February 2012
February 26, 2012
接待麻雀
麻雀(マージャン)か…。
もう20年くらいやっておりませんね。
昔は、よくやったもんですが…。
いやあ、このゲームは、
本当によく出来てると思います。
このゲームを考えた人は天才です。
中国人恐るべしです…。
西欧でも、
これに匹敵する内容と密度を持ったゲームは、
トランプの『コントラクト・ブリッジ』くらいしか、
思い浮かびません。
(『セブン・ブリッジ』ではありませんからね。)
で、私、
どっちも得意です。
高校生のときは『コントラクト・ブリッジ』。
大学生のときは『麻雀』。
どちらも夢中になってやっていた時期があります。
ま、競技人口から言えば、
日本では圧倒的に後者でしょうかね。
……。
でも、20年くらい前にきっぱりやめました。
なぜか…?
勝っちゃうからです。
勝っても逃がしてくれないからです。
(そう、私、けっこう強いんです、これ…。)
「おい、勝ち逃げはないだろ。
もう半ちゃん(半荘)いこういこう。
帰しませんよ〜。」
という不良仲間たちの押しに負けて、
結局は徹マン(徹夜麻雀)になる。
そのうち酒が進んで、
どんどん気持ちよくなって、
もう、どうでもよくなって、
バンバン振込みが始まって、
気がつけば、
前半に貯めた貯金を使い果たし、
結局はチャラ。
そして「雀荘」を出て表に出たら、
あ〜ら、お天道様がまぶしい、まぶしい。
いつもそんな感じでした。
いやあ、なんとも空(むな)しい、
時間の無駄遣いですね。
「こんなことをしていたら、
人生すぐに終わってしまうぞ…。」
そう悟った私は、
きっぱりと「麻雀」とおサラバしたのです。
正解だ。
うんうん…。
……。
ですから今日のお話は、
今を去ること30年以上も昔の話です。
私がまだアルファ・レコードにいた20代の頃のある日、
社長の村井邦彦さんから、
こんな命令が下りました。
「シュン、今宵はちょっと『麻雀』をやるので、
仕事を早く片付けて家に来てちょうだい。」
そして彼はこう続ける。
「ただし今日のは『接待麻雀』だからね。
招待するのは「K.O.さん」ね。
知ってるだろ?
だから君は絶対勝っちゃいけないの。
仮に良い手が来ても上がっちゃいけないのよ。
彼に気持ちよく勝たせなきゃいけないんだからね。
だから君が負けても、
君の負け分は後でちゃんと払ってやるから、
心配しなくてもいいからね。」
「な〜んだ、そういうことか…。」
「なんだかつまらないけど、
ま、今日は特に何も無いし、
これも会社の業務だと思って、
おつきあいするとするか…。」
そんなわけで私はその晩、
いそいそと社長宅を訪れたのでした。
さて、
この「K.O.さん」とは、
当時大ヒット曲を連発していた、
有名なシンガー・ソング・ライター。
しかも一方で、
立派な一流銀行にお勤めの、
まさに「二足のわらじ」を見事に履きこなす、
いわば時の寵児でありました。
そして彼が連れて来た相棒は、
彼の大学時代の友人という弁護士さん。
どちらもT大学という日本の最高学府の出身です。
こっちは、
村井さんも私もK大という軟派な私立大学。
しかもどちらも、
「軽音楽部」出身。
ま、普通にやってもあっちが勝つだろうと、
私はいつものように打っておりました。
ところが…、
ある局面まで来たとき…、
私に、とんでもない手がやって来ました。
「国士無双(こくしむそう)」というもので、
無数にある「役(やく)」の中でも、
「役満(やくまん)」と言って、
一生のうちに “何回上がれるか” というくらい、
難しい、最高級の手の一つなのです。
ま、一日のうちにこれを一回でも上がれば、
まずその日の「勝ち」は、
間違いありませんね。
そんな手をテンパってしまった。
あと1枚、狙った牌(はい)が来れば上がりです。
「さあ、どうしよう…。
これを上がってしまったら、絶対勝ってしまう…。
しかし、こんな良い手は滅多に上がれないのだ…。
どうする…。どうする…。」
普段ならこんなとき、
獲物を狙う、
狡猾なオオカミのような心境になって、
他の3人を見下しながら進めていくのですが、
この日ばかりは…、
さあ、どうしたもんでしょうか…、、、
……。
私は悩みに悩む…。
……。
と、そのとき…、
あろうことか、
接待している、当の「K.O.さん」から、
その牌が出てしまった。
わ…、
わたしは…、
思わず…、、
「ロン!」と言って…、、
自分の全ての牌を倒して…、、、
「上がり」を宣言してしまったのです。
さあ、32,000点という凄い点棒が、
K.O.さんから、私の手に入りました。
1番安い「平和(ピンフ)」という手が1,000点ですから、
「麻雀」をやらない方でも、
この手がいかに凄まじいかが、
おわかりいただけると思います。
(あ〜あ、やっちまった…。)
そして、ふと、おそるおそる村井社長の顔を見たら、
