねえのかよ〜、てめえ!!」
とまあ、
そんなお話なのですが、
このレコーディング風景は、
まさにそんな感じでしたね。
♡♡♡
私とジーン君は、
どっちかというと早口な方。
それに対して、
有介とモリゴン(森丘君)は、
どちらかというと無口な方で、
ゆったりとした、
穏やかなマイ・ペース派。
そして、この曲に関しては、
私はあまり細かいことを言わずに、
レンセイを含めた彼らの自主性に、
まかせてみました。
さて、
レコーディングは順調に滑り出し、
何テイク目かに
いい感じの演奏が録れたので、
仮唄を歌ったジャミンの4人も含めて、
私はみんなを、
コンソール・ルームに呼びました。
「いやあ、良かったよ。
さっそく聴いてみようじゃないか。」
みんな、真剣な表情で、
プレイ・バックに聴き入る。
そして聴き終わったところで、
私がこう切り出す。
「いいテイクだと思うよ。
どう、みんな。」
すると3人とも、
「うん」とうなずく。
「よし、1曲出来た。
じゃ、次の曲行こう。」
と、『ALFIE』を準備しかかったところへ…、
有介が、
ゆったりとした口調で、
「あ〜あ〜、そ〜〜だ〜〜、
ぼ〜く〜、い〜っか〜しょ〜、
コ〜〜ド、ま〜〜ち〜〜が〜〜え〜〜て〜た〜。
も〜う〜い〜っかい、
や〜ってもいい〜です〜か〜。」
「なーんだ、早く言えよー。」
と、私とジーン。
そして、
有介くんだけ、もう一回やり直し。
ズンズン ボンボン
♪♪♪
「オッケー。
良かったよ有介。
聴いてみよう。」
と私。
「は〜〜い〜〜。」
と有介。
またしてもみんなで、
プレイバックを聴く。
「どう有介?」
「い〜い〜と〜お〜も〜い〜〜ま〜〜す〜〜。」
「よし、次の曲だ!」
と、ここで…、
モリゴンが、
ゆっくり口を開く。
「そ〜〜だ〜〜。
ボ〜〜ク〜〜も、
ま〜〜ち〜〜が〜〜い〜〜、
はっ〜〜け〜〜ん〜〜しちゃ〜った〜〜。
も〜〜いっ〜〜か〜〜い〜〜、
や〜〜り〜〜た〜〜い〜〜な〜〜あ〜〜。」
ずっこけるジーン。
「なーんだ、君もか。
じゃいいよ。
納得いくまでやろうじゃないか。」
と、寛容な私。
そしてモリゴンが、
もう一回挑戦。
パラパラ ゴンゴン
♪♪♪
満足げに弾き終えて来たモリゴン、
真剣にプレイバックを聴く。
「う〜〜ん〜〜、
い〜〜と〜〜お〜〜も〜〜い〜〜ま〜〜す〜〜。」
「よし、これで完成だ。
みんな、今度こそいいね。」
と、念を押す私。
と、ここで、
またしても有介が、
「あ〜〜、そ〜〜う〜〜だ〜〜、
お〜〜も〜〜い〜〜だ〜〜し〜〜た〜〜。」
「……。」
こんな、
なごやかな雰囲気で、
やり直したり、
プレイバックを何度も聴いたり。
……。
元気溢れる爽快な楽曲。
パンチの効いた、
スピード感溢れるリズム・トラック。
とはウラハラに、
そのレコーディング風景は、
なんとも、ゆったりムードの、
おだやかな光景だったのです。
そして…、
私たちが、
こんなやりとりをしている間も、
真剣にプレイバックを聴いてる間も、
この曲の作・編曲者でもある、
当のレンセイくんは、
後ろのソファーで、
スヤスヤと気持ち良さそうに、
眠りこけておりました。
平和だ…。
……。
-------------------------------------------------------
♪POLKA DOTS AND MOONBEAMS♪
(水玉模様と月光)
-------------------------------------------------------
スタンダード曲をアレンジするにあたって、
コード進行を微妙に変化させながら、
新しい世界を創ることに心血を注ぐことは、
まさに、私の生き甲斐。
そして、これこそが、
独特のジャミン・サウンドの、
秘密ではないかと、
かってに自惚れております。
第一回の「ファン・クラブ会報」でも、
具体的な譜例をあげて、
細かく解説したのは、
記憶に新しいところ。
というわけで、
この曲でも、
同じようなアプローチを試みたのですが、
いやあ、これは、
思ったより苦労しましたね。
この曲も、
「A-A'-B-A"」
という、
オーソドックスな構成。
ゆえに、
私の腕の振るいどころ。
AとA'とA"では、
スティーヴの歌う主メロはおんなじでも、
コードもハーモニーも、
どんどん変わっていくのが、
おわかりいただけるかと思います。
ところが…、
サビ(B)が終わった直後、
A"に戻った最初の4小節間に、
よせばいいのに、
とあるアイディアが浮かんでしまった。
歌詞で言うところの、
「Now in a cottage built of lilacs laughter
I know the meaning of the words〝Ever after"」
あの部分です。
あそこを、
スクランブルのようなハーモナイズで、
劇的な感じにしたくなったのです。
つまり、
DEF♯GABD
と上がって行くスティーブのメロディに対し、
残りの3人は、
上から降りて来る。
しかも、
4声のハーモニーは崩さずに。
という離れ業(わざ)をやってみたくなった。
ところが…、
スクランブルですから、
どこかで4人が交差するわけです。
その交差点は、
どうやっても、
ユニゾンになってしまう。
音が重なって、
ひとつになってしまう。
つまり、
4声でハモりながら、
交差することが、
できなくなってしまうのです。
しかし、
1度決めたことですから、
死にものぐるいで、
その方法を模索しました。
このアレンジの大半の時間を、
この4小節のために使ったと言っても、
過言ではありません。
「なんと愚かな」
と、笑わば笑え。
わっはっは。
でも…、
悪銭苦闘の末…、
私はついにやり遂げたのです。
耳に自信のある方は、
採譜してみて下さい。
見事に、
ハーモニーで交差しているはずですから。
では、
どうやったか…。
……?
