October 2015
October 25, 2015
ブルックナーはお好き その9(最終回)
いやあなんということ…。
前回更新してから、
なんと1ヶ月半が過ぎておりました。
このブログを始めたのが、
2005年のこと。
以来、こんなに更新間隔が空いたのは、
初めてです。
「太宰府天満宮」の記事が、
遠い昔のようです。
……。
それほど忙しい日々を送っておりました。
あの9月中旬の福岡の後も、
新潟、松本、豊田、福岡、熊本、佐賀、大分、広島、
とツアーの連続。。。
さらには、
「半蔵門 AUTUMN SESSION」と銘打った、
東京でのビッグ・コンサートもあったりして…。
ふ〜…。
でもありがたいことですね。
それだけジャミン・ゼブが、
全国区になりつつあるということでしょうか。
年内まだまだ仕事がわんさかですが、
頑張りたいと思います。
それ〜〜〜〜〜ッ。
(ん?)
さて旅の楽しみは、
なんといってもその土地の美味しい物ですが、
車窓から見る風景もまた楽しいもんですね。
これは福岡から熊本へ向かう時の1枚。

これも。

これは、佐賀へ向かう時のもの。

佐賀から大分へ向かう車の中からは、
美しい由布岳を望むことが出来ました。


さて、今年の4月に始めたこの連載ですが、、、
チェリビダッケのテンポのように、
ゆっくり、ゆっくりと進んでいる間に、
もうすっかり秋景色なんですね。
(単にお前の更新が遅かっただけだろ!)
というわけでこのお話も、
そろそろエンディングに向かうことにしましょう。
チェリビダッケと言う指揮者が、
人生の最後に出会えた、
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。
You Tubeで観てみると、
楽団員のこの指揮者に対するリスペクトを、
大いに感じ取ることが出来ます。
ついにわかってくれる人たちと巡り会えたんですね。
良かったですね、チェリビさん。
ベルリン・フィルを追われ、
各地を転々とジプシーのような音楽生活を送った、
苦節○十年の孤高の大指揮者が、
ついに得た安住の地ミュンヘン。
彼の解釈を必死で表現しようとする楽団員と、
頑固なまでに自分のスタイルを貫き通した老指揮者が、
一音一音にこめた執念のようなものを感じる、
素晴らしいブルックナーの世界。
思わずのめり込んでしまうような迫力と美しさが、
そこには溢れています。
レコード嫌いだった彼が、
わずかながらも、
こうして素晴らしい演奏を映像に残してくれたことは、
本当にラッキーでした。
思い返してみると、
私がブルックナーという作曲家に興味を持ったのは、
中学3年のとき。
父の転勤で山形に引っ越したときでした。
家の真ん前には当時まだ単線の「奥羽本線」。
その向こうは一面の畑で、
遠く月山(がっさん)が白い雪に覆われて、
そびえ立っていました。
そんな風景とブルックナーの音楽は、
まさにピッタリだったんですね。
転校生であるがゆえの、
慣れない環境と日頃の寂しさをまぎらわすように、
その頃は、「6番」と「8番」をよく聴いていました。
それから半世紀もの月日が経ち、
今またブルックナーは、
なぜか私の心に突き刺さってきます。
その頃とはまた違った響きとなって…。

You Tubeに残された、
ミュンヘン・フィルを振る、
チェリビダッケのブルックナーは、
「4番」「5番」「6番」「7番」「8番」の5曲。
どれもテンポが遅いゆえに、
ビオラやチェロといった中・低域の弦の動きも、
はっきりと聴き取ることが出来ます。
道ばたに咲く、
一片の草花にも愛情を注いでいるかのようで、
ほっと安らぐことが出来ますね。
そして強烈なブラスに導かれた全体演奏は、
いつも魂を揺さぶられます。
「ああ、これがブルックナーなんだ…!」
このうち「7番」は、
決別してから30年後に、
あのベルリン・フィルと共演したものもありますが、
断然ミュンヘン・フィルとの演奏の方がいいですね。
一体感が違うのです。
「7番」というのは、
ブルックナーの中では、一番ロマンチックですから、
女性が入るのにはいいかもしれませんね。
さながらワーグナーにおける、
「トリスタンとイゾルデ」のような存在。
初心者の方は、
「7番」→「6番」→「8番」→「5番」
の順にチェックしてみてはいかがでしょうか。
ところで、
忙しい現代人が、
そんなゆったりしたテンポの音楽を、
聴いてる時間なんかないよとおっしゃる、
そこのあなた。
もう一人、
私の大好きなブルックナー指揮者を、
最後にご紹介します。
彼のテンポはオーソドックスです。
しかし頑(かたく)なまでに、
ブルックナーの本質を表現してると思います。
その名を、
ギュンター・ヴァント
(1912ー2002 ドイツ)

この人も苦労人です。
カラヤンやベームやバーンスタインといった、
華やかなマエストロ人生を送った人たちと違って、
地方の名もなきオーケストラを、
一生懸命指導して回った、
これまたチェリビさんと同じような人生でした。
しかし晩年になって、ようやく認められ、
最後はベルリン・フィルをはじめとする、
世界の一流オーケストラに客演。
良かったですねえ、ヴァントさん。
ただしYou Tubeでは発見できませんでした。
よってCDのみ。
この人のおすすめは、
「8番」「7番」「9番」「5番」
CDのヴァントさんと、
You Tubeのチェリビダッケさんを比較しながら、
テンポの違いや表現の違いを楽しむのも、
一興かもしれませんね。
ただし、どちらも、
なるべく大音量で聴いてくださいね。
でないと、ブルックナーの、
壮大な世界に浸ることが出来ませんから。

ああ、ヴァントもいいなあ…。
ちなみにこの人の古典物もみな素晴らしいです。
ブラームスやチャイコフスキーの交響曲も、
最高の演奏を聴かせてくれます。
ご参考までに。
さてそんなブルックナーさん。

人生の最終コーナーに入った私が、
なぜか再び彼の音楽に惹かれるようになりました。
そういう音楽なのかもしれませんね。
そして彼の作品を演奏するには、
晩年のチェリダッケやヴァントといった、
これまた苦労人の方がピタッとハマる。
思えばブルックナーも苦労人。
となると、
今まさにそんな音楽にハマる私も、
やはり苦労人。
(えっ?)
いやいや。
(えっ???)
いやいや、
まあ、
そういうことにしておいて下さい。
あははは。
……。
(ブルックナーはお好き おわり)
今週、10月27日(火)〜29日(木)
今度は静岡県磐田市にまいります。
磐田地区の高校芸術鑑賞会。
で、来週は盛岡と岡崎。
再来週は大阪…。
いやいや、まだまだ旅は続きます。
そんな間隙をぬっての、
学芸大「A'TRAIN」ライブ。
予定通り10月30日(金)に開催致します!!
秋の夜長に、
ジャズ・ピアノとお酒はよく合いますよ〜。
タノシミマスカー?
エ〜、タノシミマショ〜〜〜!
ん…?
SHUN MIYAZUMI