July 2011

July 26, 2011

ビル・エヴァンス大研究


ビル・エヴァンスを聴いてジャズのファンになった。

こんな方、けっこう多いのではないでしょうか。


特に、クラシック愛好家や、
クラシックのピアノしか知らなかった人には、
新鮮な驚きでしょうね。

かく言う私もそうでしたから。


高校2年の時、
クラスの音楽仲間に薦められて買った、
「ビル・エヴァンス」という名の、
一人の白人ジャズ・ピアニストのベスト・アルバム。

その1曲目に入っている、
「Beautiful Love」という曲に針を下ろしたときの衝撃を、
今だに忘れることはできませんね。

ガーーーーーーーン!

(こ、これは、いったい…?)



それまで愛聴していた、
ショパン、シューマン、リスト、ラフマニノフといった、
ロマン派のピアノ曲の “優雅な香り” を残しつつ、

でも、そうしたクラシック音楽とはまったく違う世界。


「これが即興なの?」と思えるような美しいフレーズを、
次から次へと奏(かな)でながら、
小気味よくスイングしていくそのスタイルは、

それまで私が描いていた、
「ジャズ」「ジャズ・ピアノ」という概念を、
根底から覆(くつがえ)してしまいました。

(レ、レベル高いぞ…。)



はい、これで私の運命は決まってしまいましたね。


ま、これは、かつて、

「レコード買いまくり時代」
「ジャズまくり時代」

(ともに、〜2005エッセイ)

というお話にも詳しく書いておきましたので、
興味のある方はご覧になって下さい。



というわけで、

ここからしばらくは、

私なりにこのビル・エヴァンスの魅力について、

いろいろ解明してみようかと思います。


例によって、

かなりの独断と偏見ではありますが…。

……。



さて、

ビル・エヴァンスの音楽を形容する言葉をざっと拾うと、

こんな感じになるのでしょうか。


「優雅」「お洒落」「リリカル」「洗練」「都会的」

(これ、何かと重なりますかしらん。。。)


でも私には、

「ロマンティック」という言葉が一番ハマりますね。



ま、今でこそ、
世界中のあらゆるピアニストがその影響下のもとに、
彼の音楽を継承しながら様々なスタイルで、
演奏をしておりますが、

ジャズといえば黒人、
ブルース、ファンキー、豪快なグルーヴを売りにしていた、
当時(1950〜60年代)にあっては、
まさにワン・アンド・オンリーな世界だったわけです。


そのサウンドの謎は追々解明するとして、

まずはこのアルバムを聴いてみて下さい。


『Bill Evans at Town Hall』

_SS500_

1. I Should Care
2. Spring Is Here
3. Who Can I Turn To
4. Make Someone Happy
5. Solo-In Memory Of His Father
6. Beautiful Love
7. My Foolish Heart
8. One For Helen (Previously Unreleased)


これは、1966年ニューヨークでのライブ盤ですが、
まず私が驚いたのが、このジャケット写真。

これ、知らない人が見たら、
「クラシック」のジャケットと思うんじゃないでしょうか。

知的な香りがプンプン。


ビル・エヴァンスの代表作といえば、
早逝の天才ベーシスト、スコット・ラファロとの、
火を噴くようなインタープレイが聴ける、
「Riverside」レーベルに残された4枚のアルバム。