いやいや、
それは企業秘密です。
わっはっは。
(もったいぶんな)
----------------------------------------------
♪MOONLIGHT SERENADE♪
(ムーンライト・セレナーデ)
----------------------------------------------
昨年のエッセイ、
『グレン・ミラー物語』
でも書きましたが、
この映画は、
私の人生を決定してしまいました。
そして、
その主題歌『ムーンライト・セレナーデ』もまた、
私の運命を、
決めてしまったのです。
「俺は、なにがなんでも、
音楽で食べていくぞ〜。」
中学1年生にして、
そんな決意を抱かせてしまった、
おっかない曲。
失敗したら、どう責任とるんだ、
と言いたい曲。
だから、
ジャミン・ゼブにも、
歌ってもらいましょう。
一緒に運命を共にしましょうね、
シマウマ君たち。
ね、ね。
そんな思いをこめて、
心をこめて、
書きました。
もちろん、
原曲どおりにやったら、
勝てないのはわかっています。
ムーディーなビッグ・バンド・サウンド。
甘いトロンボーンの調べ。
切ないクラリネットのメロディー。
素晴らしすぎるオリジナルですからね。
だから…、
思い切って、
ジャズ・ワルツにしてみました。
これなら、
勝てないまでも、
「こんなバージョンがあってもいいかな」
という評価くらいはあるかもしれない。
との思いで、
大胆にも挑戦してみたわけです。
♪♪♪
というわけで、
これは、
優雅な舞踏会のイメージです。
止まりそうになっては、
また始まる、
あの感じが、
とても気に入っています。
華やかな舞踏会を、
ちょっと抜け出して、
ベランダに出てみると、
初夏(6月)の爽やかな風がそよそよ。
そして、
美しい月明かりのもとで、
もう一度優雅に踊るカップル。
う〜〜〜〜ん、
もう〜〜、
ロマンティックなんだから〜〜〜♡
と、
焼酎を飲みながらアレンジしてる私って、
どうよ。
……。
(つづく)
ご存知の方はご存知でしょうが、
(なんやそれ?)
私、
7/3〜7/15の間、
ちょっと日本を離れます。
だから、
その準備で、
大変な忙しさです。
さらには、
9月の大きなライブのために、
たくさんの新曲も用意しました。
そのライブのFC受付チェックや、
プロモーションの手当、
居ない間の伝達事項の整理等、
サッカーなんか見てる時間もないほど、
仕事に追われております。
(嘘つけ、毎晩見てるじゃないか!)
いやいや、
アハハハ、
やっぱり4年に一回ですからねえ。
なので、
「裏・ガーデン」だけは、
終わらせてから出発したい、
と思っていますが、
もし出来なかったら、
ごめんなさい。
(だったら言うな)
さ、
パラグアイ戦まで、
あと少しだ。
行け〜〜〜〜〜、
岡田ジャパ〜〜〜ン!
ガオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
(きょうは、〜〜が大活躍)
……。
SHUN MIYAZUMI
3時間半後です。
いやあ、よくやりました、
日本代表。
このチームは最高でした。
拍手、拍手です。
SHUN MIYAZUMI
June 22, 2010
ジャミン・ゼブ『裏・ガーデン』その4
あらためまして。
「草月ホール」にお越しのみなさま、
本当にありがとうございました。
また「ZEBLOG」に寄せられた、
温かいお言葉の数々にも、
力強い勇気をいただきました。
感謝…。
ジャミン・ゼブ号は、
まだまだ前進あるのみです。
がんばっていきますよー。
はい、
というわけで、
ちょっとリラックス・ムードで、
「裏庭シリーズ」
今日も、
いってみますかね。
------------------------------------------------
♪EVERYTHING♪(エヴリシング)
------------------------------------------------
このアレンジは、
ジャミン・ゼブのレパートリーとしては、
極めて特殊なものです。
「あっと驚く2段構成」?
ま、それも変則的ではありますが、
もっと特殊な点は、
「リード・ヴォーカル 対 3人のバック・コーラス」
というスタイルが、
終始貫かれているところです。
ジャミンのレパートリーでは、
どの曲にも(と言ってもいいのかな)、
必ず4声でハモるセクションがあります。
ときには頭からガツ〜ンと、
ときにはサビで感動的に迫り、
ときにはクライマックスで大盛り上がり、
と言った具合に…。
でも、このアレンジでは、
最後の最後に登場する、
「やさしい嘘ならいら〜ない〜♪」
の2小節を除いては、
まったく4声でハモりません。
だから、特殊なのです。
完全に、
ソロ・シンガー対バック・コーラスによる、
がっぷり四つの炸裂大作戦。
まるで、
「沢田研二とタイガース」のようだ。
「前川清とクール・ファイブ」のようだ。
「デイブ平尾とゴールデン・カップス」のようだ。
えっ?
あっちがノーマルで、
ジャミンのスタイルの方が特殊なんじゃないか。
ですって?
