September 2011

September 28, 2011

ビル・エヴァンス大研究 その8


これはあくまで私の推論ですが…、

名だたるクラシックの名ピアニストたちが、
ジャズに興味を持ち、ジャズの演奏に憧れた背景には、

ビル・エヴァンスの存在が、
大きく影響していたのではないか…。

私はそう思っています。



何度も申し上げている通り、

ジャズはアメリカの黒人たちによって作られました。


そして、その花形の楽器といえば、

“サッチモ” ことルイ・アームストロングや、
ディジー・ガレスピー、マイルス・デヴィスに代表される、
トランペット。

チャーリー・パーカーに代表されるアルト・サックス。

コールマン・ホーキンスやソニー・ロリンズに代表される、
テナー・サックス。


つまりは管楽器でした。



しかし、ジャズにおけるピアノの存在といえば…、

リズム・セクションの一人として、
がっちりリズムを支える。

管楽器プレイヤーが演奏しやすいように、
巧みにバッキング(伴奏)をする。

そしてソロが回って来たときだけ、
アドリブによるソロで花を添える。

ま、いわば裏方さんだったわけです。


しかもその多くは、

ファンキーで、
ブルース・フィーリングに溢れた、
黒人ピアニスト。


「イエ〜、メ〜ン♪」
なんて、お下品な言葉を発しながら、
グいグいブルージーにスイングする黒人たちに、
眉をひそめるご婦人も多かったろうと推測しますし、

仮に興味を持ったとしても、
クラシックとは水と油のスタイルですから、
なかなか白人には真似の出来ない音楽だったと思います。

(私は、けっこう得意ですがね。
 この ♪イエ〜、メ〜ン♪ なジャズ。
 アハハハ。)



と、そこに…、

ビル・エヴァンスという白人ピアニストが、

颯爽と登場してきた。


イエ〜、メ〜ン♪

(違うから)



その風貌は、
長身でハンサムでもの静かで、
ナイーブな芸術家の香りを漂わせ、

そのハーモニーは、
ドビュッシーやラヴェルといった、
優雅なフランス近代音楽をも彷彿とさせ、

そのアドリブ・フレーズは、
まるでショパンやラフマニノフのごとく、
甘く流麗で華麗。



キャー、素敵〜。

こんなの弾いてみた〜い。


とまあ、
すべてにわたって、

それまでのジャズ・ピアニスト、
いやジャズ・プレイヤーの概念を、
根本から覆すセンセーショナルなデビューではなかったか。

そしてクラシックしか知らなかった、
若きピアニストたちが憧れてしまう存在ではなかったか。


私はそう思うわけです。



ま、その後、

ハービー・ハンコック、チック・コリア、
そして、キース・ジャレットといった、
新しい感覚のすごいピアニストたちが、
続々と出現するわけで、

そうした音楽を先に体感した若い人たちにとっては、
ビル・エヴァンスの演奏を後から聞くと、
今となっては物足りないかもしれませんが、


「1950年代当時、
 こんなスタイルで演奏していたピアニストは、
 彼を置いて他にはいなかった!」


このことを、もっともっと重要視すべきではないか。


最近エヴァンスを再認識している私は、

声を大にして言いたいですねえ。

(そうだ、そうだ)


ん…?




さて、そんなビル・エヴァンスには、

もうひとつ偉大な功績があります。


それは…、


「ピアノ・トリオという演奏形態を花形にした」

ということです。

(これも世間ではあまり言われておりませんが…。)



前述したように、
ジャズの花型楽器といえば、
あくまで管楽器でした。

そしてジャズという音楽のスタイルは、
簡単なテーマの後、
みんなでアドリブ合戦をする。

つまりインプロヴィゼーションが主であり、
ピアノはあくまでリズム・セクションの一部でした。



しかしエヴァンスが、

ピアノという楽器を主役にしてしまった。


「ピアノ」「ダブルベース」「ドラム」というトリオが、
こんなにも新鮮で、
無限に拡がる音楽空間を作れるということを、
最初に教えてくれたのが、

このビル・エヴァンスではなかったか。


私はそう信じて疑いません。



おや、また長くなっちゃいましたね…。

ま、このお話は次回さらに掘り下げてみるとして、


きょうは最後に、

彼が人生をかけて、もう一つのテーマとして追求した、

「対話」(Conversation)