その顔面は、
もう鬼のように真っ赤になっており、
怒りで手がぶるぶると震えておりました。
(もしかして俺、クビかな…、、、)
結果、その日は私の一人勝ち。
哀れな「K.O.さん」がビリでした。
その後、
私が、こうした席に呼ばれなくなったのは、
言うまでもありません。
……。
しかし、
あなただったらどうされますか?
「麻雀」において、
「役満」を上がるというのは、
ある種のロマンです。
私も人生において、
何度も上がってはおりません。
「四暗刻(スーアンコ)」
「字一色(ツーイーソー)」
「大三元(ダイサンゲン)」
「小四喜(ショースーシー)」
そんな人生のロマンを、
放棄してもいいのでしょうか?
「ロマン」こそ、
人生において、
もっとも大切なものではないのでしょうか?
「K.O.さん」にしたって、
仮に勝ったとしても、
それが「八百長」だとわかれば、
決して面白くはないはずです。
それでも、
私は間違っていたのでしょうか?
ううむ…。
……。
えっ?
「どっちでもいい」
ですって…?
まあね。
あははは。
そろそろ、こんな物が書きたくなって書いた、
ま、それだけのことです。
では、おやすみなさい。
zzz…。
(おしまい)
前回あんな物を書いたもんですから、
何人もの方から、
「大丈夫ですか?」
とお声をかけていただきました。
おかげさまで、火曜日から3日間、
お酒をやめて大人しくしていた努力が報われてか、
すっかり痛みは消えました。
どうやら骨折、ヒビの類いまでは、
行ってなかったようです。
どうもご心配をおかけしました。
……。
というわけで、
金曜日は久しぶりに、
バンバン飲みながら、
がんがんピアノを弾きました。
いらして下さったみなさん、
ありがとうございました♪
でも、反省しましたよ。
もっと「年」を認識しなくてはね。
そう、若くはないのだから…。
若くはね…。
お酒、
美味しいですけどね…。
くくく…。
……。
SHUN MIYAZUMI
February 22, 2012
みっともない話ですが…
激しくころんでしまいました。
あ痛い…。
……。
あれは一昨日の深夜の出来事。
その日私は、
かつてやったことがないような、
難しいアレンジに取り組んでおりました。
しかも4曲も…。
しかもメドレーで…。
3月のNHK特番スタッフさまからの依頼なのですが、
最初はどうなることかと思いましたね。
考えたこともないような曲ばかりだし…。
どちらかというと苦手なジャンルだし…。
しかし、
ふと妙案を思いつき、
なかなかに面白いものが出来上がったのです。
(と思うのですが…)
ま、なにはともあれ、
やった、やった、やったーーーーー!
というわけで、
今日は自分にご褒美だ。
久しぶりに飲みに行こう。
そうだ、そうだ、そうだ〜〜〜〜〜〜!
私は意気揚々と学芸大に出かける。
なじみの居酒屋で、
気の合った常連のおじさんたちと、
とりとめのない世間話を肴に、
飲んだ、飲んだ、飲んだ〜〜。
そのあと久しぶりに、
これまた大好きな「オールディーズ・バー」で、
飲んだ、飲んだ、飲んだのよ〜〜〜〜〜。
そして深夜の12時。
「明日もやることがいっぱいあるので、
お先にね。」
と席を立ち、
いい調子で駅の方まで歩いているとき、
(おそらく千鳥足)
靴ひもがほどけているのに気がつきました。
私は立ち止まり、
靴ひもを直そうと前かがみになった瞬間…、
体のバランスを失い、
おっと、
おっとっと、
あ、あっ、あ〜〜〜〜〜〜っ、、、
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、、、、、、
ものすごい勢いで、
意志とはうらはらに、
どんどんつんのめっていって、
バタ〜〜〜〜〜ッと倒れてしまいました。
そして、思いっきり胸を強打…。
……。
息も出来ないような痛さでした。
く…、く…、く…………、、、、、
くるしい………。。。
翌朝(昨日)目が覚めると、
状態はさらに悪化。
体を動かすと痛い。
息をしても痛い。
咳なんかするともう最悪。
「もしかして肋骨骨折…?」
……。。。
とりあえず病院に駆け込んだのですが…、
そして、3時間も待たされていたのですが…、
そこに、Y浅ショージ君から緊急電話。
今週の、
もうひとつのNHKの番組で、
さらに2曲のコーラス・アレンジを、
急きょ私がやることになり、
「こりゃ大変だー。」
と、診察を受けるのもあきらめて、
大急ぎでとんぼ返り。
火事場のばか力で、
なんとか書き上げて、
夜メンバーにスコアを渡す。
やれやれ…。
そして私は、再び現実に戻る…。
「ゴホン」
(くう、痛いなあ〜〜…)
「これって、もしも骨折だったら、
絶対安静じゃないか…。
今週のA'TRAINライブはどうなるのだ…。
来週の名古屋遠征はどうなるのだ…。」
もう目の前が真っ暗になりましたね。