とりわけ、
『Portrait In Jazz」と『Explorations』
を挙げる方が多いですし、
私も否定はしません。


でも、

ジャズ・ビギナーの方にはこちらの方がいいのではないか。

私はそう思っています。


「Beautiful love」や「I Should Care」
といったスイング・ナンバーの小気味よさ。

「Spring Is Here」や「My Foolish Heart」
といった美しいバラードにおける優雅なハーモニー。

そして、このレコーディングの前に亡くなった、
彼の父、ハリー・エヴァンスを偲んで弾いた、
13分にも及ぶ美しいソロ・ピアノは、
今聴いても圧巻です。



もう1枚。

『BILL EVANS WITH SYMPHONY ORCHESTRA』

_SS500_

1. Granadas
2. Valse
3. Prelude
4. Time Remembered
5. Pavane
6. Elegia (Elegy)
7. My Bells
8. Blue Interlude


名アレンジャー、クラウス・オガーマン率いる、
シンフォニー・オーケストラと、
ビル・エヴァンス率いるジャズ・トリオの競演。

「1.Granadas」では、
オーケストラ奏でるクラシカルな世界から、
一転してジャズの世界に移行する瞬間、
その瞬間のスリルがたまりません。


そして、「2.Valse」というバラードの美しいこと。

原曲はバッハだそうですが、
彼のインプロビゼーション(即興演奏)の素晴らしさ、
豊かな歌心、リリカルなタッチ。

もう、何度聴いたかわかりませんね、これは。


雨の日のパリの路地裏。
ふと見上げると、ジャンヌ・モローのような美女が、
雨露がしたたり落ちる窓越しにこちらを見ている。

私には、そんなイメージでしたかね。

キャーーー、ロマンティックすぎる〜〜〜〜〜〜〜!



そしてもう1枚。

この2枚で、ビル・エヴァンス・ワールドに馴染んだら、

お次はこれかな。


『BILL EVANS At The Montreux Jazz Festival』

_SS500_

1. Spoken Introduction
2. One For Helen
3. A Sleepin' Bee
4. Mother Of Earl
5. Nardis
6. Quiet Now
7. I Loves You, Porgy
8. The Touch Of Your Lips
9. Embraceable You
10. Someday My Prince Will Come
11. Walkin' Up


これも1968年の録音。

スイスの「モントリュー・ジャズ・フェスティバル」
でのライブ・レコーディングです。


このあたりから彼の相棒となる、
名ベーシスト「エディ・ゴメス」とのインタープレイが、
見事に炸裂しております。

(エディ河野ではありませんよ。ゴメスです、ゴメス。)


とりわけ「7.I Love You, Porgy」の美しいソロは抜群です。

このガーシュインの名曲で、
これ以上の演奏を私は知りませんね。

♪♪♪



そんなわけで、

「ジャズ・ピアノを聴いてみたいんですが。」

「ビル・エヴァンスって、たくさんCDがありすぎて…。
 何から聴いたらいいんでしょうか。」


そんな質問を受けたら、

私は、まずこの3枚をお薦めすることにしています。

特にクラシック・ファンにはね。



さあ、あなたも、

素敵なビル・エヴァンスのリリカルな世界に、

身を委(ゆだ)ねてみて下さい。


美味しいハーブ・ティーや、

最高級ワインでも召し上がりながら。


えっ?

私?


私は麦焼酎の麦茶割りですけど…。


……。



(つづく)




ああ、お酒飲みた〜い。

(がまんだ)


遊びた〜い。

(がまん、がまん)


毎日、譜面ばっかり書いてるの飽きたよー。

(それが仕事だろ)


でも、今週の金曜日は「A'TRAIN」ライブだよ。

(それは許す)


……。



SHUN MIYAZUMI

woodymiyazumi at 11:13コメント(13)トラックバック(0) 
2011 エッセイ | 偉大なジャズメンたち

July 19, 2011

リヒャルト・ワーグナー


時々、こんなことを考えることがあります。

「歴史上、
 最もたくさんの音譜を書いた作曲家は誰か?」


(え〜っ、くだらな〜い)

(ま、そうおっしゃらずに…)



ジャズの世界で言えば、
まずデューク・エリントンでしょうね。

偉大なバンド・リーダーであり、
作・編曲家の彼が生涯にレコーディングした楽曲は、
4,000曲とも言われております。


仮に1曲3分として、12,000分。
つまり200時間分の譜面を書いたことになる。

ビッグ・バンドのスコアは、
通常17段。

(トランペット4、トロンボーン4、サックス5、
 ピアノ(上下2段)、ベース1、ドラム1)


一小節が17段の譜面を4,000曲…。

こ、これは、
生涯に1,000曲以上の作品を残した、
あのJ.S.バッハよりも上ではなかろうか…。

……?



