July 2015

July 28, 2015

ブルックナーはお好き その6


暑中お見舞い申し上げます。

な〜んて挨拶が空(むな)しくなるような、
そんな猛暑の毎日ですが、

みなさんお元気でしょうか。


いや、ほんと暑いですね。

脳みそ融けちゃいそうです。


でも、ようやく時間も出来たので、
今日は「ブルックナーはお好き」のつづきでも、
書くことにします。

楽しみにされていた方、
お待たせしてすみませんでした。

……。



そんな「ブルックナーはお好き」。

まるで、チェリビダッケのテンポのように、
ゆっくりと進むこのシリーズですが、、、

(意識してやってるわけではありません。
 本当に忙しかったのです。笑。)

いよいよ今回から、
主役とも言うべき、
ブルックナーの登場です。


いやあ、お待たせしましたね〜、
ブルックナーさん。

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Anton Bruckner(アントン・ブルックナー)
(1824ー1896 オーストリア)


最近ヨーロッパでは、
この人、大人気なんだそうですね。

クラシックのコンサートで、
この人の交響曲を演目に加えると、
まず完売間違いなし、

なんだそうですよ。


その人生において、
必ずしも恵まれた音楽家生活ではなかった、
孤高の作曲家のブルックナーが、

なぜ、没後100年以上経ってから、
急に脚光を浴び始めたのでしょうか。

ううむ…。


ブルックナーの音楽を風景で表すと、
こんな感じですかね。

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そうアルプス。

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大自然。

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私がクラシックに興味を持つようになった、
中学生の頃も、
専門家やクラシック・ファンの間では、

ブルックナーはそれなりに、
もてはやされていました。


海外の著名な指揮者が来日して、
N響を振った演奏などは、テレビで観ていて、
子供心にもそれなりに、
魂を揺さぶられるものがありました。

しかし、レコードを買うとなると、
どうしても躊躇してしまうんですね。


なぜか?

曲がおそろしく長いから。

ゆえに1枚のLP(アルバム)には収まりきらず、
どうしても2枚組になってしまう。


普通のLPだと、
2,500円くらいで買えるものが、
ブルックナーの場合だと、
その倍の5,000円くらいになってしまうのです。

子供がお小遣いを工面して買うわけですから、
これはちと無理があります。

2,500円だって子供にとっては、
大金も大金なわけですから、
これは、ちょっと手が出ない。


ところが、
80年代にCDというものが発明されたおかげで、
様相は一変しました。

収録時間が圧倒的に増えたからです。

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向かって左がアナログのLP盤。
右が言わずと知れたCDですね。


このアナログ盤の理想的な収録時間は、
片面20分と言われていました。

なぜか?

レコードの溝(針の通り道)の幅が、
広ければ広いほど音がいいから。

レベル(音量)、音圧をたっぷり取れるから。


ところが、収録時間が長くなると、
どうしても溝の間隔が狭まってしまう。

盤の内周あたりはもうキツキツ。

したがって全体のレベルを下げなければ、
音も劣化するし、針飛びもおこしたり。

すると迫力がなくなる。


私がアルファ・レコードにいたころも、
社長や録音部の偉い人たちからは、

「アルバムは片面20分以内。
 25分を超えてはいけない。」

と、固く言われておりました。


ところが、

ブルックナーの作品は、
どれもみな巨大です。

圧倒的大編成かつ演奏時間が長い。


あまりにもライブ向きで、
レコードを買って自宅で楽しむには、
かなりの経済力を必要としたのです。


ここに、チェリビダッケともなると、
テンポが遅い訳ですから、
さらに演奏時間が長くなる。

音も悪くなる。


例えば、
ブルックナーの最高傑作と言われる「交響曲第8番」は、
(私もそう思いますが…)

普通1時間20分くらいが相場。

しかしチェリビさんの演奏時間は、
なんと1時間40分!