つまり単なるアドリブ合戦に終わる事のない、
プレイヤー同士による、
深い内面の “インタープレイ” にスポットをあてた、
いくつかの名盤をご紹介してみましょうか。


特徴的なのは、

これまた先程申し上げた、
トランペット、アルト・サックス、テナー・サックス
といった、

ジャズの花型ではない楽器の演奏家ばかりを選んでいる、
ということでしょうか。


題して、

ビル・エヴァンス対話集。



『What's New』( with Jeremy Steig)

_SS500_

1. Straight No Chaser
2. Lover Man
3. What's New
4. Autumn Leaves
5. Time Out For Chris
6. Spartacus Love Theme
7. So What

フルートという楽器は、
ジャズの世界ではあくまでマイナーです。

このジェレミー・スタイグという人も、
このアルバムを聞くまではまったく知りませんでした。

1曲目の「Straight No Chaser」では、
火を噴くようなインタープレイが聞かれます。

ただしこれは「対話」というよりは「激しい討論」。
ときには「ののしり合い」のように感じるのは、
私だけでしょうか。

あはは。




『AFFINITY』(with Toots Thielemans)

_SL500_AA300_

1. I Do It For Your Love
2. Sno' Peas
3. This Is All I Ask
4. The Days Of Wine And Roses
5. Jesus' Last Ballad
6. Tomato Kiss
7. The Other Side Of Midnight (Noelle's Theme)
8. Blue And Green
9. Body & Soul

ジャズ・ハーモニカといえば、
昔も今もこの人が第一人者。

そう、トゥーツ・シールマンスさん。

この「対話」は、
釣りを極めた二人の名人が、
「フナ」なんか釣りながら、
静かに人生を語り合ってるような趣き。

渋いですよね。




『Undercurrent』(with Jim Hall)

_AA300_

1. My Funny Valentine
2. I Hear A Rhapsody
3. Dream Gypsy
4. Romain
5. Skating In Central Park
6. Darn That Dream
7. Stairway To The Stars
8. I'm Getting Sentimental Over You
9. My Funny Valentine (alternate take)
10. Romain (alternate take)

これは2009年の私のエッセイ、
「ジム・ホール」でもご紹介しましたね。

ジム・ホールというギタリストも、
このアルバムを聞くまでは、
私の中では、なんとなく地味な存在でした。

二人の名人によるデュオはまさに人間国宝級。

特に、1曲目「My Funny Valentine」は歴史的名演で、
究極のインタープレイと、
全世界から絶賛されました。




『Intermodulation』(with Jim hall)

_SS500_

1. I've Got You Under My Skin
2. My Man's Gone Now
3. Turn Out The Stars
4. Angel Face
5. Jazz Samba
6. All Across The City

『Undercurrent』というアルバムは、
1曲目を除くとやや静かめで内向的な世界。

そこへいくとこの続編は、
全体的にもっと楽しく明るい「対話集」です。

私的にはこっちのほうが好きかな…。




『Conversations With Myself』

_SS500_

1. 'Round Midnight
2. How About You?
3. Spartacus Love Theme
4. Blue Monk
5. Stella By Starlight
6. Hey, There
7. N.Y.C.'s No Lark
8. Just You, Just Me
9. Bemsha Swing
10. A Sleepin' Bee

おやおや、エヴァンスという人は、
対話をしたい相手が見つからないときは、
自分自身で対話しちゃうんですねえ。

究極のナルちゃんだなあ…。

といっては失礼ですが、
一人多重録音によるピアノという前代未聞の企画も、
難なく芸術的な位置まで高めてしまえるあたりが、
エヴァンスのエヴァンスたるところでしょうか。



秋の夜長に、

いかがでしょう。


ぴったりだと思いますよ。



メランコリ〜〜♪



ん…?



(つづく)




ちょっと間が空いてしまいました。

失礼致しました。

なんとも忙しくて…。

(ひや〜っ…)


10月のSTB、高崎、名古屋、岡山、倉敷。

その準備に忙殺されておりました。

(どどど…)


「工程表」なんか作っちゃって、

6日間食事もそっちのけで作業、作業、作業。

おかげで腰痛復活。

(むむ…)



でもまあ、少し落ち着きました。

(ほっ…)


そんでもって、
今週の金曜日は「A'TRAIN」ライブですね。

これはご褒美かな…。

(むふふ…)



というわけで、

イエ〜、メ〜ン♪ なピアノで、

お待ちしております。

(ん…?)