おっと、そうか。
♡♡♡
さて、私が今回やってみたかったのが、
世界的黒人コーラス・グループ、
『TAKE 6』風、
ドゥワップ(Doo Wap)コーラス。
コージローがリードをとる、
後半部分に出て来るコーラス・ワークを、
あんな風にやってみたかった。
と、ここで種明かし。
私はまず、
『TAKE 6』の、
とある曲で、
彼らが使っているシラブルを、
全部書き出してみました。
シラブルというのは、
歌詞ではない、
いわゆる、
「ダバダバ」「パッパラー」「ドゥバドゥバ」
といった類いのものです。
ジャズ・ヴォーカルのアドリブや、
ジャズ・コーラスには、
欠かせない重要なものですね。
すると、彼らは、
以下のようなパターンを組み合わせて、
歌っていることがわかりました。
「トゥ」
「ルー」
「アー」
「ウー」
「ワー」
「パッ」
「ティ」
「ヤー」
「ラー」
「リー」
私は、これらをメモった紙を机の左に置いて、
このコーラスを書き始めました。
「これ以外の言葉は絶対使わないぞー」
と心に決めて。
まず、
普段は頻度の多い「ダバダバ」は、
一切使わない。
ここは「ドゥバドゥバ」と歌わせたいな、
と思っても、
メモには無いので、
「トゥルルル」
とやる。
「ダッダダッダ」と書きかけたところで、
メモを見たら、やっぱり無いので、
「トゥットゥッ」
と訂正。
「サバダー」と書く代わりに、
「ティヤラー」
こんなふうに、
こうすることによって、
ちょっぴり、
『TAKE 6』風サウンドが体感できました。
ヤッター、ヤッター。
とまあ、
こんな遊び心を持って、
楽しく書いた曲なのですが、
うまくいってるのかなあ…。
みなさんは、
どう思われますか…。
-----------------------------------------
♪ORANGE COLORED SKY♪
(オレンジ色の空)
-----------------------------------------
この曲には、
コレといった裏話がありません。
いつもの、
おもしろ“オチ”も、
思い浮かびません。
しかし、
それでは私の面目がたたない。
(なんで?)
というわけで、
ひとつだけ、
印象的なエピソードを…。
あれは、
2008年の10月。
八王子にある、
「南多摩高校」で行われた、
PTA懇親会という名のライブでの出来事でした。
ようやく日本にも慣れてきたレンセイが、
ステージの上でも、
大胆不敵に、
変な日本語を得意げに喋り始めていた、
そんな頃のライブ。
いつものように、
この『ORANGE COLORED SKY』を、
颯爽と歌い終わると、
その日は、
コージローだかスティーヴだかが、
「レンセイ、
今の曲はどんな内容だったか説明して。」
と、振った。
するとレンセイ、
もったいぶった講談口調になり、
こう言い出したのです。
「アルヒノコト。
ミチヲ、アルイテイタラ、
トツゼン、
ソコニ、
オンナガ!!!」
この「オンナ」の「オ」に、
強いアクセントをつけて言ったもんだから、
これが、
吹き出してしまうような可笑しさ。
すかさずコージローが、
例の、妙にオジサンぽい口調で、
水戸黄門か千利休のような口調で、
「これこれ」
と諌(いさ)める。
ここで、場内、
どっと大爆笑。
この頃からレンセイは、
自分の日本語は、“笑いが取れる”
ということを自覚したようです。
そんなこともあってか、
このライブは大成功。
200人のお客さんに対して、
80枚の即売という、
驚異的な数字が、
それを物語っていますね。
そして、
11月の「浅野学園」
12月の「聖光学院」
といった、学校ライブの記録的な成功へと、
繋がっていったのでした。
「聖光学院」での、
800人に対して、
660枚という即売記録は、
ちょっと信じられないような数字です。
というわけで、私が、
この曲で、真っ先に思い出すのは、
まさに、あのシーンなわけです。
レンセイにとっても、
メンバーにとっても、
我々スタッフにとっても、
じつにエポック・メイキングな、
瞬間だったのではないでしょうか。
♡♡♡
最後に…、
ちょっとだけ真面目に締めくくると、
私、
このア・カペラは、
世界的レベルに近づいているのではないかと、
思っています。
メンバーが増長するといけないので、
あんまり言いたくはなかったのですが…。
みなさんは、
どう思われますか…。
----------------------------------------
♪THE SUMMER KNOWS♪
(おもいでの夏)
----------------------------------------
ええい、もう1曲いっちゃえ。
このアルバムでは、
私の大好きな、
フランスを代表する作曲家、
ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)
の曲を2曲も取り上げました。
『ロシュフォールの恋人たち』
『シェルブールの雨傘』
といったミュージカル映画の音楽で、
世界に名をとどろかせたルグランですが、
もう一方で、
素晴らしいジャズ・ピアニストであることも、
忘れてはいけませんね。
早くから、
『ルグラン・ジャズ』なるアルバムを発表し、
本場アメリカのジャズ・ミュージシャンや、
ジャズ評論家からも、
高い評価を得ました。
マイルス・デヴィス(tp)
ジョン・コルトレーン(ts)
ビル・エヴァンス(p)
こういった巨匠たちを、
ごっそり揃えたビッグ・バンドのアルバムを、
パリで録音したくらいの、
スゴ腕なのです。
私は常々、
ジャズに対する造詣の深さ、
その普及度では、
1位 アメリカ
2位 フランス
3位 日本
ではないかと思っています。
ジャズ・ハーモニーが持つ、
“お洒落”“優雅さ”“気品”
(ま、これは、
ジャミン・ゼブが理想とするキー・ワード
でもありますが…)
これまた、
フランスの音楽にも、
共通する部分ではないかと、
思っているのです。
ま、ドビュッシーやフォーレや、
ラヴェルを生んだ国ですから、
当然と言えば当然。
ひょっとすると、
先祖帰りしたのかもしれませんがね。
話を戻すと、
ルグランの曲もまた、
単に甘く切ないだけではなく、
ジャズのエッセンスが、
それとなく、
ちりばめられているのです。
だから、
僭越ではありますが、
アレンジしていても、
この上もなく楽しい。
でも、これが、
フランシス・レイまでいってしまうと、
甘さばかりが先行していて、
私には、
どうも具合が悪い…。
……。
というわけで、
ルグランさんの曲は、
まだまだ、やってみたいと思っています。
あと5、6曲はやってみたい。
最後はそれでメドレーも作ってみたい。
でも、できるかなあ…。
こんなこと宣言しちゃっていいのかなあ…。