これでは、
「楽章の途中で面を変えなければ」
などというシーンも出て来たでしょうね。

当然、レコード会社との対立も生まれたのでは、
と推測されますね。


彼がレコード嫌いになっていった一因も、
案外そんなところにあったのでしょうか。


そこへいくと、
カラヤンのテンポは、
他の指揮者のものより、
ちょっとずつ速いです。

LPの収録時間にぴったり収まる演奏だから、
当然音もいい。

しかも演奏が爽快で派手で分かりやすい。


反面、ブルックナーやマーラーといった、
巨大なもの、長いもの、お値段のはるものは、
あまり熱心に取り組まなかった感があります。

まさに、LP時代の寵児ですなあ〜。

やっぱり、音の魔術師ならぬ、
「お金の魔術師」ですか?


う〜む…。

……。



しかしその後、
CDという画期的なものが発明され、
片面80分などという長尺収録が可能になり、

マーラーやブルックナーの巨大交響曲が、
自宅で、お手軽に楽しめる時代になりました。


ここに、
「今頃なぜ彼らが人気なの?」
の秘密があるような気がします。

……。



カラヤンさん、


いい時代に生まれましたね。



そして、チェリビダッケさんは、


早く生まれ過ぎましたかね…。


……。



(つづく)




ジャミン・ゼブ
「ファン・ミーティング in 東京 2015」が、
近づいてまいりました。

8月2日(日)、8日(土)、9日(日)の3日間。


いやあ楽しみですねえ。

毎年ネタを考えるのは大変ですが、
私にとっては、
年に一度の「夏祭り」です。

今年も、大いに楽しみたいと思っております。


で、ここで、
このファンミに参加される方で、
この、私めの、このブログの読者のみなさんに、

特別にいいこと教えちゃいます。

ジャーン!


じつは今年も「クイズ大会」があるのですが、

今年私が書いた記事で、
ジャミンに関するものを、
もう一度読み返す、
あるいは写真を見直してみてはいかがでしょうか。

これで、確実に1問稼げると思うのですが…。

うふふ…。

ご検討を祈ります。


おっと、その前に!

金曜日(7月31日)は、
学大「A'TRAIN」ライブでしたね。

またまた前夜祭ですか。

これもどうぞ、暑気払いにお越し下さい。


8月が、ジャミンの仕事が立て込んで、
ちょっと開催不可能なので、
今回は、2ヶ月分盛り上がりますかねえ。


(どうやって?)

(倍、演奏するのか?)

(えっ、えっ、えっ???)


ん…?


‥‥。



SHUN MIYAZUMI

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2015 エッセイ 

July 05, 2015

ブルックナーはお好き その5


いやあ、何週間ぶりの更新だろう…?

忙しさにかまけ、
本当にご無沙汰してしまいましたが、
ようやく一段落しました。

ほっ…。


思えば、この忙しさは、
5月22日(金)の大阪遠征から始まりましたかね…。

まあいろんな所へ行かせていただきました。

大阪、高松、松山、川越、東京競馬場、
新浦安、名古屋、旭川、名寄、札幌、
松本、木曽、新潟、いわき、、、


さらに、この間、
「日本ダービー」「アメリカ大使館」における、
国歌斉唱というビッグ・イベントあり、

東京にいる間は、
「いわき」のコンサートのための、
ハワイアン数曲のオケ作り、、

ご丁寧に、
自分のスポーツ・ピアノ・ライブが2回。。。

(ん?)