(私の内なる対話あれこれ集…)



……??



SHUN MIYAZUMI

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2011 エッセイ | 偉大なジャズメンたち

September 19, 2011

ビル・エヴァンス大研究 その7


ジャズやロックを演奏するには、

“リズムが安定していること”

これが必要不可欠条件です。


リズム感の悪い人やリズムの不安定な人は、
ジャズやロックを上手に演奏することは出来ません。

最初にテンポを決めたら、
そのテンポやリズムが揺らぐことなく、
その中で、最大の感情表現をもって、
“グルーヴ(乗り)のある” 演奏を心がけねばなりません。



ところが、クラシックの世界では、
必ずしもそれが最優先とは言えない場合もあるようですね。

リズムやテンポ・キープよりも、
“感情表現の方が優先される”

そんな演奏もよく耳にします。


こういう演奏は、

私には受け入れられません。


せっかく気持ちよく乗っているのに、
急にテンポを崩して、リズムが無くなって、
必要以上に感情表現をして自己陶酔の世界に入る。


そんな時私は、

「あ〜あ、何でそんなことすんだよー、バカバカ。」

と白(しら)けてしまいます…。

……。



これは “感情過多” というものではありますまいか。

“ルール違反” ではないか、とも思ってしまう…。

(作曲家が聞いたら化けて出るぞー。)



さらに、そんな演奏を、評論家の先生が、

「これは素晴らしく新しい解釈だ。」
「なんという豊かな歌心であろうか。」

などと褒め讃えるわけですが、

到底これも私には受け入れられない。



「テンポやリズムを無視して、
 豊かな歌心もクソもあるものか…。」

これが私の持論です。


「君にはクラシック音楽のなんたるかが、
 わかっていない。」

と言われたっていいんです。


気持ちよくないものは気持ちよくないんだから。


いいんだも〜〜ん。


ふん…。




そこへいくと、

前回紹介したピアニストたちは、
「テンポ」「リズム」をしっかりキープした上で、
 ・・・  ・・・  ・・・・・・・
官能的とも言える演奏をしておりますよー。

演奏に、ちゃんと「グルーヴ(乗り)」がありますよー。


ミケランジェリおじさんも。
フランソワのおっちゃんも。
グールドちゃんも。
シフラの兄貴も。

(それにしても、みんなイケメンだなあ…)



だから聴いてて気持ちがいい。


私にはね…。

……。




では、この「グルーヴ(乗り)」のある演奏をするには、

どうすればいいのでしょうか…。


それはですね…、

……、



“裏のビートを感じながら” 演奏すればいいのです。



ん…?

裏のビート…??

……???




やや専門的になりますが、

ちょっとだけ解明してみせましょうか。



ここに、

 ♩ ♩ ♩ ♩ | ♩ ♩ ♩ ♩ | 

こんなリズムの譜面があるとします。


これ、普通の人なら、

 ♩ ♩ ♩ ♩ | ♩ ♩ ♩ ♩ |
 タ タ タ タ   タ タ タ タ

と乗ってしまいがちです。


ところが、それだと、
どうしてもリズムが滑りがちになって、
走ってしまいそうです。

つんのめった、
グルーヴ(乗り)のない演奏になってしまいそう…。



では、どうするか…?


私なら、こう乗ります。


  ♩    ♩    ♩    ♩ | 
タ(ッタ)タ(ッタ)タ(ッタ)タ(ッタ) 〜



この(ッタ)は、譜面には書かれていない音。

つまり「無い」音なんですね。

この世に存在しない「音」。



でもこれが、すなわち、

「裏のビート」なのです。


この「裏のビート」を感じながら演奏することによって、
リズムが安定し、
ご機嫌なグルーヴ(乗り)が生まれてくるのです。


彼らの演奏からは、
この「裏のビート」を感じることが出来る。

つまり「グルーヴ」がある。


だから、

「ああこの人は、ジャズを知ってるな。」

とまあ、こうなるわけです。



そして、彼らに影響を与えた最たるピアニスト、

それが…、

ビル・エヴァンスではなかったか。


私はそう思っております。


なぜかというとですね…、


それはですね…、



えっ…?