みなさんは、
どう思われますか…。
(つづく)
「草月ホール」が終わって、
またまた、
猛烈な勢いで、
創作を始めました。
この3日間で、
2曲アレンジしました。
まだまだ行く予定です。
秋、冬のライブ・ラッシュにむけて、
やりたいことが山積みなのです。
さらには、
『Garden』のプロモーションも、
まだまだやること、いっぱいあるし、
「DVD 収録ライブ」の準備もあるし、
ファン・クラブ会報第二号もあるし、
ホーム・ページ・リニューアルもあるし、
今週は「A'TRAIN」ライブもあるし、
遠征もいっぱいあるし、
今夜は「フランスー南アフリカ」戦もあるし、
週末には「日本ーデンマーク」戦もあるし、
……。
SHUN MIYAZUMI
June 15, 2010
ジャミン・ゼブ『裏・ガーデン』その3
いやあ、
燃えましたよ、
ワールド・カップ。
やりましたね、
岡田ジャパン。
パチパチパチ。
下馬評が低く、
対戦相手を見て、
今回は望み薄だなあ、
と、あきらめ半分で見ていただけに、
勝利のホイッスルを聞いたときは、
「まさか」
と思いました。
本田君のシュートも素晴らしかったし、
守りも最後まで頑張りましたね。
あの、最後まであきらめないで、
頑張り抜く姿には、
本当に心打たれました。
オランダ戦もがんばれよ〜。
おじさんも、応援してるからね〜。
はい、
というわけで『裏庭』のつづきです。
----------------------------------
♪ALFIE(アルフィー)♪
----------------------------------
映画『アルフィー』をご覧になった方は、
おわかりでしょうが、
このアルフィーというのは、
若きプレイボーイの青年の名前なんですね。
1966年のオリジナル版では、
英国の名優マイケル・ケインが、
そして、2004年のリメイク版では、
ジュード・ロウが見事に演じていました。
なにしろ、美貌をエサに、
狙った獲物は逃がさない。
次から次へと、
女性を食い物にしていく。
でも、結局中身がないわけですからね。
最後は、どんな女性からも、
相手にされなくなってしまう。
でも、イケメンのアルフィーちゃんは、
なんでフラれるのかが、
最後までわからずじまい。
そんな彼に、
「人生はそういうもんじゃないと思うよ」
「愛こそ何よりも尊いものなんだよ」
と、歌って聞かせる。
♪♪♪
ま、そんな内容の歌です。
だから、これは、
本来は女性が歌う歌。
そんなアルフィーに、
女性が優しく“愛”というものを、
説いてきかせる歌なのです。
映画のサントラとなった、
オリジナル盤では、
作曲家バート・バカラックが、
自らピアノを弾きながら、
オーケストラを指揮。
歌うは、
シラ・ブラックという、
うら若きイギリスの新鋭女性シンガー。
そしてプロデューサーは、
あの、ジョージ・マーティン。
ビートルズのプロデューサーです。
いやあ、
なんとも豪華な顔ぶれですね。
その貴重なレコーディング風景は、
今も映像として残っています。
レコーディング・スタジオは、
ロンドンにあるEMIのスタジオ。
そう、
あのビートルズの名作、
『ABBEY ROAD』
で、一躍有名になった、
イギリスを代表する、
あのスタジオです。
ビートルズの4人が、
通りを渡っているジャケット写真は、
あまりにも有名ですが、
(ポールだけが裸足というのも、
話題になりましたね。)
あの通りはまさに、
その、EMIスタジオの真ん前なんですね。
今じゃ、
ちょっとした観光名所です。
かく言う私も、
カシオペアを連れて行った際、
あのジャケットと同じポーズをさせて、
写真を撮ってきました。
信号がないので、
車がビュンビュンやってきて、
命がけの(?)撮影でしたがね。
あははは。
ま、今を去ること、
20以上も前の話…。
そのお宝映像のなかで、
今やふっくらと貫禄たっぷりになった、
シラ・ブラックおばさんが、
インタビューに答えて、
当時を、こう回想していました。
「このテイクは36本にも及んだのよ。
歌もオーケストラも、
毎回真剣勝負でしょ。
(そう当時は同時録音の時代)
最後はみなくたびれ果てて、
もうこれ以上は嫌だ、
という雰囲気になってきたのね。
(わかる、わかる)
でも、バート(バカラック)は、
納得がいかないらしく、
やめようとしないのね。
(うん、うん、それもわかる)
そこでジョージ(マーティン)が、
こう助け舟をだしたのよ。
“バート、いったい何を探してるんだい?”
するとバートは、
こう答えたのよ。
“いや、なに、ちょっとした魔法を、
探してるんだけどね”
それに対するジョージがまた傑作でね。
“それなら、テイク3で見たよ。”
ですって。ふふふ。」
どうですか。
素敵なエピソードでしょ。
♪♪♪
ならば私も、
と、僭越ながら、
この作品に、
ちょっとした魔法を、
かけてみたくなりました。
原曲にはない、
お洒落なジャズ・ハーモニーを、
随所にちりばめ、
ビロードのようなコーラス・ワークが欲しくて、
彼らには、何度も何度も、
歌入れを要求し、
さらには、
“光り物”パーカッションで、
さりげない装飾やお化粧をほどこす。
私の求めるサウンドを理解したジャミンの4人は、
何度も何度もトライし、
懸命に取り組んでくれましたね。
おそらく、このアルバムで、
もっともたくさんのテイクを録ったのが、
この『ALFIE』ではなかったでしょうか…。
そんな、私とジャミンがかけた魔法が、
ちゃんとかかったかどうかは、
知る由もありませんが…。
------------------------------------------------------------
♪NUOS VOYAGEONS DE VILLE EN VILLE♪
(町から町へ)
-------------------------------------------------------------
これはもう、
私自身が魔法をかけられたというしかない作品です。
普通アレンジをする場合、
「あの曲をこういう風にしよう」
とか、
「こんなリズムとコンセプトで、
あの曲をやったら、
面白いだろうなあ」
といった具合に、
あらかじめ方針が決まった上で、
書き始めるのですが、
これは…、
何も考えないで…、
出たとこ勝負で書き始めていた…。
そして書いていくうちに、
何かに取り憑かれたようになって、
我を忘れて、夢中になって、
3日間これに没頭。
気がついたら、
総スコア枚数29枚という、
とんでもない大作が出来あがっていたのです。
♪♪♪
さて、このアレンジを、
ひと言でジャンル分けするのは、
至難の業でしょう。
ジャズ、クラシック、ポップス、
シャンソン、ラテンetc.