いやいや、生きてるのが不思議なくらいです。

あははは。



というわけで今日は、久しぶりに、

のんびりと「ブルックナーはお好き」の続き。


随分ゆったりとした展開になってきましたが…。

まるでチェリビダッケのテンポのようですが…。

……。



さて、前回の最後に、

私はチェリビダッケとカラヤンの関係を、

この人と、この人の関係に例えました。

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言わずと知れた、

野村克也さんと長嶋茂雄さん。


名も無い高校からテスト生で入団しながら、
「南海ホークス」の4番バッターに成長、
華々しい活躍をした野村選手。

しかし、当時の南海は人気がなく、
球場はいつも閑古鳥。

打っても打っても客が来ない…。


一方の長嶋選手は、
立教大学から鳴りもの入りで巨人に入団。

チャンスに強いバッティングと華麗な守備で、
たちまち国民的ヒーローに。

毎試合全国ネットで中継される、
テレビの後押しもあって、
「ミスター・ベースボール」とまで言われるように。


選手としての実績は上回りながらも、
マスコミの注目は圧倒的に、長嶋、長嶋、長嶋。

野村はこうぼやく…。
「ふん、あいつはひまわりで俺は月見草だよ。」

(以下敬称略)


しかし、世の中に、
「If(もしも)」ということがあったらどうでしょう。


もしも、野村が巨人に、
長嶋が南海に入団していたら…。

長嶋はあれほどまでのスターに、
なっていたのでしょうか…?

ホームランを量産する野村の人気は、
こんなもんじゃなかったのでは…??


当時のテレビ中継は、
「巨人戦」しかなかったのですから…。

……。



しかし、監督になってからの実績は、
野村の方がはるかに勝っています。

古田捕手をはじめ、幾多の名選手を育て、
弱小球団だった「ヤクルト」を、
3度の日本一に導きます。



で、同じように、

「If(もしも)」チェリビダッケが、
もう少し世渡り上手で、トラブルも起こさずに、
あのままベルリン・フィルにとどまっていたら…、

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カラヤンは、はたして、

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あれほどまでの富と名声を、

手にすることができたのでしょうか…。

……。



ベルリン・フィルを追われたチェリビダッケは、
各地のオーケストラを客演する一方で、
後継者の育成に力を注ぎ、

全世界で3,000人ともいわれる、
若い指揮者を育てたそうですね。

このあたりも、
なんだか野村さんと相通ずるものが…。

(毒舌もぼやきもソックリ。)


でもまあ、

カラヤンや長嶋のような眩しい存在は、
神が授けたほんの一握りの人たち。

ここは、やっぱり、
チェリビダッケや野村のような人に、
人間臭さと親近感を覚えてしまうと言ったら、

言い過ぎでしょうかね…。


今更ながら、

人生の彩(あや)というか、

運命の皮肉さを考えざるをえません。

……。



そんなチェリビダッケさん。


冒頭にも書きましたが、

中学校の頃からクラシックも好きで、
それなりに「知識もあるぞ」を自負する私が、
つい最近まで、
そんな名前の指揮者は知りませんでした。

お恥ずかしい話ですが…。


しかし、それは、
彼の「録音嫌い」「録画嫌い」に、
原因があります。


ところが、
「You Tube」なるものの出現によって、

私はチェリビダッケの生演奏を、
動画で知ることとなりました。

前にも書いた、
ドヴォルザーク『交響曲第9番(新世界より)』


そして、さらに素晴らしいのが、
ブルックナーの演奏。。。

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した、
4番、5番、6番、7番、8番…。

……。



ああ、これで謎が解けました。


彼がなぜ録音を嫌ったのかが…。


逆に、カラヤンが、

なぜあれほどまで、

精力的に録音を敢行したのかが…。



それは、LPの収録時間と、


大いに関係するところがあったのですね。


ううむ…。



(つづく)




ようやく「ブルックナー」の名前が、

登場しましたね。(笑)


次回からはチェリビダッケとブルックナー、

その因果関係も、

私なりに深く考えてみたいと思います。


旅の風景など織り交ぜながら…。

面白可笑しく…。



では最後に、最近お気に入りの1枚。


7/2の「アメリカ大使館」で、

映画『God Father』を気どってみました。

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あははは。

(どこがじゃ)

あはははははは。



久しぶりに観たくなったな…。


『ゴッド・ファーザー』


アメリカか…。



SHUN MIYAZUMI

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2015 エッセイ