……。
で、念のため昨日は禁酒。
咳をするのが嫌なのでタバコも極力吸わず。
「明日起きたらすぐに病院に行こう…。」
と、私にしては珍しく、
落ち込んだまま寝床に入ったわけです。
…….。
コケコッコーーーー♪
(近くに鶏でもいるのか…?)
朝になりました。
おや…、
なんだか痛みが、
ほとんどありませんよ。
「ゴホン」
あら、咳をしても痛くないぞ…。
これはどうやら、
骨折ではなさそうですね。
ほっ…。
というわけで、
病院に行くのはやめにしました。
今週の金曜日(24日)のライブも、
予定通り開催させていただきます。
みなさん安心してお出かけ下さい。
お見舞いは入りませんから。
それにしても、
年はとりたくないもんですなあ…。
あの程度で、
バランスを失ってつんのめるなんて…。
目の前が川じゃなくて良かった…。
後ろから車が来ていなくて良かった…。
みなさんもお気をつけ下さい。
えっ?
そんなバカなことにはならないよ、
ですって…?
確かにねえ…。
ガクッ…。
……。
SHUN MIYAZUMI
February 16, 2012
ちょこっとニュース
みなさん、
ご無沙汰しております。
なにせ、
超多忙な毎日でして…。
ま、それも喜ばしいことかと…。
で、今日は、
ちょこっとだけ、
こんなニュースをお送りします。
今発売中の週刊誌、
「サンデー毎日」誌に、
私の名前が、
ちょこっとだけ出ています。
著名なジャズ・ピアニスト山下洋輔さんが連載している、
「ドファララ門」というコラムで、
私が、このブログにかつて書いた記事が、
引用されているんですねえ。
(62頁あたり)
「渋谷森久さんという人のお話」というものなのですが、
たまたま山下さんも渋谷さんをご存知で、
この記事を書くにあたって、
インターネットで私のブログをヒットした、、、
とまあ、こんなわけでございました。
すごい時代ですねえ。
インターネット時代…。
……。
山下さんとは一面識もないのですが…、
でも、光栄です。。。
こんな私のブログをヒットして下さるなんて…。
く〜〜〜。。。。。。
というわけで、
来週の月曜日あたりまでは、
「本屋さん」「キヨスク」あたりで、
ゲットできるようです。
興味のある方は、
ぜひ、手に取ってご覧下さいね。
さ、明日は船橋でジャミンのコンサートだ!!
「おおい、ショーちゃーん、
駅降りたら、
左行くの? 右行くの?
おおい、、、
おお〜〜〜〜〜〜〜〜〜い、、、、、」
(ホント、ちょこっと…)
ん……?
……。
SHUN MIYAZUMI
February 01, 2012
ついでにマスタリングのお話
みなさん、こんにちは。
ジャミン・ゼブ『Garden』リマスター盤。
おおむね好評のようで、
ホッと安堵の今日この頃でございます。
とは言いつつも、
ファンのみなさんの中には、
「マスタリングってなあに、何のこと?」という方も、
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで今日は、
この「マスタリング」なるものについて、
少しばかりお話をしてみましょう。
「マスタリング」とは、
レコーディングにおける最終行程の作業です。
プロデューサーとエンジニアが、
「よし、これで完成だ。
歌や楽器のバランスもよし。
リヴァーヴ(エコー)の量もよし。
100点満点の出来栄えだ。」
というところまで作り上げた最終マスター・テープ。
(今の時代はDVDかCD-R)
しかし、これで最後ではないんですねえ。
この段階ではまだ、
CDの生産には至りません。
この最終マスターを、
さらに「マスタリング」しなくてはいけないのです。
そして、この作業には、
その道のプロの力を借りなければなりません。
いわゆる「マスタリング・エンジニア」の力をね。
そして、私が、
「最高のマスタリング・エンジニア」
と信じて疑わないのが、
原田光晴さん。
かつて私は、
1990年代の何年かを、
ソニー・ミュージックの「契約プロデューサー」として、
様々なCD制作をしておりました。
「TOKIO」「宮沢りえ」といった、
アイドル物が多かったんですがね。
で、その頃、
同じくソニー・ミュージックで仕事をしていたのが、
この原田さん。
ま、私とはいわば旧知の間柄です。
お互いを知り尽くしたプロの仲間です。
そして、ジャミン・ゼブに関して言えば、
「旧盤・Garden」「Sweet Sweet Live」「Summertime」
からが、原田さんの仕事になります。
いやあ、彼の手にかかれば、
私と須藤君(エンジニア)の作った完成品が、
さらに30%くらい輝きと迫力を増しちゃうから、
あらまあ不思議…?
どんな魔法を使ってるのかしらん…?
ということで今回も私たちは、
代官山にある、
「JVCマスタリング・センター」
を訪れました。