ところが、そこはジャズ。

17人のプレイヤーが全員揃って、
3分間も演奏する訳ではありません。


一曲の内には、必ずソロ・パートというのがあって、
その部分はコード・ネームで書かれてあります。

つまり、C7とかF7とかね…。


そのコード・スケールにもとづいて、
いろんなプレイヤーがアド・リブのソロをやる。

だから、こうしたパートでは、
音譜、すなわち「お玉じゃくし」はゼロなのです。



ビッグバンド・ジャズの面白さは、
お玉じゃくしでビッシリ書かれた合奏のパートと、
個々のプレイヤーがアド・リブをする自由なパート、

その組み合わせの妙にあるんですね。



となると、

最初の疑問に戻って、

やはりこれはクラシックの大作曲家のなかに、

存在するのではないか。

……。



で、私が、おそらくこの人ではないかと、

白羽の矢を立てたのが、

ジャーン!

RichardWagner

(RICHRAD WAGNER:1813〜1883)



つまり、こういうことです。

ここで話題になっているのは、
あくまで音譜(音符、お玉じゃくし)の数ですから、
曲数は関係ない。


したがって、
音譜をたくさん必要とされる、
大管弦楽もの、あるいはオペラ、

こうしたものをたくさん書いた人のほうが、
断然有利になるわけです。


例えばバッハの有名な「ブランデンブルグ協奏曲」。

1小節は平均すると4〜6段くらい。

全6曲から成り立っていますが、
ま、所要時間は90分といったところでしょう。


マーラーの交響曲1曲分ですが、

一小節が20段も30段もある、
彼の巨大交響曲に比べると、

う〜ん、どうでしょう(長嶋風)。。。

おそらくその音譜の数は、
1楽章分くらいになっちゃうんじゃないでしょうか。

(くどいようですが、誤解のなきように。
 ここでは内容、曲の善し悪しも、
 まったく関係ありませんので。)


おびただしい数の歌曲を残したシューベルトや、
膨大な交響曲とはいえシンプルな編成のハイドンや、
上下2段のピアノ曲が圧倒的なショパンも、

ここでは対象になりませんね。



となると、

やはりここは、

生涯を大編成の長大なオペラ創作に燃えた、

ワーグナーということになるのでしょうか。


オペラの数からいえば、
ヴェルディのほうが圧倒的に多いのですが、
彼の歌伴奏はいたってシンプルです。


しかしワーグナーは、
常に大編成のオーケストラが、
鳴り響いている。


そして驚異的なのは、その演奏時間の長さ。


「トリスタンとイゾルデ」
「ニュルンベルグのマイスタージンガー」
「ワルキューレ」
「パルジファル」

みな、4時間以上の超大作です。


初期の作品である、
「リエンチ」や
「さまよえるオランダ人」も、
初演当時は6時間を超える上演時間だったそうです。


ま、どの作品からも、
聞こえてくる音譜の数が半端じゃない。


おそらく「トリスタンとイゾルデ」1曲で、
モーツァルトが生涯に書いた交響曲(42曲)の、
半分くらいの音譜が、
五線紙に埋め尽くされているのではないでしょうか。


しかもその内容の濃さ、

ハーモニーの素晴らしさ、

目くるめくオーケストレーションの華やかさ、

息もつかせぬドラマティックな展開、

。。。



五線紙に音譜を埋めて行く作業の大変さったら…。

面倒くさいことといったら…。


ラヴェルも “泣きながら” 書いたそうですね、

ピアノ協奏曲。

「おれ、なんでこんなことやってんだろう…」てね。


リヒャルト・シュトラウスも、

マーラーも、

すごい音譜の数でしたね。


みなさん、ごくろうさまでした。



でも、ワーグナーって、

なんか超然としてるんですね。


「どうだ、お前ら、こんなもん書けるか。」

「できるもんなら真似してみろ、わははは。」

みたいなね。



きっとヤな奴だったんだろうな…。

ヴィスコンティの映画「ルードウィッヒ」でも、
超ヤな奴だった記憶が…。


でも、認めますよ。

すごい才能と忍耐強さはね。

……。



私なんて、

さっきから、新しい五線紙を前にして、

な〜〜〜んにも書けずに、


鼻毛ばっかり抜いてますもん。



(比較すんなー!)


ん…。



SHUN MIYAZUMI

woodymiyazumi at 16:43コメント(9)トラックバック(0) 
2011 エッセイ 

July 11, 2011

手羽先日記(番外編)


ジャミン・ゼブのニュー・アルバム

『Summertime』!