それこそ、
いろんな音楽の要素が、
万華鏡のように出ては消え、
消えては出てくる。
そして、
気がついてみると、これが、
クラシックで言うところの、
「ソナタ形式」のようになっている。
ま、私は、
クラシックの専門家ではありませんが、
それをお許しいただいた上で、
おこがましくも、
「ソナタ形式」のクラシック用語に例えて、
分析をしてみますと…、
まず、
イントロが終わって、
スティーヴがテーマを歌うところから、
ピアノのインターバルまでの2コーラスが、
「提示部」
(と言うんだそうです)
そのあとの、
メンバーによるかけあい(フーガ)に始まり、
ビル・エヴァンスが好みそうなコード進行から、
ついにはビッグ・バンドのような、
強烈なコーラス・サウンドに発展していく、
「展開部」
ピアノ・ソロを挟んで、
ピアノがテーマを弾き始めたあたりから、
4人が一体となって朗々とサビを歌う、
いわゆる感動のクライマックスまでが、
「再現部」
そして、
3拍子が4拍子に変わり、
劇的に終わる最後までが、
「結尾部」すなわち「コーダ」
ま、これも別に、
はじめから計算したわけではありません。
でも気がついたら、
そうなっていた…。
なんとも面白い構成になっていた。
……。
だから、
やはり、これは、
私に魔法がかかっていたとみるのが、
妥当な解釈なんでしょうかね。
……?
♡♡♡
はい、そんな、
行き当たりばったりのアレンジですが、
ジャミンの4人が、
これまたすごい意気込みで取り組み、
この作品に素晴らしい力を与えてくれました。
とくに、
フランス語に関して、
シモンとスティーヴが中心になって、
何度も何度も研究、
討論をしていたのが、
なんとも印象的でしたね。
二人とも、
別にしゃべれるわけでは、
ないんですがね。
……。
Si「その“イエー”の“エ”は、
もう少し“オ”に近いと思うんですけど、
レンセイさん」
St「いやシモン、
それよりも、“プレ”の“レ”が、
俺は気になるなあ。」
そんな議論になると、
すぐにレコーディングを中断して、
もう一度オリジナルを聞いて、
真剣に発音を研究。
そしてまた、
レコーディングに戻る。
そんなことを、
何度も何度も繰り返しながら、
ほとんど休む場所のない、
五線譜にビッシリ書き込まれたオタマジャクシを、
必死になって歌い込んで行く、
若きシマウマたち。
いやあ、
頼もしかった。
本当に、
彼らと一緒になって作ってるんだなあ、
と、嬉しくなりました。
でも、待てよ…。
ひょっとすると…、
彼らにも、
なんらかの魔法が、
かかっていたのでしょうかね…。
もちろん、
そんなこと、
知る由もありませんが…。
(つづく)
さあ、
いよいよ「草月ホール」2Days。
こちらも、
岡田ジャパンに負けるわけにはいきません。
みなさん、
サッカーに負けじと、
熱く燃え上がりましょう!
「草月」を、
真っ赤に炎上させましょう!
いざ出陣!!
(おまえは黒澤明か)
……。
SHUN MIYAZUMI
June 08, 2010
ジャミン・ゼブ『裏・ガーデン』その2
お待たせしました。
『裏庭 その2』
今日は前口上なしで、
さっさといっちゃいましょうね。
ちょっと長めですが。
ご容赦…。
--------------------------------------
♪さくら(ーSAKURAー)♪
--------------------------------------
ジャミン・ゼブが、
人前で初めてライブをやったのが、
2007年の2月28日。
以来、3年と3ヶ月にわたって、
いろんな所で、
本当にたくさんのライブを、
やってきたわけですが、
「最も印象に残ったシーンはどれ?」
と聞かれたら、
私は迷うことなく、
あの日本橋三越本店での、
あのシーンを思い浮かべます。
それは、
昨年(2009年)4月1日のこと…。
日本橋三越本店の1Fロビーには、
その日も、
たくさんの方が、
ジャミンを見よう、
ジャミンの歌を聴こう、
と、朝早くからお集りでした。
通りすがりの人も、
「あら、なにがあるのかしら」
と、その輪の中に加わり、
ロビーはまさに、
人、人、人であふれんばかり。
そんな中、
大歓声の中、
ジャミンが登場し、
いつものように軽快に歌い始める。
手拍子、歓声、笑い、足踏み。
ライブは快調に進んで行きました。
そして、数曲めに、
コージローだかスティーヴだかが、
こんな風に、
次の曲紹介をしたのです。
「ええ、次の曲は、
僕たちにしては珍しい日本語の曲です。
この季節にピッタリの曲です。
レンセイがアレンジしてくれた、
ア・カペラの曲です。
ではお聴き下さい。」
そして彼らは、
この「さくら」を、
情感たっぷりに歌い上げました。
聴衆はみな、
息をひそめるように、
その歌声に耳をかたむけておりました。
そして、
静かに曲が終わる…。
♪♪♪
そのときです。
割れんばかりの拍手が起きました。
ロビーのお客さんはもちろんのこと、
2階、3階から見下ろしていた大勢の方からも一斉に、
拍手、拍手、拍手。
そして、その拍手は、
いつまでたっても終わらない…。
メンバーが、
「ありがとうございます。」
と言っても、
「ええ、次の曲は…」
と、言いそうになっても、
それを遮(さえぎ)るかのように、
その熱い拍手は、
止まらない…。
……。
あれ、いったい、
どのくらい続いたのでしょうか。
ステージ上のメンバーは、
一番後ろで立って見ている私に、
「このあと、どうしましょう。」
と、救いを求めるかのように、
苦笑しておりましたね。
いやあ、
私の長いプロデューサー歴のなかでも、
あんなことは初めてです。
以来、この曲は、
彼らの重要なレパートリーになってしまいました。
♡♡♡
ご承知のように、
ジャミン・ゼブは、
洋楽を歌うグループです。
過去3枚のアルバムに収められた曲は、
すべて英語の曲です。
私の書いた2曲のオリジナルも、
英語の詞です。
有名なスタンダードやポップスを、
お洒落なジャズ・ハーモニーをちりばめながら、
新しい解釈のアレンジで聴かせよう。
そんなコンセプトをもとに始めた、