もう時間…?


そんな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。。。


……。



(つづく)




ジャミン・ゼブのファンの方に、
ちょっとだけ種明かしをしますとね…、

私がジャミンのためにアレンジした曲の中には、
ビル・エヴァンスを意識したものも、
何曲かあるんですよ。


彼のオリジナルの「Waltz For Debby」は言うに及ばず、

アルバム『Garden』に収められている、
「Alfie」や「Polka Dots And Moonbeams」なども、

エヴァンスの優雅なコード・チェンジを、
かなり参考にさせていただきました。


でも、彼自身は演奏しておりませんが、
最もエヴァンスを意識して書いたのは、

やはり『Garden』の中に入っている、

「Nous Voyageons De Ville En Ville」(町から町へ)

という曲でしょうか。


次回は、そんな曲の解明なども合わせて、

してみようかな…。

♪♪♪



さ、もう暑いの飽きました。

寝苦しくて、毎晩睡眠不足で参りました…。


明日あたりから涼しくなるんですかねえ。


早く来い来い。


「食欲の秋」


(またそれかよ)


……。



SHUN MIYAZUMI

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2011 エッセイ | 偉大なジャズメンたち

September 10, 2011

ビル・エヴァンス大研究 その6


私にはちょいとした特技があります。

(ん…?)


それはですね…、

ジャズの好きな、
あるいはジャズに少なからず興味を持ってるであろう、
クラシックの演奏家を当てることが出来るのです。

演奏を聞いただけでね。

エヘン。


特に、ピアニストに関しては、
絶対的な自信がありますね。

「ああ、この人は絶対ジャズを理解してるな…。」

「この人はジャズをまったく知らないな…。」


絶対と言っていいほどわかるのです。

ええ。



中学生の頃、

クラシック音楽に夢中になり始めていた頃、

私が最初に衝撃を受けたのは、
「ベネデッティ・ミケランジェリ」(1920-1995)
というイタリア人のピアニストでした。


テレビでN響をバックに演奏する、
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を見た私は、

そのメチャメチャ格好いい風貌も手伝って、
大ファンになってしまいました。


「この人、女にモテるだろうな〜…。」


ちょうど思春期の頃でもありましたからね。

真っ先に考えたのはそんなことでしたか。

あはは。

(なあ〜んだ、ルックスかよ。)



いやいや、冗談じゃなく、
この人は映画俳優にしたいくらいのルックスでした。

面倒くさいので写真は掲載しませんが、
興味のある方は調べてみて下さい。


マカロニ・ウェスタンだったら、
リー・バン・クリーフなみの悪役がぴったり。

コッポラの「ゴッド・ファーザー」にも、
出てもらいたかったなあ…。
マフィアの親分なんかの役で。

ホント、かっこいいんだから…。



えっ、

肝心の演奏はどうだったんだよ、

ですって?


そうでした、そうでした。


その演奏は…、

バックハウス、ケンプといった、
ドイツの正統派の巨匠たちの演奏とは一味も二味も違う、

リズムに躍動感があって、華やかで、ロマンティックで、
そしてなによりも、
官能的。


もっとわかりやすく言うと、

エッチ。

(これこれ)



もう一人。

「サンソン・フランソワ」(1924-1970)
というフランス人のピアノも大好きでしたね。

この人も、エッチなおピアノ。

(こら!)


「当代きってのショパン弾き」
と言われていた名手で、

ショパン、ドビュッシーあたりを弾かせると、
もうもう女性はウットリ〜♡


しかも、このオッサンが、
これまたフランス映画にでも出て来そうな、
いい男なんですね。

(くそ、こいつもモテモテだな…。)


「酒豪」と言われるほどの大酒飲みだったそうですが、

そんな人間臭い(酒臭い?)ところも、

私には好感の持てるところ。

(ん…???)




さて、その後の私は、

高校の終わりくらいから、

ビル・エヴァンスの存在を知り、
ジャズに夢中になり始め、
しばらくクラシック音楽とはおさらば状況だったのですが、

ある日ふと、
このミケランジェリとフランソワの存在を、
思い出したのです。


「もしかして、あの二人は、
 ちゃんとジャズを勉強したのではないか…?」


彼らの演奏に共通する、
リズム感、ロマンティック、官能的な響きは、
お堅いクラシックの先生に習っただけでは、
生まれてこないはずだ…。


そして、いろんな本を漁(あさ)っているうちに、
ミケランジェリとフランソワのお弟子さんが、
同時に、こんな証言をしているのを発見したのです。

「うちの先生は、
 もうすぐコンサートだというのに、
 家ではジャズばっかり弾いてるんですよ。
 大丈夫なのかなあ…。」



ほーれ見ろ!