お楽しみいただいてますでしょうか。


「これを聴いていると、
 嫌いな夏が好きになった。」

「ジャミンと一緒に、
 この夏は元気で過ごせそう。」

そんな声もチラホラ聞こえる今日この頃…。


いやあ、嬉しいです。

頑張った甲斐がありました。



さて、そんな中、

先週私たちは3ヶ月ぶりに、

名古屋に行ってまいりました。



名古屋。


美味しいものがたくさんありますよねえ。

(おい、よだれが出てるぞ、よだれが…)



まずは、

『山本屋の味噌煮込みうどん』


熱々(あつあつ)の土鍋に入った、
独特のコシを持った名品。

私は「かしわ玉子入り一つ半」
というのを好んで注文します。

「一つ半」とは麺が1.5倍。


でも、昔に比べたら麺が少ないような気がします。

昔は、これとビールで大満腹になったのに、
今はちょっと物足りない。

あまり値上げをしているようにも思えないので、
やはり不況のあおりを受けて、
麺の量を減らしているのでしょうか…。

……。


えっ、

お前がメタボになったせいじゃないの、

ですって?


こ、これは、痛いところを責めてきますなあ。

あははは。


ちなみに、この「山本屋味噌煮込みうどん」には、
「山本屋総本家」と「山本屋本店」
この二つの看板を目にすることが出来ます。

私的には、
「山本屋総本家」のほうが、
昔からある正当派のそれではないかと思っております。

名古屋駅「高島屋ビル」の11階だか12階の、
レストラン街にありますので、
新幹線の時間が気になる方はここがおすすめです。



お次は、

『ひつまぶし』


これは、5、6年前に初めて食べました。

要は「うなぎ飯」を3種類の食べ方で楽しむという、
太閤以来の人気商品。

これも美味しいですねえ。


でもね…、

私のような「酒飲み」には、
これはどうもいけません。

だってこれ食べたら、
お腹がいっぱいになって、
お酒なんか飲めなくなってしまうから…。

これで終わってしまうから…。

……。


だから「ランチ」にいいだろうな、
とは思っているのですが…、

毎回昼間は仕事が忙しくて、
とても悠長に「ひつまぶし」を食す、
なんて時間はありません。

だから最近は縁がありませんね。


もっとも、あの4人は、
信じられない胃袋をしているので、
私たちの目を盗んで、
昼だろうが、夜だろうが、

ガンガン食べに行ってるようですが…。

(お〜い、食い過ぎだぞ〜、君たち〜)


「松坂屋本店」のレストラン街がおすすめですよー。



そして、

前回(4月)初めて食べることができた、

『手羽先』!


ひゃっほー!

これぞ最高の酒のつまみ。


「手羽先日記」というお話でも、

さんざん紹介させていただきましたね。


今回も、夜遅くではありましたが、

みんなを誘って行っちゃいました。

ジャーン!

2011070723250000


く〜〜、

壮観だ!


デレデレ、

(よだれ)



ちなみに前回は、
「山ちゃん」という有名なチェーン店に行ったのですが、

今回は、
「風来坊」というお店に挑戦。

これも市内のあちこちに見ることが出来ます。


で、「山ちゃん」が庶民的な居酒屋風なら、
「風来坊」は、やや高級感漂う雰囲気でしたね。


お味は、
「山ちゃん」がピリピリ・スパイシー系で、
「風来坊」がみりん風味の甘め系。

女性には後者のほうがいいのかなあ…。


私は断然「山ちゃん」派です。


えっ、

何しに名古屋に来たんだ、

ですって?


キミ、

顔こわいよ。

2011070723260001



あははははは。


というわけで、

きょうは番外編でした。


東京から遠征してきたファンの方から、

「宮住さん、名古屋の美味しい食べ物屋さんを、
 紹介してくださ〜い。」

そんなリクエストがたくさんあったものですから。


次回のために、

ちょっとアドバイスをさせていただきました。


えっ、

次回!?


ええ、

きっと年内、

まだ何回か行くと思いますから。


行きますとも。


だから、

待っててねー、


ね、手羽先ちゃ〜ん!


(だからぁ、何しに行くんですか〜!?)


……。



SHUN MIYAZUMI

woodymiyazumi at 17:33コメント(17)トラックバック(0) 
2011 エッセイ