ヴォーカル・グループです。
したがって、
この「さくら」は、
当初は、軽い、
“お遊び”のつもりだったのです。
ま、日本語の曲も、
実験的にやってみるかな。
そんな感じの軽いトライだったのです。
しかも季節限定。
毎年、この季節だけ、
ちょこっとやるのも悪くないな。
そんな意識のもと、
軽い気持ちで始めたわけなのですが、
が…、
季節限定どころか…、
真冬を除いて、
ほとんど毎月のように、
彼らはこれを歌うことになりました。
昨年にかぎって言えば、
彼らが最も数多く歌った曲は、
ひょっとすると、
これかもしれません。
そして、
私たちの意識も変わりました。
「ようし、
そんなに喜んでもらえるなら、
これからも恐れずに、
積極的に日本語楽曲に取り組もう。」
私たちに、
そんな決意をさせてくれたのが、
他ならぬ、
まだ、たどたどしい日本語の、
あの、オーストラリア出身の、
レンセイ君であったことも、
なんとも、
おかしな話ではありませんか。
だから、
このグループは、
面白いんです。
----------------------------------------------------------
♪LADY MADONNA(レディ・マドンナ)♪
----------------------------------------------------------
今、私の手許にある、
『LADY MADONNA』
の、オリジナル・スコア(総譜)は、
ちょっと変…。
これ、
全部で18ページあるのですが、
12ページまでと、
13ページ〜18ページでは、
あきらかに、
五線紙の色が違うのです。
12ページまでの五線紙は、
ややセピア色に変色しております。
13ページ以降は、
真っ白い、普通の五線紙。
これって、
どういうことだか、
おわかりでしょうか。
……。
じつはですね、
私がこの曲のアレンジを始めたのは、
なんと、2006年の冬なのです。
2006年というと、
ジャミン・ゼブが結成した年。
まだ、
レコード会社も決まってない状況のなか、
どんどんレパートリーを増やしながら、
練習、練習、練習、
に明け暮れていた頃です。
だから私も、
毎日のように、
せっせ、せっせと、
アレンジをしておりました。
そんなとき、
閃(ひらめ)いたのが、
この『LADY MADONNA』の、
ごった煮ファンク・バージョン。
♪♪♪
まずは、
なんの問題もなく、
2コーラスを書き上げる。
「よ〜し順調だ。
ここで、パーパーパーパーとやって、
間奏に突入だ。
ウシシシ、カッコいいぞ、こりゃ。」
スラスラ、スラスラとペンは進む。
「そしてここで、スティーヴの、
ボイス・トロンボーン・ソロだ。
あいつはいつも、
楽器のマネをして遊んでるからなあ。
きっとうまくいくだろう。
ウシシシ。」
ここも難なく通過。
「よ〜し、お次は、
またまたコーラスのソリだ。
テクニカルでリズミックな、
カッコいいパートをこさえよう。
これは、ジャミンにしかできない技だからな。
ウシシシ。」
というわけで私は、
例の、
「パーヤッパー パーヤッパー♪」
で始まる、
このアレンジの聴かせどころ、
彼らのテクニックを存分にアピールできる、
あの、難所(4コーラスめ)に突入したのです。
「パラッパーダバダバ
パラッパーダバ パラッパーダバ
パラッパラッパラッパラッパラッ
パーダバパーダバーダバダ♪」
と、ここまで順調にきて、
私のペンは突然止まってしまった。
……。
私は考え込んでしまいました。
ううむ…。
………。
なぜかというと…、
この一つ前に書いた曲が、
あの『Scarborough Fair』
間奏後の、
めくるめく展開するコーラス・ワークは、
壮絶なものがありますよね。
実際あの曲は、
完成までに1年を要し、
レコーディングまでにさらに半年かかった、
という、
稀代の難曲です。
それを、メンバーが、
必死になって、
練習していた時期です。
ううむ…。
さらに、
その一つ前に書いたのが、
『When I Fall In Love』
あれも、3コーラスめは、
大変ですよねー。
「ドゥッパッ パッパッパ パーパッ
ドゥパッ パッパッ パーッパッ パラ
パッパッ パラパ パドゥ パラパ♪」
なーんてなフレーズで始まる、
おそるべきコーラス・ワークの嵐。
これも、
苦戦しながらも、
真剣に取り組んでいるシマウマくんたち。
ううむ…。
さらに、さらに、
その一つ前は、
『Take The ‘A’ Train』
これも大変。
「パーパパパッパッパッパッ
take the take the ‘A’ train
サバダダバッ パールパッパー
サバダパッパー
Hill way up in Harlem♪」
……。
私は、
自己嫌悪におそわれてしまいました。
メンバーが、
可哀想になってきました。
「こんな難曲ばかりじゃ、
いくら聡明な彼らとはいえ、
脳みそが破裂するのではないか…。」
「それに、聴く方だって、
こんな大作ばかりじゃ、
疲れてしまうのではないか…。」
「こんな難曲を強(し)いるなんて、
ひょっとして、俺の中には、
マルキ・ド・サド公爵の血が、
流れているのではないか…。」
(……。)
そして私は、
考え抜いたあげく、
この曲のアレンジを放棄。
ここまで書いたスコアを、
部屋のなかの、
資料や譜面が雑然と散らかっている一角に、
追いやってしまいました。
つまり、
お蔵入り。
そして年が明けると、
『When We Make A Home』
『You Raise Me Up』
『Smile』
といった、
聴きやすい、歌いやすい、
ポップな楽曲とアレンジに方向転換。
この『Lady Madonna』の存在は、
すっかり記憶から消えてしまいました。
♡♡♡
それから2年あまり経った、
2009年の年明け。
私は、
来るべき4月7、8日の、
「STB 139」2Daysに向けて、
新しい曲を、
せっせとアレンジしておりました。
『How Deep Is Your Love』
『Route 66』
『Alfie』
etc.