俺は正しかったぞ!!


そのときの私の、
してやったり、得意満面の笑顔を、
思い浮かべてみてください。

アハハハハハハハハハハハハハハ。

(もういいから…)



そして、もう一人、

私が好きなピアニストといえば、

それは、

「グレン・グールド」(1932-1982)でしょうか。


彼の弾く「ゴールドベルク変奏曲」(バッハ)は、
私にはジャズに聞こえますね。

あのうなり声は、
キース・ジャレットみたいだ。

(キースが真似したのか…?)



ニューヨークの美術館に例えると、

「メトロポリタン美術館」では、
オーソドックスなバロック・スタイルが合うのでしょうが、

このグールドのバッハは、
「近代美術館」にこそふさわしい。

そう思うのは私だけでしょうか?


でも、ずいぶんと変わり者だったみたいですね、

グールドちゃん。

数限りない奇行は有名です。


ニューヨークのレコーディング・スタジオに、
待てど暮らせど現れないので、
心配になったマネージャーが、
あちこち探し歩いたら、

ヴィレッジのジャズ・クラブで、
マイルス・デヴィスを聴いていた、

なんてエピソードもあるそうです。


家には、
ビル・エヴァンスのアルバムも何枚かあったそうですね。



「ジュルジュ・シフラ」(1921-1994)
というハンガリーのピアニストも大好き。

リスト「ピアノ協奏曲第一番」「第二番」の、
官能的な演奏の素敵さったらありません。

この人も絶対ジャズ好きと私は睨(にら)んでいます。



「フリードリッヒ・グルダ」(1930-2000)
という、オーストリア生まれのピアニストは、

音楽の都はウィーンに生まれ、
「クラシック以外は音楽じゃない。」
なんて言うようなお堅い人が、
うじゃうじゃいるような環境に育ちながら、

「僕はジャズが大好きー。
 ジャズは最高だー。」

なんて、はしゃいだあげくに、
「グルダ・ジャズ」
なんてアルバムまで作っちゃいましたが…、


彼のジャズはいただけません。

ぜんぜんサマになっていない。

ベートーヴェンのほうがずっと素敵です。


「シュタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」
と一緒に録音した、
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲」全集は秀逸でした。

「第4番」「第5番(皇帝)」は、
今でも時々聞いておりますよ。


でも、ジャズはだめです。

意欲は買いますが…。



ジャズとクラシックを、
どちらも完璧にマスターしてしまったのは、

かの「アンドレ・プレヴィン」さん。
(1929- )


今や押しも押されぬ大指揮者の彼は、

その昔、
小粋にスイングする名ジャズ・ピアニストでした。

女性ジャズ・シンガーの、
ダイナ・ショアやドリス・デイとの共演アルバムは、
今でも高い人気を誇っています。



あれ、話が脱線しそうになりましたね。

……。



ではでは、

ジャズが好きな演奏家と、

そうではない演奏家の違いは、

どこでわかるのか?


次回は、

これをもっと掘り下げてお話しようと思います。



ひとつだけヒントです。


ビル・エヴァンスは、

「1929年生まれ-1980年没」です。


前述したピアニストたちと、

比べてみて下さいね。


(あ〜あ、こんな長いシリーズになるとは…。)


ふう〜…。


……。



(つづく)




楽しい楽しいファンミの余韻に浸る間もなく、

今度は10月の「STB 139」(4days)の準備で、
大忙しの私たち。


たくさんお申し込みいただいた、
チケットの調整作業も大変だし、

新曲のアレンジもしなくちゃいけないし、

メニューも決めなくちゃいけないし、

リハーサルも始まるし、

他にもやることいっぱいあるし、


あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜あ。。。



外では鈴虫が、

チンチロリ〜ン♪


ちと分裂気味…。


……。



SHUN MIYAZUMI

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2011 エッセイ | 偉大なジャズメンたち