エレベーターで地下まで降りると…、

ええと、原田さんの部屋はどこだったかな…?
おお、あれは、原田さんの作品群だな。
山下達郎、クレージーケンバンドなんかに混じって、
左下には「Summertime」もあるな…。
うんうん。

あっ、ありました、ありましたよ。
「原田ルーム」

「こんにちは、原田さん。」
「やあ、いらっしゃい、お待ちしておりましたよ。」

「ちょっとこのサウンドを聞いて見て下さい。
中低音が前より豊かになったでしょ。
歌もぐっと前に出て来ましたよね。
これ新兵器なんですよ。あははは。」
「なるほど…。確かに…。」

「ええと、この曲は少しだけレベルを上げるかな…。
よいしょと。
曲間は3秒でいいですかね、宮住さん。」
「そうですね。
ボーナス・トラックの前だけは、
5秒くらい空けましょうか。」
「わかりました。ええいこれで完成だ。」

こうして、
「デジタル・エコライザー」を巧みに使いながら、
私たちのマスター・テープが、
さらに素晴らしいものになりました。
まさに職人芸です。
原田さん、今回もありがとうございました。
やれやれ、
これでようやくCDの大量生産が出来る、
とまあ、こういうわけなんですね。
よかった、よかった。
……。
では、ショーちゃん、
祝杯といこうじゃないか。
「どうだね、今回の出来栄えは。」
「バッチリじゃないっすかね。
さすが原田さんすね。」

おい、そりゃ、俺の帽子じゃないか。
……。
ま、いいか。
今日は許そう。
こうして出来上がりました。
『Garden』リマスター盤。

この撮影は、
「東京工科大学」(日本工学院)八王子キャンパス、
そお借りしてのもの。
「東京ディズニーランド」とほぼ同じ広さという、
広大な、そして美しい自然の中で行われました。
スタッフのみなさまに感謝、感謝でございます。
ところで、ジャミン・ゼブ諸君、
どうだね調子は?
「バッチグーっすよ。あははは。」

ん…?
……。
SHUN MIYAZUMI