そんなとき、
ふと、
あの曲の存在を思い出したのです。
「そうだ。
『Lady Madonna』だ。
あれも、そろそろいいかもしれない。
ええと、どこにあるかなあ…。」
と、部屋の中を家捜し。
悪戦苦闘の末に、
ようやく見つけた12枚のスコアは、
ホコリをかぶった上に、
黄色く変色しておりました。
そして、
続きを書き始めたわけですが、
当然こっちは、
真新しい、白い五線紙。
このスコアが、
前半と後半とで色が違うのは、
こんなわけだったのです。
完成日は、
2009年2月4日
と書いてありました。
……。
2年越しの大作というわけですね。
はい、そんなお話でした。
ちょっと疲れましたね。
アハハハ。
それにしても、
結成して間もなくというのに、
こんな難しい曲ばかりを、
書く方も書く方ですが、
「へえ、これやるんですかあ。」
と平然と言ってのけ、
しばらく譜面を眺めたあと、
何ごともなかったかのように、
文句ひとつ言うことなく、
楽しそうに、
ルンルンと、
練習を積み重ねていく彼らも、
いったい、
どうなってるんでしょうね。
だから、
このグループは、
面白いんですけど…。
……。
(つづく)
怒濤の横浜フリーライブ週間も、
大盛況のうちに、
無事終えることができました。
お寒い中、
お暑い中、
駆けつけてくださったファンのみなさん、
通りすがり、足を停めて、
熱心に耳を傾けてくださったみなさん、
本当にありがとうございました。
さあ、仕上げは、
6/16(水)、17(木)の、
青山「草月ホール」
なんたって、
CD発売記念ライブですからね。
これもお祭りです。
ワッショイ、ワッショイです。
明日からまた、
気合いを入れて、
リハーサルに挑みます。
ワッショイ、ワッショイ!
ワッショイ、ワッショイ!
ワッショ…、
ワッ…、
……。
SHUN MIYAZUMI
June 01, 2010
ジャミン・ゼブ『裏・ガーデン』
ジャミン・ゼブのニュー・アルバム、
『Garden』が発売になって、
早や1週間が過ぎようとしています。
山野楽器さんを筆頭に、
大型CDショップでの、
店頭ディスプレイも華やかですし、
ご購入のみなさんからは、
数々の絶賛のお言葉をいただきましたし、
誕生日もありましたし、
まあ、あわただしくも、
“夢見心地”の1週間でした。
とはいえ、
勝負はこれからですね。
一歩一歩、
ゆっくりでも、
着実に前進したいと思います。
今後とも、
温かいご声援、
よろしくお願い致します。
♡♡♡
とまあ、
前口上はこのくらいにして、
本編よりもリクエストの多かった(ん?)
お待ちかね(ん?ん?)
裏シリーズ!
今回もいってみましょうか。
楽曲の知られざる逸話、
アレンジ上の種明かし、
制作過程におけるエピソード…。
私なりの、
独断と偏見に満ちた解説を、
面白可笑しく一挙大公開。
面白くも可笑しくもない話も、
一挙大公開。
(ん?ん?ん?)
ということで、
いきますよー。
ジャーン!
『ジャミン・ゼブ/裏・ガーデン』
(これが本当の、裏庭…)
--------------------------------------------
♪HOW DEEP IS YOUR LOVE♪
(愛はきらめきの中に)
--------------------------------------------
ビージーズというのは、
本当にメロディ・メーカーですね。
素晴らしいです。
中学生の頃(だったかな?)
高校生の頃(だったかな?)
いずれにしても、大昔の話ですが…、
ラジオから流れて来る、
美しいメロディとサウンドは、
たちまち私のハートを、
鷲掴みにしてくれちゃいました。
「ニューヨーク炭坑の悲劇」
「マサチューセッツ」
「ラヴ・サムバディ」
「ワーズ」
「ホリデイ」
などなど♪
で、ちょっとブームが去ったかな、
と思い始めた大学生の頃(だったかな?)
映画『小さな恋のメロディ』のサントラで、
またまた脚光を浴びる。
「メロディ・フェア」
「イン・ザ・モーニング」
「若葉の頃」
さすがだ…。
でも、もうそろそろ終わりだろう、
と思っていた70年代後半(だったかな?)
映画『サタデイ・ナイト・フィーバー』が、
またまた大ヒット。
「ナイト・フィーバー」
「ステイン・アライヴ」
そして、この、
「愛はきらめきの中に」
いや、まいりました。
メロディアスなロック・バンドとしては、
ビートルズに次ぐ、
ビッグなやつらだ。
……。
でね。
結成当初から私は、
このビージーズの曲を、
何かジャミンでやりたいな、
と、ずっと思っておりました。
で、考えに考えたあげく、
白羽の矢を立てたのがコレ。
いやあ、
実にうまくハマりましたね。
♪♪♪
さて、
このトラックの成功に欠かせないのは、
なんと言っても、
山木秀夫さんのドラムでしょう。
全編にわたって、
繊細で美しいシンバル・ワークが、
サウンドを支配しております。
さらには、
スネア・ロールを駆使しながら、
お洒落なビートを刻むセンスの良さ。
ここぞとばかりのダイナミクス。
そして、
メトロノームと寸分違わない、
完璧なリズム・キープ。
「ひょっとすると世界一じゃないの。」
と言ったら、彼、嬉しそうでしたね。
いや、本当に素晴らしい。
山ちゃん、ありがとう!
まだまだ一緒にやりたいから、
僕より先に、死なないでね。
--------------------------------------
♪ROUTE 66(ルート66)♪
--------------------------------------
ジャズ・ヴォーカルを歌う人にとって、
この曲はまさに入門編。
これを知らないと、
ジャズ・ヴォーカルは始まらない。
誰にも相手にされない。
そこまで定着してしまった、
超スタンダード曲ですが、
詞はいたって単純です。
シカゴからロス・アンジェルスに、
車で行くなら、
この道が一番ですよ〜。
ただ、それだけのこと。
その沿線にある地名を、
ただ、ズラズラ並べただけ。
ただ、それだけのこと。
「汽笛一声新橋を〜♪」
そう、あの『鉄道唱歌』の、
まさにアメリカ版ですね。
えっ? そんな曲知らない?
(ううむ…)
……。
もうひとつ。
この曲が人気なのは、
シンプルな「ブルース」のコード進行、
が基盤になっているからなのです。
そう、ブルース。
これぞまさに、
ジャズやロックンロールの基礎とも言える、
アメリカの黒人たちが開発した、
偉大な音楽フォーム。
で、ちょっと専門的になりますが、
きょうは、この「ブルース」について、
ちょっと解説をしてみましょう。
ジャミンが歌ってるキーは、
「F(エフ)」
つまりヘ長調なので、
このキーで解説しますね。
ブルースというのは、
12小節でひとくくり。
最もシンプルなコード進行は、
こうなります。
| F7 | F7(B♭7) | F7 | F7 |
| B♭7 | B♭7 | F7 | F7 |
| C7 | B♭7 | F7 | F7 (C7) |
(註:括弧を使うこともある)
これが原型。
初期のシカゴ・ブルースや、
ロックン・ロールは、
みな、この形です。
しかし、
ジャズでは、
これをもっと細分化したり、
テンション(コード・トーン以外の音)
を上手く使って不協和音にしたりして、
より、カッコいい、
より、豊かなサウンドをめざして、
いろんなジャズメンが、
いろんなアプローチをしてきました。
その、
もっとも凄い成功例が、
私の崇拝する、
サド・ジョーンズ&メル・ルイス楽団。
先日お亡くなりになった、
名ピアニスト、
ハンク・ジョーンズさんの弟、
サド・ジョーンズさん、
のアレンジするブルースは、
この常識をはるかに超えるモダンなサウンドで、
ブルースを、
芸術の域まで高めてしまいました。
私が、今回やってみたかったのは、
この、サド・ジョーンズ風アプローチの、
モダン・ブルースでした。
とくに、
全員が華々しいコーラス・ワークを聴かせる、
2コーラスめに、
それが顕著に表れていると思います。
そして、
誰もが知ってる曲だけに、
その効果は絶大だろうと思ったわけです。
一例をあげると、
最初の12小節は、
こんなコード・チェンジです。
| F7 | A♭7/ B♭7 | F7(6) | F7(♯11) |
| B♭7(9) | D♭7 | F7 | F7 |
|D♭7/ D7(6・9) | E♭7/ E7 |
|F7/A♭7 | G7 /G♭7(6) G♭7(9・♯11)|
どうでしょう。
最初の原型と比べてみてください。
もう、この2コーラスめは、
こんなサウンドの炸裂です。
だから、メンバーは大変。
とくに、内声を歌う、
コージローとスティーヴのパートは、
すさまじい難しさ。
バルトークなんて可愛いもの。
まるで、
シェーンベルグの無調音楽のような、
気持ちの悪いメロディの連続なのです。
しかし、合体すると、
なんともモダンで、
カッコいいサウンドになる。
だから、がんばってもらいました。
ちょっぴり可哀想ではありましたが、
心を鬼にして、
がんばってもらいました。
この譜面を見せたとき、
みんなから、一様に、
「ゲエ〜〜〜ッ」
という声があがったのが印象的でしたね。
コージローが笑いながら、
こうも言いましたか。
「宮住さん、ひょっとして、
サドなんですか?」
いや、そういうわけではありませんが、
決してイジメてるわけではありませんが、
でも、この場合は、
言い得て妙ですかね。
だって、私がお手本にしたのは、
サド(ジョーンズ)なんですから。
(うまい!)
(つづく)
わりと最近の映画で、
『キャデラック・レコード』
というのをご存知ですか?
1950年代に実在し、
シカゴを中心に一世風靡したレコード会社と、
黒人ブルース系ミュージシャンをテーマにした、
素敵な音楽映画です。
マディ・ウォーターズ、
リトル・ウォルター、
チャック・ベリー、
エタ・ジェイムズ
etc.
といった、
歴史上、有名なシンガーたちが、
人種差別の激しいアメリカで、
この新しい音楽や人生と、
どう向き合っていったか。
ビヨンセ・ノウルズを筆頭に、
そうそうたる俳優陣が、
見事に演じております。
ブルースの話題ついでに、
ぜひ、ご覧になってはいかがでしょう。
♪♪♪
さあ、
「ゼブログ」も華やかになってきましたね。
『Garden』のプロモーションは、
まだまだ続きますよ。
お楽しみに。
「ディスプレイあれこれ 1&2」
も、ほんわか楽しいですね。
当社の新人スタッフのリポートです。
そういえば、
あのタッチ。
どこかで見たような…。
……。
SHUN MIYAZUMI